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基礎統計
第5回講義資料
おさらい:回帰分析
• Xの値の差異に対応して、Yの値がどの程度異なるか?
→ xの値に対してyはいろいろな値を取りうるため、
yの値の平均に注目する
(xの値を与えたときのyの条件付き平均)
→ 回帰直線
予測値
最小2乗推定値
yˆ i  ˆ 0  ˆ1 x i , (i  1,  , n)
ˆ1 
S xy
S x2
 S xy

 SySx

 Sy
Sy

 rxy
 Sx
Sx

ˆ 0  y  ˆ1 x
予測式に代入し
て整理すると…
yˆ i  ( y  ˆ1 x )  ˆ1 x i  y  ˆ1 ( x i  x )
平均値を通る
ことがわかる
決定係数
• 決定係数(𝑅 2 ) = 重相関係数𝑅の2乗
• 重相関係数𝑅とは 実測値𝑦𝑖 と予測値𝑦𝑖 の相関係数のこと
𝑅2 = (𝜌𝑦𝑖 ,𝑦𝑖 )2 =
1
𝑛
1
𝑛
𝑛
𝑖=1
2
𝑛
𝑖=1
𝑦𝑖 − 𝑦
𝑦𝑖 − 𝑦
2
1
∙
𝑛
𝑦𝑖 − 𝑦
𝑛
𝑖=1
𝑦𝑖 − 𝑦
2
=
𝛽1 𝑆𝑥𝑦
2
𝑆𝑦2 ∙ 𝛽12 𝑆𝑥2
2
= 𝜌𝑥𝑦
yˆ i  yˆ  ˆ0  ˆ1 xi  ( ˆ0  ˆ1 x )  ˆ1 ( xi  x )
単回帰モデル(説明変数が1つ)の場合に成り立つこと.
今後の展開
これまでのおさらい
データの持つ情報を効率よく引き出すための整理・要約の方法
1次元
2次元
図やグラフによる 度数分布表,ヒストグラム,箱ひげ図
方法
数値による方法
代表値
平均(算術平均,トリム平均
など),メディアン,モード
その他
歪度,尖度,(ジニ係数)
散布図,(分割表)
相関係数,共分散,
回帰分析(回帰係数,
散らばり 分散,標準偏差,平均偏差, 決定係数など),
範囲,四分位範囲,変動係数 偏相関係数
統計解析とは
• 標本(データ)の情報から母集団の性質について推論すること
• 母集団:調査対象全体
• 標本:調査のために母集団から抽出されたデータ
標本
無作為抽出
統計的推測
母集団
確率モデル
標本
テキスト p197 参照
母集団
無作為抽出
統計的推測
モデル化
確率変数
統計量
i.i.d
確率分布
統計的推測
パラメータ
正規母集団
• 母集団分布が正規分布の場合
確率変数
統計量
i.i.d
確率分布
統計的推測
パラメータ
母平均と母分散がパラメータ
推定と検定
• 確率モデルをベースにして,データから母数に関する推測を
行う方法に推定と検定がある.
• 推定
• 点推定
1つの値によって母数を推定する
• 区間推定
ある区間を設けて母数の値はこの区間に
ふくまれるだろうという形で推定する
検定 母数の値に関する仮説を立てて,データに基づいて
その仮説を採択するか棄却するかの判断をする
回帰分析(9章)
• 回帰モデル
• 標準的仮定
• 回帰係数の推定(最小2乗推定量)
• 最小2乗推定量の性質
• 最小2乗推定量の標本分布(確率分布)
• 誤差分散の推定
• 回帰係数のt 検定
• 重回帰モデル
• F 検定
• 決定係数
• 分散分析(10章)
第4章:確率モデル
第4章:確率
• 事例:コイン投げ・表裏当てゲーム
• 52回中40回言い当てた ⇒ 偶然 or 能力?
