土偶は、縄文時代を代表する遺物の一つで、人や 動物の形につくられた土製品です。現在までに日本 各地で約15,000個が発見され、その出土分布は東日 本に多く、西日本には少ないことが分かっています。 そのほとんどは、故意に壊された状態で発見され、 完全な形の土偶は、極めてめずらしく、しかも後に 復元されたものも決して多くはありません。 大きさも、大きいものでも、高さが平均約15∼20 ㎝で、30㎝を超えるものは非常に稀れです。 作り方も初期のものは中実で、新しくなると中空 の土偶が圧倒的に多くなります。 土偶の具体的な用途は、はっきりとは分かっていま せんが、そのほとんどがバラバラに壊された状態で 発見されていることから、呪術や儀礼などと深い関 係があるのではないかと考えられています。西ノ前 遺跡の土偶は高さ45㎝と日本の土偶の中で現在一番 大きく、しかも欠損部がなく完全に復元された学術 的にも、造形的にも縄文時代を代表する土偶です。 ▼問い合わせ/ 舟形町教育委員会 ☎32−2111(内線 521) 国宝 3|広報ふながた 24.4 にしのまえ 平成4年8月、﹁西ノ前遺跡﹂ から出土。縄文 時代中期︵約4, 500年前︶のものと見られま す。高さ ㎝は日本最大、八頭身の姿は足が 長くスマートな女性を連想させます。 このたび、国の文化審議会において、国宝 に指定するよう答申が出されました。 広報ふながた5月号で、 「縄文の女神」 の特集を予定してします。 どぐう 指定名称 土偶 山形県西ノ前遺跡出土 1箇 附(つけたり) 土偶残欠 47点 指定理由 本資料は、逆三角形で扁平に造られた胴 部に、太い角柱状の左右の脚部を接合し、 女性像に仕上げられた縄文時代中期の立 像土偶である。 縄文時代の土偶造形のひとつの到達点を 示す優品として代表的な資料であり、学 術的価値が極めて高い。 所 有 者 山形県(山形県立博物館保管) 年 代 縄文時代中期(今から約4,500年前) 種 別 美術工芸品(考古資料) 日本最大 八頭身 美人土偶 H4.8. 出土(山形県による緊急調査) H6.1.29∼3.31 茨城県立歴史博物館 「東国の土偶展 」 H7.4.20∼8.8 うきたむ風土記の丘考古資料館 特別展示 H7.6.12∼H8.2.29 新発見考古速報展(山形ほか全国巡回) H8.3.13∼6.30 福島県立博物館 「縄文たんけん」 H8.7.23 山形県有形文化財指定 H8.9.17∼12.6 東北歴史博物館 「東北地方の土偶」 H9.9.17∼10.22 山形県立博物館 「日本最大の土偶」 H10.5.21 舟形町中央公民館(重文指定記念) 「縄文のビーナス」 H10.6.6∼7.5 山形県立博物館 「西ノ前遺跡の縄文ビーナス」 H10.6.30 国重要文化財に指定 H10.9.29∼11.28 パリ(フランス) 「縄文展」 H11.4.24∼6.27 山形県立博物館 「やまがたの土偶」 H12.4.29∼6.4 東北歴史博物館 「縄文時代の日本列島‐自然との共生‐」 H12.12.1∼H13.3.31 上海(中国) 「日本文物精華」 H14.8.21∼10.14 福島県立美術館 「東北の美‐縄文から現代まで‐」 H15.10.4∼10.13 舟形町中央公民館 他 「縄文フェスティバル」 H16.7.24∼H17.1.31 ドイツ 「日本の考古‐曙光の時代」 H17.4.1∼6.10 郡山市立美術館 「原始美術の華 縄文土器の造形展」 H18.10.28∼11.26 倉吉博物館 「土偶の美」 H19.1.5∼1.7 山形県立博物館 「西ノ前遺跡の土偶全点展示」 H21.5.2∼6.14 山形県立博物館「縄文ヴィーナス誕生の地」 H21.9.10∼11.21 大英博物館(イギリス) 「土偶展」 H21.12.15∼H22.2.21 東京国立博物館 「国宝 土偶展」 H22.10.9∼12.5 山形県立博物館 「縄文のキセキ」 H23.10.8∼12.11 山形県立博物館 「出羽国成立以前の山形」 縄文の 女神 ∼沿革∼ 45 国宝…特に文化的・学術的価値の高いものとして 文部科学大臣が指定した重要文化財 |2 広報ふながた 24.4
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