富山市民病院医療情報システム最適化支援業務

富山市民病院医療情報システム最適化支援業務委託仕様書
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件名
富山市民病院医療情報システム最適化支援業務
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委託期間
契約締結日より平成28年3月20日まで
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趣旨
当院では、業務の効率化及び費用削減を図るため、医療情報システムの全体最適化を
検討している。全体最適化を行うための方針決定にあたっては、医療情報や最新のIT
技術に対する知識並びに調査分析における専門的なノウハウを有する業者によるコンサ
ルティング等の支援を必要とするため、その業者を提案競技方式(プロポーザル方式)
により公募するもの。
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当院の医療情報システムについて
(1)現状
当院では、平成18年1月に電子カルテシステムの稼働を開始し、必要に応じてカス
タマイズを行いながら使用を続けている。サーバ機器については、平成23年12月に
更新する際に小規模な仮想基盤を導入し、一部サーバの仮想化を行った。
システム稼働以降は、機器及びミドルウェアに係るハードウェア保守、プログラム改
修やシステム本体のサポートに係るソフトウェア保守のほか、バッチ処理やシステム関
連資源の管理、障害時の一時切り分け、端末・プリンタ・ネットワーク監視等に係る運
用管理については別途業務委託を行っている。
電子カルテシステム以外では、部門システムとして38システムが稼働している。電
子カルテシステムと同時調達した手術管理システム、診療支援統合システム等の一部シ
ステムを除き、それぞれの部門において個別に調達・保守管理を行っている。
(2)課題
ア 医療情報システムの更新
当院はこれまで、紙カルテの電子化をはじめとした医療情報システムの構築を着
実に進めてきたが、それは市の一般会計からの繰り出しについて基準外の積極的な
支援があったからこそ可能であった。
今回、導入から10年を迎えようとしていることから、院内においては電子カル
テシステムの全面的な更新への期待が高まっている。
しかしながら、市本体においても財政状況が厳しい中、財政部門においては住民
情報をはじめとした重要な基幹系システムであっても10年以上使用することを当
然としていることから、医療情報システムの早期の更新の必要性については理解が
得られておらず、これまでのような十分な財政援助が得られがたい局面にある。
今後もITを高度に活用して医療の質や患者サービスを向上させていくことを目
指す一方で、それらに係る経費を分散、削減し、持続的な経営の安定に取り組んで
いくことは重要な課題であり、現行システムの更新時期やシステムに対する費用の
投入には慎重な検討が必要である。
イ 仮想基盤の利用によるサーバの仮想化
一般的に、仮想基盤の導入によるサーバ仮想化は、サーバリソースを有効活用す
ることでサーバ台数を削減できることから、購入費用や保守・電気料等のランニン
グコストを圧縮することができるとされている。
しかし、平成23年12月に仮想基盤を導入した際には、データベースサーバや
ドメインサーバを仮想化することはできず、部門システムとの連携プログラムやプ
リントサーバ等のごく一部のみを仮想化の対象としたため、費用削減効果が得られ
たとは言い難い。
今後は、費用削減効果のほか、導入後の運用(日常の運用管理、障害発生時の責
任分担等)もあわせて検討し、仮想基盤導入の適否並びに導入する場合の対象範囲
を判断する必要がある。
ウ 医療情報システムに係る費用の削減
当院では、各部門において個別に部門システムの導入・更新を行っている。シス
テムを導入・更新する際には、他システムや医療機器との情報連携の仕組みを新た
に構築する必要があり、その都度高額な費用を要している。また、ハードウェアや
システム機能の重複部分の統合等は考慮せずに導入し、保守契約も個別に行ってい
るため、運用するシステムや医療機器が増える度にシステム関連費用も増加してい
く状況である。
今後、病院経営を取り巻く環境がますます厳しくなることが予測されるため、シ
ステムの導入・管理にあたっては、これまで以上に費用対効果を高め、経費節減を
図ることが必要である。そのためには、ハードウェアやシステムの統合、システム
調達及び保守の方法を検討することが必要である。
エ 業務の効率化
患者属性に関する情報や診療情報等、システム間で共有する情報が多くあるが、
システム間で情報を連携する仕組みが不十分なために、同一情報の複数回入力や紙
媒体と電子記録の二重管理が必要となり、業務の効率化を妨げている。また、転記
ミスや管理漏れ等によるリスクが常時存在している。
オ ITガバナンスの強化
現状では、医療情報システムの更新計画や調達は現場主導で行っており、病院全
体の視点からの適切なコントロールができていない状態である。
カ 事業継続計画・災害対策
患者属性や診療履歴、検査結果など、診療や看護といった医療の提供には常に情
報システムが関与している。当院では、システム事故(障害)発生時の職員対応方
法については「医療情報システム事故対策マニュアル」として定められているが、
情報システムの停止を最小限にとどめるための対策は定まっていない。
キ 医療情報分野の人材育成
情報システムに関する知識や経験が不足するために、業者と十分な折衝ができな
