3 重 点安全施策の内容と進捗状況 2009 年 安 全 報 告 書 3-1 1 1 阪急電鉄株式会社 安全 意識の高揚・安全対策 「安 全意識」 を醸成するた めの取 り 組み P D CAサ イク ル 安全最優先の意識を徹 底させるため 、計画(Plan)→行動(Do)→確認 (Check) →改善(Action)→ 新しい計画(Plan)の実行を 全社的に拡大し、ス パイラルアッ プを図っています 。また 、毎年度 、年度計画(Plan)→実施(Do)→内部監査(Check) →年度計画実施結果 見直し(Action)→次年度計 画の策定(Plan)の PDCAサイ クルで各種安全施策を 進めています 。 PDCAサイクル Plan スパイラルアップ Action PDCA Do 安全管理体制 Check 2 安 全 講習会 輸送の安全 に関するテーマ をもとに、社 外から講師を招いて 講演やセミナー 等を 実施し、安全意識の高 揚を図ってい ます。 2008 年度は、G8北海道洞 爺湖サミット に伴い 大阪、神戸、京都 において大臣 会合が行わ れたこ とから、テロに対 する意識を高 める講習会 を実施 しました。 日 時 2008 年 5 月 21 日(水)10:00∼12:00 場 所 本 社エコルテホ ール 講 師 社 団法人・日本鉄 道運転協会 高柿幸夫氏 テーマ 「 鉄道に対する テロとその対 応」 聴講者 約 200 名 また 2006 年度から継続して 、ヒューマン エラー 防止に関する講習会を 実施していま す。 日 時 ①2008 年 5 月 30 日(金)9:30∼11:30 ②2009 年 2 月 04 日(水)9:00∼11:00 場 所 本 社エコルテホ ール 講 師 J R東日本パー ソネルサービ ス 関口雅夫氏 テーマ 「 事故に潜むヒ ューマンエラ ーの実態∼ヒューマン エラーに対策 はある のか∼」 聴講者 各約 200 名 ― 12 − ޟߩ⧘ߩޠႎ๔ߩᔀᐩߣಽᨆ߮ߘߩኻ╷ ߿ࠗࡦࠪ࠺ࡦ࠻ߦ⥋ࠄߥシᓸߥ⽎ࠍޟߩ⧘ߡ߃ᝒߣޠߒޔಽᨆ߿ ኻ╷ࠍᬌ⸛ߔࠆෂ㒾੍⍮ᵴേ㧔㧷㨅ᵴേ㧕ࠍ⛯ߌߡ߹ߔޕㆇォㇱ㐷ߢߪޔฦଥຬ߇ ⚻ 㛎 ߒ ߚ ߩ ⧘ ߦ 㑐 ߔ ࠆ ⽎ ࠍ ޟ㧷 㨅 ࠪ ࠻ ޟߡ ߒ ⸥ ߦޠ㧷 㨅 㧮 㧻 㨄 ߦޠᛩ ವ 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ディスカ ッショ ンミー ティン グ 巡 視 時 以 外 に も 社長 や 都 市 交 通事 業 本 部 長 等は積 極的 に現 場へ 赴き 、テ ーマ を設 けず 意 見交 換を 行う 「フリーディスカッシ ョンミーティ ング(FDM )」 を実施しています。 こ の F D M で は 、業 務 に 関 わ らず レ ク リ エ ーショ ンや 日常 生活 に至 るま で、 テー マを 限 定せ ず、 また 職位 や部 門に 関係 なく 円滑 なコ ミュ ニ ケー ショ ンを 促進すべく実施してい ます。 ③ ナイト トーク 都市 交通 事業 本 部長 や各 部門 長 等は 、部 下 との コミ ュニ ケー シ ョン を更 に充 実 するため、様 々な部門の係員 とざっくばらん に意 見交換する機会を設け ています。 ― 14 − 4 事故再発防止に向けた取り組 み 1 事 故防 止対策 検討 会 事故が発生した場合は、事故防止対 策検討会を 開催し、原因分析や再発防 止策を 検討します。また、他社 の事故も当社に 置き換え て想定し、対策や現状 報告を行い 類似事故の防止に努め ています。 複数の部門に関係す る事故は本部 で、単独の部 門での事故は、当該部門 で再発防 止策を検討し実施して います。 事故防止対策検討会 で取り扱った 事故は、2007 年度末にデータベース 化を図りま した。このデータベー スを活かして、現 在、過去 の事故の対策やその実 施状況を検 証する「自社事故アー カイブ」の取り組 みを始め ています。