平成18年度 石狩浜海浜植物保護センター活動報告 - 石狩市

平成18年度
石狩浜海浜植物保護センター活動報告
石狩浜海浜植物保護センター
目次
事業概要
・・・・・・・1
1.普及活動
・・・・・・・1
2.調査・研究
・・・・・・・7
3.見本園の整備・苗の育成
・・・・・・・8
4.環境整備事業
・・・・・・・9
5.地域交流事業
・・・・・・10
6.札幌近郊花めぐりスタンプラリー
・・・・・・11
7.来館者数
・・・・・・11
8.保護・回復対策
・・・・・・12
資料
行事参加者アンケート結果
・・・・・・13
センター利用者アンケート結果
・・・・・・14
沿革
海浜植物保護センター開設の目的
・・・・・・16
施設と業務内容
・・・・・・16
管理運営・組織図
・・・・・・17
事業概要
石狩浜海浜植物保護センターは、石狩浜の植生の保護及び回復を目指して、普及啓発、
調査研究、植生の保護・回復対策などに、市民、研究機関と協働で取り組んでいます。
普及啓発は、観察会や企画展の開催、ボランティアの育成、学校等への学習指導、常
設展示および通信誌や HP 上での情報発信がおもな内容です。
調査研究では、海浜植生の回復方法を探るための試験、長期的な植生のモニタリング、
動植物の定期観察などに取り組んでいます。
保護・回復対策では、植生保護柵の設置及び保護区における監視員の配置、一部地域
での外来植物の除去作業などを行っています。
その他、見本園や観察路づくり等の環境整備、他地域との交流活動、札幌近郊花めぐ
りスタンプラリーなどに取り組んでいます。
1.普及活動
1.自然観察会・こども自然教室・企画講座
平成 18 年度は、以下のとおり実施しました。参加者の感想等は 12 ページから掲載し
ました。
表 1-1
平成 18 年度自然観察会、子ども自然教室、企画講座の開催状況
■企画講座「キタホウネンエビの生態を学ぶ」
4 月 29 日(土)10:00∼12:30
参加者数 14 名
講師:北海道環境科学研究センター五十嵐聖貴研究員
キタホウネンエビは、日本固有種で、石狩海岸林と青森県の一部でしか生息が確認されて
いない、原始的な甲殻類の仲間です。この生態や生息環境について、屋内でプロジェクタ
による講義と、生息地での採取および観察により学びました。
■石狩浜自然観察会
5 月 10 日(土)10:00∼12:30 参加者 14 名
イソスミレが満開のはまなすの丘を、海浜植物の芽吹きの様子や地形の様子などを観察し
ながら散策しました。
■石狩浜自然観察会
6 月 10 日(土)10:00∼12:30
参加者 10 名
ハマエンドウが見ごろを迎えたはまなすの丘を、海浜植物や野鳥を観察しながら散策しま
した。ノゴマ、コヨシキリ、ホオアカ、チュウヒなど、野鳥が数多く観察できました。
■石狩浜子ども自然教室
7 月 8 日(土)10:00∼15:30
参加者 11 名
クイズやネイチャーゲームを交えながら自然観察し、海辺の自然環境への理解を深めま
した。また、自然の中から素材を集めて、押し葉のしおりやコウボウムギの地下茎で作る
フデなど、クラフトも楽しみました。
1
■企画講座「断崖海岸の自然を学ぶ」
7 月 15 日(土)9:00∼15:00
講師:自然観察指導員
参加者 19 名
与那覇モト子さん
浜益区送毛海岸と群別海岸で、バシクルモンやハマハコベなど海岸断崖地の植生を観察し
ました。また、断崖上部の森林として、千本ナラ周辺の植生を観察しました。
■企画講座「聚富・望来海岸の自然を学ぶ」
9 月 9 日(土)9:00∼15:00
参加者 11 名
望来海岸、無煙浜、聚富海岸を歩き、植生を観察して、地形との関係について学びました。
また、望来海岸では、貝化石やメノウを拾ったり、無煙浜では、石油の湧く場所を観察す
るなどもして、この地域の自然の魅力を発見しました。
■石狩浜こども自然教室
9 月 23 日(土)10:00∼15:30
参加者 23 名
