RH‐PAC2地域医療ビジョン・地域医療計画ガイドライン 実践編 ステップ5・6/⑤ 住民等と医療提供者の意見の聴取 ~住民・医療提供者合同タウンミーティングの実践から~ 発表者 吉田真季(東京大学公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニット 特任研究員) 坂本憲枝(消費生活アドバイザー) 住民・医療提 供者からの 意見聴取 • RH‐PAC 「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 報告書」で 住民、医療提供者の意見聴取が必須とされた。 現行計画の策定にあたりほぼ全都道府県がパブリックコメント 等を実施。見解・対応をホームページで公表したのは28県。 課題と問題意識: • 地域医療を動かす 住民・医療提供者からの意見聴取とは: • RH‐PAC1ガイドラインでの 推奨内容 住民、医療提供者双方から広くニーズを把握するとともに、代表 である審議会委員等が代弁者として役割を果たせることが課題。 推奨施策とツール • • • • • 推奨施策7 推奨施策8 推奨施策9 推奨ツール 推奨ツール 審議会等への患者・住民参画の必須化 地域医療計画タウンミーティングの開催 医療提供団体中期計画の策定 地域医療計画タウンミーティング開催要項 ご意見集約シート 等 出典:RH‐PAC1地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン 地域医療計画策定プロセスガ イドライン、H‐PAC2,4研究成果物 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 1 住民・医療提 供者からの 意見聴取 実践への課題と論点整理 (RH‐PAC1推奨内容の検討) 地域医療を動かす RH‐PAC H‐PAC/RH‐PAC策定委員アンケート(千葉県の医療審 議会委員を対象に行った調査)では、各推奨施策に 対し「必要である」とのニーズが確認された。 策定委員の挙げた主な課題: 〔住民からの意見聴取〕 • 住民・患者の提案を、計画策定段階から議論に組み込む • 地域の課題を踏まえた上で対話し、提案を聴く • タウンミーティングによる意見の集約 • 住民と医療提供者が共通の場で意見交換し方向性を導く 〔医療提供者からの意見聴取〕 • 多様な医療機関、職種、立場から偏りなく意見を聴取 出典:H‐PAC/RH‐PAC策定委員アンケート(34人の委員のうち12人が回答) 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 2 住民・医療提 供者からの 意見聴取 実践への課題と論点整理 (実践への課題) 地域医療を動かす RH‐PAC RH‐PAC2参加者の挙げた主な課題: 〔住民からの意見聴取〕 • 意見聴取に先だって情報や知識を提供する • 形式的なパブリックコメント収集に終わらず、複数回の意見 聴取を行い施策に反映させる • 幅広い住民から偏りなく意見聴取する • アンケート、タウンミーティング、ヒアリング等の手法を併用 〔医療提供者からの意見聴取〕 • 意見聴取に先だって地域の実情について情報提供する • 多様な医療機関、職種、立場から偏りなく意見を聴取 • 意見を聴取し取りまとめるコーディネーターを養成 出典:RH‐PAC2メンバーからの意見集約(46人が回答) 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 3 住民・医療提 供者からの 意見聴取 住民、医療提供者からの 意見聴取にあたっての課題 地域医療を動かす RH‐PAC 出典: H‐PAC/RH‐PAC策定委員アンケート、 RH‐PAC2メンバーからの意見集約 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 4 住民・医療提 供者からの 意見聴取 従来型のタウンミーティング 地域医療を動かす RH‐PAC 出典: 千葉県ホームページ 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 5 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC2の「住民・医療提供者 合同タウンミーティング」設計概要 地域医療を動かす RH‐PAC 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 6 住民・医療提 供者からの 意見聴取 東葛南部医療圏(船橋市)での 合同タウンミーティング実施概要 地域医療を動かす RH‐PAC 千葉県地域医療計画タウンミーティング in 東葛南部 2015年4⽉4⽇(⼟) 13:30 – 16:00 船橋市中央公⺠館 参加者: • 住民13人(申込21人) • 医療・介護関係者9人(申込12人) • 行政関係者1人 計22人 • 〔オブザーバー:市役所、保健所より7人〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 7 プログラム 13:30-13:35 主催者挨拶 RH-PAC代表世話⼈ 〇〇〇〇 13:35-13:50 みなさんからの事前アンケートについて 1.医療についての困りごとは?〜事前アンケートより RH-PACメンバー 〇〇〇〇 2.こんな⼯夫で解消できる 船橋市内医療機関 〇〇〇〇 13:50-14:25 講演 1.これからの医療を決める「みんなの声」 RH-PACメンバー 〇〇〇〇 2.