月毎の本部 安全管理推 進委員会で検証対象と する事故を選 択し、事故当 時、実施した対策が現在 も効果を 得ているのか、あるいは事 故の教訓を伝承 できて いるか等を1ヶ月かけ て再検証し ています。 検討会開催事例 本部事故防止対策検討会 ・ 2008 年 9 月 20 日 甲陽園駅構内列車事故 各部門事故防止対策検討会 ・ 2009 年 1 月 17 日 甲陽線扉扱いに関するインシデント ※ 上 記 事 故 や イ ン シ デ ン ト の 詳 細 は 、「 鉄 道 事 故 等 と 再 発 防 止 策 」 の 項 を ご 参 照 願 い ま す 。 他社事例 ○○年○月○日 A社 列車脱線事故 本 線 と 保 線 基 地 へ の 引 き 込 み 線 が つ な が る 部 分 で 、始 発 の 普 通 列 車 が 工 事 車 両 を 線 路 に 入 れ る ため使用する移線横取装置に乗り上げ、脱線事故が発生した。 当社対策 ・類似装置の有無の確認 → ・類似装置使用時の取り扱い → 同様の装置を使用しているがATSと連動しており同事例 の発生の可能性はない。 作業後、作業責任者の確認と運転指令への連絡及び運転指 令の軌道異常の確認により、安全を確保している。 2 運 転 保安向 上検 討会 この検討会は、運転や土木施設、電気施 設、車両の各部門が連携 して、ATS装 置、踏切保安、ホーム 保安等、様々 な課題につい て検討を続けています 。 また、検討 会の下部組織と して「ホーム 保安検討WG」と「 次世代運転シス テム 検討WG」を設けて、 更に専門的分 野における様 々な研究検討を続けて います。 ・ホーム保安 検討WG(2008 年度 ∼) ホーム のお客様の安全 を確保するた め、軌道内に転落し た場合や転落さ せな い施策について検討し ています。 ・次世代運転 システム検討 WG(2009 年度∼) 将来の ATS(自動列 車停止装置) 装置やTTC(列車 運行総合制御シ ステ ム)装置の次期システ ムの検討を行 っています。 3 他 社 事故事 例の 周知と 事故 防止 啓発 鉄道事故に関 する保安情報 や事故情報は 、各現場の係員一人 ひとりまで周 知して、 類似事故を防止す るよう啓発を 行っています 。ま た、各鉄道事業者 と連携を図っ て タイムリーに事故 情報を収集し て各部門に提 供す る等、事故防止に 役立てる啓発 活 動を行っています。 ― 15 − 5 教育 ・訓練 1 安 全管 理体制 に関 わる教 育 年度 毎に 輸送 の安 全に 係る 教 育計 画を 策定 し、 輸送 の安 全に 関係 する 全社 員 に計 画内容 の周知 徹底を 図り 、一致 協力 して実 施する よう取 り組ん でいま す。 また、 各 部門においても運輸安 全マネジメン ト等に関する 各種教育を実施してい ます。 ・基本教育(運輸安全 マネジメント・年度安全計 画)…対象:社長以下 関係社員 ・内部監査員教育(内部監査・I SO)…対象:内部監査及び鉄道安全 監査実施者 ・安全講習会(P12 参照) 2 コ ーチ ングセ ミナ ー コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン能 力 を 向上 さ せ るた め 、 主 に 監 督 者 を対 象 に して コ ー チン グ セ ミナ ー を 実 施 し て い ます 。 ま た、 そ の 効果 を 高 め持 続 さ せ て 行 く た めに 、 教 育終 了 一 定期 間 後 にフ ォ ロ ー 教 育 を 実 施し て い ます 。 そ の他 、 経 験の 浅 い 係 員 や 次 代 の職 場 の 核と な る 人材 の 育 成と 技 術 の伝承を進めています 。 3 外部教 育セ ミナー 安全管理体制 や内部監 査員の教 育の他に も様々な 教育やセ ミナーを受講し、そ れぞれ社内教育 へと展開して 能力向上に 努めています。 ・安全マネジメ ント体制構築 及び運営研修 ・内部監査担当 者等向け研修 ・研修効果測定 と評価のため のアンケート 設計と分析評価 ・安全の人間科学 4 教習所 ・人 材育成 セン ター ・運輸部教習所 動力車操 縦者(運転士 )や車掌、助役 等を 養成する教習所 (国土交通 省認定)を 設けて います。