石狩浜海浜植物保護センターを拠点に、周囲の海岸草原やカシワ林、砂浜を歩き、クイズ
やネイチャーゲームで石狩浜の自然について理解を深めました。また、自然の素材を集め、
壁飾りやリースづくりなどのクラフトや、ハマナスの実のジャム作りを楽しみました。
海岸断崖地の植生観察のようす
ハマナスの実でジャムをつくるようす
企画講座「断崖海岸の自然を学ぶ」(7/15)
石狩浜こども自然教室(9/23)
2.石狩浜自然ガイド育成講習会
石狩浜で自然解説や調査、自然情報の発信などの活動に取り組む人材を育成するた
め、海浜植物保護センターがこれまで培ってきたノウハウやコツをまとめたガイドマ
ニュアルをもとに、はまなすの丘ガイドのポイントや石狩浜の自然について学ぶ講習
会を、表 1-2 のとおり開催しました。
6月から8月および2月26日に開催した6回の講習会は、受講対象を海浜植物保
護センターのボランティア活動員や石狩市環境活動員としました。
2月23日、3月10日に開催した2回の講習会は、受講対象は上記活動員のほか
一般市民としました。
2
表 1-2
石狩浜自然ガイド育成講習会開催状況
日にち
内容
参加者
6 月 26 日(月)
・ はまなすの丘ガイドマニュアルの説明
5名
・ はまなすの丘観察
7 月 6 日(木)
・はまなすの丘ガイドの実践について(講師:石狩ボラン
ティアガイドの会会長
5名
瀬野一郎さん)
・ 石狩川河口の変遷
・ はまなすの丘観察
7 月 21 日(金)
・生活の中の石狩浜
5名
・石狩浜での生活や漁業について(講師:地元漁師
本間
清一郎さん)
・ はまなすの丘観察(湿原)
8 月 4 日(金)
・親船名無沼、志美北三線海岸林、石狩川右岸地域(聚富
7名
海岸、旧知津狩川河口)視察(講師:石狩市緑化推進協
議会会長
8 月 24 日(木)
阿部義孝さん)
・ 自然ガイドのコツと実践(講師:北海道ボランティア
4名
レンジャー協議会会長田村さんより)
・ はまなすの丘でガイドの演習
3.企画展「石狩浜の名もなき沼の生きものたち」
平成 17 年度に行った石狩浜親船名無沼総合調査の結果をまとめ、企画展示を行いま
した。企画展示は、調査に取り組んだ石狩自然誌研究会、石狩砂丘の風資料館、札幌
市博物館活動センターと共同で行い、表 1-3 のとおり巡回しました。
当センターにおける期間中の来館者数は、552 名でした。
表 1-3
企画展開催状況
開催期間
会場
8 月 5 日∼8 月 20 日
石狩浜海浜植物保護センター
8 月 22 日∼8 月 27 日
石狩市民図書館
9 月 9 日∼10 月 7 日
札幌市博物館活動センター(札幌市中央区北1西9)
10 月 21 日∼11 月 26 日
いしかり砂丘の風資料館
4.冬季学習会
市民が自然環境やその保全について理解を深め、活動に取り組めるよう、表 1-4 の
とおり学習会を開催しました。
3
表 1-4
開催日
冬季学習会開催状況
テーマ
2 月 23 日
(金) 石狩の海岸林
講師
参加者数
北海道立林業試験場
26 名
真坂一彦氏
3 月 10 日
(土) 石狩の外来動植物
北海道立旭川高等看
20 名
護科学院非常勤講師
斉藤和範氏
3 月 31 日
(土) 石狩の外来動植物
同上
11 名
(ザリガニ、カエル、エビ類について)
4.小中学校への学習指導
平成 18 年度は、表 1-5 のとおり、小学校が当センターを利用した学習に取り組みま
した。
なお、年度当初に、石狩浜で取り組める自然や環境保全に関する学習プログラムを
示した「石狩浜学習のすすめ」を、市内の小中学校へ配布しました。
表 1-5
日にち
小学校名
小中学校利用状況
人数
指導内容
指導員数
6 月 29 日
(木) 花川小学校 4 年
63 名
展示解説
2人
8 月 25 日
(金) 八幡小学校 4 年
33 名
はまなすの丘で自然観察、
2人
保護センターの展示解説
9 月 13 日
(水) 八幡小学校 4 年
32 名
