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RH‐PAC2地域医療ビジョン・地域医療計画ガイドライン 実践編
千葉県及び三つの医療圏の現況と課題
発表者
浜田淳(岡山大学医学部教授)
既存施策
の評価
地域医療を動かす
千葉県の二次医療圏
医療圏
人口(人)
面積(km2)
RH‐PAC
構成市町村
千葉
958,518
272.08
千葉市
東葛南部
1,714,639
253.84
市川市、船橋市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、浦安市
東葛北部
1,349,606
358.24
松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市
印旛
721,997
691.60
成田市、佐倉市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、印旛郡
酒々井町、栄町
香取海匝
301,252
716.60
銚子市、旭市、匝瑳市、香取市、香取郡神崎町、多古町、東庄町
山武長生夷隅
460,127
1161.32
茂原市、東金市、勝浦市、山武市、いすみ市、大網白里市、山武郡九
十九里町、芝山町、横芝光町、長生郡一宮町、睦沢町、長生村、白子
町、長柄町、長南町、夷隅郡大多喜町、御宿町
安房
137,686
576.90
館山市、鴨川市、南房総市、安房郡鋸南町
君津
330,877
757.83
木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市
市原
283,376
368.20
市原市
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
千葉県の現況
地域医療を動かす
RH‐PAC

千葉県の75歳以上高齢者は2015年の71万人から25
年の107.4万人、35年の111.6万人と著増し、2025年
問題が最も深刻に表れる地域である。

現状では、医療提供体制、介護提供体制とも過少。
今後の超高齢化に向かって迅速な対応が必要

大都市型の千葉、東葛南部・北部医療圏、地方都市
型の君津、山武長生夷隅医療圏など、医療圏によっ
て医療・介護の状況が異なる
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価

地域医療を動かす
RH‐PAC
医療機関・従事者の現状
・人口10万人当たり病院数(4.6)は全国44位(平成22
年)、一般病床数(553)は45位、療養病床数(155)は
45位(平成24年)、人口10万人当たり医師数(164)は
45位(平成22年)、看護師数(524)は46位と、すべて
の指標が低い水準となっている。
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既存施策
の評価
介護サービスの関する現状
地域医療を動かす
RH‐PAC

平成22年の65歳以上人口10万人あたりの介護老人
保健施設の定員は、881.5と全国平均(1040.0)を
15%下回り、全国42位。介護老人福祉施設の定員は
1011.9と全国平均(1367.9)を26%下回り、全国47位

平成22年の65歳以上人口10万人あたりの訪問看護
ステーションは12.6と全国平均(17.4)を下回り、全国
40位となっている。
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
千葉県の課題
地域医療を動かす
RH‐PAC
1 医療・介護資源の不足

一部の医療圏を除いて、全県的に医療機関、医療従
事者ともに不足した医療提供体制の手薄な地域。特
別養護老人ホームや老人保健施設など、介護提供
体制も手薄
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
千葉県の課題(2)
地域医療を動かす
RH‐PAC
2 地域によって状況が異なる

千葉、東葛南部・北部の大都市型医療圏では、拠点
病院が存在しているが、これらの地域の400万人の
人口に見合った需要には対応できていない。一方、
拠点病院が存在していない医療圏もある。
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
千葉県の課題(3)
地域医療を動かす
RH‐PAC
3 2025年問題
 千葉県では、2010年に比べて25年には75歳以上人
口が2倍近く増える。
 特に、千葉、東葛南部・北部の医療圏等は2010年か
ら40年にかけて75歳以上人口が2倍以上に。しかも
医療・介護資源は乏しい

これまでは、年齢層が若く受療率が低く、他の医療圏
でサービスを受けた住民も多かった。

今後は、高齢化が進み、住所地でサービスを受ける
人が増え、介護需要も増大。こうした医療・介護需要
の大幅な増大にどう対応するか?
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
三つの医療圏の現状と課題
地域医療を動かす
RH‐PAC
 東葛南部医療圏(人口171万人)
 君津医療圏(33万人)
 山武長生夷隅医療圏(46万人)

(注)以下の現況と課題は、日医総研ワーキングペーパーであ
る高橋・江口「地域の医療体制の現状と将来」(2014年8月6
日)の千葉県編を参考にさせていただいている。
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
1 東葛南部医療圏
地域医療を動かす
RH‐PAC

75歳以上人口は2010年の12.4万(100)から25年26.6
万人(215)、2040年27.9万人(225)へ倍増。

大学病院、高機能病院、地域の基幹病院が複数存
在。しかし、一般病床数、療養病床数はともに少ない。
人口10万対医師数145。患者の流入、流出が多い。
2025年までに入院需要は47%増大、外来は14%増
大。全国平均よりも非常に高い伸び。
介護需要は44%増大。現状では介護保険ベッドは全
国平均以下。


地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
2 君津医療圏
地域医療を動かす
RH‐PAC

総人口は既に微減。75歳以上人口は2010年3.4万人
から2025年5.8万人へ増加。その後は増えず。

高機能病院はあるが、急性期病床は不足。流出の多
い医療圏。入院患者の26%は、安房、市原、千葉医
療圏等に入院。人口10万人対医師数132人
2025年に向けて、入院需要は28%、外来需要は4%
増大。全国平均並み。
現状では、介護保険ベッドは全国平均よりも多い。25
年にかけて介護需要は34%増加。


地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価




3 山武長生夷隅医療圏
地域医療を動かす
RH‐PAC
総人口はすでに減少。75歳以上人口は2010年6万人
から25年8.7万人へ増加。その後は増加せず。
地域の中核病院がなく、急性期医療が手薄。人口10
万対医師数102人。入院している住民の4割は、千葉、
安房、香取などの医療圏に入院。他の医療圏に依存。
(なお、2014年に東千葉MCが開院)
2025年に向かって入院需要は19%増加。外来は増
減なし。
介護保険のベッドは全国平均レベル。高齢者住宅等
は少し少ない。2025年に向けて介護需要は24%増加。
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
問題提起のための論点
地域医療を動かす
RH‐PAC
1 (県における)地域医療構想と(市町村における)地
域包括ケアのビジョンをどのように連携して策定し、実
現していくか?(殊に在宅医療・在宅ケアの受け皿づく
りをどう進めるか?)
2 「機能分化と連携」に向かって、医療機関の連携や
統合をどのように進めていくか?
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
論点1
地域医療を動かす
RH‐PAC
1 地域医療構想と地域包括ケアのビジョンづくりをど
のように進め、かつ実現していくか?
⇒地域が実際に動かなければどうしようもない!
⇒柏方式から学ぶ意義は大きいのではないか。
(1)市役所、地区医師会、大学が強い連携関係を構築
(2)在宅医療推進の方法論が確立されている(開業医
に対する研修実施、開業医の在宅負担を軽減する仕組
みの開発、コーディネート方法の確立など)
(3)地区医師会と市町村の実態に応じた地域包括ケア
の構築の方法に関する提言も示唆に富む
(参考)東京大学高齢社会総合推進機構編『地域包括ケアのすすめ』
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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既存施策
の評価
論点2
地域医療を動かす
RH‐PAC
2 「機能分化と連携」に向かって、医療機関の連携や
統合をどのように進めていくか?
・厚労省は、地域医療連携推進法人の認定制度の創設
を含む医療法の改正法案を国会に提出
・その目的は、医療機関の機能分担と業務連携を推進
し、競争よりも協調を進め、地域で効率的な医療提供体
制を実現
・統合が現実的には進みがたいことを考慮すると、この
連携推進法人の枠組みを使って連携からスタートする
のも現実的な方策
地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編
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ありがとうございました