わたしたちの地域の医療の現状と将来 RH-PACメンバー 〇〇〇〇 <休憩 10分> 14:35-16:00 グループディスカッション みなさんにグループにわかれて話し合っていただきます 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 8 グループディスカッション わたしたちの声を将来の医療に⽣かす⼿段を知り 地域の医療の現状と将来について情報を得た上で 住⺠と医療提供者が お互いに困りごと、要望を伝えあい 共通する課題を抽出する A 現在の課題 B 将来の課題 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 9 グループの構成 住 医 住 住 アシスタ ント (時間管理) 医 住 ファシリ テーター (交通 整理) 書記 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 医 10 グループディスカッションの流れ • 14:35 テーブルごとに⾃⼰紹介(10分) • 14:45 ディスカッションの⽅法説明(10分) • 14:55 困りごと、要望をうかがう(20分) • 15:15 模造紙上で整理、グルーピング(20分) • 15:35 ニーズから課題を導き、キーワード化(15分) • 15:50 各テーブルからの発表(10分) • フロアからコメント 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 11 ニーズを仕分けしながら整理 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 12 会場のようす 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 13 住民・医療提 供者からの 意見聴取 タウンミーティング参加者の 地域医療計画策定への参画意向 0% 25% 50% アンケートで意見を伝える 41% タウンミーティングに参加して意見を伝える 7% 4% 30% 63% 個別にヒアリングを受けて意見を伝える 22% 委員として審議会などに参加し、議論を行う 22% 希望する RH‐PAC 75% 70% パブリックコメントで意見を伝える 地域医療を動かす 15% 11% 希望しない 100% 22% 26% 15% 37% 41% どちらともいえない 22% 26% 26% 無回答 出典:東葛南部医療圏タウンミーティング 事後アンケート(27人が回答) 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 14 住民・医療提 供者からの 意見聴取 慶應義塾大学DP研究センター「討論フォーラム 年金をどう する~世代の選択」 コンセンサス会議:住民から選出したパネルが専門 家と対話しながら議論し、意見をまとめる • がん対策推進協議会「みんなで作るがん政策」 討論型世論調査:一般市民から選出した参加者によ る討論と各プロセスでの調査 • RH‐PAC タウンミーティング:情報提供後のご意見シートを用 いた意見集約 • 意見聴取についての好事例 地域医療を動かす 北海道「遺伝子組換え作物の栽培について道民が考えるコ ンセンサス会議」 県民主体で医療について議論する会議 • 埼玉県「医療を考えるとことん会議」 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 15 住民・医療提 供者からの 意見聴取 地域医療を動かす RH‐PAC タウンミーティングの設計や概要について • • • • • • • • 実践への課題と論点整理 (論点整理) 意見聴取は複数回行う 参加者に対し、当日の議論が施策にどう反映されるか示す 趣旨と目的(分野)にあった人に参加してもらう 多様な住民・医療提供者が場を共有 参加者に事前情報提供を行う 事前アンケートにより幅広いニーズを把握 ファシリテーターの事前研修、進行のルール設定を行う 参加者が気兼ねなく意見を表出できるよう声掛けや工夫が 必要 その他の手法についての論点 • • • 事前のデータ提示、専門家からの情報提供を行う 一度限りでなく複数回の意見聴取を行う 質問票(ご意見シート等)を用いて意見集約 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 16 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC2で提示する 意見聴取の全体イメージ 地域医療を動かす RH‐PAC 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 17 住民・医療提 供者からの 意見聴取 推奨施策(その1) 地域医療を動かす RH‐PAC 住民・医療提供者合同タウンミーティング 医療圏(構想区域)ごとに、分野(疾病・事業)別に開 催する。 各分野について「ニーズ把握(既存施策の評価ステッ プ)」と「施策案への意見聴取(施策の策定ステップ)」 の2回開催する。 医療圏(構想区域)ごとに、各分野について意見を持 つ住民と医療提供者の参加を募る。 住民、医療提供者ともに、幅広い層からの参加を得 るよう配慮する。 円滑な意見表出とまとめを行えるよう、主催側がファ シリテートを行う。 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 18 住民・医療提 供者からの 意見聴取 推奨施策(その1) <続き> 地域医療を動かす RH‐PAC 〔開催回数と参加人数のイメージ(千葉県を例に概算)〕 ◆開催回数:9×9×2=162回 • 医療圏:9 • 分野:11疾病・事業のうち、へき地は該当せず、周産期と小児を同時開催 → 9 • 開催タイミング:「① ニーズ把握」「② 施策案への意見聴取」の2回 ◆参加人数(1回あたり):住民60人+医療提供者20人を想定 • 広報は偏りなく行うが、ある程度関心や意見を持つ人が実際に参加する傾 向は受容する。 • 参加者から聴取しきれない意見については、アンケート等別の手法で補完 する。 ◆主催側に必要なマンパワー(1回あたり):20‐30人を想定 • 80人の参加者を10人ずつ8グループに配分 • 各グループに主催側から3人(ファシリテーター、書記、アシスタント)を配置 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 19 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC アンケート、パブリックコメントによるニーズ把握、施 策案への意見集約 各医療圏×各分野について、アンケートを実施し、住 民と医療提供者の意見を集約する。 