施設内 には、運転 シミュレー ターを はじめ車両や信号、駅 務に関係する教 材の他、 CAI(コンピ ューター支 援による教 育シス テム)を設備していま す。 また、AE Dや心 肺蘇生の 教育の ほか、高 齢者の身体 的機能 の衰えや 心理的変 化を実感 する器具を 使用し た体験を 通じて、 心のこも ったお客様 対応が できる人 材育成に 努めてい ます。 ・人材育成セン ター 教習所に 隣接して人材育 成センターを 設け、 駅業務やサービ ス教育を専 門的に行い 、質の 高い駅係員を育成して います。 ― 16 − 技術研 究及 び技術 向上 ①運 転部門 …車内 案内放 送コンテ スト 日 時… 2009 年 2 月 27 日(金)14:30∼17: 30 場 所… 本社ビル エコルテホー ル 参加者… 阪急 電鉄・阪急レ ールウェイサ ービス 概 要… 「 お客様にとって わかりやすい 放送を追 及するこ と」を 目的と して、 基本放 送や異 常時の放 送等、 車内案 内を課 題とし たコン テストを開催しました 。 5 ② 運転 部門…接 遇サー ビスコ ンテス ト 日 時… 2009 年 3 月 15 日(日)9:30∼13:30 場 所… 本社ビル エコルテホー ル 参加者… 阪急 電鉄・阪急レー ルウェイサ ービス・ 能勢電 鉄・北大阪急 行 概 要… 駅 における「 接遇レベル の維持向 上」 を目的として、 「好感の持て る接客姿勢 ・ 態度・言葉遣い」 「 駅の美化」 「防 犯防止」 を意識した営 業関係の取 り扱いや ご案内を テーマ としたコンテ ストを開催 しました。 ③ 土木施 設部門… 保線作 業コン テスト 日 時… 2008 年 10 月 17 日(金)13:00∼16:00 場 所… 西宮車庫 参加者… 阪急 電鉄・レール ウェイテクノ ロジー 概 要… 保線 の係員を対象 にして、教育 効果の検 証や技 術の伝承、線 路保守作業の 習熟度を 確認す る目的でグル ープ会社と合 同で技能 コンテ ストを開催し ました。 ④ 電気施 設部門… 小集団 活動テ ーマ研 究発表 会 日 時… 2009 年 3 月 6 日(金)14:00∼17:00 場 所… 本社ビル エコルテホー ル 参加者… 阪急 電鉄・阪急阪 神電気システ ム 概 要… 社 員の自発的な課 題解決に対す る取り組 みを推進 するた めに、 各職場 にて数 名の小 集団を形 成し、 1 年間 、作業 手順・ 工具・ 設備等の改良等に取り 組み、その成 果を発表しま した。 ⑤ 車両部 門…技術 研究発 表会 日 時… 2009 年 3 月 11 日(水)13:00∼16: 00 場 所… 西宮車庫 参加者… 阪急 電鉄・阪神電 鉄・能勢電鉄 ・北大阪 急行電 鉄・神戸電鉄 ・グローバル テック・ アルナ車両 概 要… 調査・研究 の成果や技術 習得と技術水 準 の向上を目的 として、年 2 回定例的に開 催 してい ます。また 、技術の伝承 を目的と して、経験豊富 な先輩諸氏 の苦労 話や技術論に関する講 演会を同時に 開催しました 。 ― 17 − 6 安全考 学室 2009 年 5 月、運転士や車掌 を育成する施設 である教習 所 内に、過去の事 故を学ぶ「 安 全考学室」を設け ました。2009 年度は、営業開始から 100 年 を迎えます。また、1984 年の ※ 六甲事故から 25 年となる節 目の年でもある ことから、 過 去の事故から運 転保安に関 す る各システムや 規程が構築 さ れた背景を学び 、業務に活 か していきます。 ※ 六 甲 事 故 ( 1984 年 5 月 5 日 ) 事故当時、山陽電鉄と当社は、相互直通乗り入れ(列車と 乗務員)を実施していました。事故は、特急列車を待避する 予定の山陽回送車が、ATS確認操作により六甲駅 4 号線か ら停止信号を盲進して本線路に進出したところ、通過しよう と し て い た 阪 急 特 急 車 が 衝 突 し て 脱 線 し ま し た 。 