• 確率論的に言えることは…
• 40回以上 偶然あてられる確率 は 約 0.005%
(2万回に1回)
• 確率を計算するために仮定したことは…
• コインの表(裏)が出る確率は
• 同じ条件(環境)の下でゲームを52回繰り返した
コイン当てゲーム
• 試行回数 52回
実際
• 裏・表を当てる確率
予
想
二項分布
52回中34回以上
当たる確率
裏
表
○
×
裏
×
○
正規分布
0.12
0.12
0.10
0.10
0.08
0.08
0.06
0.06
0.04
表
0.04
0.02
0.02
0.00
0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51
0.00
0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51
二項分布の正規分布による近似⇒確率を求めるのが楽になる
4.1 標本空間と事象
• 試行:実験や観測など
• 標本空間:試行の結果として起こりうるものの全体,すなわち
試行の結果を要素とする集合.
• 事象:標本空間Ω(オメガ)の部分集合.
(例:サイコロの目の数 Ω={1,2,3,4,5,6})
• 事象の演算:余事象,和事象,積事象,互いに排反
標本空間・標本点、事象とは
• 標本空間 試行の結果として起こりうるものの全体
標本点 実験(または観察)した結果をあらわす
根元事象 橙色の小丸
事象:結果が小丸
事象: 結果が大四角
事象 実験、観察の結
果の事柄
事象: 結果が四角
事象: 結果が赤
事象の演算
• ベン図(Venn diagram)
黄色
𝐴∩𝐵 =∅
17
4.2 確率
• 確率 事象の起こりやすさを定量的に示すもの
• 考え方
• ラプラスの定義(古典的確率)
• 頻度による確率(経験的確率)
• 確率の公理主義的定義
• 主観的アプローチ(主観的確率)
確率の定義
定義4.1
(P1) すべての事象Aに対し,
(P2)
,
(P3) 互いに排反な事象
𝑃 ∅ =0
に対して,
基本公式①
• 事象
に対して余事象
• 2つの事象
と
が
の確率は
を満足するなら
• 必ずしも排反ではない2つの事象
と
に対して
基本公式② (ラプラスによる確率の定義)
• 標本空間が有限集合
でかつ,
各根元事象の確率が等しい場合,すなわち
となる場合,任意の事象
の確率は
に含まれる要素の数
となる。
4.2.3 コインをn回投げる試行
• 2項分布,ポアソン分布,幾何分布など代表的な離
散型分布はコイン投げの試行が基礎になっている。
• 歪みのないコインをn回投げたとき表がk回出る事象
の確率は
回表が出る
である。
試行n回のうちk回表がどこで出るかは,n個の中か
らk個を取り出す組合せの数だけ存在する。
4.2.4 条件付確率
• 箱の中に6つの玉(白3つ黒3つ)があり,1か2の数字が記入されている
• 数字だけに注目して、取り出した玉の数字が1であるか2であるかで賭け
をしたとする(数字を当てるゲーム)
• どの玉も同程度に取り出されるものとする
・取り出す前
1と2のどちらに賭ける?
1
2
2
1
1
2
・1つ玉を取り出したら白玉であった
1と2のどちらに賭ける?