施策案への意見聴取段階で、パブリックコメントを募 集し、住民と医療提供者の意見を集約する。 あらゆる属性の住民、医療提供者から回答を得られ るよう配慮する。 • 推奨施策(その2) 地域医療を動かす 可能であれば対象地域での悉皆調査または層別無作為抽 出法による対象者の選定を行うことが望ましい。 ニーズ把握結果を、タウンミーティングの設計・準備 段階でも参考とする。 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 20 住民・医療提 供者からの 意見聴取 推奨施策(その3) 地域医療を動かす RH‐PAC 意見聴取の事前に行う情報提供 タウンミーティングに参加する住民と医療提供者が共 通の知識や情報を持った上で議論できるように、具 体的なデータ・資料の提示やミニ講演による情報提 供を行う。 地域医療計画策定における住民、医療提供者の参 画の重要性についても啓発を行う。 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 21 住民・医療提 供者からの 意見聴取 推奨施策(その4) 地域医療を動かす RH‐PAC グループインタビュー、ヒアリング等による詳細な意 見聴取 アンケート、タウンミーティングを補完する位置づけで、 少数のキーパーソンから詳細な意見を把握する手法 も想定しておく。 特に、患者団体、市民団体、職能団体、医療提供機 関団体等の代表から発信される意見には反映されに くい立場の声を聴取する際には有効な手法と考えら れる。 グループインタビュー、ヒアリング対象者の選定にあ たっては、代表性の担保について考慮する。 グループインタビュー司会者、ヒアリング実施者につ いては、事前に十分な研修を行う。 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住 民・医療提供者からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 22 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC 住民・医療提供者合同タウンミーティング 仕様書 アウトプット:成果物として、審議会、検討会、圏域連携 会議に提出するとともに、一般公開も行う 主催者 • • • 推奨ツール1 地域医療を動かす 都道府県を基本とする 実行委員会等の第三者が主催し、都道府県が共催/後援する 形も想定する。 地域の既存NPOとの連携を積極的に行う 参加者 • • • 地域住民、地域で勤務する医療提供者で、当該回の対象分野 に関心・意見を持つ人 保険者、県会議員/市町村議会委員、学術関係者、メディア等 行政、審議会・検討会・分科会・圏域連携会議等のメンバーがオ ブザーバー参加 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 23 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC 開催単位と分野 • • 推奨ツール1 <続き> 地域医療を動かす 各医療圏(構想区域)×分野(疾病、事業)×「① ニーズ把握」 「② 施策案への意見聴取」 対象者の重複が想定される分野(例:周産期医療と小児医療) についてはまとめて開催することも可 次第イメージ • • • • • 事前アンケート結果の報告とコメント ミニ講演(情報提供)と質疑 グループディスカッション(住民、医療提供者合同のグループを 形成し、主催側がファシリテーションを行う) グループディスカッションの結果報告とまとめ 事後アンケートによる意見集約 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 24 住民・医療提 供者からの 意見聴取 RH‐PAC 住民・医療提供者への事前情報提供イメージ 地域の医療提供の現状と将来 • • • • 推奨ツール3 地域医療を動かす 医療圏の現状(高齢化の状況、当該分野の医療ニーズの状況、 医療機関の分布 等) 医療圏の将来像(高齢化の見通し、当該分野の医療ニーズの 予測、医療提供の拡大/現状維持/縮小の方向性) 現行地域医療計画での記載内容 今後の医療計画づくりで考慮すべき視点(当該地域×当該分 野について) 等 地域医療計画策定における住民、医療提供者の参画 • • • • 地域医療計画とは 策定体制と住民、医療提供者の参画 策定スケジュール タウンミーティングは策定プロセスのどこに位置づくか 等 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 25 住民・医療提 供者からの 意見聴取 まとめ 地域医療を動かす RH‐PAC 住民、医療提供者からの意見聴取方法として、合同 タウンミーティングは一定の成果を見込める タウンミーティングの事前に行う幅広い意見聴取の手 段として、アンケート調査も有効である 施策案に対する幅広い意見聴取の手段として、パブ リックコメントも有効である タウンミーティングやアンケートで把握しきれない内容 を詳細に聴取する手段として、グループインタビュー や個別ヒアリングで補完する 聴取した内容を地域医療計画策定に反映させる仕組 みも同時に整備(他プロセスで提言) 出典: RH‐PAC2地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン プロセス編(住民・医療提供者 からの意見聴取)〔暫定版〕 地域医療ビジョン/地域医療計画策定ガイドライン 実践編 26 ありがとうございました 幅広い立場の住民と医療提供者が意見交換し ともに導いた結果を計画に反映させましょう
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