炭素から酸素への転位

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.炭素から酸素への転位
炭素から酸素への転位反応として,バイヤー-ビリガー転位( Baeyer-Villiger
rearrangemtnt)反応,フリース転位(Fries rearrangement)反応,クライゼン転位(Claisen
rearrangement)反応があります.クライゼン転位反応はシグマトロピー転位のひとつでも
あります.
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バイヤー-
バイヤー-ビリガー転位反応
ビリガー転位反応
バイヤー-ビリガー酸化ともいいます.ケトンまたはアルデヒドを過カルボン酸で酸化す
るとカルボン酸エステルを与える反応です.
例
H
O
O
O
O
C
R
1
2
C
R
+ R
C
R1
OOH
C
O
O
O
R
R1
O
C
OR2 +
R
C
2
R
図 1.バイヤー-ビリガー酸化.酸化の過程はラジカル反応である.カルボキシが抜け
るとき,-O が生成する.そこへ R が移る.
+
R1
2
または R の移りやすさは次の順序になります.
H > C H > 第3級アルキル > 第2級 >第1級 >メチル
2
-
6
5
フリース転位反応
フリース転位反応
カルボン酸フェニルエステルを AlCl 存在下に加熱すると o-および p-アシルフェノールへ転
位します.
3
O
-
Al Cl 3
O
CH3
OH
OH
O
O
CH3
AlCl3
δor
CH3
C
O
+
+
δO
O
Cl3Al
O
CH3
図 2.フリース転位.
CH3
OH
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反応機構は次のように考えられています.はじめに,AlCl の Al 原子の空の 3p 軌道にエス
テル酸素の孤立電子対が配位結合する,次にカルボニル酸素の孤立電子対のアシストによ
り,正イオンになった酸素原子にσ結合電子対が移動・開裂して安定なアシリウムイオン
(CH CO )を生成する.アシルイオンは強力な求電子試薬で,Cl Al O-はオルト-パラ配向
性置換基ですので Friedel-Crafts 反応のような求電子置換反応がおこります.
3
+
-
3
3
クライゼン転位反応
クライゼン転位反応
アリルフェニルエーテルを加熱することでアリル基がベンゼンのオルト位に転位する反応
です.これはアリル-ビニルエーテルの転位反応とよく似ており,後述するシグマトロピ
ー転位反応と考えることができます.
O
O
OH
O
heat
O
H
図 3.クライゼン転位.この反応はコープ転位と同じくシグマトロピー転位([3,3]シグマ
トロピー転位)の一つである.