73 名 の 重 軽傷者を出しましたが、負傷した当社の運転士が迅速に反行 防護にあたったことから二次災害を免れました。 7 都 市 交通事 業本 部合同 訓練 各部門が連携 した対応が 求められ る大規模災 害や 事故を想定し て、毎年、 都市交 通事業本部合同訓練 を実施していま す。2008 年 度は、社長自らが陣 頭指揮を取り、 下記想定にて実施しま した。 ①日 時・場所 2008 年 11 月 18 日(火)13:00∼16:00 宝塚 線 平井車庫 ②目 的 テロによる列車内爆破 に伴う、情報 伝達、お客様 避難誘導及び復旧訓練 ③想 定 ・在阪A社のターミナ ル駅のトイレ で爆破事件が 発生。A社以外での犯 行を予告。 ・第 1300 列車において、豊中駅出発 後、2 両目 と 3 両目の間で不審物発見。 ・走行中、不審物が爆 破したが、事 前に避難して いたため死傷者なし。 ・お客様の避難誘導及 びAEDの措 置。 ・犯行声明及び蛍池駅 ・西宮北口駅・淡路駅に爆弾 を仕掛けたと電話が入 る。 ・西宮北口駅、淡路駅 、蛍池駅で不 審物を発見し 、警察及び消防による 撤去。 ・土木施設及び電気施 設、車両の事 故復旧訓練実 施。 ― 18 − 3 -2 1 安全 性向上対策 立体交差工事の推進 下記の立体交差化工事 を進め、踏切 道の削減と沿 線交通の円滑化を促進 します。 概要…仮線工 事、本線高架 橋構築等を施 工中 事業延長 7.1km 高架化 4 駅(淡路・ 崇禅寺・柴島 ・下新庄) 淡 路 廃止踏切 17 ヶ所 駅 付 近 連 続 立 体 交 差 工 事 概要…仮線工 事を施工中 事業延長 2.0km 洛 高架化 1 駅(洛西口 ) 西 廃止踏切 3 ヶ所 口 駅 付 近 連 続 立 体 交 差 工 事 西 宮 北 口 駅 付 近 高 架 化 工 事 概要…本線、 高架橋構築等 を施工中 事業延長 0.3km 高架化 1 駅(西宮北 口駅今津方面 ホーム) ― 19 − 2 ATS装置改良による安全性 向上 1 当 社 のAT S装 置の機 能の 特徴 ATS(自 動列車停止)装 置とは、信号 確認のミスや錯覚等 により信号現示 によ る速度制限を守ら なかった場合 に、運転台で 警報 音を発報して、列 車を自動的に 減 速、停止させる装 置です。当社では、1970 年に支 線を含む全線に、連続速度照査 式 のATS装置を設置完 了しています 。 当社のATSの歴史 H形警報装置(ATS装置の前身) 信号機の現示を運転台の表示器に表示さ 1963 年 H形警報装置使用開始 1968年 京都線・神戸線・宝塚線 1970 年 戸閉保安装置の装備 1972 年 駅誤通過防止装置の使用開始 1972 年 踏切障害物検知装置とATS装置の連動の開始 1974 年 誤発車防止装置の使用開始 2005 年 速度超過防止ATS(曲線用)使用開始 2006 年 神戸線パターンATS使用開始 2008年 速度超過防止ATS(分岐用)使用開始 2009 年 京都線パターンATS使用開始 を受信しないと列車が発車できないように 2010 年 宝塚線パターンATS使用開始予定 した装置 せ、制限速度を超えた場合は、警報が鳴動 しブレーキ操作を促す装置 ATS装置の使用開始 駅誤通過防止装置 列車の種別(特急や普通等)を選別する 装 置 と 連 携 さ せ て 、停 車 駅 に 近 づ い た 場 合 、 段階的に自動でATS制限をかける装置 誤発車防止装置 出発信号機の進行現示によるATS信号 連続速度照査式ATS装置の概要 連続速度照査式ATS 装置とは、各信号機に対応 した各区間(軌道 回路)のレー ルに ATS信号を流し、車両 の受電器で受信 すること によって、連続して当該 区間の速度制 限情報を得る方式です 。車両では 、その速度 制限 情報と列車の速度を常 に比較して 、制 限速度を超えると自動 的にブレーキ が作動します 。