小学校 5年 理科 2人1台タブレット も のの と け 方 ロイロノートスクール実践事例集 京都市立錦林小学校 長野 健吉 教諭 パフォーマンス課題を解決しよう 実践の概要 今ま で の 知 識 を ロイ ロ ノ ー ト に た め て 、 実 験 計画書を作り、パフォーマンス課題を解決します。 初め に パ フ ォ ー マン ス 課 題 文 、『 パ ン ケ ー キ を作ろうとして、小麦粉と砂糖を混ぜるところを、 まち が え て 小 麦 粉と 食 塩 を 混 ぜ て し ま っ た 。 食塩だけを取り出すためにはどうしたらよいだろうか』を 提示します。 パフ ォ ー マ ン ス 課題 文 を 解 決 す る た め 、 グ ル ープごとに作成した実験計画書に従って実験します。 小麦 粉 か ら 食 塩 だけ を 取 り 出 す 実 験 の 様 子 を 、仮説、結果、結論などの文や、粒子モデル、画像、 映像 な ど で 記 録 しな が ら 進 め て い き ま す 。 なぜ そ の 実 験 計 画で 進 め て い く の か 、 根 拠 を もって説明することや、視点のはっきりした記録を残すこ とで、 「再 現 性 」 の 観 点か ら 説 明 し よ う と す る 姿 勢 を育て、確かなプレゼンテーションを展開できるようにします。 最後 に 、 授 業 の 振り 返 り と し て 、 2 0 0 字 程 度で今回の授業をまとめるポートフォリオシートを作成し ます。 ロ イ ロ ノ ー ト導入のメリット ・ パ フ ォ ー マ ン ス 課 題 で は 、 こ れ ま で の 学 習 を生かすことが求められます。毎授業ごとに実験の様子、 結 果 、 結 論 を テ キ ス ト カ ー ド に 記 録 し 、 映 像や画像も蓄積していくことができるロイロノートによって、 これまでの学習を生かしやすくなりました。 ・ ロ イ ロ ノ ー ト で は 、 学 習 し て き た 結 果 を カ ードとして残しておけるので、課題への意欲増進と、 学 習 そ の も の の 意 義 を 、 児 童 自 身 が 感 じ な がら進めることができます。 ・ 課 題 の 解 決 に 必 要 な 要 素 を 、 カ ー ド の 取 捨 選択という形でできるので、ロイロノートは能動的に 学 習 す る こ と を サ ポ ー ト し て く れ ま す 。 そ れによって児童を、仮説をもとに実験計画を立てるという姿に 高めることができました。 ・ な ぜ そ の 実 験 が 必 要 な の か を 、 児 童 自 身 が 導くことができる手立てとして ロイロノート導入のメリットがあります。 実践 の 目 標 も の の 溶 け 方 の 規 則 性 や 、 単 元 で の 既 習 事 項 を 活用して、実験計画を元に食塩と小麦粉の混合物から、 食塩だけを取り出すことができる。 実践 の 場 面 1.本時の学習のめあてと、その到達点、 評価指標(ルーブリック)を設定する パフォーマンス課題文「パンケーキを作ろうとして、小麦粉と 砂糖を混ぜるところを、まちがえて小麦粉と食塩を混ぜてしまった。 食塩だけを取り出すためにはどうしたらよいだろうか。」を再度確認 し、実際に混合物を配布する。 そして、めあてである「もののとけ方の特徴やこれまで学んだことを 活用し、実験計画書をもとに食塩と小麦粉の混合物から食塩だけを 取り出そう。」を分析する。 (まず、「もののとけ方の特徴」とは何かを問い、次に、 「実験計画書で大切なこと」とは何かを問う。) 上記の分析をもとに話し合って、評価指標(ルーブリック)の 設定をする。 本時のルーブリック 【A 評価】・・・均一性などを利用して、正確に実験をし、 食塩を取り出すことができる。 【S 評価】・・・取り出す方法についての理論を確立する。 2 . パ フ ォ ー マンス課題に取り組む グループごとに、前時間に作成した実験計画書に従って実験する。 もののとけ方での既習事項を活用するという条件のため、 溶かしたり、ろ過したり、蒸発乾枯したりする方法をとる。 後の時間に説明することを考え、どのように自分たちが実験したか、 写真や動画で記録しながら進めていく。 3 . パ フ ォ ー マンス課題での結果を 考察する 撮影した動画や画像を元に、実験の再現性や客観性につい て まとめていく。 実験の動画や画像に現象の説明を書き加えたり、実験計画 時に 作成した粒子モデルのカードを動画や画像につなげたりし て、 相手に伝わるよう構成していく。 