海浜植物の特徴と漂着物観
2人
察
9 月 27 日
(水) 八幡小学校 4 年
33 名
海浜植物が荒らされている
2人
現場の観察
10 月 4 日
(水) 八幡小学校 4 年
33 名
ハマボウフウ種子播種
1人
10 月 26 日
49 名
展示解説、ヴィジターセンターで自
3人
(木)
花川南小学校
5年
11 月 1 日
(水) 花川南小学校
然解説
49 名
5年
展示解説、ヴィジターセンターで自
3人
然解説
5.講師派遣事業
平成 18 年度、講師派遣の依頼を受けて講義等を行った事業は表 1-6 のとおりです。
なお、海浜植物保護センターで行った講義等については、次の項に含めました。
4
表 1-6
講師派遣状況
日にち
行事名
主催
会場
参加者数
6 月 3 日(土)
石狩大学博物学科
石狩砂丘の
石狩市民図書館
40
札幌市西区
20
風資料館
11 月 18 日(土) フォレスターズクラブ
合同総会
フォレスターズクラ
ブ
6.施設利用
平成 18 年度の海浜植物保護センターにおける団体利用状況を表 1-7 に示しました。
なお、これらはあらかじめ利用申し出があった団体です。
資料として、センター施設利用者の意見や感想を 13 ページに掲載しました。
表 1-7
海浜植物保護センター団体利用状況
日にち
利用団体
人数
内容
6 月 11 日(日)
こどもエコクラブ紅南探検隊
6
センター見学・クラ
フト
6 月 24 日(土)
北海道自然観察協議会全道研修会
40
研修会
6 月 25 日(日)
日本自然保護協会主催海岸植物群落調
40
研修会
査研修会
6 月 25 日(日)
小樽博物館友の会
45
センター見学
6 月 30 日(金)
札幌広域圏観光資源現地視察
22
はまなすの丘視察
案内
7 月 1 日(土)
伊達市ネイチャーウォッチングクラブ
20
センター見学
7 月 9 日(土)
北海道新聞社主催
48
センター見学
7 月 12 日(水)
群馬県大泉町議会
8
センター見学
7 月 24 日(月)
若葉幼稚園
78
苗移植
7 月 26 日(水)
北海道石狩支庁教員 10 年目研修
25
研修会
8 月 17 日(木)
小樽教員地図研究会
60
センター見学
8 月 19 日(土)
いしかり KIDS21
15
苗移植
9 月 6 日(水)
茅ヶ崎市 NOP 法人「ゆい」
2
研究のための植物
自然ウォッチング
採取
10 月 25 日(水) JICA 研修
18
センター見学
7.刊行物・HP
平成 18 年度に配布した刊行物等の配布状況は表 1-8 のとおりでした。
HP は、
http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/kaihinsyokubutu/index.htm で配信し、
行事情報、開花情報を中心に更新しました。
5
表 1-8
刊行物名
刊行物発行状況
内容
配布場所
配布数
通信誌
浜の自然情報やセンターの行事予定など 海浜植物保護センター
各 号 約
「はまぼうふう」
を掲載。
700 部
と市内外公共施設
vol.15,16、17
石狩浜自然観察
石狩浜の自然の成り立ち、動植物の
ハンドブック
特徴や観察のポイントなどをイラストや写
海浜植物保護センター
1531 部
真で紹介。散策時に持ち歩けるハンデ
ィ型。
リーフレット
「花散策」
パンフレット
はまなすの丘で見られる花を写真で 海浜植物保護センター
464 部
紹介
海浜植物保護センターの施設紹介
「石狩浜海浜植物
海浜植物保護センター
3997 部
と市内外公共施設
保護センター」
8.海浜植物種子の配布
来館者が来訪の記念に海浜植物の種子を持ち帰り、自宅の庭など身近な場所で育て親し
みをもつことで、再度自生地である石狩浜を訪問するきっかけになるよう、また、ハマボ
ウフウについては、センター前の砂丘に自主的に蒔けるよう、海浜植物の種子を来館者へ
