植調協会研究所千葉支所の紹介 - 日本植物調節剤研究協会関東支部

[雑草と作物の制御]vol.10
2014 p54~56
植調協会研究所千葉支所の紹介
(公財)植調協会研究所 千葉支所
はじめに
阿部秀俊
デュポン株式会社が借用し、農薬の圃場試験を実
千葉支所は当協会研究所の支所として、千葉県
施しています。
の山武市に平成 26 年 4 月に開設しました。JR 総
武本線・成東駅から西へ約 1km(徒歩 15 分)、圏
圃場運用とスタッフについて
央道・山武成東 IC から東へ約 4km(車で約 10
圃場管理は当協会が担うことになっており、そ
分)、九十九里浜から約 10km 西の内陸に位置
のためアルバイトを雇って運用しています。アル
し、交通の便には比較的恵まれています(写真-
バイトはトラクターなど作業全般の担当者 1 名、
1,図-1,2)。
試験の補助 5 名が通年で、また土・日・祝日の苗
千葉支所の歴史は始まったばかりですが、施設
管理等 2 名および農繁期には臨時で 1 名、合計 9
としての歴史は 30 年ほどあります。昭和 61 年の
9 月にヘキストジャパン農業科学研究センターと
して開所し、その後、何度か社名が変わりバイエ
ルクロップサイエンス成東研究所を経て、平成
19 年 4 月からは社団法人日本植物防疫協会(以
降、植防協会と略記)研究所成東試験地、平成
23 年 1 月からは植防協会千葉試験場と経営母体
に合わせ名称が変わり、平成 26 年 4 月からは当
協会が建屋と圃場の一部を借用し、植調研究所千
葉支所を立ち上げ、植防協会と共同運用しながら
事業を進めています。また、一部の建屋と圃場を
図-1
写真-1
千葉支所の所在地
図-2
- 54 -
千葉支所
千葉支所圃場図
[雑草と作物の制御]vol.10
2014 p54~56
名で行っています。なお、支所長として濱村が、
試験担当として阿部が着任しました。また、小山
実施した試験について
技術顧問にも適宜ご指導を頂いています。
開設初年目の昨年(平成 26 年度)は、水稲関
係の試験を中心に実施し、1 薬剤ではありますが
試験圃場について
緑地管理関係の試験も実施しました。
圃場は水田が 164a(25 筆)、畑が 66a(4 筆)
水稲関係は、4 月下旬移植(早期栽培試験)、5
あります。その他にカンキツ圃場(夏みかん 20
月始め移植(早期栽培・砂壌土試験)および 5 月
本)および茶園(やぶきた)が 5a あり、鉄骨ハ
中旬移植(普通期試験)と、大きく分けて 3 回の
ウスとビニールハウス計 3 棟に分けて温州みかん
田植えを行い、適 2 試験 95 点を実施しました。
のコンテナ栽培樹約 80 本が栽培されています
試験区分としては、A-1S(問題雑草一発処理 オ
(写真-2)
。これらの圃場のうち、水田 125a
モダカ対象、コウキヤガラ対象)、A-1(一発処
(13 筆)を当協会で使用しています。土性は軽
理)、A-2(体系処理(初期)
、A-3 体系処理(中・後
埴土、減水深は 1cm/日程度という条件です。6 筆
期)、A-4(オモダカ対象)
、A-4(コウキヤガラ
をオモダカ・クログワイ・コウキヤガラの専用圃
対象)でした。
場(各草種 2 圃場)として使用し、隔年で試験
緑地管理関係では、家庭園芸用除草剤 1 剤の試
と養成を繰り返すことにより、毎年試験が出来る
験を実施しました。所内には暖地の果樹園等で発
体制を整えています。その他の圃場はノビエを含
生が多く、地中に閉鎖花をつけるため防除が難し
む一年生雑草、ホタルイ、ミズガヤツリ、ウリカ
いとされているマルバツユクサの発生が認めら
ワおよびヒルムシロ等の多年生雑草を対象とした
れ、対象雑草として検定することが出来ました。
試験の圃場として使用しています。
また、支所から東へ 7km 程の場所(九十九里
水稲関係除草剤試験の試験区作り
浜側に車で 15 分程度)に、砂壌土圃場を借用
水稲関係の試験を実施するための最初の大変な
(H26 30a,H27 15a・34a 予定)しており、砂壌
作業は、何と言っても試験区作りです。畦畔板を
土試験も実施することが出来ます(写真-3)。
使って水田を 100 以上の枠に仕切っていくこと、
写真-2
千葉支所(所内圃場)
写真-3
- 55 -
適 2 砂壌土圃場(所外砂壌土圃場)
[雑草と作物の制御]vol.10
2014 p54~56
3 ㎡のプラスチック製ダンボール枠を埋設するこ
す。引き続き、ご指導、ご協力の程よろしくお願
とや除草剤を評価するための雑草を各試験区に播
い申し上げます。
種したり植え付けたりすることが主な作業です
(写真-4)
。+0(移植直後)処理があるので、
移植当日には作業を完了させなければならず、多
くの人手が必要となります。昨年は開設初年目と
いうこともあって、なかなか人員確保の目途が立
ちませんでした。しかし、開所式を移植日に合わ
せて開催したところ、沢山のメーカーの方々に来
所いただき、ご厚意でその方々が試験区作りに参
加いただきました(写真-5)。
研修会について
写真-4
適 2 圃場(所内)
写真-5
試験区作りに参加して下さった方々
農薬メーカーの依頼を受け、除草剤に関する研
修会を実施しました。普及担当者の試験圃場見学
会、農薬小売店の方々の抵抗性雑草・除草剤の作
用性などの講義などを行いました。今後も出来る
限り会員メーカーのご希望に対応した見学会や研
修会を開催したいと考えています。
おわりに
昨年度、開設初年目にもかかわらず、無事、業
務を終えることが出来たのは、共同運用に協力し
てくださった植防協会の関係者、試験区作りに参
加して下さったメーカーの方々、アルバイトの皆
さん、その他多くの方にご助力頂いたお陰と思っ
ております。また、最後になってしまいました
が、いつもお世話になっているメーカーの方々か
ら、千葉支所開設記念として大変立派な看板を寄
贈して頂きました(写真-6)。紙面を借りて御
礼申し上げます。
今後は、当協会の事業に関する試験・研究はも
ちろん、千葉県の研究機関や普及関係の方々およ
び地元の農家の方々との交流を深め、支所として
写真-6
業績が残るよう精進して参りたいと考えておりま
- 56 -
千葉支所の看板