医学研究の COI マネージメントに 関するガイドライン(案) - 日本医学会

平成22年7月15日(木)
日本医学会臨床部会利益相反委員会・日本医学雑誌編集者会議合同シンポジウム
医学研究の COI マネージメントに
関するガイドライン(案)
JAMS Guideline for Management of Conflict of Interest (COI) in Medical Research
日本医学会臨床部会 COI 委員会
(委員長)
徳島大学大学院教授
(委員)
旭川医科大学教授
大阪大学大学院教授
慶應義塾大学大学院教授
東京医科大学主任教授
レックスウエル法律特許事務所所長
曽根 三郎
高後 裕
土岐祐一郎
河上 裕
J.Patrick Barron
平井昭光
医学研究のCOIマネージメント に関するガイドライン(案)
1.はじめに (歴史的な経緯など)
2.基本的な考え方
3.医学研究の特性とCOIポリシー
4.医学研究に係るCOIマネージメントの基本
5.COIポリシー及びマネージメント
ルールの策定
6.社会への説明責任
7.分科会組織自体のCOIマネージメント
8.Q & Aの作成とホームページへの掲載
9.ポリシー・細則の変更
1)COIマネージメントの手順
2)医学研究に関連する企業・法人組織、営
利を目的とする団体の定義
3)対象となる産学連携活動
4)COIマネージメントの対象者
5)対象となる事業活動
6)申告すべき項目
7)COI自己申告書の策定とマネージメント
9)自己申告書の提出プロセス
10)役員より提出されたCOI自己申告書の
取り扱いについて
11)理事会の役割
12)COI委員会の役割
13)申告のための判断基準
14)委員会構成と運営
15)個人情報の保管と開示
16)COIポリシーの遵守とモニタリング等
17)COI開示請求に対する対応
18)ポリシー違反者への措置
19)不服申し立てへの対応
米国での産学連携による臨床医学研究と
COI マネージメント
1980年12月バイ・ドール法制定
「学術機関と企業との産学連携を推進するための法律」
1989年 9月 国立衛生研究所(NIH)がCOI ガイドラインを提案
1990年 2月 全米医科大学協会(AAMC)がCOI 策定に関するガイドライン発表
1995年 6月 公衆衛生局(PHS)と国立科学財団(NSF)がポリシーを発表
NIHが修正ポリシーを発表
1996年
米国臨床腫瘍学会(ASCO)がポリシーを策定
1999年 9月 ゲルシンガー事件発生
2000年10月 ゲルシンガー事件を受けて、HHS、FDA、NIH、CDCが会議開催
2000年
ヘルシンキ宣言修正(COIについて追加)
2001年12月 AAMCが「個人」のCOIについて「ポリシーとガイドライン」発表
2002年10月 AAMCが「研究機関」の利益相反の「原理・原則と提案」発表
2004年 9月 AAMCがCOI について調査結果発表
2005年 8月 NIHがCOI ルールと基準の修正発表
2010年 3月 米国医療保険改革法成立
(サンシャイン条項:医師、病院への対価支払い詳細報告義務と公開)
利益相反(COI)の概念整理
イ)狭義の利益相反:教職員又は大学が産学連携活動に伴って得る利益と、教育・研究という大学にお
ける責任が衝突・相反している状況。
ウ)責務相反:教職員が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を負っていて、大学における職務
遂行の責任と企業等に対する職務遂行責任が両立し得ない状態。
エ)個人としての利益相反:狭義の利益相反のうち、教職員個人が得る利益と教職員個人の大学にお
ける責任との相反
オ)大学(組織)としての利益相反:狭義の利益相反のうち、大学組織が得る利益と大学組織の社会的
責任との相反
(利益相反WG報告書による)
産学連携の研究者に係るCOI 状態
医科系施設・機関にて
医学研究実施
公明性
中立性
研究者
社会的責務
謝金
研究費
寄付金等
企業
私的利益
学会、学術団体会員として、
成果発表
新規診断、治療、予防法の確立
公的利益 (国民、患者等)
企業利益
産学連携活動
○共同研究