配布しました。種子は、小さなビニール袋に、植物種の解説と育て方を書いたシートとと
もに入れ、9 月 15 日から 11 月 3 日までの期間、配布しました。配布した種子の種類と数
は、表 1-9 に示しました。なお、ハマボウフウとカシワ以外は、つくった袋すべてを配布
しました。
表 1-9
海浜植物種子配布状況
種類
配布袋数
エゾカワラナデシコ
155
カシワ
43
ハマエンドウ
99
ハマハタザオ
81
ハマヒルガオ
76
ハマボウフウ
174
ハマボウフウ(砂丘播種用)
84
9.施設利用の変更
これまで、利用するには職員への申し出が必要だったシンボル塔は、開放し、自由
に利用できるようしました。
事務室として職員が使用していた部屋を、ボランティアさんが活動できるスペース
を広く設け、ボランティア活動室を兼ねるようにしました。
展示室に新たな展示台を設け、既存のイスは撤去しました。
6
2.調査・研究
平成 18 年度の主要な調査研究は、以下のとおり実施しました。
1.海浜植生モニタリング調査
平成 14 年に行った海岸草原植生固定調査区の再調査で、ススキやカモガヤの増加の
程度、ハマナス群落の減少の程度を調べました。
調査区は、海水浴場西端から志美北三線までの約 3km の海岸砂丘上で、汀線から 100m
∼250m の海岸草原内にあり、18 箇所で調査を行いました。調査は、5m×5m の方形調査
区内の生育植物種とその被度、群落高を調べました。9 月 26∼10 月 2 日までの 5 日間、
4 名の市民調査員により実施しました。
2.海岸草原における車乗り入れ柵設置
後の植生回復状況モニタリング調査およ
び移植試験
平成 17 年 8 月に、北海道札幌土木現
業所が管理する海浜地約 3km の範囲に、
車乗り入れ防止柵が設置されました。
これにともない、車走行跡の裸地がど
のように植生回復するかを把握するた
め、北海道大学大学院農学研究科と共
同でモニタリング調査区を設置し(図
図 2-1
植生回復状況モニタリング区設置箇所
2-1)
、調査に取り組んでいます。
および移植試験区調査
3.植物開花状況、野鳥の定期観察、希少植物生育状況調査
石狩浜の自然の基礎情報の収集のため、4 月から 10 月まで月 2 回、植物の開花状況
および観察される野鳥を記録しました。調査時に開花植物等の写真撮影も行いい、調
査後、開花情報としてセンター展示室に掲示しました。
また、希少植物については、生育箇所を確認し、株数を記録しました。
延べ 88 名の市民ボランティアの方々が取り組みました。
表 2-1 調査実施日と参加人数
4/5
4/19
5/3
5/17
6/7
6/21
7/5
7/19
8/2
8/16
9/6
9/22
10/4
10/18
2
10
8
8
11
9
5
9
6
5
6
3
4
4
4.自然情報の収集・まとめ
これまで発行している石狩浜海浜植物保護センター調査研究報告は、表 2-2 のとおり
です。なお、平成 18 年度の調査結果については、平成 19 年度に発行を予定しています。
7
表 2-2
石狩浜海浜植物保護センター調査報告書
報告書名
年度
石狩浜における植生モニタリング区の設置と 14 年間の植生変化(2002 年度調査) 1 号
石狩川河口湿地部における植生モニタリング区設置と植生概要(2003 年度調査)
2号
石狩海岸林の植生概要(2004 年度調査)
3号
定期観察による石狩浜の植物開花状況(2004 年/2005 年)
4号
3.見本園の整備・苗の育成
1.見本園
海浜植物保護センターの見本園は、展示施設に隣接した約 2,100m2の敷地です。約
半分は自然植生ですが、石狩浜で見られるおもな植物が観察できるよう、温室で種子か
ら育てた苗も移植して、半人工的に海浜植生をつくっています。
平成 12 年度のオープン以来、裸地への移植を積極的に行ってきましたが、現在では、
ハマニンニクとコウボウシバの繁茂が著しく、他の海浜植物が観察しずらい状況になっ