また、制限速度以下にな ると自動的 にブレーキが緩む仕組 みになってい るため、常に 制限速度以下に保つこ とができる安 全 性の高いシステムです 。 115km/h 等 以 下 70km/h 以 下 実際の運転速度 50km/h 以 下 30km/h 以 下 20km/h 以 下 停止 進行信号 注意信号 停止信号 制御点 閉そく信号機 制御点 ATS受電器 運転台ATS表示器 ― 20 − 速度計 2 A T S装置 の改 良 従来の連続速度照査式 ATS装置( 前頁参照)に 新たな制御として車上 パターン制 御を追加し、踏切道へ の過走防止や 駅誤通過防止 、終端部での衝突防止 等、保安度を 向上する改良を進めて います 。神戸線から着 工し 、現在、京都線の工事を 進めており、 順次、宝塚線に拡大導 入する予定で す。 車上パターン制御には 、高速域から の車上パター ン制御(以下、「高速 パターン」) と低速域からの車上パ ターン制御( 以下、「低速 パターン」)があり、 ATS装置の照 査速度(パターン制限 速度)と列車 の速度を常時 比較して、照査速度を 超えている場 合にATSブレーキを 動作させる方 式です。高速 パターンは、踏切道へ の過走防止対 策や駅誤通過防止、低 速パターンは 終端防護対策 として、保安度や運転 効率の向上を 図っています。 高速パターン 速 度(km/h) 100 50 0 停 止標 駅 (ホー ム) 600 500 400 300 200 100 0 距離 (m) 低速パターン 速 度(km/h) 50 30 20 0 停 止標 車 止め 駅 (ホー ム) 3 A TS 装置に よる 速度超 過防 止機能 の強 化(急曲 線・分 岐部・踏 切過 走防護 等) 国土 交通 省が 設け た急 曲線 にお ける 速度 超過 基準 より も厳 しい 自主 基準 を設 けて、 ATS装置により 6 箇所の曲線の速 度超過防止機 能を整備しています。 また 、曲 線、 分岐 部の 速度 超過 防止 、更 に 線路 終端 部の 過走 防止 や遮 断動 作が完 了していな い踏切道 への進入 防止等、 保安度向 上 を図るため の速度制 限対策を 順次 進めています。 ― 21 − 3 踏切保安対策 1 A T S装置 と踏 切障害 物検 知装 置との 連動 踏切事故防止のため、 自動車が通行 可能な全ての 踏切道(全264踏切道 のうち約8割 にあたる214踏切道 )に対して 、障害物検知 装置 を設置するとともに 、ATS装 置と連 動させて事故防止を図 っています。 列車運行中に前方の踏 切道内に自動 車等が立ち往 生すると、踏切道内の 障害物検知 装置が検知して、特殊 信号発光機と 踏切直前の信 号機に停止信号を現示 させて列車を 停止させます。また、 列車までの各 信号を下図の ように現示し、連続し て段階的に速 度を減速させ、自動的 に列車を停止 させます。 115km/h 等 以 下 70km/h 以 下 50km/h 以 下 30km/h 以 下 20km/h 以 下 ② 進行信号 ③ 注意信号 停止信号 ④ ① ①運転台ATS表示 ②閉そく信号機 ③特殊信号発光機 ● 踏切 障害物検 知装置 ① 光電 方式 踏切道を 挟んで発光器 と受光器を設置 し、対向する発 光器と受 光器の光線 が遮 られることによ り、踏切 道内の障害 物を 検知する方式です。 ② レー ザーレ ーダー 方式 踏切道全体をレーザ光 線でスキャン し て、レーザの反射によ り障害物(1 m角 以上の物体)を検知し 、設定した範 囲内 に一定時間滞在してい るものを障害 物と して検知する方式です 。 ― 22 − ④障害物検知装置 2 賢 い 踏切( 列車 選別装 置に よる 通過と 停車 列車 の選別 ) 踏切の遮断 や警報の鳴動は 、踏切の警報 区間に列車が進入す ると自動的に動 作す る仕組 みにな って います 。し かし、 すべ ての列 車 に対し て同じ 警報 区間で 警報 を始 めると 、駅の 近く にある 踏切 では、 駅に 停車す る 列車の 場合、 停車 時間が 加わ るた め警報 や遮断 時間 が長く なり ます。 