○受託研究
○技術移転
○技術指導
○大学発ベンチャー
○奨学寄附金
○寄附講座
○講演会、セミナー開催など
SS-2010
臨床研究に係るCOIへの対応
「ヘルシンキ宣言」(2002年10月追加版)の内容
B. すべての医学研究の基本原則
13.ヒトを対象とする実験計画書(倫理審査委員会)
○すべてヒトを対象とする実験手続の計画及び作業内容は、実験計画書の中に明示されてい
なければならない。
○研究者は、資金提供、スポンサー、研究関連組織との関わり、その他起こり得る利害
の衝突及び被験者に対する報奨についても、審査のために(倫理審査)委員会に報告
しなけれ
ばならない。
22.被験予定者に対する説明
○ヒトを対象とする研究はすべて、それぞれの被験予定者に対して、目的、方法、資金
源、起こり得る利害の衝突、研究者の関連組織との関わり、研究に参加することによ
り期待される利益及び起こり得る危険並びに必然的に伴う不快な状態について十分な
説明がなされなければならない。
(日本医師会訳)
日本でのCOIマネージメントの取り組み
1996(H8年)
「科学技術基本計画」、H13年第二期、H18年第三期計画策定にて産学連携推進
1998(H10年) 「大学等技術移転促進法」
2002(H14年)
科学技術・学術審議会「利益相反ワーキング・グループ報告書」
2003(H15年)
厚生労働省「臨床研究の倫理指針」公表、改定(2008)
2004(H16年8月) 文部科学省主催にて、「利益相反マネジメントを考える会」開催し、
第2分科会「臨床研究・臨床試験における利益相反への対応」討議
2006(H18年3月) 文部科学省「21世紀型産学官連携手法の構築に係るモデルプログラムにて、
検討班「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドラインガイドライン」公表
2008(H20年4月) 日本癌治療学会・日本臨床腫瘍学会:がん研究に係る利益相反指針策定と試行
2008(H20年年3月) 「厚生労働科学研究におけるCOIの管理に関する指針」公表
2009(H21年4月) 日本癌学会:共通指針として準用
2010(H22年4月) 日本内科学会と関連9学会にて「臨床研究の利益相反に係る共通指針」策定と試行
2010(平成22年4月) 108分科会からなる日本医学会 COI 委員会設置
企業から国立大学へのライフサイエンス分野における
共同研究・受託研究の金額(H19年度)は 約400億円
文科省のライフサイエンス予算は、1900億円。
産学連携活動による研究資金源は、研究機関にとって死活問題!
社会からの疑惑、不信を招かない受け入れシステムや
透明性、公明性を担保とした運用システムの構築が重要!
日本医学会 「医学研究のCOIマネージメントに関するガイドライン」(案)
2.基本的な考え方
生命科学系大学、研究機関、病院などの施設や専門学会などの学術団体は、教育や産
学連携による医学研究を通して難治性疾患の予防、診断、治療の発展に寄与している。
○施設・機関が行う科学的、教育的プログラムや人間対象の医学的研究は、倫理性、
科学性を担保とした実施が求められており、
○学術集会や学術雑誌等におけるそれらの成果発表についても公明性、中立性が
求められており、医学研究、臨床研究、臨床試験に関連する倫理指針の遵守が
必須であることはいうまでもない。
日本医学会の「医学研究に係るCOIマネージメントのガイドライン」は、経済的利益、または
、実質的、潜在的、或いは明白な相反の結果によると解釈される様々な問題をいかにマネ
ージメントし、医学研究成果を適正かつ公明性を確保して公表していくかという、道筋を例示
している。このガイドラインは日本医学会各分科会が置かれている様々な状況を踏まえて、
医学研究にかかるCOIポリシー及びそのマネージメントルール(細則等)を策定していく上で
の一助になれば幸いである。
本ガイドラインにおける「医学研究」の定義
○予防、診断及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解の向上並びに患者の生活の
質の向上を目的として行われる産学連携の研究で、
