平成 22 年度 送研関東支部事業計画

平成 22 年度 送研関東支部事業計画
1.現状認識
(1)外部情勢
全国大で進められてきた基幹系7路線の大型送電線新設も終盤にさしかかり,今年
度は 5 路線が工事完了の予定である。架線電工の稼働計画は,全国大で昨年度とほぼ
同数の 4,000 名弱と想定され,この傾向は 23 年度まで続くものと予想されている。
基幹系大型送電線工事の終息後は,当面一部地域を除き同規模の工事は計画されてお
らず,高経年設備の信頼度確保のための機能維持工事が中心となる。
関東支部管内においては,平成 15 年度を底に立ち上がってきた工事量も新潟中越
沖地震の影響により平成 18 年度から下降を続け,ここ数年の電工稼働実績は過去最
低水準が続いていた。今年度の送電工事量は,引き続き厳しい状況が想定されるもの
の,柏崎刈羽原子力発電所 6 号機,7 号機の営業運転再開の好材料もあり,昨年度に
比較し架空送電線計画工事量は増加となっている。具体的には,平成 22 年度東京電
力の計画予算は平成 21 年度に対し,建設費(請負予想額)で 123%,修繕費で 114%と
なっている。また,平成 22 年度~平成 31 年度の 10 ヶ年における工事計画(請負予想
額)調査の結果では,平成 21 年度に対し,平成 22 年度~平成 25 年度までは 120%~
140%の範囲で右肩上がり傾向,平成 26 年度~平成 31 年度までは 110%~130%の範囲
で推移している。なお,10 ヶ年の工事計画(請負予想額)については,今後の情勢変
化により変動が想定されます。
10ヵ年の工事計画(請負予想額)
160
140
120
100
80
60
40
%
20
0
対
2
1
年
比
(
31
年
度
H
30
年
度
H
29
年
度
H
28
年
度
H
27
年
度
H
26
年
度
H
25
年
度
H
24
年
度
H
23
年
度
H
22
年
度
H
H
21
年
度
)
(2)内部情勢
関東支部会員各社にとっての大きな課題は,短期的には地震の余波により依然とし
て低迷を続けている工事量への対処であり,工事会社は,引き続き経営体質の強化に
主体的に取り組み,実現していかなければならない。関東支部としても,工事管理業
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務の簡素化や処遇改善,工事量平準化など強力に推し進めていただくことを電力会社
に引き続きお願いしていきたい。
また,中長期的な課題としては,今後想定される膨大な量の高経年設備改修に対応
した施工力の確保である。高度成長期に建設された送電設備が 50 年を経過し,その
改良・更新を適切に行う重要性は不変であり,送電工事業界として将来に向けた施工
力整備を適切に推進する必要がある。今回の 10 ヶ年の計画工事量と工事内容調査結
果を踏まえ,関東支部として,将来の施工力の確保に向けた検討を加速しなければな
らない。
大規模災害対応については,事故復旧体制がおおむね整備され,その形骸化と風化
防止のため,緊急時の合同情報訓練を過去6回開催し継続的な改善活動を続けてきた
結果,訓練参加者の対応力も年々向上してきている。今後は,今までの訓練で蓄積さ
れた反省材料を具体的に活動チェックマニュアルへ反映し,より実戦に生かせるよう
引き続き改善に努めていく必要がある。又,一昨年から進めてきた東地域の北海道・
東北・関東 3 支部の緊急時相互応援体制構築に向けて,各支部の条件整備も整ったこ
とから支部間で覚書を締結(H22.3.19 付)した。今後は,災害復旧訓練への相互参加
など実務面の実績を積み上げていきたい。
(3)送研関東支部の取り組み
今後数年間の中で当支部に課せられた大きな使命は,“長期工事計画情報の電力と
の共有化と計画工事量に対応する施工力の確保”であり,将来の施工力をどのように
整えていくべきかがきわめて重要である。具体的には将来の施工力の動向予測を的確
に実施するとともに,将来必要となる人的施工力及び機械力確保のための課題と対応
策を明確にして,電力会社へ提供する必要がある。今後,将来の施工力に関する種々
のシミュレーションが必要となるため,その種の検討に積極的に協力していくことが
肝要である。
また,基幹系大型送電線の新設完了後は,小規模工事や停止工事の比率が高まり,
仕事の内容と質が大きく変化することが想定されるため,補強すべき技術・技能や安
全への取り組みもそれに合わせて整理し,強化策について提案していく必要がある。
技術・技能継承のあり方,安全への取り組み,教育研修など具体的な方策の実践に当
たっては,各部会が連携することが重要である。
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2.前年度事業の成果と課題
前年度各部会活動を通じて得た主要な成果と残された課題を示すと次表の通りである。
各部会の主要な成果と課題
区
分
主
な
成
果
主
○新制度移行の条件整備,調査委託業務の継続的受託
○電工確保策,平準化をテーマに懇談会(H21.4.21)
○現場管理合理化施策に関する提言等への理解活動
推進(意見交換会 H21.10.6, H22.3.26)
○技術者,作業員確保策の検討並びに大型機械工具保
有に関する課題整理
○施工上のリスク抽出と低減,回避方策の検討(FS)
企画運営 ○諮問検討タスク活動を中心に協力(当支部独自調査