たため、刈り取りや掻き起こしによる除去を行っています。また、ススキ、アキグミ、
外来植物も増加したため、これらも積極的に除去しています。
移植した海浜植物は、数年で株が衰退してくるので、新たに育成した苗を移植して
います。
温室の南側は、はまなすの丘の湿原に自生するおもな植物を観察することができる
よう、湿地環境をつくり、タチギボウシやノハナショウブなどを移植しています。
平成 18 年度は、温室と展示室にはさまれたスペースに、ハマボウフウの種子採取を
当センター内でできるよう、ハマボウフウを播種しました。
海水浴場・石狩湾
図 3-1
見本園概況
8
2.苗の育成・提供
海浜植物保護センターでは、見本園や裸地化した海浜地などへの移植、市民への普及
啓発のための配布、試験研究への提供を目的として、約 20 種の石狩浜自生植物の苗を
作っています。平成 18 年は、一部は見本園へ移植しましたが、大部分は 2 年目の苗に
育てています。
また、平成 18 年度は、表 3-1 のとおり依頼に応じて苗を提供しました。
表 3-1
海浜植物苗の提供状況
提供先
目的
提供苗
石狩小学校
海浜植物園づくり
ハマボウフウ、エゾカワラナデシコ、
イソスミレ、ハマハタザオ、ハマヒ
ルガオ、ヒロハクサフジ
北海道工業大学と
紅葉山公園における湿生植
ノハナショウブ、カセンソウ、クサ
石狩市環境課
物による水質浄化試験
レダマ
4.環境整備事業
石狩浜の自然に親しみやすい環境づくりのため、新たに観察路をつくったり、外来植
物の除去を行うなどの活動に取り組みました。
1.親船名無沼観察路
通称親船名無沼は、平成 17 年度に行った動植物相調査により、水生動植物が豊富に
生息生育することがわかりました。そこで、多くの人が沼の自然に親しめるよう、動植
物の観察をしやすくするため、道路から沼岸まで近づける歩道をつくり、観察場をつく
りました。
図
通称親船名無沼の位置
2.海浜植物保護センター∼弁天歴史公園散策路
これまで、海浜植物保護センターから弁天歴史公園などの周辺施設へ行くには、車道を歩
かなければなりませんでしたが、海浜植物などの自然に親しみながらのんびり散策して廻れ
るよう、「海浜植物保護センター」→「弁天歴史公園」→ブロンズ像「無辜の民」→「ヴィ
9
ジターセンター」を結ぶ散策路を検討することとしました。
平成 18 年は、海浜植物保護センターから弁天歴史公園までの間に、海浜植物群落やニセ
アカシア林を通る散策路をつくりました。
図
海浜植物保護センターから弁天歴史公園までの散策路のルート
3.外来植物の除去作業
はまなすの丘の木道周辺は、多くの観光客や散策者が訪れ、石狩川河口の海浜植物
群落の景観を楽しむ場所ですが、ニセアカシア、カモガヤなどの外来植物及び内陸性
植物のススキが増加し、景観が損なわれつつあります。そこで、木道周辺に限り、外
来植物等の除去作業に取り組むこととしました。
平成 18 年は以下のとおり実施しましたが、
除去作業が必要な箇所は多く残っており、
次年度以降も継続する必要があります。
表 7-1
はまなすの丘外来植物除去作業実施状況
日にち
参加者数
参加者所属団体
4 月 26 日(水)
15 名
石狩浜夢の木プロジェクト、石狩市緑化推進協議会、
10 月 16 日(月) 19 名
石狩植物愛好会、北海道大学大学院農学研究科
5.地域交流事業
石狩浜での海浜植物の保護活動を、各地の海岸に広げていくことを目指し、海辺の自
然保護活動に取り組む団体と交流を図っています。
平成 13 年より、各地で交流会を開催し、各地域の活動の情報交流を行っています。平
成 18 年は、宮城県名取市と七ヶ浜町で第 5 回ハマボウフウ交流会が開催され、当セン
ターは、ポスターによる参加とし、活動の状況を報告しました。
なお、第 5 回ハマボウフウ交流会には、7団体が参加し、海浜植物の保全活動や、ハ
マボウフウの栽培、商品化に取り組む活動などの報告が行われました。
10
