20150327週次レポート

Precious Metals Weekly Update
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26 March 2015
WEEK IN REVIEW:
Macro indicators:
Yen
(1.1%)
Euro
3.1%
S&P
2.6%
FTSE
3.1%
Oi l
0.3%
Copper
3.1%
Ma r 16th - Ma r 20th
先週米連邦準備理事会は利上げに際して「辛抱強くなれる」との文言を削除し、理論上いつ利上げが実施さ
れてもおかしくない状況となった(2 ページ Focus ご参照)。しかし、フェデラルファンド金利誘導目標の予想中
央値が低下し、加えてイエレン議長の発言がハト派的であったことから、市場では当面の間金利は据え置か
れると判断され、貴金属はショートカバーによって大幅に上昇した。今週火曜日に発表された中国 3 月 HSBC
製造業 PMI が市場予測を下回る結果となったことで、中国の経済成長に対する懸念がさらに高まった。中国
政府がハードランディングを避ける為に積極的に景気刺激策を講じる中、消費者の購買力が伸び、宝飾・自
動車市場における貴金属需要が高まる可能性がある。今週火曜日に発表された米 2 月 CPI(前年比)は 0%と
Platinum prices
なったものの、デフレを脱却したことが示された。インフレ率が上昇し、利上げ観測が強まると短期的にはゴー
ルドにとって弱材料となるが、インフレヘッジとしてのゴールドにとって長期的には強材料となる。
$/oz
last week:
プラチナ

16-Mar
20-Mar
Change: 1.8%
Support: $1,090
Resistance: $1,165


Outlook:
Palladium prices
$/oz
マクロ: 先週の FOMC 声明発表後、ドルインデックスは 100 を超える 12 年振りの高値から下落し、ドル建
のコモディティは上昇した。直近で価格が下落していたプラチナは対ゴールドで値を上げたが、引き続きゴ
ールドに対し 4%以内のディスカウントで推移している。先週の FOMC を控えてグロス・ショートポジション
は歴代最高値まで増加したが、直近のプラチナ価格の反発はショートカバーによるものと考えられる。
テクニカル: 先週プラチナは売られ過ぎの水準から反発し、現在は 2015 年 1 月高値と 3 月前半の高値を
結んだ下降トレンドライン上の$1,150/oz を試す展開となっている。日々の終値が$1,150/oz の水準を上回
るようになれば短期的には強気相場にあると言えるが、現在$1,200/oz 付近にある 50 日・100 日移動平均
線を試すまでには未だ至らないと考えられる。
ファンダメンタル: 2015 年 1 月~2 月の中国のプラチナグロス輸入量は前年同期比 37%減少となり、2015
年に入ってから上海黄金交易所(SGE)におけるプラチナ需要が軟調であることを改めて示すこととなった。
直近のプラチナ価格が安値圏で推移していることから SGE の取引量が増加してきているものの、年初来
の売買高は前年比 42%減となっている。
last week:
パラジウム

16-Mar
20-Mar
Change: -2.0%
Support: $760

Resistance: $787
Outlook:
Gold prices $/oz

マクロ: 先週の FOMC 声明を受けパラジウム価格は上昇したが、他の貴金属とは異なり先週初めの下げ
幅を取り戻すことはできなかった。パラジウムは他の貴金属とあまり連動せずに推移しており、ショートポジ
ションもその他貴金属程は溜まっていなかったことから、ショートカバーによる価格上昇の影響が限定的と
なった。
テクニカル: 先週の日々の終値は 2010 年以来の長期的な上昇トレンドラインにサポートされており、支持
線$760/oz 、抵抗線$787/oz(夫々2015 年 2 月高値と 3 月安値を結んだフィボナッチリトレースメント)の間
で底堅く推移している。スポット価格が 50 日移動平均線に近づいていることから、強気相場に転じようとし
ていることが分かる。
ファンダメンタル: 2015 年 1 月~2 月の中国のパラジウムスポンジ(工業用途で使用される形状で、取引量
の大部分を占める)輸入量は前年同期比 38%減少しており、工業需要が減少していることが伺える。
last week:
ゴールド

