Ⅱ 算数・数学部会 木更津市教育研究会 研究・研修記録 部会長 伊東晶一 Ⅰ 研修主題 自ら学ぶ力を育てる算数・数学教育のあり方 Ⅱ 研修の内容 1 研修の経過 (1) 6月 7日(土) 於:木更津市民総合福祉会館 【小学校】講演・実技研修「自ら学ぶ力を育てる算数教育のあり方について」 講師 木更津市立岩根小学校 教頭 江田 欣弘 先生 【中学校】講演「自ら学ぶ力を育てる数学教育の充実にむけて」 講師 木更津市立木更津第二中学校 教頭 越川 茂夫 先生 (2) 6月19日(木) 於:木更津市民会館 ○各学校実践報告・情報交換 (3) 8月 7日(木) 於:木更津市民総合福祉会館 ○理論研修 【小学校】講演「比較検討の充実を目指して」 講師 木更津市立八幡台小学校 教諭 仲野 憲治 先生 【中学校】講演「基礎・基本の指導を充実させるための実践の工夫」 講師 木更津市立太田中学校 教諭 中村 吉朗 先生 ○研究授業指導案検討 ○夏季研修会レポート検討 (4) 8月22日(金) 於:袖ケ浦市民会館 ○夏季研修会(四市合同開催) 【小学校】講師 木更津市立真舟小学校 校長 間宮 淳子 先生 君津市立大和田小学校 校長 増田 眞一 先生 【中学校】講師 袖 ケ 浦 市 立 昭 和 中 学 校 校 長 小 堀 正 雄 先 生 袖ケ浦市立平川中学校 校長 平賀栄三郎 先 生 (5) 11月 6日(木) ○研究授業 【小学校】4年「垂直・平行と四角形」 於:木更津市立馬来田小学校 講 師 木更津市立木更津第一小学校 校長 関口 明 先生 授業者 木更津市立馬来田小学校 教諭T1及川 佑一 先生 T2長谷川 文子先生 【中学校】2年「図形の調べ方」 於:木更津市立金田中学校 講 師 南房総教育事務所指導主事 西 克夫 先生 授業者 木更津市立金田中学校 教諭 根本 梨絵 先生 2 研修の内容 (1)小学校部会では,江田先生による講演を実施した。自ら考える力・思考力・表現力 の育成をするには,どのように授業を展開していけば良いのか,あらゆる角度から ご指導いただいた。 中学校部会では,越川先生による講演会を実施した。「数学的活動」のとらえ方や生 徒主体の授業の実践方法を,単元毎に具体的に説明していただいた。 (2)会員が実践資料を持ち寄り,報告や協議を行った。報告された取り組みをもとに, 会員それぞれの実践やより良い指導法について意見が出された。 (3)小学校部会では,仲野先生による講演会を実施した。比較検討の充実を図るための 授業のポイントをご指導いただいた。 中学校部会では,中村先生による講演会を実施した。基礎・基本が身につくための 指導方法の例や,生徒が数学が得意になるためのコツを具体的に説明していただい た。 後半は,それぞれの部会で,研究授業の指導案検討や夏季研修会のレポートの検討 を行った。 (4)四市合同での夏季研修会を実施した。 - 61 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 3 研究授業 【小学校】4年「垂直・平行と四角形」 木更津市立馬来田小学校第4学年算数科学習指導案 指導者T 1 及 川 佑 一 先 生 T2長谷川 文子先生 (1)本時の指導(7/14) ①目標 ・辺の平行関係に着目して四角形を仲間わけしようとしている。 (関心・意欲・態度) ・平 行 な 辺 の 組 の 数 に 目 を つ け て , 四 角 形 を 分 類 ・ 整 理 す る こ と が で き る 。 (数学的な考え方)(技能) (2)展開 時配 学習活動と内容 ・指導上の留意点 ○支援 ◎評価 資料 T1 T2 2 1.素材を提示する。 ・前時にドット図を使 板書用の図形 ・前時の学習を振り返る。 って作図をしたこと (ドットを利用 や辺の長さや角の観 したもの) 点で分類したことを 想起させる。 ・正方形①を取り出し, ドット図の① 三角定規で平行を確 認し,平行な部分に 色(赤青)をつける。 ・長方形⑤を取り出 ドット図の⑤ ・平行な線に着目して し,三角定規で平 分けることに気づい 行を確認し,平行 たことを本時のめあ な部分に色(赤青) 2 2.学習問題を立てる。 てに結びつける。 をつける。 平行な直線に目をつけて四角形を仲間分けしよう。 5 3.見通しを立てる。 ・平行があるかないか。 ・平行が1組か2組か。 ・既習事項(平行)を ○平行の調べ方の模 掲示物で確認する。 造紙をみて振り返 ・既習の図形の長方形 りをさせる。 ・正方形を使い平行 ○三角定規を使った な直線に色分けをす 平行な辺の見つけ る。 方を確認する。 7 4.自力解決をする。 (1)平行を調べる。 ・ドット図を配付する。 ・三角定規を使い,平行に目 ○三角定規の使い方や ○わからない児童を をつけ色(赤青)をつけ 平行な直線に色(赤 後ろに集めヒント ていく。 