その ため、 列 車の種 別(特 急や 普通等 )を 自動 的に選別する「列車種別選別 装置 ① 」を設け、あらかじめ停車列車か通 過列車かを自 動的に選別し、踏切の 警報及び遮断 時間の適正化 を図っています。 通過列車の警報開始地点からの距離 停車列車の警報開始地点からの距離 駅 ① 4 ホー ム保安対 策 ホームからの 軌道内転落や線 路内への立ち 入りに対する安全対 策として、非常 通報 ボタン や転落 検知マ ット の他、 ホーム 下の 待避ス ペースや ホー ムに昇 るステ ップ を設 置しています。 非常通 報ボタ ンの 操作あ るい は転落 検知 マット が 検知し た場合 、ホ ームの アク シデ ントサ インが 明滅 して警 報装置 が鳴 動し、 列車 の 出発や 一部駅 では 入駅の 停止措 置を とり、安全の 確保に努めてい ます。そ の他、車両 の連結面間には、 「連結面間転 落防止 装置」を設置して、連 結面間からの 軌道内転落事 故の防止を図っていま す。 ② ① ブ レーキ ①非常通報ボタン ②アクシデントサイン 転落検知マット 列 車接近 警告表示 ホーム下待避スペース ステップ 連結面間転落防止装置 ― 23 − 5 新形式 車両 の 建造・既存車両の改造 工事 1 新 形式 車両の 建造 2008 年度は京 都線に 9300 系 24 両を導入しまし た 。 2009 年度は、引き続き京都線に 9300 系車両を 40 両 導入し、現行の京都線 特急車 6300 系をすべて置き 換 えます。 2 6 既 存車 両の改 造工 事 7300 系 8 両、6300 系 12 両等の大規模改造工事を 実施し、バリアフリー化 やサービス及び保安度の 向上を進めています。 2009 年度は、7000 系 8 両と 5100 系 8 両の大規模 改造等を進める計画で す。 ※ 6300 系 リ ニ ュ ー ア ル 車 ( 嵐 山 線 専 用 車 ) その 他 1 運 転 状況記 録装 置 2006 年 以降に導入し た 9000・9300 系車 両のモニタ 装置には、技術基 準で定められ た運転状況記 録装 置に 関するデータ(時間・速度・位 置・制御・ブレー キ・A TS の動作等)を保存する 機能を設けて います。 その他の既存車には、2007 年度 から当社で開発 し た 運転状況記録装置の搭 載工事を進め ており、2011 年 6 月末を目途に省 令に定め られた車両 すべてに搭 載 する 予定です。 2008 年度末現在の設 置工事の進捗 率は 、231/1311 両(17.6%)です。 2 運 転士 が運転 不能 に陥っ た時 の安全 対策 万が一、運 転士が運転不能 に陥った時に 、列車を安全に停止 させるよう、す べて の運転 台のハ ンド ルには 、手 を離す こと によっ て 車両を 自動的 且つ 急速に 停止 させ るデットマン装置を装 備しています 。 ワンハンドル車両 握っている状態 離した状態 ツーハンドル車両 押し下げている状態 ― 24 − 離した状態 3 車 両内 での非 常通 報シス テム 車内で急病 人や非常事態 等が発生した場 合、乗務員に通 報できるよう 、全車両に 非 常通報装置を設置して います。 また、新型 車両に は、乗 務員への 通報と ともに、直接、乗務 員と通話できる 非常通 話装置を搭載してお り、既存車両も 順次、 更新工事を進めていま す。 2008 年 度 末 現 在 の 設 置 工 事 の 進 捗 率 は 716/1311 両(54.6%)です。 非常通報装置 警報・通話 非常通話装置 警報 4 架線 断線 事故対 策 列車の動力源である電力を安定して架線に送るた め、当社線全線に 22 箇所の 変電所と 1 箇所のき 電室 を設けています。それ ぞれ送電を受け 持つ区間が あり、 区間と区間の間は、通 常、電流が流れ ない仕組み にな っています。