運動器 機能解剖 サブノート 岐阜保健短期大学医療専門学校 東洋医療学科 柔道整復科 2015 年度版 監修:オガワル 2 [機能解剖サブ] 【体幹(脊柱)の運動】 《脊柱の役割》 解剖学 p28 脊柱 運動学 p146~ ①頭部,体幹の支持と運動 *コイル・バネの働き ②脊髄の保護など 《脊柱の関節構成単位》 1.椎間円板-椎体複合体 2.椎間関節 3.椎間の靭帯 《椎間円板》 ・椎体間を線維軟骨結合で連結 ・髄核と線維輪からなる 髄核:80%が水分.血管・神経は存在しない軟らかく弾力性に富む ムコ多糖蛋白複合体と水分が主成分 線維輪の中心にあり,軟らかく,弾力性に富む 髄核の働き…垂直加重力の吸収,内圧による線維輪への張力の発生 線維輪:線維軟骨から成り,強靭.上下椎体と強固に結合 層板構造は前方部で厚く,後方部は薄い [機能解剖サブ] 3 ◆運動による髄核の移動◆ ♪ *屈曲回旋運動は,椎間板にとって最も有害な動き *髄核は加齢とともに水分が減少し線維軟骨に置き換えられ,線維輪との境界は不鮮明となる. 結果として,衝撃吸収の低下,可動性の低下をきたす *L5-S1 間の椎間円板は特に大きな可動性が必要となる 《椎間関節》 ・上の椎骨の下関節突起~下の椎骨の上関節突起 *関節の分類…平面関節 《脊柱の弯曲》 ・弯曲により,脊柱にかかる 垂直圧(重力)を分散する 一次弯曲:胎児期からみられる後弯 要素 *胸椎,仙尾椎 二次弯曲:生後にみられる前弯 *頸椎,腰椎 要素 4 [機能解剖サブ] 【頸椎の運動】 《後頭骨-環椎-軸椎の連結》 『1.環椎後頭関節』 :顆状関節(楕円関節) ・主に前後屈 運動 *側屈運動に関与し,回旋運動には関与しない 『2.環軸関節』 a) 正中環軸関節:車軸関節 b) 外側環軸関節(椎間関節):平面関節 ・主に回旋 運動 *前後屈運動に関与し,側屈運動に関与しない 《第 3 頸椎以下の椎間関節》 ・平面関節 ・運動:前後屈・側屈・回旋 *C3~C7 には鉤状突起がある *鉤状突起によりルシュカ関節を構成 《頸部の関節可動域》 ・屈曲(前屈):60° ・伸展(後屈):50° ・回旋:60° ・側屈:50° [機能解剖サブ] 【胸椎の運動】 ♪ 《胸椎の特徴》 ・肋骨と関節を構成 *肋椎関節:肋骨頭関節,肋横突関節 ・肋骨との関節面は 6 個 ・棘突起が下方へ長く突出 ・主な運動:回旋,側屈 《胸椎 平均可動域》 ・屈曲:30° ・伸展:40° ・側屈:30° ・回旋:30° *胸椎は胸郭を構成するため,可動性は小さい *T11~T12 間の可動性が最も大きい 《胸郭の構成》 ・胸骨,肋骨,胸椎 *胸郭上口:第 1 胸椎・第 1 肋骨・胸骨柄上縁 5 6 [機能解剖サブ] 【腰椎の運動】 《腰椎の特徴》 ・本来の横突起:乳頭突起と副突起 ・見かけ上の横突起:肋骨突起 ・棘突起はほぼ水平に突出 ・腰椎の椎間板は椎体の1/3の厚みをもつ*可動性が増す ・第 5 腰椎:脊椎の中で最大 ・主な運動:前後屈 《腰椎の平均可動域》 ・屈曲:45° ・伸展:45° *L4~L5 間と L5~S1 間の屈曲伸展の可動性が大きい ・側屈:20° ・回旋:10° 『腰仙関節(L5~S1)』 ・仙骨の上面は下前方に傾斜している ・L5は矢状断面で見ると台形 剪断力が加わる. ・腰仙関節は過度の負荷を負う 脊柱の弯曲によりクッションの役割がある. *L5~S1の椎間関節面は前額面に近い *L5~S1の連結には個体差がある 未だ発達過程? 棘突起と横突起の間の骨化は一番遅い. ★脊椎分離症…第5腰椎に多い 20 才代に多い.棘突起をゆらしてみる. [機能解剖サブ] ♪ 【骨 盤】 左右の寛骨(腸骨,坐骨,恥骨)・仙骨・尾骨 《連 結》 ①仙腸関節:半関節 ②恥骨結合:線維軟骨性結合 (恥骨間円板による) 7 8 [機能解剖サブ] 【体幹 補足】 《ヤコビー線》 ・両腸骨稜を結ぶ水平線で,第 4 腰椎棘突起 の高さに相当 仙骨うなずき:体幹前傾初期時. 仙骨後傾:前傾から戻すとき. 体幹を起こすときに骨間仙腸靭帯に 負荷がかかり損傷. 