6.札幌近郊花めぐりスタンプラリー
札幌近郊花めぐりスタンプラリーとは、札幌近郊に多数ある花施設のネットワーク
化を図りフラワーツーリズムの振興を目的として、花の名所 15 施設を巡るスタンプラ
リーです。
海浜植物保護センターは、札幌近郊花めぐりスタンプラリーに実行委員として参加
し、
平成 18 年 4 月 29 日から 10 月 9 日までの期間、
石狩浜でのラリーポイントとして、
海浜植物保護センターとヴィジターセンターでスタンプ帳の配布およびスタンプの押
印を行いました。
7.来館者数
平成 18 年度の開館期間中(4 月 29 日∼11 月 3 日)の来館者数は、7,152 人でした。
月別来館者数は、図 6-1 に示しました。また、平成 12 年度からの来館者数の変化を図
6-2 に示しました。
今後は、石狩浜の自然情報発信機能の強化し、自然探訪者の来館を増やすとともに、
展示を参加型、体験型に改め、リピーターの増加、幅広い年齢層の来館者の増加を目指
して行きます。
2,000
人
1,500
1,000
500
0
4月
5月
図 6-1
6月
7月
8月
9月
10月 11月
平成 18 年度来館者数の季節推移
10,000
人
8,000
6,000
4,000
2,000
0
H12
H13
図 6-2
H14
H15
H16
H17
平成 12∼18 年度の来館者数の年変化
11
H18
8.保護・回復対策
1.海浜植物保護地区の監視
石狩市石狩川河口海浜植物等保護条例によって定めている石狩川河口海浜植物保護地
区において、4 月から 10 月まで、監視員 2 名により、ハマボウフウなど海浜植物の採取
や、車の乗入れ等を防ぐための監視を行いました。
監視報告によると、春先はハマボウフウの採取者が多く、監視による採取防止効果は
大ききと思われます。また、海水浴シーズンは、キャンプ等で保護区内に進入する利用
者が多い状況です。秋には、ハマナスの実を採取する人が増えており、季節を通じた監
視員の配置効果が表れています。
平成 18 年度は、保護区の看板の数を増やす、海側から保護区への立ち入りを防ぐため
のロープ柵を延長するなどして、保護区への立ち入り防止対策を講じました。
2.車乗入れ防止柵の設置・維持管理
図 6-1 に示すとおり、石狩浜海水浴場を挟んで東西に約 1km の範囲は、平成 4 年より
石狩市が車乗入れ防止柵を設置し、車走行による植生の破壊を防いでいます。平成 18
年度も、引き続き柵を設置しました。
石狩湾新港側約 3km の海岸保全区域には、北海道札幌土木現業所が、
「石狩湾沿岸海
岸保全基本計画」(平成 15 年、北海道)に基づき、車乗り入れ防止柵を設置しました。
しかし、どちらの地域においても、サンドバギー車やモトクロスバイクがトラロープ
を切ったりくぐったりして植生上へ進入している状況が複数回確認され、特に石狩湾新
港に近い箇所で進入が多いことがわかりました。
切断されたロープについては、札幌土木現業所が管理する区域においても、協議によ
り、定期的に補修しました。
石狩川河口海浜植物等保護地区
車乗入れ防止柵設置区(石狩市)
平成17年車乗り入れ防止柵設置区
(札幌土木現業所)
石狩浜海水浴場
石狩浜海浜植物保護センター
海岸防風保安林
図 7-1
車乗り入れ防止柵設置区および保護区の位置
12
はまなすの丘公園
資料
行事参加者アンケート結果
1.自然観察会・企画講座(回答数 5/13:13、6/10:9、7/15:19、9/9:10)
この観察会は何で知りましたか?
どのようなことを期待して参加しましたか?
広報いしかり
26
自然とふれあう
28
ちらし
3
動植物の生態について学ぶ
12
新聞
6
植物の名前を覚える
28
その他(通信誌・HP など)
15
ガイドや学習指導に活かす
4
石狩浜について知る(5/13,6/10 に設問)
9
絵手紙や俳句などの材料集め(5/13,6/10 に設問)
0
内容はいかがでしたか?