条件付確率
定義4.2 条件付確率
• 事象
が起きたことがわかっているという条
件の下で事象 の起こる確率を,事象 が与
えられたときの事象 の条件付確率といい,
これを
と書き,
と定義する。ただし,
ているものとする。
が成り立っ
条件付確率

B
A
A B
• 例4.9: サイコロ2回投げ
• 事象A:少なくとも一方が4以上である
事象B:赤枠
• 事象B:目の和が6である
2回目
1
回
目
1
2
3
4
5
6
1
(1,1)
(2,1)
(3,1)
(4,1)
(5,1)
(6,1)
2
(1,2)
(2,2)
(3,2)
(4,2)
(5,2)
(6,2)
事象A:黄色
3
(1,3)
(2,3)
(3,3)
(4,3)
(5,3)
(6,3)
A∩B:みどり色
4
(1,4)
(2,4)
(3,4)
(4,4)
(5,4)
(6,4)
5
(1,5)
(2,5)
(3,5)
(4,5)
(5,5)
(6,5)
6
(1,6)
(2,6)
(3,6)
(4,6)
(5,6)
(6,6)
条件付確率と乗法公式
乗法公式(積事象の確率)
条件付確率(conditional
probability)
周辺確率
Bという事象が起こる(起きた)という条件の下で、事象Aが起こる確率
定理4.2 全確率公式
• 標本空間
が互いに排反なn個の事象の和で書け
るとする。
このとき,任意の事象
の確率は次式で与えられる。
4.2.5 ベイズの定理
• ある製品が A社,B社,C社で製造されていて、どの社の製品
か見分けがつかないとする。
A社
B社
C社
市場シェア
50%
30%
20%
不良率
10%
20%
25%
• 購入した製品が不良品であった。 それがA社、B社、C社で
ある確率は?
市場シェアからするとA社がもっとも確率が高い?
不良率からするとC社がもっとも確率が高い?
29
ベイズの定理
市場シェア
不良率
2015/5/25
0.45
0.24
0.15
0.05
0.06
0.05
A社
B社
C社
市場
シェア
50%
30%
20%
不良率
10%
20%
25%
75%
25%
30
0.16
31
ベイズの定理
• 購入した製品がC社である可能性(確率)は?
事前確率
• C社が不良品を出荷する割合(確率)は?
• C社の製品であり、それが不良品である可能性は?
• (知りたいこと) 不良品がC社である確率は?
ベイズの定理
=0.3125
事後確率
問題
• ある都市で全体の0.04%があるウイルスに感
染しているものとする。
• ある検査法は感染者の99.8%を正確に検出
するが,非感染者の0.2%を誤って陽性と判定
する。
• この検査法により陽性となった人が感染者で
ある確率を求めよ?
ベイズの定理
• F:ウイルスに感染している
𝑃 𝐹 = 0.0004
事前確率
• A:検査で陽性反応が出る
• 感染者の99.8%を検出できる
𝑃 𝐴|𝐹 = 0.998
• 非感染者の0.2%を誤って陽性と判定
𝑃 𝐴|𝐹 𝑐 = 0.002
問: 検査で陽性反応が出た人がウイルスに感染している可能性
𝑃(𝐴 ∩ 𝐹)
𝑃(𝐴 ∩ 𝐹)
𝑃 𝐹𝐴 =
=
𝑃(𝐴)
𝑃 𝐴 ∩ 𝐹 + 𝑃(𝐴 ∩ 𝐹 𝑐 )
𝑃 𝐹 𝑃(𝐴|𝐹)
=
𝑃 𝐹 𝑃(𝐴|𝐹)+𝑃(𝐹 𝑐 )𝑃(𝐴|𝐹 𝑐 )
=
0.0004×0.998
0.0004×0.998+0.9996×0.002
=0.1664443
情報が加
わること
で確率が
変化
事後確率
問題:3つの箱
• 3つの箱のいずれかに商品が隠されている。
• 回答者は、最初に箱を1つ選択する。
• 正解を知っている出題者は、「残りの箱のうち、この箱は違います」といって、
ハズレの箱を開ける。
• 回答者は最初の選択した箱のままにするか、残りの箱に変更するか選択可
能であるとき、どちらの選択が商品を獲得する確率が高いか?
問:予想を書いてみよう!
そのまま変更しない or 選択を変える
A
B
C
問題:3つの箱
• 3つの箱のいずれかに商品が隠されている。
• 回答者は、最初に箱を1つ選択する。
• 正解を知っている出題者は、「残りの箱のうち、この箱は違います」といって、
ハズレの箱を開ける。
• 回答者は最初の選択した箱のままにするか、残りの箱に変更するか選択可
能であるとき、どちらの選択が商品を獲得する確率が高いか?
