「炎上」だけで終わらない G型・L型大学論争の深層 1/31 週刊東洋経済

「炎上」だけで終わらない
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G型・L型大学論争の深層
週刊東洋経済
1.大学教員が騒然となったGL案
「大学の大半を職業訓練校に」
冨
山 和 彦 ・ 経 営 共 創 基 盤 CEO が 提 言
文 部 科 学 省 の 有 識 者 会 議 で 、 委 員 の 冨 山 和 彦 ・ 経 営 共 創 基 盤 CE O が 提
言した「GL案」が物議を醸している。
提 言 内 容 は 、大 学 を G( グ ロ ー バ ル )型 と L( ロ ー カ ル )型 に 二 分 す る 。
G型はごく一部のトップ大学・学部に限定した研究を中心とするアカデミ
ックスクールで、グローバルに通用する極めて高度な人材輩出を目的とす
る。そのほか大多数の大学・学部は、地域経済の生産性向上に資する職業
訓練に重点を置いたプロフェッショナルスクールにするというものだ。
2.教育や学校というのはツールとして存在するべき
下村博文・文科相
インタビュー
日 本 の 大 学 進 学 率 は 5 1 % に と ど ま り 、他 の 先 進 国 を 下 回 っ て い る 。そ う
した中、新しい制度設計として実践的な職業教育を行う教育機関を大学的
な位置づけとすることが必要だ。
今の企業は、即戦力となる実践的な技能を持った人材の育成を大学に求
めている。今後日本の経済を活性化するには、教育を見直し、労働生産性
の高い人材を輩出していかなくてはならない。そうした社会からの要請に
応えられる大学や専門学校が生き残る。
3.反論の核心にあるのは大学教員の選民意識
提案者の経営共創基盤
CE O・ 冨 山 和 彦 氏 に 真 意 を 聞 く
日本の大学教育は、平均的な学歴で社会に出て行く大多数の人にとって
役に立たない現実がある。圧倒的多数が中小企業で働いており、そこで必
要なのは、企業を超えて普遍的に有用な専門技能を学ぶ場だ。
提言は、高等教育はアカデミックスクールと実学を教えるプロフェッシ
ョナルスクールの「二山構造」にするべきだと言っている。日本以外の先
進国は基本的に二山構造であり、日本だけ実学の山がないというのは、あ
る種の職業差別と言っても過言ではない。