この部分 をセクション といい、ダイ ヤ乱 れや事故等によって列車が区間を跨って停車した場 合、電位差によってど ちらか一方の架 線とパンタ グラ フの接触が不完全に なりアークが発 生する恐れが あります。この状態 が続くと架線 が溶断する恐れがあ るため、セクシ ョン部に列車 が停車しないように 、従来の始端 (赤色)終端(緑色 )の標識に加え て、セクショ ンをわかりやすく明 示する注意喚 起の注意標(黄色)を 設けています 。 セクション A 区間 10 両分 区間標 B 区間 進行方向 掲出 セクション注意標 終端標識 5 軌 道強 化工事 本線の曲線部のまくら ぎをPC(プレストレス トコンクリート)化して います。また、分岐器の 改良(耐久性)等、軌道 の強化を進めています 。 ― 25 − 始端標識 6 車 両・ 施設の 検査 体制 鉄道施設や車 両は、種類 や構造その他使 用の状況に応じて、周 期や対象とする 部位 及び方法を定めて遅滞 なく検査を実 施しています 。 ① 車両 ・列車の検査 車両の主要部分に ついて、使用開始後 10 日を 超えない期間ごとに外 部から行いま す。 ・状態機能検査 車両の状態及び機能に ついて、3 ヶ月を超え ない期間ごとに行いま す。 ・重要部検査 車両の 主電動機、走 行装置、ブレ ーキ装置等 重要な装置の主要部分 について、4 年または 当 該車両の走行距離が 60 万 km を超えない期間の いずれか短い期間ごと に行います。 ・全般検査 車両の全般にわ たって、8 年を超えな い期 間 ごとに行います。 ② 土木 施設 ・軌道の検査 軌道の 状態及び軌道 の部材につい て、1 年に 1 度、定期的に 測定や調査を行 って 検査を行い ます。 ※マルチプルタイタンパー 列 車 走 行 に 伴 い 、バ ラ ス ト や 枕木 が 沈 降 し て 、 僅かにレールがゆがみ乗り心地を悪化させる た め 、走 行 し な が ら 自 動 的 に ゆ が み を 矯 正 す る 車両。 ・構造物の検査 橋梁や 跨線橋の他、 ホームやトン ネル、地下 について 、2 年に 1 度、定期的に全 般検査を行 います。 ― 26 − ③ 電気施 設 ・運転保安設備 信号保安設備 、保安通信設 備、踏切保安 設備に ついて、定められた検 査周期(主な 装置は 1 年に 1 回、予備装置があるものは 2 年に1回等) に基 づき、定期的に検査を 行います。 ・電力設備 電路設備、変電 所設備につい て、定められ た検 査周期(主な装置は 1 年に 1 回、予備装置がある ものは 2 年に1回等)に基づき、定 期的に検査を 行います。 7 地下 駅火 災対策 工事 河原町駅お よび烏丸駅 の排煙設備整備 工事並び に西院駅の二方 向避難用 出入口工事が完 了しまし た。 8 SA S( 睡眠時 無呼 吸症候 群対 策) 列車を運転す るすべての運 転士や助役は 、検査器具「パ ルスオキシメータ 」を睡眠時に 装着してS ASの 簡易ス クリーニングを実 施しています 。その結果 、SA Sの疑 いが認められ精密 検査で治療が 必要と診断 された 者は、 医師による治療を行う 体制を採って います。 ― 27 − 3-3 安全 投資 2008 年度を含め過去 4 年間の実績と 2009 年度の 計画です。 (億円) 分類 2005 2006 2007 2008 2009(予 算 ) 安全関連設備投資 69.7 63.3 88.7 112.7 105.7 その他の鉄道事業設備投資 32.0 46.9 26.2 26.0 44.3 計 101.7 110.2 114.9 138.7 150.0 億円 年度 安全関連設備投資 その他の鉄道事業設備投資 150.0 150 138.7 110.2 101.7 26.0 44.3 26.2 100 32.0 114.9 46.9 112.7 88.7 50 69.7 63.3 2005 2006 2007 ― 28 − 2008 105.7 2009(予算)
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