また、単元のどの学習の結果と結びついているかも明らか にする。 自分の端末に記録できていなかった部分は、コピーを送信 して 情報を補う。 4. パ フ ォ ー マンス課題での結果の 考 察 を 共 有する 実験の過程を順序立てて正確に説明しながら、 実験の結果と考察をプレゼンテーションする。 より客観的に実験するため、自分たちの試した工夫を交えて 説明することで、他のグループの理解を促す。 そうすることで、他のグループの試したことなどが共有でき、 より確かな学びにつなげられる。 5.パフォーマンス課題の解決で考えたことを ポートフォリオシートにまとめる パフォーマンス課題文に対して、どんな実験で、どんな方 法を 用いて、どんな結果を得たのか、授業の振り返りとして、 200字程度でまとめる、ポートフォリオシートを作成す る。 また、他のグループの発表や付け足しを入れて、接続詞を 効果的に配置して論じるように書くことで、確かな学びが 個人に定着していることを確かめる。 単元構想図 「とける」とはどういうことだろう① パフォーマンス課題文 ・ 入 れ た も の が 見え な く な る 。 今流行りのパンケーキを作ろうとして、小麦粉と砂糖 ・ し ば ら く し て 沈ん で こ な い 。 しまった。食塩だけを取り出すためにはどうしたら ・ 水 溶 液 が 透 明 であ る 。 も の が と け る こ と は 、 透 明 な 液 体 に な る こ と であり、 にごったり、底に沈んだりしない。 食塩は水にとけて見えなくなった。食塩はなくなって しまったのだろうか。重さを調べて、水溶液の性質 をまとめよう。③④ ・ 食 塩 の 分 重 た くな る ・ 食 塩 は 見 え な くな っ て も 水 の 中 に と け た の だから 重 さ は 変 わ ら ない 。 ものはとけて見えなくなったが、なくなったわけでなく、 重さは水の重さと、とかしたものの重さの和になる。 を混ぜるところを、まちがえて小麦粉と食塩を混ぜて よいだろうか。 ものの重さはどのようにはかればよいのだろう② 電子てんびんや上皿てんびんの使い方と そのよさを知る。 メスシリンダーの使い方を学んで、正確に水の 量をはかってみよう⑤ また、とけたものは均一に広がっている。 水溶液とはものが溶けている透明な液体である。 食塩は水にかぎりなくとけるのだろうか。⑥⑦ ・水 5 0 m l に とけ る 食 塩 の 量 を 記 録 す る 。 決まった量の水にとける食塩の量には限りがある。 「水にとけるものの量は何によって決まるのだろうか」⑧ ・と か す も の ・ 水 の 量 ・ 水 の 温 度 仮説:水にとけるのもの量はとかすものが変化することによって決まるはずだ⑨ ・水 5 0 m l に とけ る ミ ョ ウ バ ン の 量 を 記 録 する。 決まった量の水にとけるミョウバンの量にも限りがある。 仮説 : 水にとけるものの量は水の量が変化することによって決まるはずだ 条件統制 仮説 : 水にとけるものの量は水の温度が変化することによって決まるはずだ ・と け 残 っ た 食 塩 や ミ ョ ウ バ ン を 、 水 の 量 を 5 0 ml 増やしてとかす。 ・ と け 残 っ た 食 塩や ミ ョ ウ バ ン を 、 水 の 温 度 を 6 0 °C にしてとかす。 と け 残 っ た も の を と か す に は 、 水 の 量 を ふ や したり、温度を上げたりすればよい。 出てきたミョウバンをとりのぞいたら、残った液にはもう ミョウバンはふくまれていないのだろうか。 ・ 水溶液の特徴から考えて、ミョウバンはふくまれているはずだ。 ・ ミョウバンは出てしまったのでふくまれてないはずだ。 と け た も の は 見 え な い が 、 水 溶 液 の 中 に あ る 。また、ろ過し、 条件統制 ろ過の仕方や正しい操作方法や 安全な扱い方を知ろう。 水 の 量 や 温 度 を 変 え る と 、 溶 け て い る も の を 取り出すことができる。 パフォーマンス課題文 ・今流行りのパンケーキを作ろうとして、小麦粉と砂糖を混ぜるところを、まちがえて小麦粉と食塩を混ぜてしまった。 食塩だけを取り出すためにはどうしたらよいだろうか。
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