館長式辞 - 修猷館高等学校ホームページ

式辞
春の風爽やかに、大地の躍動を感じる今日の佳き日、同窓会・PTAの皆様をはじめ、
多数のご来賓皆様並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、平成二十八年度入学式をかくも盛
大に挙行できますことは、本校にとりまして誠に喜びにたえません。
先程入学を許可しました四百四十名の新入生諸君、入学おめでとう。そして、保護者の
皆様、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
本校は、天明四年(一七八四年)創立、黒田藩藩校、東学問稽古所修猷館を起源とし、
明治四年の廃藩置県による藩校閉鎖等の苦難を乗り越え、金子堅太郎伯による学校設立の
献策を採用なされた、第十一代藩主黒田長溥公のご英断、ご尽力により、明治十八年英語
専修修猷館として再興され、そして、創立以来現在に到るまで、修猷館の名を引き継ぎ、
自ら学び、自ら行動し、社会に貢献できる人材の育成と云う、崇高な理念を掲げて邁進し、
今年が創立二三十二年目となる歴史と伝統を誇る学校です。
諸君は本日から修猷生として、この学舎で大きな夢と希望に胸を膨らませ、新しい時を
刻み始めることになります。そしてここでは、人生を語り、未来を語ることができる、真
の友や師との出会いが数多待っており、勉学に勤しむことはもちろん、部活動や学校行事、
更には生徒会活動にも積極的にチャレンジする中で、修猷生としての自覚を深め、人間と
しての存在意義を自問自答し、社会に貢献できる有為な人材として世界に羽ばたく礎を築
くことになります。今、その胸中は、本校入学に対する喜びと、高校生活への期待に満ち
溢れていることと思いますが、一方で、一抹の不安も感じているはずです。しかし、本校
での生活は、その不安を吹き飛ばしてくれるような密度の濃い、多種多様な学びの連続で
あり、精神的にも、身体的にも著しく成長する、人生の羅針盤となる貴重な三年間となり
ます。是非、自らの可能性を信じ、確かな歴史と伝統に裏打ちされた修猷文化を信じ、自
信と誇りを持って充実した高校生活を過ごせるよう、諸君の弛まぬ努力を期待してやみま
せん。
さて、4月は夢と希望に満ちた新たなスタートの時期であり、訪れた様々な変化が個人
だけではなく、組織や社会全体を刺激して新しい風が吹き始めますが、修猷も例外ではな
く、諸君はその清々しい新風です。そして、この変化を大きなチャンス到来と捉えるとと
もに、論理的且つ柔軟な思考力を駆使して諸事積極的に取り組むことで、学びの場が更に
活気溢れた空間に変容します。夢は、待っていれば向こうからやって来るものではありま
せん。自らが強い意志を持って積極的に行動しなければ実現しないものであり、自ら果敢
に挑み、掴むものです。また、未来は希望と不安でできていると云われますが、希望で満
たされるのか、不安に支配されてしまうのかは、本人の意欲や心の持ち方しだいであり、
何を学び、何を目指すかによって状況は大きく違ってきます。即ち、夢の実現はその心の
在りようで決定づけられるものであり、それが担保できなければ、夢は容赦なく去ってい
くだけなのです。
教育における不易と流行について深く吟味すると、其処には「志」の重要性等、守るべ
き普遍的価値の存在と同時に、時代に翻弄されない変革の必要性も指摘されますが、不易
と流行は、二律背反するものではなく、両立・進化させるものです。そして、人は行動す
-1-
るにあたり、私心に走らず、他者理解を深めるとともに、熟慮を重ねて自らの在り方・生
き方を模索する姿を失ってはなりませんが、これは修猷が歩んできた道であり、継承され
るべき優れた伝統でもあります。夢を語り、人生を語ることが「志」に重みを持たせます
が、その夢が人のためになり、世のためになる、社会に貢献できる夢であることが、高い
志に繋がるものだと信じて疑いません。
一方で求められる変化として、子供から真の大人への精神的な成長があります。高校生
になった今、諸君には自らが責任を持つ言動と行動や、的確な判断力が求められます。我
々は諸君に高校生として相応の自主性と責任感を求めるだけではなく、所謂、大人の態度
を要求します。そして既に諸君には、それらに対応できる能力と判断力が備わっていると
固く信じています。是非今後は、時間をコントロールする計画性や常識を打ち破る柔軟な
思考力に磨きをかけ、様々な学校行事や生徒会活動、部活動等に積極的に取り組み、文武
両道、高い目標を掲げて多方面に果敢に挑戦することで、学校全体が活性化され、諸君の
潜在力が更に引き出されることを期待しています。教育における普遍の哲学を意識し、失
敗を恐れず高い志を抱いた、諸君の懸命に生きる姿こそが、限られた三年間を価値ある一
瞬の連続に変貌させ、そして、そのような姿や精神、志を高く持った生徒で溢れている学
校が真に魅力的な学校であると信じて疑いません。
最後になりましたが、改めまして、保護者の皆様、お子様の本校へのご入学誠におめで
とうございます。私ども教職員一同、全力を尽くして教育活動に専念する覚悟でございま
す。どうか、今後とも本校教育活動に対しまして深いご理解とご協力を賜りますようお願
い申し上げあげますとともに、来賓の皆様、保護者の皆様の本式へのご臨席に重ねて感謝
申し上げ、式辞といたします。
平成二十八年四月七日
福岡県立修猷館高等学校
第31代館長
-2-
江口
善雄