16-Mar
20-Mar
Change: 2.0%
Support: $1,130

Resistance: $1,206
Outlook:
Silver prices $/oz

last week:
マクロ: 先週水曜日の FOMC を控え、ゴールドのショートポジションは増加していた。しかし、FOMC 後の
声明がハト派的に内容となり、ドル安に反転するタイミングでゴールドのショートカバーが入り、ゴールドは
堅調に推移した。今週も引き続きドル安に推移していることから、ゴールドの上昇トレンドは継続すると考え
られる。
テクニカル: ゴールドは 2015 年 1 月 23 日から続いている下落基調を脱し、$1,180/oz(2013 年から 2014 年
にかけて三重底を形成した以前の支持水準)上で底堅く推移している。今後心理的節目の$1,200/oz 及び
$1,206/oz(2015 年 1 月高値と 3 月安値を結んだ 38.2%フィボナッチリトレースメント)の水準を試す展開が
予想されるが、この水準まで価格が上昇すれば利益確定の売りが入る可能性がある。
ファンダメンタル: 先週金曜日から LBMA Gold Price が新たに開始され、これで 4 つの貴金属全てが独立
して管理されることになった。電子オークション形式になったことでより多くの市場参加者が参加することが
見込まれている。
シルバー

16-Mar
20-Mar
Change: 7.0%
Support: $16.52
Resistance: $17.27
Outlook:


