ひと、くらし、みらいのために 平成26年度治験ネットワークフォーラム(平成27年1月22日) 厚生労働省 Ministry of Health Labour and Welfare 臨床研究・治験をめぐる最近の動向 厚生労働省 医政局 研究開発振興課 治験推進室 福光 剣 1.医薬品開発を巡る状況 2.医薬品開発に関する様々な環境整備 3.臨床研究に関する事案とその対応 10年前のドラッグラグの状況 欧米と日本の医薬品の上市状況について 世界で初めて上市された時点と、それぞれの国で上市された時点を比較し、その平均を見る と、我が国では1,416.9日、欧米の主な国は504.9~915.1日の遅れ。 注) 2004年世界売上上位100製品から同一成分の重複等を除いた88製品のうち、それぞれの国で上市されているものを比較対象とした。 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1,416.9 915.1 912日=約2.5年 620.1 583.1 537.9 511.8 504.9 出典:日本製薬工業協会医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.31(2006年5月)©2014 IMS Health. Life Cycle (無断転載禁止) 第1回「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」資料を一部改変(平成18年10月30日) 2 日本での医薬品臨床開発期間(中央値)の推移 従前の約1/2に短縮 100 90 臨床開発期間 月(数) 80 79.6ヶ月 70 全体 60 NME 50 non‐NME 40 30 35.3ヶ月 20 -56% 10 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 品目数 全体 43 24 26 24 17 34 51 63 60 78 87 87 83 88 NME 33 17 22 14 11 16 19 28 27 24 29 34 39 31 Non‐NME 10 7 4 10 6 18 32 35 33 54 58 53 44 57 ※ ※ ※ ※ 承認年 出典:日本製薬工業協会医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.63,2014のデータを使用して作成 2000~2013年に日本で承認された1,072品目のうち、国内臨床試験に関するデータが得られた765(74%)を対象。 臨床開発期間としては、初回治験計画届提出日から承認申請日まで 臨床開発期間の数値はいずれも各承認年の中央値を使用 3 40 日本の承認審査期間(中央値)の推移 従前の約1/3に短縮 35 承認審査期間 月(数) 28.3ヶ月 30 25 全体 20 優先審査 15 通常審査 10 10.1ヶ月 5 -64% 0 品目数 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 承認年 全体 67 39 43 29 28 61 72 83 78 94 102 131 120 123 優先審査 16 12 13 4 10 20 25 28 35 13 14 15 22 19 通常審査 51 25 29 24 18 37 42 52 40 71 82 77 72 80 ※ ※ ※ ※ ※ 出典:日本製薬工業協会医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.63,2014のデータを使用して作成 2000~2013年に日本で承認された1,070品目を対象 承認審査期間としては、承認申請日から承認日まで 審査期間の数値はいずれも各承認年の中央値を使用 「全体」の数値は、「優先審査」及び「通常審査」のほか「迅速審査」の総和として計上。 4 日米欧の承認審査期間(中央値)の比較 25 欧米と遜色ないレベルに 承認審査期間 (月数) 20 欧:16.6ヶ月 日:10.1ヶ月 15 米:10.0ヶ月 10 日本(PMDA) 5 米国(FDA) 欧州(EMA) 0 品目数 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 日本 70 56 62 47 46 61 72 83 78 94 102 131 120 125 米国 97 66 77 73 107 74 92 65 79 86 82 85 88 94 欧州 20 34 28 14 31 20 39 53 46 62 30 43 33 61 ※ 出典:日本製薬工業協会医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.63,2014のデータを使用して作成 ※ 日本は、薬事食品衛生審議会での審議・報告品目を対象とし、審査期間はその中央値を使用 ※ 米国は、FDA, Center for Drug Evaluation Research (CDER)が承認した通常審査(standard review)及び 優先審査(priority review 及びorphan designation)全体の中央値を使用 ※ 欧州は、EMAが中央審査方式により承認した品目全体の中央値を使用 ※ 三極の審査期間の直接比較については、その年に承認された品目が違うことなどに留意が必要 承認年 5 治験届出数の推移(医薬品) 800 臨床研究・治 験活性化5カ 年計画2012 新GCP公布 722 新たな 治験活性化 5カ年計画 全国治験 活性化 3カ年計画 (1年延長) 700 616 600 500 500 497 463 406 400 424 391 治験届出数 504 530 700 210 628 594 600 180 553 495 500 150 438 414 361 120 400 治験届出数 300 90 59 200 医師主導治験届出数 100 800 240 7 60 ※ 31 11 5 15 8 15 11 0 30 0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 薬事法改正による医師主導治験の導入 ※同一プロトコールで複数回届出あり 6 1.医薬品開発を巡る状況 2.医薬品開発に関する様々な環境整備 医療法に基づく臨床研究中核病院 3.臨床研究に関する事案とその対応 臨床研究・治験の現状と課題 ○ 日本は基礎研究のレベルは高いが、応用研究、臨床研究などの基盤が脆弱で、基礎 研究の成果が医薬品の実用化に結びついていない。 ○ 難病など患者数が少なく企業が開発し難い病気の治験を実施できていない。 ○ 新しい医薬品・医療機器などの質の高い臨床研究を国内で実施できる施設が少ない。 ○ 病院の規模が小さく、大規模な臨床研究・治験を実施しづらい。 【論文数の国際比較】 臨床研究 基礎研究 海外の一流学術雑誌 3誌の合計(※1) 海外の一流学術雑誌 3誌の合計(※2) 1 米 2,011 1 米 2,105 2 独 386 2 英 685 3 英 284 3 カナダ 435 4 日 266 16 中国 97 25 日 55 ※1 Nature Medicine(米)、Cell (米)、Journal of Experimental Medicine (米) ※2 New England Journal of Medicine(米)、Lancet(英)、JAMA(米) 日本再興戦略 -JAPAN is BACK-(平成25年6月14日閣議決定) 3つの政策 【第一の矢】 デフレマインドを一掃 大胆な金融政策 民間の力を引き出す (新陳代謝、規制・制度 改革、官業解放) 【第三の矢】 企業や国民の自信を回復し、 「期待」を「行動」へ変える 新たな成長戦略 成長への道筋 全員参加による総力戦 【第二の矢】 湿った経済を発火 機動的な財政出動 新たなフロンティアを創る (女性・若者・高齢者を最大限に活かす、 (技術立国日本の再興、 「メイド・バイ・ジャパン」で復活) 世界で活躍する人材の育成) 3つのプラン 日本産業再興プラン 戦略市場創造プラン 国際展開戦略 ‐産業基盤を強化‐ ‐課題をバネに新たな市場を創造‐ ‐拡大する国際市場を獲得‐ 「健康寿命」の延伸 クリーンなエネルギー需給 次世代インフラの構築 地域資源で稼ぐ社会(農業等) 9 国民の「健康寿命」の延伸に関する政府の取り組み 「医療関連産業の活性化により、必要な世界最先端の医療等が受けられる社会」の実現 司令塔の本部として、内閣に、内閣総理大臣・担当大臣・関係閣僚からなる推進本部を 設置 ○ ○ 医療分野の研究開発に関する総合戦略を策定、重点化すべき研究分野と その目標を決定 各省に計上されている医療分野の研究開発関連予算を一元化 → 司令塔機能の発揮に必要な予算を確保し、戦略的・重点的な予算配分を行う。 研究管理の実務を担う独立行政法人を創設=(独)日本医療研究開発機構 ○ ○ 総合戦略に基づき、個別の研究テーマの選定、研究の進捗管理、事後評価など、 国として戦略的に行うべき実用化のための研究を基礎段階から一気通貫で管理。 そのため、プログラムディレクター、プログラムオフィサー等を活用しつつ、 実務レベルの中核機能を果たす独立行政法人を設置。 研究を臨床につなげるため、国際水準の質の高い臨床研究・治験が確実に実施される仕 組み構築 ○ 臨床研究中核病院及び早期・探索的臨床試験拠点において、企業の要求水準を満たす ような国際水準の質の高い臨床研究・治験が確実に実施されるよう所要の措置を講ず る。 ○ 臨床研究・治験の実施状況(対象疾患、実施内容、進捗状況等)を適切に把握するた め、知的財産の保護等に十分に留意しつつ、データベースを構築する。民間資金も積極 10 的に活用し、臨床研究・治験機能を高める。 