問:予想を書いてみよう!
そのまま変更しない or 選択を変える
A
B
C
モンティーホール問題
1
3
1
3
答え:変更するほうが有利
1
3
開ける前
A
B
C
1
3
開けた後
A
2
3
B
0
3
C
ベイズの定理で解く
• A:箱Aが当たり,B:箱Bが当たり,D:箱Cが開く
最初に箱Aが選択された場合
𝑃 𝐴𝐷 =
𝑃 𝐵𝐷 =
𝑃 𝐴 𝑃(𝐷|𝐴)
𝑃 𝐴 𝑃(𝐷|𝐴)+𝑃(𝐵)𝑃(𝐷|𝐵)
𝑃 𝐵 𝑃(𝐷|𝐵)
𝑃 𝐴 𝑃(𝐷|𝐴)+𝑃(𝐵)𝑃(𝐷|𝐵)
=
1 1
×
3 2
1 1 1
× + ×1
3 2 3
=
1
×1
3
1 1 1
× + ×1
3 2 3
=
1
3
=
2
3
独立性
• 箱の中に8つの玉(白4つ黒4つ)があり,1か2の数字が記入されている
• 数字だけに注目して、取り出した玉の数字が1であるか2であるかで賭け
をしたとする(数字を当てるゲーム)
• どの玉も同程度に取り出されるものとする
・取り出す前
1と2のどちらに賭ける?
2
1
2
1
2
1
1
2
色が分かっても数字を当てる
賭けには役立たない
・1つ玉を取り出したら白玉であった
1と2のどちらに賭ける?
数字の事象は色の
事象に影響されない
独立
4.2.6 事象の独立性
• コイン2回投げにおいて,1回目に表が出ることと2回
目に表が出ることの事象の起こりやすさは互いに無
関係である。(事象の独立性)
定義4.3
事象の独立性
事象 と が独立であるとは,
が成立することである。
事象の独立性
• 定理4.4
とする。このとき,
と が独立であることと
が成立することとは同値である。
確率変数
4.3 確率変数
定義4.4 確率変数
ある変数 があって、次の2条件
(1) のとりうる値の全体
がわかっている。
(2)
の各値に確率が与えられている。
が満たされているとき、 を確率変数という。
-離散型確率変数
-連続型確率変数(4.5節)
確率分布:与えられた確率がどのように分布している
のかを表したもの
4.3.2 離散型確率変数
•
•
が飛び飛びの値しか取らない場合
の確率分布
• 定理4.5
(1)
(2)
無限個の場合
離散型確率変数とすると
確率変数の性質: 期待値
確率変数の平均
離散型確率変数
を
に対して,
の平均または期待値という。
例題(期待値)
• 例4.16(宝くじ) 発行枚数1万枚
当選金(円)
0
100
1000
10000
枚数
9000
800
150
50
xk
0
100
1000
10000
P( X  x k )
0.9
0.08
0.015
0.005
E ( X )  0  0.9  100  0.08
 1000  0.015  10000  0.005
 73
練習問題
1から9までの整数が書かれたカードがある.
この中から7枚のカードを無作為に取り出して,
書かれている数字の最大値を とする.
①
②
となる確率
の期待値
を求めよ.
を求めよ.