マクロ: 先週シルバーは 2015 年 1 月中旬振りに堅調に推移し、米利上げ時期が後ろ倒しになるとの観測
から大幅に上昇した。また、今週火曜日に発表されたユーロ圏の製造業 PMI が市場予測を上回る強い結
果となり、ユーロ高・ドル安が進行したことからシルバー価格は更に上昇した。
テクニカル: 先週後半にシルバーは 100 日・50 日移動平均線を突破し、今週火曜日には 2015 年 2 月中旬
振りに$17/oz を超えた。価格上昇に伴い利食いの売りが入り、上げ幅が限定的となる可能性もある。抵抗
線は$17.27/oz (2015 年年初来の高値と安値を結んだ 61.8%フィボナッチリトレースメント)になると考えられ
る。
ファンダメンタル: 2015 年 1 月~2 月にかけて中国のシルバーグロス輸入量は前年比 27%減少している。
Precious Metals Weekly Update
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26 March 2015
FOCUS: ‘Patience’(辛抱強く)の文言が削除へ
先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明
は概ねハト派的な内容と見做され、低金利政策がしばらく
は継続されるという見方が強まり、米ドル安に推移し、米
国債利回りも下落した。ゴールドも大幅上昇し、1 月中旬
以来の週間上げ幅を記録した。本レポートでは今後の米
連邦準備理事会(FRB)の動向、及び貴金属に対する影響
を検証する。
‘Patience’(辛抱強く)の文言
3 月 18 日に行われた FOMC の声明文から‘patience in
beginning to raise interest rates’(利上げについて辛抱
強く)という文言を削除し、早ければ 6 月に利上げを行う可
能性を残しつつも、イエレン議長は辛抱強くの文言を削除
したからと言って、辛抱強くならない訳ではないとコメントし、
早期利上げ期待の高まりをけん制した。同時に公表された
FRB当局者による2015年末時点のフェデラルファンド(F
F)金利誘導目標の予想中央値が、2014 年12月時点の1.
125%から今回0.625%に大幅に低下したことから、金
利引上げのタイミングが後倒しになるということが予想され、
貴金属価格は一時的に利上げ期待による下方圧力から
解放された。
タイミング
FRB は引き続き 4 月に利上げを行う可能性は低いという
見方を示しており、新しい金利の道筋に関するフォワード
ガイダンスは ‘assess progress – realised and expected –
towards its objectives of maximum employment and
2% inflation’(目標として掲げている労働市場の改善、及
びインフレ率 2%への回帰に向け、その過程と現状を精査
する)としている。即ち、貴金属価格は労働市場、及び消費
者物価指数(CPI)等の経済指標の結果に今まで以上に左
右されることになるだろう。
マクロ状況
雇用の増加や失業率の低下により労働市場は力強く改善
に向かっており、米国内の消費需要も健全であり、実質所
得も堅調であると FRB はコメントしたが、2015 年における
GDP の見通しを 12 月時点の 2.6-3.0%から 2.3-2.7%へ引
き下げた。一方で、2015 年の失業率の見通しも 12 月時点
の 5.2-5.3%から 5.0-5.2%に引き下げている。金利引上げ
により借入コストが増加しても、一般消費者の購買意欲の
落ち込みは限定的と FRB は見ているようだ。GDP の下方
修正はプラチナ、パラジウム、シルバー等の工業用メタル
にとっては弱材料となりうるも、好調な自動車販売台数の
結果等に牽引され現在の上昇基調は維持されると考えら
れる。
デフレ懸念
FRB はディスインフレ―ション、デフレに対しての警戒心を
強めている。現在インフレ率は中長期目標の 2%を下回る
水準にあり、短期的には引き続き低水準にて推移すること
を予想している。FRB は 2015 年における PCE コアデフレ
ータ(コアインフレ)の予想を 12 月時点の 1.0-1.6%から 0.60.8%まで引き下げている。
中期的にインフレ率が 2%の水準に回帰することがある程
度確実になれば、FRB は金利引き上げを実施する可能性
がある。これは原油価格の下落(エネルギーコストに直結
し、市場がインフレの程度を判断する際の重要な指標)とド
ル高(輸入品の価格に影響)によって左右されるだろう。最
新の経済指標によると、ディスインフレーションも底打ち感
が出ていることから今後利上げ観測が強まる見通しであり、
またインフレ率が上昇すれば、長期的にはインフレヘッジ
としてのゴールド需要が増加するだろう。
グラフ 1: FOMC 各会後の政策金利見通し(%):
グラフ 2: 2015 年 3 月 FOMC 直後、ユーロ/ドル先物から
予想される米政策金利(%):
Sources: Mitsubishi from Bloomberg Professional
Service
コンセンサス
FRB が低金利政策を継続することが現在の市場のコンセ
ンサスであり、引き続き借入コストは安く保たれ、利回りも
低水準を維持し、貴金属を保有する機会費用も安く保たれ
るだろう。FF 金利が 0.25%引き上げられるのは 2015 年 9
月・10 月になるという公算が高く、更なる利上げはその経
過を観察した上で 2016 年に行われると考えられる。
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Precious Metals Weekly Update
26 March 2015
MACRO OUTLOOK: Economic calendar from Bloomberg
Mar-23
Mar-24
EU:
3 月マークイット製造業 PMI 前 51.0 予
51.5
3 月コンポジット PMI 前 53.3 予 53.6
UK:
2 月 CPI(前月比) 前-0.9% 予 0.3%
US:
2 月 CPI(前月比) 前-0.7% 予 0.2%
2 月住宅価格指数(前月比) 前 0.8% 予
0.5%
3 月製造業 PMI 前 55.1 予 54.6
2 月新築住宅販売件数
前 48.1 万件 予 46.7 万件
Mar-25
US:
MBA 住宅ローン指数
前-3.9%
2 月耐久財受注
前 2.8% 予 0.2%
Mar-26
Japan:
2 月失業率
前 3.6% 予 3.5%
2 月 CPI(前年比)
前 2.4% 予 2.3%
US:
新規失業保険申請件数
前 29.1 万件 予 29.0 万件
3 月マークイットコンポジット
PMI 前 57.2
Mar-27
US:
3 月ミシガン大
消費者信頼感
指数
前 92.2
予 92.0
10-12 月 GDP
前 2.2%
予 2.4%
FUTURES MARKET: Source – Commitments of Traders, Commodity Futures Trading Commission
NYMEX プラチナ ネット・ロングポジション
3 月 17 日時点: 1.32 Moz
グロス・ショートが 7 週連続増加し、現在 53t と過去最高となっている。3 月 19 日以来価格が上昇している為、ショートポジションが大
幅に減少していることが想定されるが、直近のデータにはまだ含まれていない。グロス・ロングの増加幅は 1 月前半以来最大の 3.4t
となり、グロス・ロングポジションは 2014 年 7 月以来最大の 89t となっている。このようにプラチナに対する投資家の気運は両極端に
分かれていることが見受けられる。
NYMEX パラジウム ネット・ロングポジション
3 月 17 日時点: 1.99 Moz
グロス・ロングが 6.3t(7%)減少し 78t となり、ショートポジションも増加したことで、ネット・ロングは 4 週振りの低値である 62t となった。
グロス・ショートは 5 週振りに増え 17t 増加したが、歴代最高値の 48%に留まっていることから、投機筋は依然と強気であることがわ
かる。
COMEX ゴールド ネット・ロングポジション
3 月 17 日時点: 5.65 Moz
グロス・ショートが 68t 増加し、4 ヶ月振りの高値 454t となっている。同時にロングポジションが 7 週連続で減少し、31t 以上減少してお
り、グロス・ロングは 631t、ネット・ロングは歴代最高値の 18%の 174t となっている。先週ショートカバーによってグロス・ショートは大
幅に減少しており、また直近の価格推移によってグロス・ロングの減少トレンドが反転する可能性もある。
COMEX シルバー ネット・ロングポジション
3 月 17 日時点: 151.05 Moz
3 週連続でグロス・ロングとグロス・ショートどちらも増加し、夫々歴代最高値の 74%、75%まで増加している。一方、先週のネット・ロン
グは 4,697t と歴代最高値の 35%程度である。3 月 19 日の FOMC 声明以来グロス・ショートが減少しているため、ネット・ロングは増
加する可能性がある。
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Precious Metals Weekly Update
26 March 2015
SHANGHAI GOLD EXCHANGE: Source – Shanghai Gold Exchange
SGEプラチナ売買高 3 月 20 日時点
th
Implied premium 7.1% (7.2% to 13 Mar)
SGEゴールド売買高 3 月 20 日時点
th
Implied premium: 0.7% (1.2% to 13 Mar)
Thousands
Platinum sales (koz)
200
Price (RMB/g)
400
350
150
300
250
100
200
150
50
100
50
0
0
Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec
2013
2014
2015
2013 monthly average price
2014 monthly average price
2015 monthly average price
EXCHANGED TRADED FUNDS: Source – various ETF providers
プラチナETF残高
3 月 20 日時点: 2.75 Moz
先 週 最 も 大 き な 動 き と し て ETFS London
fund が 249kg(総残高の 2%)売り手仕舞われ
たものの、プラチナ ETF 残高は概して変化なく
推移した。
パラジウムETF残高
3 月 20 日時点: 2.84 Moz
先週 ABSA ETF が 622kg(総残高の 4%)も売
り手仕舞われたことで、パラジウム ETF は合
計約 1.0t 売り手仕舞われた。
ゴールドETF残高
3 月 20 日時点: 46.3 Moz
先週は主に SPDR Gold Fund が更に売り手
仕舞われたことで、 iShares やその他小規模
な銘柄の増加分を相殺し、ゴールド ETF 残高
は約 6.2t 減少した。
シルバーETF残高
3 月 20 日時点: 431.4 Moz
先 週 シ ル バ ー ETF 残 高 は 殆 ど 変 化 せ ず
13,375t となっており、 2015 年 2 月中旬以来
同水準を保っている。
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Precious Metals Weekly Update
Spot
Gold
Forwards
Silver
Platinum
Leases
Palladium
26 March 2015
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
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