78.3億円:事業費31億円 予算事業による臨床研究・治験の環境整備 (平成23年度~) 補正33億円 科研費14.3億円 ○ 早期・探索的臨床試験拠点及び臨床研究品質確保体制整備病院の整備 基礎研究 治験 臨床研究 シーズの流れ 開発早期の臨床研究の 実施 早期・探索的臨床試験拠点 (5か所) 大学等発 のシーズ 国際水準の臨床研究、 医師主導治験の実施 臨床研究品質確保体制整備病院※1 (10か所) 企業発 のシーズ 企業による研究開発 製薬企業等 大学や企業等のシーズを用いた質の高 い臨床研究や医師主導治験を実施し、 我が国における革新的な医薬品・医療 機器等の実用化を加速するため、必要 な専門的人材や設備などの環境を予算 事業により整備 ※1 医療法に臨床研究中核病院を位置付けたことに伴 い、予算事業で整備している病院の名称を「臨床研 究中核病院」から変更 薬事承認申請 革新的医薬品・医 療機器等の 実用化 (平成26年度予算額 6.4億円) 【早期・探索的臨床試験拠点整備事業】 (平成23年度~:5拠点) ○ 早期・探索的臨床試験拠点において、ヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨床研究を世界に先駆けて実施する ために必要な専門的人材(臨床研究コーディネーター等)や設備(検査機器等)を整備。 (平成26年度予算額 25.2億円) 【臨床研究品質確保体制整備事業※2】 (平成24年度~:5拠点、平成25年度~:5拠点) ○ 臨床研究品質確保体制整備病院において、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院として必要な 専門的人材(臨床研究コーディネーター等)や設備(検査機器等)を整備。 ※2 医療法に臨床研究中核病院を位置付けたことに伴い、予算事業名を「臨床研究中核病院整備事業」から変更 予算事業の選定施設について 早期・探索的臨床試験拠点 (平成23年度から5か所を整備) 国立がん研究センター (医薬品/がん分野) 大阪大学医学部附属病院 (医薬品/脳・心血管分野) 国立循環器病研究センター (医療機器/脳・心血管分野) 臨床研究品質確保体制整備病院※ *ヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨 床研究を世界に先駆けて行う拠点 東京大学医学部附属病院 (医薬品/精神・神経分野) 慶應義塾大学病院 (医薬品/免疫難病分野) (平成23年7月採択) (平成24年度から5か所・平成25年度から5か所を整備) *国際水準(ICH-GCP準拠)の臨床研究や医師 主導治験の中心的役割を担う拠点 (平成24年度選定施設) (平成25年度選定施設) 北海道大学病院 東北大学病院 千葉大学医学部附属病院 群馬大学医学部附属病院 名古屋大学医学部附属病院 国立成育医療研究センター 京都大学医学部附属病院 国立病院機構 名古屋医療センター 九州大学病院 岡山大学病院 (平成24年5月採択) (平成25年4月採択) ※ 医療法に臨床研究中核病院を位置付けたことに伴い、予算事業で整備している病院の名称を「臨床研究中核病院」から変更 医療法に基づく臨床研究中核病院 医療法に基づく臨床研究中核病院 ○日本発の革新的医薬品・医療機器等の開発を推進するため、国際水準の臨床研究等の中心的役割 を担う病院を「臨床研究中核病院」として医療法上に位置づけ (平成27年4月施行予定) 医療法に基づく臨床研究中核病院になることで期待されること ○「臨床研究中核病院」の名称を掲げることで、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院とし て認知され、より質の高い最先端の臨床研究・治験が実施できるため、 ①臨床研究・治験に参加したい被験者が集まり、症例が集積される ②臨床研究・治験を実施するための優れた研究者等の人材が集まってくる ③他の施設からの相談や研究の依頼が集まってくる などの効果が期待される。 被験者 優秀な研究者 集積 研究依頼 臨床研究中核病院 革新的医薬品等の 実用化の促進 医療法に基づく臨床研究中核病院の 承認要件に関する検討 【検討のポイント】 以下の能力を有する病院に必要な体制・実績・人員等の検討 ➀国際水準の質の高い臨床研究(特定臨床研究)に関する計 画を自ら立案し、実施する能力を有すること ➁多施設共同の特定臨床研究を行う場合、主導的な役割を 果たす能力を有すること ➂他の医療機関に対し、特定臨床研究の実施に関する相談、 情報提供、助言等の支援を行う能力を有すること ④特定臨床研究に関する研修を行う能力を有すること 他 1.医薬品開発の状況 2.医薬品開発に関する様々な環境整備 3.