CBZによるTCA炉心の臨界性解析

CBZ による TCA 炉心の臨界性解析
千葉豪
平成 26 年 2 月 14 日
CBZ を用いて ICSBEP ハンドブックに記載されている TCA の臨界データの解析を行っ
た。計算対象は、ハンドブックにおいて LEU-COMP-THERM-006 として分類されている
UO2 炉心(18 データ)と、MIX-COMP-THERM-004 として分類されている MOX 炉心(11
データ)である。
計算には JENDL-4.0 ベースのライブラリを用い、参照解としては文献 [1] に与えられてい
る MVP-2 の結果を用いた。モンテカルロ計算値の統計誤差は 0.0002 弱程度となっている。
CBZ の計算条件は以下の通りである。
• 107 群ベースの CBZLIB を使用。エネルギー群依存の Bell 因子、(共鳴干渉効果を考
慮するための)R 因子を用いて共鳴処理。
• ピンセルは CBZ/PincellCalculator により均質化。なお、ピンピッチが大きくなるケー
スがあるため、ピンセルにおける中性子束計算では燃料領域、減速材領域をそれぞれ
径方向に 6 分割(この点は極めて重要)。
• 体系計算において、冠水していない燃料領域(いわゆるドライ・ラティス)は考慮す
るが、その周囲の空気領域は計算から除外。従って、水反射体領域からのドライ・ラ
ティス領域への入射効果は無視(その逆も同様)。
衝突確率の計算では基本的には全断面積を用いるが、輸送断面積を用いた計算も UO2 炉
心に対して行った。また、体系計算では P1S4、P3S8 の二通りを実施した。
得られた C/E 値を Fig. 1 と Fig. 2 に示す。計算結果より以下のことが言える。
• UO2 炉心、MOX 炉心いずれもケース ID が大きくなるにつれてピンピッチが大きな
値となるが、衝突確率の計算に輸送断面積を用いた場合、C/E 値のピンピッチ依存性
が現れ参照解とのトレンドに差異が見られる。従って、衝突確率の計算には全断面積
を用いることが望ましい。
• P1S4 の結果に比べて P3S8 の結果の方が参照解との一致が良く、また C/E 値のトレ
ンドの再現性も良好である。
• CBZ の計算結果において、同一ピンピッチの臨界データでケース ID が大きくなると
C/E 値が小さくなる傾向が観察される(例えば UO2 系のケース 9-13、14-18)。臨界
データでは、ケース ID が大きくなるにつれて燃料ピン数が大きくなり水位が低下し
1
ている。つまり、水反射体からのドライ・ラティスへの熱中性子入射効果がケース ID
が大きくなるにつれて大きくなる。この効果を無視していることから、上記の C/E 値
の傾向が現れたものと考えられる。
ピンセルにおいて衝突確率を全断面積で計算し、体系計算を P3S8 で行った場合、CBZ の
計算値は連続エネルギーモンテカルロ計算値に対して 0.2%dk/kk’ 程度過小評価するが、そ
のバイアスは燃料組成、ピンピッチに依存しない。以上より、CBZ は良好に TCA の臨界性
解析を行えていることが確認できる。
参考文献
[1] 奥村啓介、長家康展、JENDL-4.0 に基づく連続エネルギーモンテカルロコード MVP
用の中性子断面積ライブラリーの作成と ICSBEP ハンドブックの臨界性ベンチマーク
解析への適用、JAEA-Data/Code 2011-010.
2
1.004
Total XS, P1S4
Transport XS, P1S4
Total XS, P3S8
MVP
1.002
C/E
1.000
0.998
0.996
0.994
0.992
2
4
6
8
10
Case ID
12
14
16
Fig. 1: C/E values of TCA-UO2 lattices
1.004
Total XS, P1S4
Total XS, P3S8
MVP
1.002
C/E
1.000
0.998
0.996
0.994
0.992
2
4
6
Case ID
8
Fig. 2: C/E values of TCA-MOX lattices
3
10
18