○生命科学研究や基礎医学研究から人間を対象とする臨床医学研究、臨床試験
(治験含む) までの研究
3.医学研究の特性とCOIポリシー
1)最先端の医学研究分野では、研究自体が疾病の予防法、診断法、治療法の開発を目的とす
ることが多く、当該基礎研究・臨床研究を安全に実施できる最適な人物はその研究者自身である
ケースが多い。
2)創薬等の場合、既存の企業への技術移転という手法のみでは、研究成果の社会還元に長期
間かかることが多く、研究者自身が関与するベンチャー企業の役割が大きい。
3)新薬や医療機器等の臨床開発には基礎医学研究、臨床研究が必ず必要であり、研究者自身
が一切関わらないということは現実的には困難である。
分科会の長のもとにCOI委員会が適切なCOI マネージメントを行うことにより、研究成果を社
会へと還元し、国民の福祉や健康の増進、難病を克服するための道筋が大きく開かれる。
4.医学研究に係るCOIマネージメント
企業
研究会、セミナー、
講演会の主催
謝金
研究費
寄付金等
産学連携推進
学会、学術団体、
学術雑誌社など
医療系施設、機関
COIポリシー
臨床研究・臨床試験
の実施と結果・成果の蓄積
新規の診断、治療法、予防法
開発
COIポリシー
医療機関
診断、治療、予防法
社会へ還元
SS-2010
研究成果の発表、公表
・学術雑誌
・講演発表
・ガイドライン策定
・調査報告書作成
・市民公開講座など
医学研究におけるCOIの分類
(企業ー研究者)
金銭的関係
自由な活動
• 潜在的に弊害があるCOI (Potential)
• 弊害が存在するように見えるCOI (Apparent)
• 弊害が実在するCOI (Actual)
不正
・被験者(ヒト)の生命の危険
・研究の真実性、客観性、透明性の喪失
・研究結果へのバイアス
・機関に対する社会からの信頼性の喪失
軽減・改善の
マネージメント
5.COIポリシー及びマネージメントルールの策定
分科会におけるCOIマネージメント体制の構築
1)COIマネージメントの手順
2)医学研究に関連する企業・法人組織、営利を目的とする団体の定義
3)対象となる産学連携活動
4)COIマネージメントの対象者
5)対象となる事業活動
6)申告すべき項目
7)COI自己申告書の策定とマネージメント
8)申告の対象期間
9)自己申告書の提出プロセス
10)役員より提出されたCOI自己申告書の取り扱いについて
11)理事会の役割
12)COI委員会の役割
13)申告のための判断基準
14)委員会構成と運営
15)個人情報の保管と開示
16)COIポリシーの遵守とモニタリング等
17)COI開示請求に対する対応
18)ポリシー違反者への措置
19)不服申し立てへの対応
2)医学研究に関連する企業・法人組織、営利を目的とする
団体の定義
(1)医学研究を依頼し、または、共同で行った関係(有償無償を問わない)
(2)医学研究において評価される療法・薬剤、機器などに関連して特許権などの権利を共有している関係
(3)医学研究において使用される薬剤・機材などを無償もしくは特に有利な価格で提供している関係
M
(4)医学研究について研究助成・寄附などをしている関係
(5)医学研究において未承認の医薬品や医療器機などを提供している関係
(6)寄附講座などのスポンサーとなっている関係
3)対象となる産学連携活動
(1)共同研究 – 企業と大学が研究費、研究者を分担して実施する研究
(2)受託研究 – 企業が大学に研究を委託
(3)技術移転 – 大学の研究成果を企業において実用化
(4)技術指導 – 大学の教授などが企業の研究開発・技術指導を実施
M
(5)大学発ベンチャー – 大学の研究成果を基にベンチャー設立
(6)寄附金 – 企業から大学への寄附金により研究を実施
(7)寄附講座 – 企業から大学への寄附金による講座設置と研究推進
4)COIマネージメントの対象者
(1)会員
(2)分科会学術機関誌などで論文発表する会員と非会員
(3)役員、委員など
(4)分科会雇用の事務職員
同時に、(1)~(4) の対象者の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者