臨床研究に関する事案とその対応 臨床研究に係る制度の在り方 臨床研究に関する倫理指針の見直し 臨床研究と治験の枠組み(イメージ) 医学系研究 基礎研究 臨床研究 治験以外の 臨床研究 それ以外の目的(学術目的) 医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改 善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上 を目的として実施されるヒトを対象とする研究 ○介入研究 ○観察研究 に分類される。 治験 医師主導 治験 企業治験 薬事法の承認取得目的 医薬品・医療機器の開発のために薬事法の承認申請の際に 提出すべき資料の収集を目的として実施される試験のうちヒト を対象とする研究 臨床研究に関する倫理指針等を遵守 薬事法、GCP省令を遵守 被験者保護を重視する観点から研究者等が遵守すべき事項を規 定。 データの信頼性保証に関する規定がGCPほど厳格ではない。 被験者保護に関する規定のほか、モニタリング、監査、記録 の保存など、データの信頼性保証に関する規定あり。 臨床研究の不正事案に関する検討の経緯について 【高血圧症治療薬ディオバンの臨床研究事案】 ノバルティスファーマ社の高血圧症治療薬ディオバンに係る臨床研究でデータ操作等があり、研究結果の信頼性や研究者の 利益相反行為等の観点から社会問題化(平成25年5月)。 【その他の臨床研究事案】 武田薬品の高血圧症治療薬ブロプレスやノバルティスファーマ社の白血病治療薬タシグナ、アルツハイマー病に関する臨床 研究等において、誤解を招きかねない広告や企業の不適正な関与、データ改ざんの疑い等が発覚。 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 (平成25年8月~平成26年3月) ノバルティスファーマ社のディオバンに係る臨床研究事案について、 事案の状況把握及び対応方針・再発防止策・臨床研究の信頼性及び質を確 保するための具体的方策を検討。 【報告書概要】(平成26年4月) ・ 「臨床研究に関する倫理指針」の見直しの一環として必要な対応を図る ・ 国は、平成26年秋を目処に、臨床研究の信頼回復のための法制度の必 要性について検討を進めるべき (報告書の構成) (1)信頼回復のための法制度の必要性 (2)臨床研究の質の確保と被験者保護 (3)研究支援に係る製薬企業の透明性確保及び管理体制 並びに製薬企業のガバナンス等 (4)その他 健康・医療戦略 (平成26年7月22日閣議決定)(抄) ○公正な研究を行う仕組み及び倫理・法令・指針遵守のための環境整備 2014年秋を目処に法制度を含めた臨床研究に係る制度の在り方について 検討を進め結論を得、我が国の臨床研究の信頼回復を図る。 「臨床研究に関する倫理指針」の見直し 【厚労省・文科省合同委員会の見直し案につきパブコメを終了し、 告示準備中】 【検討の方向性】 研究の質の確保・被験者保護、研究機関と製薬企業間の透明性確保のた め、文科省と厚労省の合同会議で、以下の規定を新設・充実する方向で検討 中。 ➀ 倫理審査委員会の機能強化と審査の透明性確保のための規定を充実 ➁ 研究責任者の責務の明確化、教育・研修の規定を充実 ➂ データ改ざん防止のため、モニタリング・監査の規定を新設 ➃ 資料の保存に関する規定を新設 ⑤ 利益相反に関する規定を新設 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 【平成26年12月11日報告書公表】 我が国の臨床研究の信頼を早急に回復するため、法制度を含めた臨床研究 に係る制度の在り方について検討。 【主な検討項目】 ① 臨床研究の質の確保 ② 被験者の保護 ③ 製薬企業等の資金提供・労務提供にあたっての透明性の確保及び臨床 研究の実施機関における利益相反管理 他 今回の高血圧薬に関する事案は、なぜ一研究者の 「データねつ造問題」だけではすまされないのか? 誤った論文結果に基づき、医師の処 方行動を変え、結果として患者さんに 混乱・心配をかけたこと ! 日本の臨床研究について、世界的に その信頼性を失墜させたこと ! 国益を大きく損ねた社会問題であると言うこと。 1.医薬品開発の状況 2.医薬品開発に関する様々な環境整備 3.臨床研究に関する事案とその対応 臨床研究に係る制度の在り方 臨床研究に関する倫理指針の見直し 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 【検討のポイント】 我が国の臨床研究の信頼を早急に回復するため、以下の 観点から法制度を含めた臨床研究に係る制度の在り方に ついて検討。 ①臨床研究の質の確保 ②被験者の保護 ③製薬企業等の資金提供・労務提供に当たっての透明性 確保、臨床研究の実施機関における利益相反管理 等 検討会報告書のポイント (1) 1.法規制の必要性等 ○ 医薬品・医療機器等開発の国際化を踏まえると、5年後・10年後を 見越した制度の検討が必要。 ○ 不適正事案が判明した場合の調査、再発防止策の策定等の迅速 な対応に現状の制度では限界があり、信頼回復のためには倫理 指針の遵守だけでは十分とは言えない。 ○ 他方、過度な規制導入は研究の萎縮をもたらすなどの影響を懸念。 自由な研究環境を確保しつつ法規制による研究の萎縮防止のため には、法規制と研究者等の自助努力・法規制以外の対応方策との バランスが重要。 ○ これらのことから、我が国においても欧米の規制を参考に一定の 範囲の臨床研究に法規制が必要。その際、運用面において研究者 に過度な負担を課すことがないよう配慮が必要。 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 報告書概要 1.法規制の必要性等 今後の我が国の臨床研究の制度の在り方として、倫理指針の遵守を求めるだけではなく、欧米の規制を参考に 一定の範囲の臨床研究について法規制が必要。 2.法規制の範囲 臨床研究に参加する被験者に対するリスクと、研究結果が医療現場の治療方針に与える影響の度合い等の社会的 リスクの双方を勘案した以下の範囲とすることが妥当。 ・ 未承認又は適応外の医薬品・医療機器等を用いた臨床研究 ・ 医薬品・医療機器等の広告に用いられることが想定される臨床研究 3.具体的な規制や対策の内容について (1)倫理審査委員会 倫理審査委員会が具備すべき委員構成等の要件を設定し、質を確保。 (2) 臨床研究に関する情報の公開等 情報公開は透明性確保、不適正事案への対応等に有効。一方で、知的財産権保護への配慮が必要。 (3) 臨床研究の実施基準 モニタリングの実施、記録の保存等について、ICH-GCP等を踏まえた基準の策定・遵守が必要。 (4) 有害事象発生時の対応 予期しない重篤な有害事象の倫理審査委員会への報告。保健衛生上の必要性に応じて行政当局が把握。 (5) 行政当局による監視指導及び研究者等へのペナルティー 罰則は、改善命令に応じないなどの悪質な場合に限定。 (6) 製薬企業等の透明性確保 業界の取組について、より一層の努力を求め、製薬企業等の取組状況も踏まえ、法的規制も視野に対応を検討。 4.その他 ・ 生物統計等の専門家養成、医学生に対する早期の倫理教育等の臨床研究に関係する人材育成が必要。 ・ 製薬企業や業界団体における広告審査の枠組みづくり、行政機関による監視・指導体制の強化を行うことによって、 医療用医薬品の広告の適正化を図るべき。 1.医薬品開発を巡る状況 2.医薬品開発に関する様々な環境整備 3.臨床研究に関する事案とその対応 臨床研究に係る制度の在り方 臨床研究に関する倫理指針の見直し 疫学指針及び臨床指針の見直し➀ ○疫学指針(文科省・厚労省)と臨床指針(厚労省)は、ともに医学系研究に関する指針であり、概ね 5年ごとに見直し。 ○近年の研究の多様化に伴い両指針の適用範囲が複雑になっており、関係者から両指針の調整の 必要性が指摘。 平成25年2月より、文科・厚労両省の合同会議で両指針の見直しを一体的に 検討。 <疫学指針> <臨床指針> ・疫学研究という研究方法(集団を対象に統 計的手法を用いる)に着目した指針 ・臨床研究という研究の場(臨床・医療現場) に着目した指針 病気の人群 健康な人群 試料・情報 統計的手法により、病気・健康の関係や原因の解明を 目指す 病院等の現場での臨床を通じて、疾病の予防・診断・ 治療方法の改善等を目指す 24 疫学指針及び臨床指針の見直し② ○平成25年9月、両指針の統合を前提に、基本的な方向や考え方を中間取りまとめとして整理。 9~10月にかけて国民から意見募集。 ○この間、厚労省「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」において、ノバルティス ファーマ(株)が販売する降圧剤バルサルタンに係る臨床研究事案の再発防止策等について、平 成26年4月に報告書を取りまとめ。 平成26年5月に、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(草 案)」を取りまとめ。 ○平成26年8~9月にかけて国民から意見募集を実施し、最終調整。 両省審議会において審議 (文科省)科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会 (厚労省)厚生科学審議会科学技術部会 最終案の了承 平成26年12月22日告 示 平成27年4月1日施行予定 25 臨床研究・治験を巡る様々な環境の変化 「医療法に基づく臨床研究中核病院」 「臨床研究に係る制度の在り方」 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 等々 臨床研究・治験を取り巻く環境変化に適切に対応で きるよう、積極的な情報収集をお願いいたします。 26 ご清聴ありがとうございました
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