20150521週次レポート

Precious Metals Weekly Update
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20 May 2015
WEEK IN REVIEW:
先週水曜日に発表された米 4 月小売売上高が前月比横ばいとなったことを受け、ドルは対主要通貨で 16 週振りの低値まで下落し
た。同結果に加え、米 4 月鉱工業生産指数及びミシガン大消費者信頼感指数が弱い結果となったことから、ゴールドは 2015 年 2 月
中旬以来の最高値まで上昇、これに連れてシルバーとプラチナも数週間振りの高値まで上昇した。今週は前回の米連邦公開市場委
員会(FOMC)議事録の発表、及び欧州中央銀行(ECB)と日銀の金融政策発表を控える。ECB と日銀による金融緩和が拡大しない
場合、FOMC はハト派的な姿勢を維持する可能性が高いことから、ドルは下落するだろう。一方、今週金曜日に発表される米 4 月
CPI は、FOMC が 2015 年後半に利上げを予定通り行うかどうかを示す指標となるだろう。インフレ率が上昇すれば 9 月または 10 月
に利上げの実施が見込まれ、ゴールド価格の上昇は頭打ちとなる可能性がある。
Platinum prices
$/oz
last week:
プラチナ

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11-May
15-May

Change: 1.9%
*fixing basis
Support: $1,089
Resistance: $1,190
Outlook:
Palladium prices
$/oz
last week:
パラジウム


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11-May
May
15-
Change: -0.9%
*fixing basis
Support: $779
Resistance: $833
Outlook:
Gold prices
$/oz
last week:
11-May
15-May
マクロ: プラチナ価格は上昇したものの、ゴールド程は上昇せず、対ゴールドのディスカウント幅は 2015 年 3 月後半以来
最大の水準(6%)まで拡大した。先週金曜日にプラチナは対ゴールドで下落幅を取り戻したが、引き続き対ゴールドでは
2012 年以来の低水準のままプラチナウィークを迎える。
テクニカル: プラチナは 2015 年 4 月後半以来、$1160/oz をレジスタンスに、$40 スプレッドの比較的狭いレンジ内で取引さ
れていたが、先週後半にこの水準を突破し、3 週振りの高値である$1171/oz を更新した。4 月初旬‐第三週までこの水準
近辺で高止まっていたことから、今後は上値重たい展開が予想されるが、$1190/oz-$1200/oz まで上昇する可能性もあ
る。
ファンダメンタル: 今週月曜日からロンドンでプラチナウィークが始まり、業界全体の情報交換会が幕を開けた。話題の中
心となるのはディーゼル車の将来、つまり排ガス法規制が強まっているユーロ圏における自動車市場のプラチナ需要の
動向、またプラチナリサイクルによる鉱山生産量と需要量のギャップの解消となるだろう。これまでに GFMS と SFA は
2015 年の見通しを発表しているが、南アのプラチナ生産については保守的な見方を示しており、2015 年 1-3 月の鉱山生