期待値の線形性
a, b を定数とすると,
宝くじ(手取り額)の例
E (0.9 X )  0.9 E ( X )
 0.9  73
 65.7
任意の関数
が成り立つ。
と
に対して
定理4.7 平均は最小2乗値
• 以前、定理2.1 で紹介した性質が、確率変数の平均について
も成り立つ。
• 定理4.7 実数 c の関数 h(c) を
と定義すると、これは
なる。
において最小と
確率変数の性質: 分散と標準偏差
• 確率変数の分散
の分散を
で表し,次式で定義する。
ここに
である。また,分散の正の平方根を
の標準偏差といい,
で表す:
例:2つの確率変数(期待値が同じ)
k
0
1
2
3
4
5
0.2
0.2
0.2
0.1
P( X  k ) 0.1 0.1
P(Y  k ) 0
0.1
0.2
0.4
0.2
0.1
E ( X )  E (Y )  3
V (X )  3
V (Y )  (0  3) 2  0  (1  3) 2  0.1  (2  3) 2  0.2
6
0.1
 (3  3) 2  0.4  (4  3) 2  0.2  (5  3) 2  0.1
 (6  3) 2  0
 0.4  0.2  0.2  0.4
 1.2
V ( X )  V (Y )
0
例題(分散)
• サイコロの目
定理4.8
補足:チェビシェフの不等式
• 平均と分散しか分かっていない(確率分布はわからない)とき,
確率の見当をつけるのに有効.
チェビシェフの不等式
確率変数 の期待値と分散を
として,任意の
に対して
が成り立つ
• 平均から標準偏差の
 k 倍以上離れる割合は高々
である.
• 分布が単峰で対称と考えられるとき,平均から標準偏差の
±3倍以上離れる確率は0に非常に近い
正規分布
など
例題:チェビシェフの不等式
• ある確率変数について
であることしか
についてどん
わかっていない.これから,確率
なことがいえるか。
チェビシェフの不等式
から
より
となり
1 2
P(0  X  2)  P(| X  1 | 1)  1  
3 3
約 0.677以上の確率
分布が正規分布の場合 0.91673
単位の変換(分散の性質)
• a, b を定数とし、a>0 とすると,次式が成り立つ。
V ( X  b)  V ( X )
V (b)  0
補足(注4.8): モーメント
• Xの(原点のまわりの)r次のモーメント(積率)
• Xの期待値(平均)のまわりのr次のモーメント
• Xのr次の標準化モーメント
• 分布の形状に関する指標
• 歪度(わいど)
• 尖度(せんど)
補足:モーメント母関数
• モーメント母関数
(離散型)
(連続型)
• モーメント母関数を繰り返し微分して0とおいた導関数から
各次数のモーメントがわかる
例:指数分布の場合
4.3.6 基準化変量
• 定義4.8 基準化変量
確率変数 X の基準化変量Z を次式で定義する。
• 定理4.10 基準化変量の平均と分散
確率分布の例
• 現象にふさわしい確率分布を用いる
• アンケートの項目反応の集計値 2項分布
• 航空機事故件数
• 捕獲再捕獲
ポアソン分布
超幾何分布
対数正規分布
• 生物・人体測定値
正規分布
• システムの耐久年数
ガンマ分布
離散型
• 所得・貯蓄額
連続型
離散型確率分布
• 超幾何分布
• 2項分布
• 多項分布
• ベルヌーイ分布
• ポアソン分布
• 幾何分布
• 負の二項分布
• 一様分布
4.4 離散型確率分布の代表例
• 4.4.1 コイン投げ、ベルヌーイ試行
回目に表が出る
は独立
ベルヌーイ試行と2項分布
• ベルヌーイ試行
 成功確率
,長さ n のベルヌーイ試行.
離散型
X=成功回数
• 2項分布(binomial distribution)
確率変数
• 期待値と分散
が次の確率分布を持つとき,
に従うといい,
は2項分布
と書く。
63
2項分布の期待値と分散
• 2項分布の期待値
• 2項分布の分散
例題:シュバリエ・ド・メレの問題
• 確率論が科学として歩みだしたきっかけとなった問題。
• 近代確率論
• 1654年 パスカル(1623-1662)とフェルマー(1601-1665)の間で取り交わさ
れた往復書簡が端緒と言われている。
• シュバリエ・ド・メレ(1607-1684) フランス貴族,賭博師
• パスカルにこの問題を持ち込んだ。
• [問題]
• 1個のサイコロで6の目を少なくとも1回だそうとするとき,4
回投げれば有利.