いままベンダーに依存してしまう傾向がある。ベンダー依存を脱却し、自律的にシ
ステムの調達・維持管理を行っていくための人材育成が求められている。
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業務の対象範囲
電子カルテシステム、部門システム(別紙のとおり)
医療情報システムと連携する医療機器、電子カルテシステム用LAN
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業務内容
(1)コンサルティング業務
以下に掲げる事項について適切な助言・提言・指導、情報収集、課題分析・解決策の
検討・提案等の包括的な支援を行うこと。
ア 医療情報システムの更新の方針
イ 仮想基盤の導入等によるサーバ統合
ウ システム関連費用の削減
エ 業務の効率化
オ その他、システム運用の適正化
(2)電子カルテシステムの更新に係る支援
当院が9月から10月にかけて行う、電子カルテシステムの今後の方針決定に対する
支援を行うこと。また、必要に応じて予算措置のための支援を行うこと。
(3)医療情報システム最適化方針作成等の支援
当院が作成する医療情報システム最適化方針及びシステム全体の更新計画について、
専門的見地から助言を行い、修正案を意見書としてとりまとめ提出すること。
(4)その他
上記以外に本業務の目的に合致する事柄で、有効と思われる独自の提案があれば提示
すること。
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留意事項
(1)本業務の提案及び実施にあたっては、本業務を履行し得る十分な能力及び経験を有
する人材を適正に配置すること。
(2)課題把握等のため、必要に応じ当院を訪問すること。また、携帯電話、電子メール
等を活用して、随時対応できる体制をとること。
(3)本業務の提案及び実施にあたっては、本業務に関連し当院が公開した全ての資料に
記載された要件を網羅し、当院の実情や特性を踏まえて十分な検討を行うこと。
(4)本仕様書に定める事項に疑義が生じた場合又は本仕様書に定めのない事項がある場
合は、当院と協議を行うこと。
(5)本業務の提案及び実施にあたっては、常に発注者である当院の立場に立ち、自社又
は関連会社が有利な状態にならないよう、またそのような誤解を招くことがないよう
十分に留意すること。
(6)本業務の実施にあたっては、再委託は認めない。ただし、必要がある場合はあらか
じめ再委託の内容を明らかにした書面により当院と協議を行い、承諾を得ること。
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秘密の保持
受注者は、本業務の履行により直接又は間接に知り得た情報(以下「機密情報」とい
う。
)について、次の事項を遵守しなければならない。また、委託期間満了後又は契約解
除後も同様とする。
・機密情報を第三者に漏らさないこと
・機密情報が漏洩しないよう管理徹底すること
・機密情報を複製又は複写しないこと
・機密情報を本業務以外の目的に使用しないこと
別紙
医療情報システムの概要
(1)システム別機器台数
システム名称
導入年度
電子カルテシステム
手術管理システム
診療支援統合システム
物流管理システム
インシデント管理システム
看護管理システム
医事会計システム
リハビリ部門システム
褥瘡管理システム
救急統計システム
団体未収金システム
開放型病床システム
記録物管理システム
病歴管理システム
自動精算機システム
再来受付システム
収納POSレジシステム
診察券発行システム
外来案内表示システム
眼科部門システム
透析部門システム
内視鏡部門システム
健診部門システム
調剤支援システム
服薬指導支援システム
持参薬システム
検体検査システム
細菌検査システム
生理検査システム
輸血部門システム
病理診断業務支援システム
放射線部門システム
放射線画像管理システム
給食管理システム
医用テレメータ統合型モニタ管理システム
医療機器管理システム
地域連携システム
前方支援・後方支援システム
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H23
H18
H18
サーバ数
端末数
プリンタ数
29(*1)
1(仮想)
1(仮想)
1(仮想)
1(仮想)
4
1
1
700(*2)
218
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1(*3)
1
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10
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46
8
1
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5
(*4)
(*4)
5
2
5
1
0
1
9
1
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0
0
*1:物理サーバ 15 台、仮想サーバ 14 台
*2:医事会計システムは 60 台、看護管理システムは 47 台にインストールし、使用してい
る。
*3:診察券発行機 1 台
*4:電子カルテシステム端末 700 台、放射線部門端末 46 台で閲覧可能
(2)その他
・
(1)で示したすべてのシステムは、オンプレミスで構築されている。
・当院の電子カルテシステムは、SS-MIXに対応していない。