産量は比較的堅調であったものの、2013 年の水準には至らないと予測している。これにはおそらく、現時点で鉱山業界が
直面している労使交渉や電力供給問題を解決することの難しさが加味されている。
マクロ: 先週パラジウムはドル安の環境下で、プラチナやゴールド程上昇しなかったものの底堅く推移した。
テクニカル: パラジウムは 2015 年 3 月後半以来続く上昇トレンドラインによりサポートされており、先週月曜日には同トレ
ンドラインが試されたが結果維持され、その後反発し 100 日移動平均線である$780/oz を突破した。足元上値は$800/oz
で抑えられると考えられ、今後この水準を突破するには、日々の終値ベースで同水準を上回る必要があるだろう。
ファンダメンタル: 南アの統計によると、3 月の南アの PGM 地金生産量は前年比で 132%増となったが、これは昨年 5 か
月に亘り鉱山業の半数を巻き込んだストライキの影響を受け、2014 年 3 月は鉱山生産量が大幅に減少した為である。先
週、Impala Platinum は電力供給不足が 6 月 30 日までの生産計画に支障をきたす可能性があると発表した。その直
後、電力会社である Eskom が更なる電力供給制限の実施(電力平均分配のステージ 2)を発表した。ファンダメンタル面
の厳しい環境を受け、パラジウムは電力問題や労使問題による南アの生産量減少の影響をプラチナ以上に受ける可能
性がある。
ゴールド
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Change: 3.0%
*fixing basis
Support: $1,200
Resistance: $1,245
マクロ: 2015 年 3 月中旬につけた年初来安値から反発して以来、ゴールドは最長の 4 日連続上昇となった。上昇トレンド
が今週も継続するかは、多数経済指標が発表される今週において(2 ページご参照)、ドルがどのように推移するか、また
米国債利回りが低下し続けるかどうかによるだろう。
テクニカル: ゴールドは 2015 年 3 月中旬以来取引されていた$1,170/oz から$1,200/oz のレンジを突破し、スポット価格は
12 週振りの高値である$1,225/oz まで上昇し、200 日移動平均を突破した。年初来高値と安値を結んだ 50%フィボナッチ
リトレースメント且つ、2015 年 2 月後半、3 月前半、4 月前半のスポット高値でトリプルトップを形成した$1,225/oz が重要な
水準となるだろう。同水準を上抜けると短期的な上昇トレンドとなり、2015 年 2 月前半につけた$1,245/oz 近辺まで上昇す
る可能性がある。一方、相対力指数(RSI)によるとゴールドは買われ過ぎな水準にあることから、投機筋は利食いのタイミ
ングを探っているかもしれない。
ファンダメンタル: インド国税庁の発表によると、インドは 4 月に 85t のゴールドを輸入(金額ベースで前年比 78%増)、5
月も既に約 60t 輸入しており、インドの経済が堅調な中、インド国内のゴールド現物需要も回復していることを裏付けた。
この輸入の伸びに加え、年初来で原油高に推移していることで、インド政府が貿易赤字を防ぐために再びゴールドに輸入
制限を設定する可能性が浮上している。インド国内の消費者が所有する大量のゴールドを運用するという政府の政策に
進捗があれば事態は好転するだろうが、同政策は依然初期段階にある。
Outlook:
Silver prices
$/oz
シルバー

