双対空間・1次微分形式

1/11
双対空間 (Dual space)
電通大数学:山田
2/11
n 次元線形空間 V に対して, 次の集合を V の双対空間 とよぶ.
V
∗
= { V から R への線形写像 }
V ∗ の元を コベクトル という
ただし f : V → R が線形写像であるとは, 次の2条件が成り立つこと
である.
(1) f は 和 を保つ: f (~
u+~
v ) = f (~
u) + f (~
v)
(2) f は スカラー倍 を保つ: f (c~
u) = cf (~
u)
3/11
事実. V ∗ は n 次元(V と同じ次元)の線形空間となる.
dim V ∗ = dim V
V ∗ 内の(コベクトル)の 和とスカラー倍 は次のように定義する.
(1) f, g ∈ V ∗ のとき「f と g の 和」(f + g) ∈ V ∗ は
(f + g)(~
u) = f (~
u) + g(~
u).
(2) f ∈ V ∗ , c ∈ R のとき「f の c 倍」(cf ) ∈ V ∗ は
(cf )(~
u) = cf (~
u).
4/11
さて, V の基底
B = {~
e1 , ~
e2 , · · · , ~
en }
を1つ固定する.
V ∗ の元 f は基底の各ベクトルに対する値
f (~
e1 ) = a1 , f (~
e2 ) = a2 , · · · , f (~
en ) = a3 が与えられれば
f (c1~
e1 + c2~
e2 + · · · + cn~
en ) = c1 a1 + c2 a2 + · · · cn an
となり「V のすべてのベクトルに対する f の像」つまり
写像 f 自体が定まる.
5/11
今, V の基底 B = {~
e1 , ~
e2 , · · · , ~
en } に対して
V ∗ の元 e∗i (i = 1, 2, · · · , n) を
e∗i (~
ej )
=
{
1
if i = j
0
if i 6= j
と定めると, {e∗1 , e∗2 , · · · , e∗n } は V ∗ の基底となることがわかる.
これを B の双対基底とよび, B∗ と表す:
B∗ = {e∗1 , e∗2 , · · · , e∗n}
与えられた基底 B に対して定められていることに注意.
6/11
計算例: コベクトル への ベクトル の代入
e∗1 (2~
e1 − 3~
e2 ) = 2 e∗1 (~
e1 ) − 3 e∗2 (~
e2 )
=2·1−3·0
=2
メモ:e∗j は ~
ej の係数(第 i 成分)を返す.
さらに
(40e∗1 − 25e∗2 )(2~
e1 − 3~
e2 )
= 40e∗1 (2~
e1 − 3~
e2 ) − 25e∗2 (2~
e1 − 3~
e2 )
= 40 · 2 − 25 · 3
=5
7/11
双対空間 から 1次微分形式へ
コベクトル場
8/11
対応
1点における
平面・空間 の各点で
ベクトル
ベクトル場
コベクトル
“コベクトル場”
→ 1次微分形式
1次微分形式 とは,
各点で その点を始点とするコベクトルが指定されていること 考察 ベクトルに始点があるので,
⇒ 1次微分形式 には,どこが始点のベクトルでも代入できる.
9/11
表示:まず基本
{
}
∂
∂
B =
,··· ,
at P に対して
∂x1
∂xn
B∗ = {dx1 , · · · , dxn } at P が 双対基底.
(
dxi
言い換えると
∂
=
∂xj at P

{
)

a1
 .. 
 . 
 
dxi  ai 
 .. 
 . 
an
1
if i = j
0
if i 6= j




 = ai


at P
メモ:dxi は 第 i 成分を返す.
10/11
計算例: 1次微分形式 への ベクトル の代入
基本
(
dx1
(
)
(
)
)
∂
∂ ∂
∂
2
−3
− 3 dx1
= 2 dx1
∂x1
∂x2 at P
∂x1 at P
∂x2 at P
=2·1−3·0
=2
メモ:dxi は 第 i 成分を返す.
11/11
計算例:1次微分形式 への ベクトル の代入
µ = 2xy dx + x2 dy に
[ ]
∂
∂ 2
~
a= 2
−3
=
−3
∂x
∂y at (4, 5)
(
µ(~
a) = (2xy dx + x2 dy)
を代入
at (4, 5)
)
∂
∂ 2
−3
∂x
∂y at (4, 5)
↓ at (4, 5)
)
∂
∂
2
= (2 · 4 · 5 dx + 5 dy) at (4, 5) 2
−3
∂x
∂y at (4, 5)
)
(
∂
∂ = (40 dx + 25 dy)| at (4, 5) 2
−3
∂x
∂y at (4, 5)
= 40 · 2 − 25 · 3
(
=5