28Q-am036 PGP 誘導剤カルバマゼピンがフェキソフェナジン光学異性体 PK に与える影響 1 1 ◯小島 みどり1, 三浦 昌朋2, 古郡 規雄3, 鈴木 敏夫2 , 宇野 司( 琉球大病院薬, 2 3 秋田大病院薬, 弘前大医学部) 【目的】フェキソフェナジン(FEX)は R-体と S-体の光学異性体を持ち,その薬理活性 は異性体間で同一であるが,体内動態は異性体間で異なる挙動を示す。最近,研究者 らはこれらの挙動は薬物排出トランスポータの P 糖蛋白質(PGP)の関与であること, さらに PGP 阻害薬イトラコナゾールとベラパミル併用で立体選択的な影響があるこ とを報告した(Br J Clin Pharmacol, 65: 693-700, 2008,Br J Clin Pharmacol, 2008 in press)。 一方,カルバマゼピン(CBZ)は,in vitro,in vivo 系ともに PGP 誘導剤として知られて いるが,FEX との併用に関する報告はない。そこで,CBZ が R-,S-FEX 体内動態へ, どのような誘導効果をおよぼすかの検討を行った。 【方法】弘前大学医学部倫理委員会の承認を得て,文面による同意を得た健常成人 12 名(男性 9 名,女性 3 名)を対象とした。FEX 60 mg 単回経口投与群と併用群(CBZ 300 mg を 5 日間前投与し,6 日目に同時投与)の無作為 cross-over 試験を行った。ま た,FEX 投与後 24 時間までの採血と蓄尿を行い,血漿,尿中濃度はキラルカラムを 用いた HPLC-UV 法にて測定した。 【結果・考察】CBZ 併用によって,R-,S-体の Cmax, AUC はともに低下した。特に S体への影響は有意に大きく,FEX 光学異性体間の差異は変化した。しかし,腎クリア ランスは両異性体で変化が見られず,さらに消失半減期は S-FEX のみに有意に減少 したことから,CBZ の PGP 誘導効果は,吸収部位である消化管と,胆汁排泄部位で ある肝臓で行われている可能性が示唆された。
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