2015 年度前期有機化学演習第３回炭化水素 1. 分子式 C7H16 を持つすべての炭化水素の構造式と系統的名称を書きなさい。 heptane 2,4-dimethylpentane 2-methylhexane 3,3-dimethylpentane 3-methylhexane 3-ethylpentane 2,2-dimethylpentane 2,3-dimethylpentane 2,2,3-trimethylbutane 2. (1) デカリン（下図）には２つの立体異性体がある。六員環のいす型立体配座がわかるようにそれぞれを図示しなさい。(2) どちらの立体異性体の方が安定か、理由をつけて予測しなさい。 H H HH H C C H C C H C C C C H H HHH H H C H C H H H (1) cis-decalin trans-decalin (2) cis-デカリンは、右の図に示したように 1,3-ジアキシャル相互作用がある。trans-デカリンにはこのような相互作用はない H ため、trans-デカリンの方が安定である。 H 3. 1-Bromo-1-chloro-2-ethyl-1,3-pentadiene のすべての立体異性体を図示し、二重結合の立体構造を(E), (Z)表記で示しなさい。 Cl Cl (Z) Br (Z) (E) Br Br (E) (E) (E) Br (Z) Cl Cl (Z) 4. 次の化合物を、水素と反応した時の反応熱が大きい順に並べ、そう考えた理由を説明しなさい。 CH3 CH3 CH3 CH3 CH3 CH3 CH3 CH3 CH3 > > CH3 CH3 CH3 アルケンの水素化は発熱反応で、上の３つのアルケンからはいずれも同じ生成物が得られるため、水素化の反応熱は原料のアルケンが不安定であるほど大きい。二重結合の sp2 炭素についているアルキル基の数が多いほどアルケンの安定性は高いため、上のような順序となる。 5. (1) シクロヘキシン cyclohexyne は極めて不安定な化合物である。理由を説明しなさい。(2) 単離し得るもっとも小さいシクロアルキンはシクロオクチンである。別の炭化水素を原料としてシクロオクチンを合成する方法を考え、反応式で示しなさい。 cyclohexyne (1) シクロヘキシンは六員環であるため、C-C-C の角度は 120 C‒C≡C の角度は本来 180 であるため、角度ひずみが非常に大きい。 (2) （例） Br2 程度になるが、 Br NaNH2 Br （参考：ブルース「有機化学（上）」9.10、逐次 E2 脱離反応）