とてもわかりやすかった
30
家族とのふれあい(5/13,6/10 に設問)
0
わかりやすかった
15
体を動かす(5/13,6/10 に設問)
3
ふつう
3
地域の自然環境について学ぶ(7/15,9/9 に設問)
20
わかりにくかった
0
地形・地質について学ぶ(9/9 に設問)
5
聞こえにくかった
5
その他
5
難しかった
0
もっと詳しく聞きたかった
0
もっと歩きたかった
0
2.こども自然教室(回答数 7/8:11、9/23:16)
楽しかったこと、よかったことは?(7/8)
楽しかったこと、よかったことは?(9/23)
クイズ
5
フィールドビンゴ
3
フィールドビンゴ
6
リース作り
5
砂浜たんけん
7
カシワ林
4
コウボウムギのフデづくり
4
砂浜に流れ着いたものさがし
1
おべんとう
6
おべんとう
3
親子でふれあえたこと
2
ハマナスジャムづくり
5
友達ができたこと
3
クラフト
16
いろんな発見があったこと
7
いろんな発見があったこと
2
花がたくさん見れたこと
6
友達ができたこと
0
その他
1
親子でふれあえたこと
1
楽しくなかったこと、嫌だったことは?(7/8)
楽しくなかったこと、嫌だったことは?(9/23)
なし
8
なし
14
ある(暑かった、長かった等)
3
ある(暑かった等)
2
指導はわかりやすかったですか?
7/8
9/23
とてもわかりやすかった
10
10
まあまあわかりやすかった
1
わかりにくかった
0
7/8
9/23
ぜひ来たい
6
7
5
機会があれば来たい
5
8
0
もう来たくない
0
0
13
また来たいと思いますか?
センター利用者アンケート結果
(回答数 31)
どちらからおこしになりましたか
石狩浜へは年に何回来られますか
石狩市内
3
今回が初めて
13
札幌市
12
数年に一回
8
上記2市以外の北海道内
11
年に一回
2
北海道外
5
年に複数回
8
当センターについて何で知りましたか
当センターの利用目的は?
新聞・情報誌
1
自然学習や情報の収集
13
インターネット
2
行事への参加
0
ヴィジターセンターでの情報
7
観光・見学
17
看板
2
休息
4
この場所を通りかかって
17
その他(学校の実習など)
2
口コミ
1
その他(学校・スタンプラリーなど)
5
■ センターを利用して良いと思われた点、改善した方がいいと思われた点、感想等
・ 職員さんに丁寧な説明をしていただいた。今後もお願いします。。
・ 豊富な資料がそろっていて大変勉強になりました。
・ いろいろ体験できるところがあって、工夫があってたのしかったです。
・ 展示物が手作りできれいに作ってある。市民が関わって活動していることがわかる。
フィールドマップの右に生きものの暦があると、見る順番が少し混乱する。浜にながれ
ついたものを、植物の展示の前に置くと、何を見ているのかわからなくなる。全体的に
きれいで落ちついている。見本園があるのがいい。
・ シンボル塔で望遠鏡でいろいろ見られるからいい。
・ 場内設備がよく、大切に施設を利用していると思いました。
・ 建物は立派であるが、展示物は散漫な印象を受ける。花の写真と解説、代表的な植物の
展示のみならず、来館者の石狩浜の自然への関心をひくような、他分野とも連携を持っ
た立体的な展示(内容・方法)をお願いいいたします。(北海道の中での位置づけ、歴
史や考古学とのつながり、地理・地形学的アプローチ、実物や模型の展示等)
・ 視覚的・触覚的に展示があってすばらしい。私も札幌市の公園で展示をつくったりして
いるので、とても参考になりました。ぜんぶマグネットを使って取り外しできるのは便
利ですね。
・ 展示品がたいへんわかりやすく、見やすく配置されていて楽しめた。特に手作り標本は
すばらしい現地の花の様子がわかってよい。
・ 以前から比べて、石狩の浜がとても汚くなっており、環境を守ることの大切さを感じる
・ 浜に駐車できないところに車がけっこうおかれてたのと、メチャメチャにつぶれた車 2
台をみました。次からこの通りを走るのは少し怖いと思いました。自然がたくさん見ら
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れたのは、すてきでした。
・ もう少し明るい感じにするといいと思う。実物がおいてあるところがいい。
