賃貸住宅退去時の原状回復にかかるトラブル防止に有効な対応策について 平成24年9月/住宅まちづくり部 1 現状 2 課題認識 <原状分析> 原状回復の基本的な考え方が広まっていることや、宅建業者による 契約前の説明など、入居時対策は進んでいる。 ○府内相談件数の推移 (1)住宅相談室:H16:671、H19:331、H23:276 (2)消費生活C:H17:701、H19:781、H23:627 減少傾向にあるが、一定数の相談件数がある。 ○これまでの取組み ・原状回復ガイドラインの策定(H10) 国 東 京 都 府 ⇒原状回復の定義や、理解すべき一般的なルール等を 網羅的に記載。 ・賃貸住宅標準契約書の策定(H5) ・賃貸住宅管理業登録制度の創設(H23) ・東京都賃貸住宅紛争防止条例(H16) ⇒宅建業者に契約前の原状回復に関する説明義務。 ・啓発用パンフレットの作成・周知(H17) ⇒有識者を交えた検討会での議論を踏まえ作成。 ○原状回復に関する最高裁判決(H17) 通常損耗は賃料でまかなうことが賃貸借契 約関係上の原則である旨説示。 ○実態把握のためのアンケート調査結果 多くの宅建業者が原状回復の基本的な考え 方を借主に説明している。 原状回復の基本的な考え方※を知っている という回答が増えている。 具体の損耗について、負担区分や額、範囲 をめぐるトラブルが多い。 ※原状回復の基本的な考え方 ・経年変化や通常損耗の復旧は貸主が行う。 ・借主の故意・過失、善管注意義務違反等による損耗、 毀損の復旧は借主が行う。(借主が費用負担) 課 題 実際に発生する退去時の具体の損耗をめぐるトラブルを解消する取組みが必要。 3 有効な対応策の検討 ~効果的で実効性のある手段の検討~ (1) 条例化による規制 (ア)契約前において、宅建業者等から賃借人への原状回復の基本的な考え方等の説明を義務づけ 【効果】基本的考え方の認識不足に起因するトラブルを防止。 【課題】基本的考え方が広まる中、追加効果が低く、宅建業界の理解が得られない懸念。 (イ)退去時において、賃貸人等から賃借人への原状回復費用の算定書面の交付・説明を義務づけ 【効果】請求費用の透明化を実現。 【課題】書面交付は一般化しており、追加効果が低い。トラブル解消には、立会いによる物件確認 と合わせた実施が必要。家主や管理業界の理解が得られない懸念。 (2) ガイドライン(大阪府版)の作成・普及 【効果】具体の損耗の借主負担の要否の判断材料となり、実際に発生するトラブルの減少効果。 個別契約時における説明書(概要版)の活用により、トラブル減少が期待。 【課題】強制的に遵守させることができない。 (3) 相談機能の活用 【効果】ガイドラインに基づき標準的な考え方を示すとともに、当事者間の話合いを促すことにより、 トラブル解決に寄与。 【課題】対応の統一化等相談窓口間の連携が必要。国ガイドラインは相談員の理解に時間を要す。 実際のトラブルを減らすためには (1)条例化による規制ではなく、(2)ガイドライン(大阪府版)の作成・普及 と(3)相談機能の活用が必要。 4 取組み方針 ~原状回復トラブルの減少に向けて~ (1)原状回復費用の負担要否、割合や範囲等、具体の判断に役立つガイドラインを作成 (2)業界とスクラムを組んで、普及活動を強力に展開 (3)ガイドラインに基づく相談対応を住宅部署と消費生活C等の関係機関が連携して実施
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