などの申告を義務つけるかは、各分科会の置かれている状況に応じて対応すべきである
5)対象となる事業活動
(1)学術講演会(年次総会含む)、支部主催の講演会などの開催
(2)学会機関誌、学術図書などの発行
(3)研究および調査の実施
特に、特段のマネージメントが必要なのは、
(4)研究の奨励および研究業績の表彰
① 分科会が主催する学術講演会などでの発表
(5)認定医および認定施設の認定
② 分科会発刊の学術雑誌・機関誌などでの発表
(6)生涯学習活動の推進
③ 診療ガイドライン、マニュアルなどの策定
(7)国際的な研究協力の推進
④ 臨時に設置される調査委員会、諮問委員会などでの作業
(8)その他目的を達成するために必要な事業
⑤ 企業主催のランチョンセミナー等での発表
6)申告すべき項目
(1)役員、(2)学術集会発表者、(3)雑誌著者の3区分に分類して項目設定
(研究内容に関連する企業・団体など)
A. 申告者
基
本
的
な
C
O
I
申
告
項
目
1.役員、顧問職の有無と報酬額
(有
・
無)
2.株の保有と、その株式から得られる利益(最近1年間の本株式による利益)
無)
3.特許権使用料として支払われた報酬
(有
・
(有
・
無)
4.会議の出席(発表)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演
料など)
5.パンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料
6.提供された研究費
(有
・
無):
7.奨学(奨励)寄付金(有
・
無)
8.企業などが提供する寄付講座
(有
①治験
・
(有
・
②産学共同研究
無)
③受託研究
無)
9.その他の報酬(研究とは直接無関係な、旅行、贈答品など金額区分
B. 申告者の配偶者、一親等内の親族、または収入・財産を共有する者
該当者氏名(申告者との関係):
(
)
平成16年6月12日付けの新聞報道の見出し
•
•
•
•
•
大学発ベンチャー企業アンジェスで、「臨床試
験医に未公開株」「大学教授ら5人」「米では
禁止行為」
「責任者3200万円で売却」
「株所有制限へ法整備を/利益相反に無神経」
「研究者にもルールを」
「被験者に知らせず 国際倫理指針に反し」
診療ガイドライン策定と
利益相反マネージメント
タミフル問題調査研究班と委員の奨学寄附金
COI申告違反
13)申告項目ごとの判断基準額(年間)例
(1)役員、顧問職 の報酬額 →合計100万円以上
(2) 株式、出資金、ストックオプション →100万円以上、全株式5%以上
(3)特許権使用料 →合計100万円以上
(4)日当(講演料など) →合計50万円以上
(5)パンフレットなどの執筆・原稿料 →合計50万円以上
(6)臨床研究費(受託研究費、共同研究費など)総額 →200万円以上
(7)奨学(奨励)寄附金 →申告者個人または申告者が所属する部局(講
座・分野)/研究室の代表者への支払い総額が年間200万円以上
(8)寄附講座:申告者らが所属
(9)旅行、贈答品などの提供 →総額が年間5万円以上とする。
学術集会におけるCOI状態の開示例
日本○○学会 CO I 開示
筆頭発表者名か全員: ○○ ○○
筆頭発表者: 演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある
企業等はありません。
或いは、
筆頭発表者のCO I開示
①顧問:
②株保有・利益:
③特許使用料:
④講演料:
⑤原稿料:
⑥受託研究・共同研究費:
⑦奨学寄付金:
⑧寄附講座所属:
⑨贈答品などの報酬:
なし
なし
なし
なし
なし
○○製薬
○○製薬
あり(○○製薬)
なし
7) COI自己申告書の策定とマネージメント
(3)学術雑誌著者に対して、 「Journal COI policy」が必要!
和文雑誌の発表者
発表者は会員であることが多いので、各分科会における学術集会・講演会にお
るCOI
申告書と同じ項目で対応が可能、
け
非会員の投稿者についても当該分科会のCOI指針・細則に従い申告することを明記
英文雑誌の発表者
海外からの論文投稿が多く、国情の違いもあり、下記の検討が必要!