青)をつけ,根拠に を与えドットのな なる考えを明確にさ い四角形に取り組 せる。 ませる。 ○片方にしか線や色が ○片方にしか線や色 ついていない場合は がついていない場 もう一つ見つけられ 合はもう一つ見つ るよう助言する。 けられるよう助言 する。 3 (2)仲間分けをする。 ◎辺の平行関係に着目 ○分類の観点がわか ・ノート上で仲間分けをす して四角形を仲間分 らない児童には, る。 けしている。 補助シートを使っ ・平行があるかないかで分け て分類させる。 - 62 - ドット図(7枚) (①⑤を除く) 三角定規 ドットのない図 補助シート Ⅱ 木更津市教育研究会 る。 (A グループ) ・平行な辺の組数で分ける。 (B グループ) 5 5.ペアで話し合う。 ○どのように分けたか ○辺の平行について ・自分が分類した仲間につい その根拠を考えさせ 戸惑っている児童 て着目した点を伝え合う。 説明させる。 には三角定規を使 ・ペアで意見が違う場合はど ・自分の考え,友達の 用しながら自分の こが違うかを確認する。 考えの共通点,相違 言葉で伝え合わせ 点を考えながらホワ る。 イトボードにまとめ させる。 10 6.比較検討をする。 ・友達の発表を聞いた ○友達の発表を聞い ・どのように分けたか弁別の り自分の分類したも たり,自分の分類 観点を説明する。 のと比べたりして気 したものを比べた (1)1組の辺が平行な四角形 付いたことを発表さ りして着目する構 (2)2組の辺が平行な四角形 せる。 成要素が大切なこ (3)平行な辺がない四角形 ・弁別の共通点や相違 とに気づかせる。 ・自分の分類したものと比べ 点を考えながら話し ◎平行な辺の組の数 て発表する。 合わせることを通し に着目した後で, ・平行な辺の組の数に着目し て分け方を理解させ 台形・平行四辺形 た後で,台形・平行四辺 る。 の用語を覚えるこ 形の定義と用語を知る。 ○平行な組の数に着目 とができたか。 させる。 ・A グループしか出な い場合はもっと詳し く分けられないか問 い直す。 ・B グループしか出な い場合は教師が A グ ループを出し問い直 す。 2 7.まとめをする。 研究・研修記録 ・ホワイトボード 平行な辺の組の数に目をつければ四角形を仲間分けできる。 ①向かい合った1組の辺が平行な四角形を「台形」という。 ②向かい合った2組の辺がどちらも平行になっている四角形を「平行四辺形」という。 7 8.練習問題を解く。 ◎平行な辺の組の数に ○共通理解した辺の ・教科書 30 ページ問2をノ 目をつけて,四角形 平行な組の数に着 ートに解く。 を整理することがで 目し自分が作った きたか。 四角形の仲間分け ができるようにす る。 2 9.振り返りをする。 ○今後まだ学習してい ○振り返りの書けな ・わかったこと,気づいたこ ない四角形の名前や い児童に声かけを と,さらに調べたいこと 性質などについて学 行い台形・平行四 をノートに書く。 習していくという見 辺形の定義がわか 通しを持たせる。 ったか自分なりの 言葉でまとめさせ る。 - 63 - 教科書 Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 【中学校】2年「図形の調べ方」 木更津市立金田中学校第2学年数学科学習指導案 指導者 根本 梨絵 先生 (1)本時の指導(9/15) ①目標 ・辺 や角の 組み 合わせ を考え ,意 欲的に 合同な 三角形を描 き,合同条件 を導 こうとする。 (関 心・ 意 欲・ 態度 ) ・三角形の決定条件をもとにして,三角形の合同条件を理解する。 (知識・理解) (2)展開 場 時 主な学習活動 ・留意点 ◎評価 ○教えること ◇考えさせること 2 1.図形の性質の説明 ・ペアで実施。1分間で説明, 【既習のインデックス】 交代し 1 分間で説明。 ○対頂角,錯角,同位角 ◎カードに自己評価する。 の性質 教 3 2.合同な図形の性質につい ・ペアで確認をし,全体で確 【既習のインデックス】 え て確認する 認をする。 ○合同な図形の性質 る ・合同な図形では,対応する ・合同な図形では,対応 場 線分の長さは,それぞれ等 する線分の長さは, しい。 それぞれ等しい。 ・合同な図形では,対応する ・合同な図形では,対応 角の大きさは,それぞれ等 する角の大きさは, しい。 それぞれ等しい。 3 3.問題の把握 ・提示用の図を用意しておく。 【問題】△ ABC と合同な ・生徒にはプリントを配布。 △ DEF を描こう ・どうすれば合同な三角形が 描けるか少し考えさせる。 ・個で考える。 ◎自分の考えを持とうとして いる。 ・発表させる。 ・問題把握をさせた後,本時 の学習課題を考えさせ,学 習課題を提示する。 2 4.本時の学習課題をつかむ 合同な三角形を描いて,2 つの三角形が合同になる場合を考えよう 考 15 5.