「伝えよう 音と心のハーモニー」

≪岡山県≫
第 42 回中国・四国音楽教育研究大会岡山大会主題
「伝えよう
小学校主題
音と心のハーモニー」
〈学び合いから生まれるすてきな音楽〉
1.研究主題設定の理由
たりして、生涯にわたって音楽のよさを追求
平成23年度中四音研大会主題「伝えよう音
していく子ども
と心のハーモニー」では、主体的・創造的に
音楽にかかわり、音や音楽表現で仲間と心が
2.研 究 内 容
ふれ合い、共感したり対話したりしてコミュ
(1) 自分の思いや意図をもって、よりよい表
ニケーションを図っている子どもの姿を目指
現をめざす子ども
している。お互いに影響し合いながら学びを
① 教材選択の工夫
深めることによって、園児、児童生徒一人ひ
・児童の発達の段階に応じて、演奏形態、楽
とりの音楽に対する価値意識を広げることが
曲の構成、演奏時間、かかわらせたい要素を
できると考えられる。
考慮して楽曲を吟味することにより、音楽の
小学校部会ではこの大会主題を受け、児童
よさや面白さ、美しさを感じて聴きやすくす
一人ひとりの感じ取ったこと・思いや意図を
る。
もとに、共に学び合いながら、互いの歌声や
・楽曲の聴かせ方や曲名の提示の仕方を工夫
楽器の音などを聴いて、声や音を合わせて表
することにより、児童に「工夫したい」「つ
現したり、音楽をつくったり、楽曲を聴いて
くりたい」「もっと聴きたい」という思いや
想像したことを言葉で表したりする授業を展
意図が生まれ、音楽活動に意欲的に取り組ん
開したいと考えた。「すてきな音楽」とは
でいくことができるようにする。
「学び合い」から生まれた音楽であり、児童
② 指導計画の工夫
にとって自分の思いや意図が十分に表された
・次のように学習を進めていくことにより、
音楽であったり、よさや面白さがより深まる
思いや意図に沿っためあてを設定しながら、
音楽であったりする。このようなすてきな音
めざす音楽に向かって表現を工夫したり、よ
楽をみんなでつくりあげるように育ってほし
り深く感じ取ったりすることができるように
いと願い、小学校主題を設定した。
する。
○ めざす子ども像
(1) 自分の思いや意図をもって、よりよい表
音楽と出会い、感じ取り、興味・関心を
高める
現をめざす子ども
様々な音楽に出会い、感じ取ったよさや面
白さ、美しさから学習を進めていく中で、自
表現を工夫して思いや意図をもったり、
分の思いや意図をもち、その実現に向かって、
楽曲のよさを感じ取って聴いたりする
表現方法を豊かにしていく子ども
友達の感じ取ったことや工夫を共有し、
(2) 友達と共に学び合う子ども
友達の思いや意図を共感的に感じ取ったり、
友達の表現のよさを認め合ったり、高めあっ
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さらに工夫したり感じ取ったりし、楽曲
のよさや面白さを味わう
・学年の発達の段階に応じて、指導のねらい
テーマ
に即した体を動かす活動を取り入れる。
音楽ゲーム
「地球の鼓動」
③ 資料や助言などの工夫
今月の歌
「まあるいいのち」
「命を大切にしよう!」
・児童の実態に応じた音源や資料・ワークシ
・風や波などの音を学年ごとに順番に重ねて
ートを準備したり、分かりやすくまとめて板
いき、全校で地球の音を表現した。
書したり、適切な助言や称揚をすることによ
・4年生の二部合唱を聴いた後、5・6年生
り要素に着目しやすくする。
のアルトパートも加わり全校で二部合唱した。
(2) 友達と共に学び合うために
〔公開授業
① 聴き合う活動の工夫
授業者
藤原
・友達と一緒に活動したり、まねをしたり、
題材
「ようすを
工夫したことや感じたことを伝え合ったりす
教材
「おどる こねこ」
第1学年〕
なつ美
おもいうかべよう」
「はる なつ あき ふゆ」
る活動を設定することにより、友達とかかわ
り合いながら表現したり、感じ取ったりして
・Bの部分を中心に楽曲を聴き、子猫が何を
いくことができるようにする。
しているのか話し合い、音楽に合わせて体を
・工夫の途中で紹介し合ったり、工夫の進ん
動かす。
でいるグループを紹介したりする活動を設定