①自己申告する対象者の範囲、
②申告項目、
③申告のための評価基準など
COI開示違反者に対する措置内容もCOI指針・細則または投稿規定の中に明記
8)申告の対象期間
過去1年間を申告対象期間として数年間試行的に実施し、その後の完全実施の段階で
複数年(例、3年間)の自己申告を義務づける方法もある。
9) 自己申告書の提出プロセス
役員等
承認か条件
付き承認
就任時
COI
開示
会員(非会員含))
発表時、
投稿時
COI開示
Websiteにて
登録時
COI自己申告
違反者へ
の措置
不服申立て
審査委員会
理事会(理事長)調査,審査
答申
倫理委員会
利益相反委員会
編集委員会
情報
提供
要清
必要情報の
公開
社会(マスコミ、マスメディアなど)
10)役員より提出されたCOI自己申告書の取り扱いについて
機密保持の確保と個人情報保護の観点から厳格なマネージメントを分科会事務局内で行う。
○具体例として、最終の任期満了、あるいは委員の委嘱撤回の日から有る一定の期間
(例、2年から5年)、理事長の監督下に分科会事務局で厳重に保管され、速やかに
削除・廃棄されることを明記。
M
○理事長の指示にて、削除・廃棄が適当でないと判断された当該申告者のCOI情報は
保留できることも明記。
11)理事会の役割
COI状態に係る重大な事例が生じた場合、COI委員会、倫理委員会、編集委員会に諮問
し、答申に基づいて改善措置などを指示することができる。
M
不当な疑惑あるいは告発と判断された場合には、分科会としての社会的説明責任を果たす
とともに当該個人の人権を守るために見解と声明を出すべきである。
12)COI委員会の役割
臨床研究、臨床試験の推進を前提として、研究者の立場に立ってアドバイザーの役割
①COI状態にある会員個人からのあらゆる質問、要望への対応(説明、助言、指導を含む)。
②COIの違反防止ならびに啓発活動に関すること。
M
③COIに関する調査、審議、審査およびマネージメント、改善措置の提案、勧告に関すること。
13)申告のための判断基準
医学研究におけるCOI状態は、産学連携活動の様式や社会的な背景、医学研究の特許性
や知財価値、施設や研究者のおかれている状況、対象となる医学研究の特殊性などに依存。
○各分科会のポリシーに基づいて各分科会が社会への説明責任を果たすことのできる規範
や判断基準を策定し、定期的にポリシーの見直しを図りながら改善し対応して行くべきである。
M
○具体的には、金銭的COIとして、講演料、原稿料、奨学寄附金が、社会的に最も関心が
高く、マスコミから指摘されることが多いので特段に対応が求められる。
14)委員会構成と運営
COI委員会の構成員は、
医学研究を実施する会員、
COI問題に精通している者、
関連する法律や規則などに詳しい者など
個人情報保護ならびに秘密保持を図る観点から、適正な委員数(例、委員総数5~7人)
設定、構成委員として両性並びに外部の委員もある割合で加わるべきである。
15)個人情報の保管と開示
役員や会員のCOI状態に関する情報は、
○一般(例、マスコミ関係者)からの公開の請求があれば、個人情報及びプライバシーの保
護に関して十分に配慮した上で、必要な範囲の情報を提供すべきである。
M
○法的な手段により特定の役員や会員に係るCOI状態の開示請求がなされた場合には、
顧問弁護士を含めた理事会対応が必要であり、あらかじめマニュアル化しておくことが
望ましい。
16) COIポリシーの遵守とモニタリング等
分科会の全会員、職員を対象に遵守を義務付ける。
○重大なCOI状態にある役員には、定期的な報告とモニタリング、役職の変更や回避などの
措置を取ることにより、事業活動への影響を最小限にする。
M
○COI状態にある個人の関与が分科会の事業活動に対して深刻なCOI状態を生じ、公平性、
信頼性が担保できないと予測される場合には、当該活動への係わりを一切禁止