課題の解決 ・個で考えさせ,状況を見て 【既習のインデックス】 え ・合同になるように三角形を グル-プにする。 ○三角形の描き方 さ いくつか描く。 ・作図ではなく,分度器で角 ・3つの辺の長さを利用 せ を測ったり,辺の長さを定 する る ・描いた三角形を基に,2つ 規で測り描くのも認める。 ・2つの辺の長さとその 場 の三角形が合同であること ・角や辺のどこを使って描い 間の角を利用する をいうためには何が言えれ たのか分かるように記入を ・1つの辺の長さとその ばよいのか考えさせる。 させておく。 両端の角の大きさを ●3つの辺が等しく,3つ ・1 つ描けた生徒には別の描 利用する の角が等しいとき合同と き方も考えさせる。 ◇3つの辺,3つの角の いえる。 ・描いた三角形が合同か重ね どれを使ったら三角 て確かめられるように三角 形が描けるのか考え 形を用意する。 る。 ・三角形の描き方を発表する。・実物投影機を使い,描き方 ●3つの辺を測って描く。 を説明させる。 ●2つの辺と間の角を使って ・生徒が発表した描き方で, 描く。 黒板に描き,印をつけまと - 64 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 ●1つの辺と両端の角を使っ める。 て描く。 ・3通り出てこなかったら, ヒントを与え三角形の描き 方から考えさせる。 ・三角形の描き方をもとに合 ・生徒の理解度を見て,合同 同な三角形を描く。 な作図の仕方を紹介する。 ・描けなかった場合について も生徒の様子を見て触れ る。 10 6.まとめ ・三角形を描くときに3つの ◇三角形の描き方から合 ・合同な三角形を描くときに 辺,3つの角すべて必要か 同条件を考える は,3つの辺,3つの角す 考えさせ,三角形の決まり ◇辺や角の組み合わせに べて調べなくても描くこと 方を確認する。 よっては合同になら ができる。 ◎描けた三角形をもとに,合 ない場合を考える ・三角形の合同条件をまとめ 同条件を導く。 ○三角形の合同条件 る ・3組の辺が,それぞれ ●3組の辺が,それぞれ等 等しいとき しいとき ・2組の辺とその間の角 ●2組の辺とその間の角 が,それぞれ等しい が,それぞれ等しいとき とき ●1組の辺とその両端の角 ・1組の辺とその間の角 が,それぞれ等しいとき が,それぞれ等しい とき 10 7.練習問題を解く ・掲示用の拡大した図を用意 【既習のインデックス】 教科書 P.96 問4 しておく。 ・合同な図形の性質 ㋐≡㋖ ・図に印をつけさせる。 ・三角形の合同条件 1組の辺とその両端の角が ◎3つの辺,3つの角のすべ それぞれ等しい てが等しくなくても合同と ㋑≡㋔ 言えることを理解してい 2組の辺とその間の角がそ る。 れぞれ等しい ㋓≡㋕ 3組の辺がそれぞれ等しい 3 8.合同な図形の性質,三角 ・発表させる。 【既習のインデックス】 形の合同条件を振り返る ・合同な図形の性質 ・三角形の合同条件 2 9.自己評価 ・振り返りをさせる。 ・学習履歴図(自己評価カ- ド)を記入する。 Ⅲ 成果と課題 1 研修成果 (1)第1回及び第3回の市研では,講師の先生方の経験に基づいた算数・数学指導の あり方について話をいただいた。実践的な指導方法についても多く触れていただき, 今後授業を行っていく上で大切にしなければならないことや,授業での教師の役割 等についても改めて考える機会となった。 (2)実践報告会では,それぞれの実践を持ち寄ることで,様々な指導方法や各学年で どのような指導をしているかを共通理解することができた。また,授業の悩みや指 導のポイントについても多くの意見が出され,数多くの実践を知る機会になった。 (3)夏季研修会の提案レポートについては,事前に検討会で協議することによって, より深い内容のレポートにすることができた。 - 65 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 (4)研究授業では,事前に指導内容について会員で検討し合っていたので,授業のポ イントがつかみやすかった。授業後の意見交換も活発になされて,授業者,参観者 共に充実した協議会になった。 2 今後の課題 (1)算数・数学的活動のイメージ化を図り,実践を重ねることで,生徒の算数・数学 の日常化へと発展させていく必要がある。 (2)実践報告会ではテーマを決めて,それに基づいた教具・教材の情報交換も視野に 入れて計画していきたい。 (3)小学校部会・中学校部会に分かれて研修することが多かった。実践報告会や研究 授業など,相互に参観したり,情報を共有したりできる機会があると良い。 - 66 -
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