仙骨が元の位置(うなずきから後傾へ)に 戻れなくなり疼痛誘発 《分界線》 ・岬角-弓状線-恥骨櫛-恥骨結合上縁を結ぶ線 *分界線より上:大骨盤…腹腔臓器を入れる 分界線より下:小骨盤…骨盤臓器を入れる 《脊髄神経》 ・頸神経 8 対 ・胸神経 12 対 ・腰神経 5 対 ・仙骨神経 5 対 ・尾骨神経 1 対 [機能解剖サブ] ♪ 9 ≪肋骨と胸骨の連結≫ ・第 1~7 肋骨:胸骨に直接連結…真肋 *狭義の関節は第 2~5 胸肋間 ・第 8~10 肋骨:すぐ上の肋軟骨と連結…仮肋 ・第 11~12 肋骨:前方は遊離…浮肋 (仮肋に含む) A 関節内胸肋靭帯 B 放射状胸肋靭帯 C 鎖骨 1~7:肋骨 ≪胸郭の運動≫ 呼吸に伴う胸郭の変形 1.吸息時:肋骨が挙上 → 胸郭が拡張 → 肺が拡張 ・上部肋骨の運動:胸郭の前後径 が長くなる 肋椎関節の軸が前額面に近い →肋骨が前上方へ挙上→胸郭の前後径が長くなる. ・下部助骨の運動:胸郭の横径 胸骨が前上方へ挙上→胸郭が拡張 が長くなる 肋椎関節の軸が矢状面に近い→肋 骨が外上方へ挙上→胸郭の横径が長くなる→胸郭の下部が拡張→横隔膜が伸張 『関与する筋』 ・正常吸息:横隔膜・外肋間筋 ・強制吸息:上後鋸筋,肋骨挙筋,斜角筋群,胸鎖乳突筋 大胸筋,小胸筋,僧帽筋,肩甲挙筋 2.呼息時:肋骨が下降→胸郭が縮小→肺が縮小 『関与する筋』 ・正常呼息:筋収縮は要しない.吸息筋の弛緩のみ ・強制呼息:内肋間筋,下後鋸筋,腹部の筋 10 [機能解剖サブ] 【肩関節複合体】 『狭義の関節』 1.肩甲上腕関節 2.胸鎖関節 3.肩鎖関節 『広義の関節』 4.肩峰下関節 5.肩甲胸郭関節 更に 6.肋椎関節 7.胸肋関節 8.椎間関節 《肩甲上腕関節》 *安定性が悪いため,靭帯や筋腱で補強している ・運動範囲が広い.反面,安定性が悪く靭帯や筋腱で補強している ・肩甲骨関節窩 + 上腕骨頭:球関節 ・関節唇 :関節面を広くし,骨頭との適合性をよくする ・関節包:著しく緩い.肩甲骨関節窩~上腕骨解剖頸を包む *滑液包(関節包の一部に相当) 関節上腕靱帯により補強 ・肩峰下滑液包,肩甲下滑液包,上腕二頭筋腱滑液包など 烏口下滑液包,三角筋下滑液包 『肩関節の主な靭帯』 ①烏口上腕靱帯 関節の上面を補強. 屈曲,伸展の制御 ②関節上腕靱帯 Z 字状に関節前面を補強. 外旋,外転の制御 ③烏口肩峰靱帯 肩甲上腕関節の運動には直接関与しない [機能解剖サブ] ♪ 『肩甲骨面』 :肩甲骨は前額面に対して,前方に約 30°傾く 『上腕骨後捻』 :上腕骨骨頭は前額面に対して,後方に約 30°傾く 《肩峰下関節》 *機能的関節 上 部:烏口肩峰アーチ *烏口突起~烏口肩峰靱帯~肩峰 中 間:肩峰下滑液包 *関節腔の役割 下 部:腱板 + 大・小結節 《肩甲胸郭関節》 ・胸郭上を肩甲骨が滑るように動く 11 12 [機能解剖サブ] 【肩甲骨の運動】 《上肢帯の筋》 ①鎖骨下筋 ②小胸筋 ③前鋸筋 ④僧帽筋 ⑤肩甲挙筋 ⑥菱形筋 [機能解剖サブ] 《挙上と下制》 『挙 上』 ・僧帽筋上部④ ・肩甲挙筋⑤ ・菱形筋⑥ ♪ 『下 制』 ・鎖骨下筋① ・小胸筋② ・僧帽筋下部④ 《外転と内転》 『外 転』 ・小胸筋② ・前鋸筋③ 『内 転』 ・僧帽筋中部④ ・菱形筋⑥ 僧帽筋上部と下部は△ 《上方回旋と下方回旋》 僧帽筋上部④ 肩甲挙筋⑤ 小菱形筋⑥ 大菱形筋⑥ 小胸筋② 前鋸筋③ 僧帽筋下部④ 13 14 [機能解剖サブ] 【肘関節の構造と運動】 ◆複関節:複数の関節が 1 つの関節包に包まれる 《肘関節》 A.腕尺関節:蝶番関節 ①上腕骨滑車 + ②滑車切痕 運動:肘の屈曲伸展 B.腕橈関節:球関節 ③上腕骨小頭 + ④橈骨頭(関節窩) 運動:肘の屈曲伸展,前腕の回内回外 C.上橈尺関節:車軸関節 ④’橈骨頭 + ⑤橈骨切痕 (関節環状面) 運動:前腕の回内回外 6.鉤状突起 7.鉤突窩 8.橈骨粗面 9.尺骨粗面 10.回外筋稜 『肘の靭帯』
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