(ゼロ・トレランス)するという方針を取ることも考えられるが、慎重な対応が求められる。
17)COI開示請求に対する対応
○分科会外部から所属会員のCOI状態に関する開示請求がなされた場合を想定した手順が
明文化されるべきである。
M
○妥当と思われる理由があれば、分科会の長は個人情報の保護のもとに事実関係の調査を
含めて、できるだけ短期間に適切な対応をする。
18) ポリシー違反者への措置
分科会の社会からの信頼性や道義性を失う事態に至ることも想定される、そのような事態
を未然に防ぐためには、COI委員会を中心としたマネージメントシステムの策定が必要。
○会員に疑義もしくは社会的・道義的問題が発生した場合の対応:
COI委員会が十分な調査、ヒアリングなどを行ったうえで、深刻なCOI状態があり、
説明責任が果たせない場合、分科会の長は、倫理委員会に諮問し、その答申をもとに
理事会で審議の上、当該発表予定者の学会発表や論文発表の差止め、掲載論文の撤回、
M
分科会が定める会則等による会員措置規定を適用出来る仕組みを、予め記載すべきで
ある。
○非会員のCOI違反への対応:
各分科会は非会員による事業活動への参加(学会発表など)を依頼する時にはCOI指針の
遵守をその都度、文面にて確認することが望ましい。分科会が発行する英文学術雑誌への
投稿は非会員、特に外国からの発表者が多いことが予想され、COI違反に対する対応は必
M
要以上の作業と配慮が求められる。当該分科会として、論文発表の差止め、掲載論文の撤
回、謝罪文の掲載などを含めて国際社会の信頼性を確保するための対応マニュアルの策定
19)不服申し立てへの対応
分科会の長は、不服申し立ての審査請求を
受けた場合、
○速やかに不服申し立て審査委員会(以下、審査委員会という)
を設置しなければならない。
○審査委員会ならびに不服申し立て等の仕組みについてはCOI
指針・細則の中に記載されるべきである。
6.社会への説明責任
分科会の長は、
当該組織および所属個人のCOI状態にかかる情報開示を理事会の決議を経て適切に行い、
社会への説明責任を果たすことが求められている。
COI委員会は、産学連携にて発生する会員のCOI状態が深刻な事態に至った場合、社会、
マスコミ等への対応などについて関係する委員会との連携が行える仕組み作りが必要。
M
例えば、分科会の長は、会員のCOI状態について社会的・道義的な説明責任を果たす必要性
が生じた場合、理事会の決議を経て必要な範囲で当該分科会の内外に開示もしくは公表する
ことができること。
7.分科会組織自体のCOIマネージメント
分科会自体が企業・法人組織・団体との経済的なCOI状態が深刻な場合、その対応ならびに
マネージメントについてもポリシーを策定しておくことが求められる。
一つの対応策として、他の分科会に対して外部評価を委託することも検討されるべきである。
8.Q & Aの作成とホームページへの掲載
COIマネージメントの基本は、
①COI指針と細則の策定と会員への周知,
②会員並びに分科会事業の参加者に当該指針・細則の遵守を徹底させることであるが、
運用する上で解釈上の疑問や対応における問題点が生じることがある。その場合、COI委員
M
会は、一つ一つの質問や疑問に対して随時回答書を作成し、ホームページに開設した
Question & Answer (Q&A)コーナーに掲載し会員や関係者への周知を図っていくことが大切
である。
9.ポリシー・細則の変更
COIポリシーおよび細則は,本細則は、社会的要因や産学連携に関する法令の改正、
整備ならびに医療および臨床研究をめぐる諸条件の変化に適合させるために、原則と
して、数年ごとに見直しを行うことの記載がなされるべきである。
医学研究における倫理とCOIポリシー
被験者を守る!
研究に関する
倫理指針
被験者
IC、モニタリング
効果安全性評価委員会
研究者を守る!
施設、組織を守る!
COI
ポリシー
研究者
CO I 自己申告書