• 2個のサイコロでゾロ目(6,6)を少なくとも1回出そうとすれ
ば,24回投げれば良さそうだが,不利になるのはなぜか?
ポアソン分布(Poisson distribution)
離散型
• 稀にしか起きない現象を長い期間観測して数え上げた数の分布
• 工場で大量生産される製品の1日当たりの不良品の数(例4.26)
• 1日当たりの死亡事故件数
• 放射性物質からの放射線の単位時間当たりの放射回数
• プロシャの騎兵隊の訓練で、兵士が落馬しその馬に蹴られて死亡する
という事故の数(一軍団当たり)
• ポアソン分布
確率変数
布
が次の確率変数を持つとき、 はポアソン分
に従うといい、
と書く。
• 期待値と分散
67
2015/5/25
ポワソン分布と2項分布の関係
• 2項分布の平均値 np
np = λ (一定), n -> ∞ とすると p -> 0
ポ
ワ
ソ
ン
分
布
2
項
分
布
2項分布は平均λのポワ
ソン分布に近づく
λ=4
n=12
n=96
p=1/3
p=1/24
幾何分布と負の2項分布
• 成功Sの確率
ベルヌーイ試行
• 失敗Fの確率
• 最初の成功Sが出現するまでの試行回数(つまり何回目に初
成功したのか)をXとするならば, Xの確率分布は幾何分布と
呼ばれる
5回目で成功!
失敗
• K回目の成功を得るまでの失敗回数をXとするならば,Xの
確率分布は負の2項分布(パスカル分布)と呼ばれる
3回成功!
3回失敗
幾何分布(geometric distribution)
離散型
• 最初の成功Sが出現するまでの試行回数Xの確率分布
• 幾何分布
確率変数 が次の確率分布に従うとき、 は幾何分布
に従うといい、
と書く。
• 期待値と分散
• 失敗の回数(試行回数ー1)にて表現することもある.
幾何分布と無記憶性
• 幾何分布は
を満足する
ある一定の時間客が来なかったという情報は、
客の来店確率を評価することには役立たない。
負の2項分布(パスカル分布)
(negative binomial distribution)
• K回目の成功を得るまでの失敗回数X
• 特徴:幾何分布の一般化
先の幾何分布に従う確率変数XをY=X-1と置くことで、
Yは初めて成功するまでの失敗回数となり,幾何分布に
従う。そのとき期待値は q/p .
• 期待値と分散
非復元抽出と復元抽出
• 集団からr個のものを取り出す際に
• 1つずつ元に戻さずに取り出す(非復元)
• 集団の構成は変化する
• 超幾何分布
• その都度元に戻してから,新たに取り出す(復元)
• 集団の構成は常に同じ
• 二項分布
同じ条件で繰り返す場合
超幾何分布(hypergeometric distribution)
離散型
• 確率分布
• N個のボールのうちM個が白,N-M個が黒とする.非
復元抽出で,n個のボールを無作為に選んだときに x
個が白である確率
N
M
N-M
n
x
湖にいる魚の総数の推定
4.5 連続型確率分布
• 確率変数
が連続の値をとりうる場合、
数という。
• 確率
• 確率密度関数
• 分布関数
を連続型確率変
連続型確率変数の期待値と分散
• 期待値
• 分散
正規分布
(normal distribution)
• 代表的な連続型の確率分布
• C.F.ガウスによって提案された誤差関数が原型
• F.ゴルトンにより正規分布と呼ばれるようになる
• 確率密度関数
• 期待値と分散
正規分布(期待値が異なる場合)
μ= 0, σ=1
0.45
0.4
μ=-2, σ=
1
μ= 2, σ=1
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
-6
-4
-2
0
2
4
6
正規分布(標準偏差が異なる場合)
0.9
0.8
μ=0, σ=0.5
0.7
0.6
μ=0, σ=1
0.5
0.4
μ=0, σ=2
0.3
0.2
0.1
0
-6
-4
-2
0
2
4
6
標準正規分布
(standard normal distribution)
• 標準化変数
• 密度関数
• 累積分布関数(付録の数表)
80
確率を求めるには?