結果の反映並びに推進諸施策の水平展開)
部会
(経営資源確保策検討分科会)
○20 年度架線電工の年収及び稼働実態調査のまとめ
と処遇改善に関する理解活動
○基礎工の実態調査結果の最終集約と処遇改善に関
する理解活動
○大型機械工具の保有実態と課題整理
○緊急時体制表の見直しと事故復旧情報合同訓練実
施(沼津支店管内 H21.8.6 実施)
○3支部相互応援体制整備(覚書締結 H21.3.19)
技術部会
○東京電力と協同した施工計画書の標準化検討(基
礎・組立完了)
○技術者の過去 10 ヶ年工事従事経験の調査と課題
○事故・災害防止関連情報の収集と発信
(安全管理者連絡会議:H21.6.25,H21.10.23)
○事故再発防止の検討 2 件及び落下トラブル防止対
安全部会
策の作成と配布
○キーロック方式安全ロープの使用方法作成と周知
○東京電力と合同で講習会を実施(H21.8.24)
○資格認定要綱に基づく新規認定・昇給認定の的確実
施と関連特別講習会の実施(現場代理人・作業班
長・電工)
教育部会 ○資格認定要綱の運用実態を踏まえた継続的な改善
○若手技術者を対象とした合同研修の実施方法検討
○資格認定要綱の改定内容の周知など
(教育管理者連絡会議:H21.6.25,H21.10.23)
要
な
課
題
○工事量平準化のさらなる推進と基幹
系新設終息後の平準化の課題と対応
○現場管理合理化に関する提言のフォ
ローと東京電力のWGへの協力
○保守点検業務の役割分担見直しに伴
う実態把握と課題整理
○施工力の将来予測と整備のあり方
○人材確保に関するこれまでの提言に
対する評価並びにフォロー
○意識調査結果の具体施策への反映と
理解活動の推進
○長期計画工事量に対応した人的施工
力,機械力の検討
○大規模災害復旧活動チェックマニュ
アルの整備・補強
○施工計画書の標準化検討推進と運用
○大型鉄塔の部材交換工法の確立
○長期計画工事量と施工力に関する諸
検討(各種シミュレーションの実施)
○技術・技能継承の現実的な取り組み
○事故防止対策書ほかの速やかな情報
発信
○現場における安全活動推進の基本事
項再徹底
○昨今の災害の傾向と効果的な講習会
の実施
○電工資格制度の継続的改善及びフォ
ロー
○将来動向から見た資格制度の点検
○技術力・技能力強化のための教育研修
の充実
3.本年度事業計画策定方針
前述までの送研関東支部を取巻く環境並びに前年度からの継続案件等を勘案の上,本年
度の事業計画策定方針を次のように定める。
○今年度は,将来の施工力整備のあり方を整理し,会員会社の経営指針の糧となるような
取組みを行うために下記の点に配慮する。
・ 各部会は期待されるルーチン活動を,今日的状況を反映しつつ着実に実践していく。
・ 前年度終息WG等の残された課題については関連部会等で的確にフォローしていく。
・ 将来に影響が大きい経営課題の検討に当たっては,企画運営部会を中心として一体
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感をもって引続き取組んでいく。
○企画運営部会の下部組織である経営資源確保策検討分科会については,人的資源の確保
を目的として技術者,作業員の稼働実態や意識調査を実施し,関係箇所に提言を行って
きたが,今後は継続的なフォローが活動の中心となる。よって,効率的な部会運営の観
点から同分科会は休止とし,施工力整備に関連する課題については引き続き企画運営部
会として取り組んでいく。また,計画工事量に対応した施工力のシミュレーションなど
の諸検討については,技術部会で実施する。
○各種調査及び諸検討を進めるに当たっては,送研だけではその成果が期待できないため,
引続き電力のご支援を頂くこととし,各WG,情報交換会への参加をお願いする。
○本部事業活動に対し全面的に率先協力するとともに,支部の考えを情報発信していく。
4.本年度事業計画の概要【主な項目:●印は重点テーマ】
(1)企画運営部会
○企画運営業務全般(事業運営全般,基礎調査の継続と改善,新公益法人移行対応など)
○工事量平準化,現場管理合理化施策のフォロー並びに保守点検業務の実態と課題整理
●施工力の将来予測と整備のあり方(長期計画工事量情報の共有化)
○送研本部への全面協力(諮問事項検討タスク,課題懇談会との連携)
○ホームページの運営
(2)技術部会
○「大規模災害復旧連絡会議」
災害復旧訓練の継続実施と活動チェックマニュアルの改善
○大型鉄塔の部材交換工法の現場適用に向けた諸検討(東電 WG と連携)
●長期施工力確保に関する諸検討(各種シミュレーションの実施)
○施工計画書の標準化検討の推進と具体的な運用に向けた条件整備(東電 WG と連携)
○技術・技能継承の検討(今後必要な技術・技能整理,今日的な継承のあり方)
(3)安全部会
○事故再発防止策の検討(「事故防止検討 WG」で検討)
○安全講習会の開催(東京電力との共催)
●現場における安全活動推進の基本事項再徹底
TBM-KYの効果的な実施方法の再徹底
○ルーチン業務の継続的実施
(4)教育部会
○資格認定要項の運用実態を踏まえた継続的改善とフォロー
●若年層を対象とした講習会の実施(強度検討などの技術計算力強化)
○ルーチン業務の継続的実施
5.添付資料
関東支部
部会別「活動計画概要」・・・・・4葉
以上
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