第2章 教育研究組織

第2章
教育研究組織
【現状説明】
大学の学部・学科、研究科・専攻及び附置研究所、センター等の教育研究組織は、
理念・目的に照らして適切なものであるか。
(1)教育研究組織の編成原理
本学の主要教育研究組織は、文系の社会科学分野を主たる教育研究対象とする学部、
大学院、図書館、大学附置機関としての研究所及びセンターなどからなり、小規模な
がらも商学部、法学部を軸に大学院商学研究科、社会システム研究所等を設けて、本
学の理念、目標等を達成するためのコンパクトにまとまった組織として機能するよう
に、教育研究組織を整備してきた。
(2)理念・目的との適合性
本学は、学部、大学院、研究所等本学の理念、目標等を達成するための組織は一応
整っている。学部は、商学部商学科7コース、法学部法学科5コースの2学部2学科
12コースがある。大学院は、商学研究科商学専攻の1研究科1専攻がある。大学の
付置機関として、社会システム研究所及びアクティブセンター(生涯学習センター)
がある。また、学生の情報教育のために情報スタディルームなどが設けられている。
(3)学術の進展や社会の要請との適合性
学部は、商学部と法学部の2学部を設けており、それぞれの学部の理念、目的等に
そって複雑化する現代社会のニーズに合致した多様な教育研究が行われている。
商学部では、平成21年度よりスポーツキャリアコースを立ち上げ、従来の実学を
中心とする商業教育に加え、スポーツをビジネスサイトから捉え、イベント企画など
のマーケティングやマネジメントのスキルなど、スポーツを科学的に捉える目を養う
と同時に、スポーツの普及や指導に必要な知識も学ぶことができる、新しい形のマネ
ジメントコースにより、さらに充実した教育研究組織としている。
法学部では、平成18年度から従来の3コースのほかに、現代社会と法、スポーツ
システムという新たなコースを新設し、多様化する社会に対応する人材の育成を図っ
ている。また、資格試験の取得だけでなく、公務員採用試験の受験対策も行い、警察
官の採用について県内トップクラスの実績をあげている。
大学院は商学部を基礎として、平成18年4月に商学研究科を設けたが、これは学
部で学んだ基礎知識を土台として、複雑化する現代社会に適応するため、さらに高度
な商学理論、専門知識等を修得する教育研究の場を提供している。
図書館は、教育研究支援機関として利用時間の延長等の利用促進措置が行われてお
り、教職員、学生等の利便性が図られている。
大学附置の社会システム研究所は、現代社会のニーズや今後現代社会に求められる
方向性等に対応するテーマを選定し、学内及び海外研究機関との連携化等を図りなが
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ら、共同研究の成果をあげている。またアクティブセンターでは、本学を広く地域住
民に開放するとともに、地域のニーズに合った講座を開講して幅広い教育を行い、生
涯教育に貢献している。併せて資格取得講座を設け、学生の資格取得を促進している。
また、米国のメンフィス大学、台湾の淡江大学、韓国の大邱大学及び京畿大学、中
国の長春工業大学と交流協定を結び、ニュージランドのワイカト大学も含め学生の短
期海外研修、学生の交流(交換留学生)等を実施し、語学力の向上と異文化理解の促
進を図っている。
情報スタディルームは、学生が自らコンピュータを利用して情報処理関連分野を学
ぶためのコンピュータ室であり、情報メディア課が運営している。学生は授業中及び
夏休み等の大学休暇中を問わず、夜間においても自由にスタディルールを利用するこ
とができる。コンピュータ操作について質問がある場合などには、情報メディア課の
職員が随時サポートを行っている。しかし、社会は刻々と変化し、現代社会の求める
ニーズも従来以上のスピードで多様化してきており、本学においてもこれに対応しつ
つ、上記に掲げた本学の理念、目標等を実現するためには、その方策を検討しなけれ
ばならない。
教育研究組織の適切性について、定期的に検証を行っているか。
研究教育組織は、理念・目的や社会の要請との適合性等が定期的に検証され、第三
者による評価を受けている。大学院は、本学学生のより専門的な教育研究機会を望む
声、地域特性と商業環境の変化に対応できる専門職業人育成の要請を受けて平成18
年度に開設された。
【点検・評価】
(1)効果が上がっている事項
商学部及び法学部は異なった学問分野を教育研究するものであるが、両者に関連す
る学問分野もある。このことから、商学部と法学部の一部科目については、両学部の
学生がそれぞれの学部の科目を履修し合う制度が設けられている。複雑化した現代社
会においては、1 つの学問領域のみから考察したり、あるいは分析するには限界が生
じ、複合的な視点が求められていることからも、これは十分に意義のある制度である。
さらに一歩進めて両学部における共通的な分野の科目を創設し、両学部の学生が商学、
法学の双方の基礎知識が得られるような融合した教育の実施も検討すべきところであ
る。
(2)改善すべき事項
現在、社会システム研究所において学部教員等のための学内研究発表会や共同研
究・プロジェクト研究などを行っている。そのため、関連の予算は研究所に積算され、
学部独自の予算措置が行われていない状況にある。この理由としては、毎年、マイナ
スシーリングが掛けられる財政的理由の他、学部における研究支援のためのスタッフ
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が充分に手当て出来ない人的理由なども挙げられる。とは言え、外部資金の積極的な
獲得も含めた研究支援が求められる中、学部におけるスタッフの充実、独自の予算化
などを含め検討を行う必要があろう。
【将来に向けた発展方策】
(1)効果が上がっている事項
商学部と法学部の共通領域にかかわる科目を創設するなどして、両学部の学生が商
学、法学の双方の基礎知識が得られるような融合した教育の実現に取り組む。また本
学の大学運営の基本方針、社会及び地域のニーズ、学生の要望等を十分考慮の上、組
織の見直しについても検討していく必要がある。
(2)改善すべき事項
学部及び大学院の理念、目標等の達成のためには、教員が社会システム研究所の共
同研究プロジェクトに応募すること以外に、学部及び大学院ごとに共同の研究予算を
計上し、それぞれの組織がその特徴を発揮して、本学の理念、目標等に適合した教育・
研究の成果があげられるような教育研究組織となるよう努める必要がある。
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