last week:
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11-May
15-May
Change: 5.2%*
*fixing basis
Support: $17.00
Resistance: $18.00
Outlook:
マクロ: シルバー価格は 3 週連続で上昇し、2015 年 1 月以来上げ幅は最大となり、年初来高値を付けて今週月曜日には
15 週振りの高値まで上昇した。
テクニカル: 先週のテクニカルな動きとしては、水曜日に三角持合いから上値を突き抜け、200 日移動平均の$17.00/oz も
を突破し、年初来高値と安値を結んだ 61.8%フィボナッチリトレースメントの$17.27/oz 上で底堅く推移した。次の抵抗線は
心理的節目の$18.00/oz、その上は年初来の終値ベースの最高値である$18.36/oz と考えられる。
ファンダメンタル: 投資家がより強気になったことでグロス・ショートポジションが減少したことを受け、ネット・ロングポジショ
ンは 3 週連続で増加し、152.4t(2%)に達した。ショートカバーが入ったことで、シルバー価格は数か月振りの高値まで上昇
している。
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Precious Metals Weekly Update
20 May 2015
MACRO OUTLOOK: Economic calendar from Bloomberg
May-18
ロンドン
プラチナ ウィーク
Japan:
3 月鉱工業生産指
数(前年比)
前 0.3% 予-0.5%
US:
5 月 NAHB 住宅
市場指数
前 56 予 57
May-19
UK:
4 月 CPI(前年比)
前 0.0% 予 0.0%
Germany:
5 月 ZEW 景況感
調査指数
前 70.2 予 68.0
EU:
4 月 CPI(前年比)
前 0.0% 予 0.0%
US:
4 月住宅建築許可
件数(前月比)
前 104.2 万
予 107.2 万
May-20
Japan:
実質 GDP(前年比)
前 1.5% 予 1.5%
3 月景気先行指標
前 105.5
UK:
英中銀金融政策会議.
EU:
3 月建設支出(前年比)
前-3.7%
US:
MBA 住宅ローン申請指数
前 -4.5%
4 月 FOMC 議事録公表
May-21
Japan:
PMI
前 49.9 予 50.3
China:
5 月 HSBC 製造業 PMI
前 48.9 予 49.5
EU:
5 月製造業 PMI
前 54.1 予 54.0
金融政策会議議事録公表
ECB ドラギ総裁講演
UK:
4 月小売売上高指数
前 4.3% 予 3.7%
May-22
Japan:
日本銀行金融政策会議・会見
Germany:
1-3 月 GDP
前 1.1%
France:
製造業 PMI
前 48.0 予 48.5
EU:
ECB ドラギ総裁講演
US:
4 月 CPI
前-0.1% 予 0.0%
4 月製造業 PMI
前 54.1 予 54.5
FUTURES MARKET: Source – Commitments of Traders, Commodity Futures Trading Commission
NYMEX プラチナ ネット・ロングポジション
5 月 12 日時点:42.3t
先週はグロス・ロング、グロス・ショート共に増加したが、プラチナに対して強気な動きが優勢である。グロス・ショートが 435.4 ㎏増加し
た以上にグロス・ロングは増加し、ネット・ロングは 3 週連続の減少から増加に転じた。プラチナ先物市場においては強気筋と弱気筋
が二極化しており、グロス・ロングとグロス・ショートは夫々過去最高値の 92%の水準にある。当データ集計後の先週水曜日にプラチ
ナ価格が高騰したことで、ショートポジションが手仕舞われた可能性がある。
NYMEXパラジウム ネット・ロングポジション
5 月 12 日時点:56.6t
グロス・ショートが 560kg(3%)増加した一方、グロス・ロングは 1.7t(2%)減少し、ネット・ロングは 6 週振りに減少した。先週は値動き
あったにも関わらず、パラジウム先物市場において投機的売買は乏しく、ポジションに目立った動きはない。
COMEX ゴールド ネット・ロングポジション
5 月 12 日時点: 241.1t
新たにロングポジションが積み上げられたことで(17t 増加)、ネット・ロングは先週 10.4t(5%)増加し、直近 5 週間で最大の増加幅とな
った。一方で、ショートポジションも 3 週連続で増加し、新たに 6.7t 積み上げられたことでロングポジションの増加分を相殺した。先週
水曜日の価格高騰時の動向は当データに含まれていないが、グロス・ロングが過去最高値の 56%まで減少している一方、グロス・シ
ョートは過去最高値の 75%まで増加していることから、新たにロングポジションが積み上げられるか、もしくはショートカバーが入るか
もしれない。
COMEX シルバー ネット・ロングポジション
5 月 12 日時点: 5,926t
グロス・ロングが 49.8t(0.4%)減少したことで大量にショートカバーが入った分(183.5t、2.4%)を若干相殺し、ネット・ロングは 3 週連続
で増加し、4 月中旬以来最高水準となった。歴史的に見ると、ネット・ロングは過去最高値の 44%に留まっている。当データ集計後の
数日間で更にショートカバーが入ったと見られ、グロス・ロングの一部は利益確定の売りが入り手仕舞われる可能性もある。
20th May, 2015
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
転用・転送 堅くお断りいたします
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Precious Metals Weekly Update
Spot
Gold
Forwards
Silver
Platinum
Leases
Palladium
20 May 2015
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
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20th May, 2015
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
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