・ コンパクトによくまとめられていて感心しました。
・ 無料なのはびっくりしました。
・ 少し訪れる時期が早かったようで、植物がもっと咲いているときにまた、来たいです。
・ 自由に動かせる写真パネルがよかった。植物のタネを実際に観察できて良い。駐車場を
もっとわかりやすくしてほしい。
・ 静かで落ちつく。
・ テーマ別でゆっくりと石狩浜の状況がわかるように説明されててよい。
・ 自転車が無料で借りられてよかったです。
(来るまでしりませんでした。)また遊びに来
たいです。
・ 自然ガイドさんに出会って、ひとつひとつの花や生きもののことを話してもらい、さら
に興味がわいてきました。
・ よいセンターの内容だと思います。野鳥の観察の望遠鏡の位置がよかったです。
・ 今年は花の時期が少し遅れているように感じられた。観光客のセンター利用がもっと多
くなればいいのですが・・・。
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沿革
海浜植物保護センター開設の目的
石狩海岸地域は、北海道自然環境保全指針において「すぐれた自然地域」に
抽出されるとともに、大都市近郊において、海岸砂丘生態系を色濃く残す自然
海岸として、全国的にも大変貴重な場所となっています。しかし、美しい海浜
植物や雄大な海浜景観は、レジャーをはじめとする過度な利用により、次第に
失われつつあります。
このような状況において、豊かな海辺の自然を市民共有の財産として保全し、
後世へ残して行くためには、市民、行政、研究機関とが協働して普及啓発活動
や調査研究活動に取り組むことが不可欠です。石狩浜海浜植物保護センターは、
その活動拠点として、平成12年4月に開設されました。
施設と業務内容
施設は、①海浜植物の保護についての調査・研究、②石狩浜保全への啓発、
を目的としたもので、屋内は、大きく展示室と実験室、屋外は、温室と見本園
に分かれています。
展示の方針は、来館者に海浜植物はじめとする石狩浜の自然情報の提供や保
全活動状況の紹介、作品展示などを行うことができる、更新性を備えた市民参
加型の展示としています。また、展示室は研修機能を備え、フィールドと一体
となった研修の場を提供しています。
見本園は、石狩浜に生育する海浜植物を一同に集め、その生態観察、および
市民による移植を行う場となっています。なお、一部は、調査・試験区となっ
ています。
調査研究機能としては、保全に向けた海浜植物の生態研究のために、実験室、
および研究対象植物を育成するために温室が備わっています。また、温室は、
見本園や植生復元のために移植する苗を育成する場所となっています。
海浜植物保護センター施設略図
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以下、保護センターにおける主要業務を示します。
○ 啓発・普及業務
展示施設・見本園の整備・更新
施設見学者への対応
市民講座・観察会等の開催
市民に対する情報提供・機関紙の発行・ホームページの管理・運営
ボランティア・各種団体・研究機関との連絡調整
○ 調査・研究業務
石狩浜の動植物の生息、生育状況に関する調査
海浜植物の復元と増殖に関する研究と実施
海浜植物の保護・保全計画の立案と実施
ボランティアグループの調査研究活動支援
管理運営・組織図
運営委員会
(公募市民等によりセンターの事業計画を審議する)
センター長
(センターの管理・運営を統括する)
顧問
(置くことができる)
事務職員 (係長と技術職員が、センターの事業計画立案・運営業務を行う)
受付・作業員
(委託職員が、施設の管理業務を行う)
市民ボランティア (研修会や観察会等の講師、作業への参加、保護計画への提言)
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平成18年度石狩浜海浜植物保護センター活動報告書
平成19年5月発行
発行 石狩市
編集 生活環境部石狩浜海浜植物保護センター
〒061-3372 石狩市花川北1条6丁目 30-2
tel.0133-72-3240 fax.0133-75-2275
email [email protected]
HP http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/kaihinsyokubutu/index.htm