• 正規分布表(上側確率)を利用する.
平均
正規分布
分散
に従う
標準化変量に変換する
標準正規分布
平均0、分散1の標準正規分
布の数値表を利用して、確率
を求める
正規分布に従う確率変数
について
より
で置換積分すると
,
,
より
標準正規分布に従う確率
変数
確率を求めるには?
例題
• 平均 50, 標準偏差 10 の正規分布に従う成績データ
があるとする.
• 50点以上51点以下の割合は?
付表1より
指数分布
(exponential distribution)
• 待ち時間の分布: 寿命,耐用年数,災害までの年数
• 確率密度関数
• 累積分布関数
0.12
• 期待値と分散
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
0
10
20
30
40
ガンマ分布
(Gamma distribution)
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
-5
5
15
• 指数分布の一般化(α=1のとき指数分布と一致)となる分布
• 正の値をとり,右に歪んだ分布
• 確率密度関数
ガンマ関数
• 期待値と分散
25
ガンマ分布
0.6
0.5
0.4
α=3,λ=2
α=3,λ=1/3
0.3
α=3,λ=1/5
α=3,λ=1
0.2
0.1
0
0
5
10
15
20
25
ガンマ分布
• α個の確率変数が互いに独立で指数分布に従うならば,
その確率変数の和はガンマ分布Ga(α,λ)に従う.
• 標準正規分布の2乗はガンマ分布Ga(1/2,1/2)に従う.
• ガンマ分布Ga(n/2,1/2)は自由度nのχ2(カイ二乗)分
布といわれる.
4
ベータ分布
(Beta distribution)
3
• 確率密度関数
0
2
1
0
ベータ関数
• 期待値と分散
• テスト得点の得点構造の分析などに利用
0.5
1
ベータ分布
α=8,β=2
4
3.5
α=1/2,β=1/2
α=5,β=5
3
2.5
2
α=2,β=8
1.5
1
0.5
0
0
一様分布
(α=1,β=1)
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
一様分布(連続型)
(uniform distribution)
• テキスト 例4.31(p147)参照
• 確率密度関数
• 期待値と分散
• ベータ分布が
布と一致する
のとき (0,1)区間の一様分
コーシー分布
(Cauchy distribution)
• 確率密度関数
• 外観は正規分布に似ている
• 期待値、分散が存在しない
標準正規分布
0.7
0.6
λ=0, α=0.5
0.5
0.4
λ=0,α=1
0.3
λ=0,α=2
0.2
0.1
0
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
対数正規分布
(log-normal distribution)
• 正の値のみをとる確率変数 X (例:世帯の所得分布)
•
のとき, Xは対数正規分布に従う.
• 確率密度関数
• 期待値と分散
μ=0,σ=1
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
1
2
3
4
5
パレート分布
(Pareto distribution)
• 所得分布(特に高額所得)として用いられる
• 確率密度関数
• 期待値と分散
2
ワイブル分布
(Weibul distribution)
• 製品の耐用年数,寿命など
1.5
1
0.5
0
0
2
4
6
-0.5
• 瞬間故障率が一定(偶発故障)の場合は指数分布に従う
• 劣化の進行に伴い,故障率が増加する
• 初期故障では故障率が減少する
ワイブル分布
• 確率密度関数
尺度母数
形状母数
• 期待値と分散
ワイブル分布
2
1.8
a=1,b=0.5
1.6
a=1,b=3
1.4
1.2
a=1,b=1
a=2,b=3
1
0.8
a=3,b=
3
0.6
0.4
0.2
0
0
-0.2
1
2
3
4
5
6
次回の講義内容(6/1)
• 第4章:確率モデル
• 4.1 標本空間と事象
• 4.2 確率
• 4.3 確率変数
• 4.4 離散型確率分布の代表例
• 4.5 連続型確率分布