・友達と一緒に体を動かしたり、動きを紹介
することにより、見通しをもって自分たちの
し合ったりして、楽曲の気分の変化を感じ取
表現を高めていくことができるようにする。
る。
・互いの工夫や感じ取ったことを紹介し合っ
〔公開授業
たり、友達の工夫を体験してみたりして、よ
授業者
石川
いところやアドバイスを交換しやすくする。
題材
「ようすをおもいうかべよう」
・相互評価で認め合えなかった部分を教師が
教材
「人形の ゆめと 目ざめ」
第2学年〕
明美
「海と おひさま」
評価し、児童に広めることにより、友達の表
・挿絵に吹き出しを加え、女の子や人形の言
現のよさに気付きやすくする。
② 感じ取ったことを意識化する活動
葉や気持ちを想像する。
・教師が、「音楽のどこからそのように感じ
・ペアで楽曲に合う歌詞をつくり、フレーズ
たのか」などと問いかけることにより、児童
ごとに色分けしたワークシートに書き込む。
の想像したことや感じたことを、音楽を形づ
・つくった歌詞を楽曲に合わせて歌ったり、
くっている要素とかかわらせて言葉で表すこ
紹介し合ったりする。
とができるようにする。
ペアで歌詞を歌いながらつくる活動
③ ペアやグループの活動
・学び合いにふさわしい形を低学年はペア、
中・高学年はグループと考え、授業の中にペ
アやグループの活動を設定していくことによ
り、学習を持続させたり、考えやすくしたり
する。
3.公開授業等
〔音楽朝会〕
担当学年
第4学年
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〔公開授業
〔歓迎演奏〕
第3学年〕
授業者
福永
題材
「○組ばやしをつくろう」
教材
「ねぶた囃子」「阿波踊り」
葉子
会場
ライフパーク倉敷
出演校
倉敷市立連島南小学校
第5学年
104 人
合唱曲目
「大高祭り太鼓」
「音楽のおくりもの」
・前時につくったお囃子の旋律に、リズムや
「やさしい風」
言葉や動きをつける。
「地球星歌
~笑顔のために~」
藤高
弘子
・グループで話し合ったり演奏したりしなが
指揮者及び指導者
ら工夫する。
〔研究演奏〕
・他のグループがつくったお囃子を聴くこと
会場
倉敷市民会館
により、よいところを取り入れながら工夫す
出演校
倉敷市立中島小学校
第6年生
162 名
る。
〔公開授業
第4学年〕
授業者
井上
題材
「おはやしをつくろう」
合唱曲目
聡子
「おくりもの」「あしたははれる」
「明日の空へ」
「見上げてごらん夜の星を」
・自分たちのつくりたいお囃子のイメージを
(伴奏
ふくらませながら、旋律やリズムフレーズの
指揮者及び指導者
松本
角谷
和将氏)
美佳
全体会の研究演奏
つなぎ方や重ね方を工夫して、グループごと
(松本
に 16 小節のお囃子をつくる。
和将氏を囲んで)
・他のグループのよいところを見つけたり、
友達のアドバイスを参考にしたりする。
〔公開授業
第5学年〕
嘉克
授業者
平尾
題材
「曲想を味わおう」
教材
「だれかが口笛ふいた」
「ハンガリー舞曲第5番」
・各グループの曲想を生かした歌い方の工夫
を紹介し合ったり演奏し合ったりする。
4.研究の成果と課題
・学級全体で、曲想を生かした歌い方につい
(1) 成果
て話し合い、5組の「だれかが口笛ふいた」
①友達や教師の評価をレベルアップに生かし
を演奏する。
ていくことができ、課題設定の高さが学年に
〔公開授業
第6学年〕
応じた学び合いを生んだと思われる。
授業者
木村
初美
題材
「曲想を味わおう」
の領域において、すてきな音楽に向かってい
教材
「広い空の下で」「木星」
く学び合いの形を見出すことができた。
②「歌唱」「音楽づくり」「鑑賞」のそれぞれ
・各グループの演奏の工夫を紹介し、クラス
(2)課題
の歌にするためにはどの工夫を取り入れるか
①各学年部での成果を生かして、他の領域に
歌い合いながら話し合っていくことにより自
おいても系列立てて指導していきたい。
分たちの思いに合う表現をつくっていく。
②教材を分析し、教師の力量を磨いていかな
くてはならない。
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