Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 特別支援教育部会 部会長 桐谷和美 (知的・自閉症・情緒部会) Ⅰ Ⅱ 研修主題 「特別な支援を要する児童・生徒のニーズに応じた指導・支援のあり方 ~生活単元学習を通して~」 研修内容 1 研修の経過 (1)6月7日(土) 於:木更津市立畑沢公民館 講演「生活単元学習の意義」 講師 君津特別支援学校 千澤 賢太郎先生 伊澤 ゆう子先生 (2)6月19日(木) 於:木更津市立畑沢公民館 講習「チェックシートの作成」 講師 木更津市立木更津第三中学校 佐野 健志先生 カレンダー原画審査会 (3)8月7日(木) 於:望みの門新生舎・地域作業所hana 施設見学「望みの門 新生舎」 「地域作業所hana」 (4)8月22日(金) 於:木更津市民総合福祉会館 テーマ別研修(4市合同研修) 「自立活動の指導について」 「高等部職業コースの実践」 「教科・領域を合わせた指導~作業学習を中心に~」 「教科学習~小学校での実践~」 「読み書きに困り感を持つ子の支援」 「通常学級における特別な支援に対する校内体制作り」 (5)11月6日(木) 授業研究 〈小学校部会〉 於:木更津市立高柳小学校 授業者 木更津市立高柳小学校 安西脩倫子先生 〈中学校部会〉 於:木更津市立木更津第一中学校 授業者 木更津市立木更津第一中学校 岡田光司先生 2 研修内容 (1)生活単元学習の意義 生活単元学習とは何かを確認した後,主体性を引き出す単元計画の作り方を教わっ た。その時期の子どもの様子を大切にして,子どもがその時期の生活に目当てや見通 しをもって精一杯取り組め,満足感,達成感をもてるようなテーマを設定すると主体 的な活動を引き出しやすいということだった。これまで行った生活単元学習や作業学 習の取り組みを紹介された後,「子どもも大人も計画・実践する時にウキウキするよ うな夢のある単元設定・計画をすることが成功の秘訣であり,必須条件である」とお 話しいただいた。生活単元学習を計画していく上で大変参考になる研修であった。 (2)チェックシートの作成 合同宿泊学習に向けて,必要な内容を生活単元学習の中でどのように進めていけば よいのか確認した。実態に合わせて,教材教具を用意したり,活動を変えたりする具 - 106 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 体的な方法を学ぶことができた。また,それぞれの活動でどのような支援を用意する のかを多くの資料で説明していただき,活動の流れや指導のポイントを確認する良い 機会となった。 (3)「望みの門新生舎」「地域作業所hana」見学 富津市にある「望みの門新生舎」と木更津市にある「地域作業所hana」の2カ 所に分かれて作業の様子を見学したり,話を聞いたりした。地域で生活する障がいの ある方の働く場として,一般就労へのステップアップの場として,利用者の目的や適 正に応じた支援を行っていることがわかった。 (4)授業研究 <小学校>生活単元学習「ステキなLadyになろう~○○名人を目指して~」 目標・自分の身の回りを清潔にする方法を知る。 ・自分で身辺整理をしようとする。 ・自分の考えをみんなの前で発表することができる。 *協議会から 実態を捉え,自立を目指した単元構成であった。年間通して取り組んでいること がよい。大事な内容であるため,丁寧に指導していくことが大切であると感じた。 自立活動や生活単元学習の取り組みを情報交換することができた。 <中学校>生活単元学習「合同学習会を成功させよう」 目標・合同学習会における自分の役割を理解することができる。 ・合同学習会を充実させるための話し合いに,前向きに参加できる。 ・自分とは違った立場の人のことを考えることができる。 ・活動の準備に真剣に取り組むことができる。 *協議会から 和やかな雰囲気で授業展開されていた。宿泊学習に向けての気持ち作りをする上 で,良い話し合いができていた。合同宿泊学習に向けた各校の取り組みを情報交換 することができた。 Ⅲ 成果と課題 1 研修成果 (1)今年度は,市研と特担研を連携させて「生活単元学習」について専門性を高めること ができた。実践に役立つ充実した研修を行うことができた。 (2)生活単元学習に絞ることで,情報交換や支援の検討が行いやすくなり,具体的に研修 することができた。 (3)授業研究は,小中共に,生き生きと活動する姿が見られる授業内容の提案であった。 意見交換も活発になされ,生活単元学習や自立活動の情報交換の場ともなった。授業 者,参観者共に意義ある協議会になった。 2 今後の課題 (1)指導内容や方法について,情報交換を行ったり,学び合ったりする機会を更に設けて いきたい。 (2)指導力や専門性の向上を図るため,特別支援教育における課題や具体的な実践につい ての研修を進めたい。 - 107 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 (難聴・言語部会) Ⅰ Ⅱ 部会長 住沢武美 研修主題 「難聴・言語障害児のよりよい診断と指導のあり方を求めて」 研修の内容 1 研修の経過 (1) 6月 7日(土) 於:富津市立青堀小学校 ○情報交換・事例研究 (2) 6月19日(木) 於:波岡小学校 ○情報交換・事例研究 (3) 8月 7日(木) 於:波岡小学校 ○情報交換・事例研究 (4) 8月22日(金) 於:君津市立周西中学校 ○テーマ別研修会(特別支援4市合同開催) (5) 11月6日(木) 於:畑沢小学校 ○研究授業 「言語発達遅滞児のことばの指導」 授業者 畑沢小学校 斉藤寿江教諭 2 研修の内容 6月7日,6月19日,8月7日の3回の研修会では,それぞれの担当者が各校での教 室経営のあり方や授業実践について問題提起をしたり,協議を行ったりした。また,それ と並行して「千葉県特別支援教育連盟言語障害教育研究会」事務局として,昨年から引き 続き研修会・運営について検討を行った。 8月22日の研修会では,4市の特別支援学級担任との合同で,6テーマに分かれて 研修会を行った。「自立活動の指導について」「特別支援学校高等部職業コースの実践に ついて」「作業学習について」「小学校での教科学習について」など,多方面にわたる実 践を通しての成果や問題点について,意見交換した。 3 研究授業 「言語発達遅滞児のことばの指導」 指導者 畑沢小学校 斉藤寿江教諭 (1)本時の指導の目標 ・眼球運動や音読などに興味を持ち,進んで学習に取り組むことができる。 ・眼球運動では,一定時間印を見続けることができる。 ・カードを正しく読むことができる。 ・どんな拗音が入るのかを選ぶことができる。 (2)展開 時配 学習活動と内容 指導上の留意点 評価(◎) 資料 3 1 自由会話をする。 ・自己紹介をする。 ・休み時間にしたこと。 ・中村先生を紹介し,一緒に学習すること を伝える。本児に,相手の目を見て自己 紹介をするように促す。 ・児童の様子を見て心理状態を把握する。 2 2 学習内容とめあてを確認 ・学習の見通しがもてるように,ホワイト ホワイトボード する。 ボードに予定を書き込む。 よく見たり,正しく読んだりしよう。 5 3 眼球運動をする。 ・棒の先に好きなシールをつけておき,目 好きな印がつい ・止まっている印を見る。 の体操への意欲を高める。 た棒 ・近づく印を見る。 ・見続ける時間は3秒から始め,様子を見 ・上下左右に動く印を見る。 ながら見る時間を変えていく。 - 108 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 ・印に触る。 ・目に余分な力が入っている時は,一度目 を閉じさせ,目の力が抜けるようにする。 ◎決められた時間は印を見続けることがで きたか。 7 4 カードを読む。 ・フラッシュカードの5~7文字程度の単 フラッシュカー (例)ゆきだるま 語や句を読ませる。 ド 大きな山 ・カードを二度読み,正しく読めなかった 言葉を再度読めるようにする。 ・二度目で読めた場合は大いに褒める。 ◎カードを正しく読むことができたか。 10 5 小 さい「ゃゅょ 」のつく ・一度,単音で読み方を確認してから単語 穴うめ問題 言葉の穴うめをする。 の中に,どの拗音が入るか選ばせる。 (例)□□しん ・わからない時は,担当者が拗音をゆっく □□べつ り言い,どんな音が入っているか聞かせ はく□□ る。 ◎拗音を正しく選ぶことができたか。 15 6 講師の先生のご指導 7 学習の振り返りをする。 ・ノートや教材を見て,学習したことを確 3 ・楽 しかったこと やがんば 認しながら本時を振り返らせる。 ったことを話す。 ・本時のがんばりに対して,共感し賞賛す る。 (3)講評 東京都墨田区立柳島小学校 ことばの教室担当 中村勝則教諭 眼球運動の未熟さは,学習や生活の中で,どのような困り感になっているのかを 考える必要がある。その困り感にどのように対応していくか,またどのような対応 が児童にとって「快い取り組み」かを,児童・担任・家庭・病院からの意見を踏ま えて考えていくことが大切である。児童にとって「快い取り組み」は, 「頑張れる」 ことにつながっていく。 また,児童の「得意」を探す。児童にとって,「できること」を「認められる」 ことが大切である。「できること」の積み重ねが児童の「得意」をつくる。 Ⅲ 成果と課題 1 研修成果 (1) 担当者間の情報交換は,日々の授業を進めていく中で,重要な位置を占める。限 られた回数の中ではあったが,校内で解決できない課題を持ち寄り,色々な角度か 自由に意見を出し合うことで,良い刺激を受けることができた。 (2) 研究授業では講師の指導をいただく前に,参加者からも意見が出された。的確な 指導を受けることができ,研究授業を通して指導に生かせる具体的な方法や,ヒン トを得たことは,大変有意義であった。 2 今後の課題 (1) 難聴・言語教育を必要とする児童の課題の多様化について,対応していくために も担当者の専門性を身につける必要がある。今後も情報交換や,研究授業などを通 して課題の解決につなげられる指導法を研修していきたい。 (2) 通級している児童の中には,医療機関に通院し,定期的に療育を受けているケー スもある。より効果的な指導を進めていくためにも,医療機関との連携をとってい くことが必要である。 - 109 -
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