指導案づくりの要点をつかもう 1 指導案の形式・項目を知ろう ○ 指導案には略案と細案があります。 略案 本時のねらい,展開,評価を中心にまとめた指導案 細案 本時のねらい,展開,評価に加えて,本時の構想,単元全体の構想, 指導計画(含む評価計画)などを記述した指導案 略案,細案と一言でいっても,用途や役割によって記述する形式や項目が変わ ります。 <指導案の形式は?> 指導案の形式は,地域や学校によっても異なります。新潟市教育委員会が例示し ているのは次の項目のものです。 略 案 題名 指導者名 1 単元(題材)名 2 単元(題材)の目標 3 単元(題材)の評価規準 4 5 単元(題材)の指導計画 本時の計画 (1) 本時のねらい (2) 本時の展開 (3) 本時の評価 細 案 題名 指導者名 1 単元(題材)名 2 単元(題材)の目標 3 単元(題材)の評価規準 4 単元(題材)と指導の構想 (1) 単元(題材)と児童(生徒) (2) 指導の構想 5 単元(題材)の指導計画 6 本時の計画 (1) 本時のねらい (2) 本時の構想 (3) 本時の展開 (4) 本時の評価 7 参考文献 同じ項目でも,指導案の形式によって書き方の程度が変わります。それぞれ の項目について具体的にどのように記述するかについては,指導案の形式と書 き方」を参照してください。 p.21を参照 指導案で大切なのは,教師がどのように授業 をするかが,分かりやすく書かれているかどう かということなんだよね。 2 ○ 構想を指導案につなげよう 単元の構想と本時の構想ができたら,指導案の形式に合わせ て指導案を書いてみましょう。 ○年○組 ○○科学習指導案 単元の構想と構想カードの内容を指導 ○○年○○月○○日 指導者 ○○ ○○ 案の項目に当てはめてみましょう。 単元の構想 ○ 単元の目標を決める。 ○ 評価規準を決める。 1 単元(題材)名 2 単元(題材)の目標 3 単元(題材)の評価規準 ○ 子どもの実態を調べる。 子どもの実態を調べる。 4 ○ 目標を達成するための 手立てを考える。 単元(題材)と指導の構想 (1) 単元(題材)と児童(生徒) (2) 指導の構想 5 単元(題材)の指導計画 構想カード(P7参照) ・ねらい ・子どもの実態 6 学習課題を 生み出す活動や教材提示 本時の計画 (1) 本時のねらい (2) 本時の構想 学習課題 (3) 本時の展開 追究する活動や働き掛け まとめ (4) 本時の評価 7 あらかじめ構想を 整理しておくと 指導案を書くとき に楽だね。 参考文献 3 指導案を完成させよう ○ いよいよ指導案を仕上げていきましょう。 STEP1 単元の構想,本時の構想を基に中心となる部分を記述 前頁を参考に,単元の構想,本時の構想を基に指導案を書き始めましょう。そのとき,前後の 文章,特に授業者としての考え方に一貫性があるかどうかを確認しながら書くことが大切です。 STEP2 その他の項目を記述 単元の指導計画,展開の指示や子どもの反応,参考文献などを書き込んでいきましょう。展開 は授業全体の流れを頭の中で構想しながら書きましょう。 STEP3 全体をもう一回読み,前後の内容の整合性を確認 一通り完成したら,全体をもう一回読み込み,前後の内容が整合しているか確認しましょう。 指導案の前半と後半とで主張がずれていたり,使っている語句が変わっていたり(例えば,児童 →子ども)しないように点検しましょう。 STEP4 他の人に読んでもらい,修正 他の先生に指導案を読んでもらうことは,独りよがりの考えや表現を見付け,読み手に分かり やすい文章とするためにとても有効です。 【どうやって番号・記号を付けるか】 指導案だけでなく,文書に番号を付けるときは次のような基本形があります。 Ⅰ ○○ゴシック体○○ 1 (Ⅰ,Ⅱの番号を振らないときもあります。) ○○○ゴシック体○○○(大項目はゴシック体が見やすいです。) (1) ○○○明朝体○○○ ① (中項目以下は明朝体にします。) ○○○○明朝体○○○ (順序性がない場合ア,イ…などと書きます。) 【句読点はどうするか】 一般的な文書(横書き)の場合,句点は「。」,読点 は「,」を使います。縦書きの場合は,読点に「、」を 使います。 やったー! 指導案完成だぁ!! ※総合教育センターホームページの「授業に役立つ指導案の広場」に 指導案の参考例があります。 URL http://www.netin.niigata.niigata.jp/hiroba/niigata_city_jissen.htm 資料2 指導案の形式と書き方 新潟市立○○小(中・中等教育・特別支援)学校 第○学年○組 ○○科 学習指導案 平成○年○月○日(曜)第○校時 (○:○○~○:○○) 指導者 教諭 ○ ○ ○ ○ 解決したい授業力の課題 ・ 「新潟市の授業づくり」リーフレットを踏まえ,解決したい自分の授業力の課題を具体的 に記述します。児童(生徒)の課題ではなく,あくまでも教師としての自分の課題です。 ・さらに,その課題を本時のどの場面で,どう解決していこうとしているかも記述します。 1 単元(題材)名 「 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 」 ・単元(題材)名を記述します。 ・単元が大きな教科の場合,小単元で記述することも可能です。 2 単元(題材)の目標 ・学習指導要領の指導内容を確認し,単元(題材)で身に付けさせたい力を明確にし,学習 を通して目指す児童(生徒)の姿を総括的に記述します。 3 単元(題材)の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現(考え方) 技能 知識・理解 ・………………… ……………。 ・………………。 ・………………… ……………。 ・………………。 ・………………… ……………。 ・………………。 ・………………… ……………。 ・…………………。 ・単元(題材)の評価規準は,学習を通して身に付けるべき資質や能力を明確にし,「評価規 準 の 作 成 , 評 価 方 法 等 の 工 夫 改 善 の た め の 参 考 資 料 -文 部 科 学 省 国 立 教 育 政 策 研 究 所 教 育 課 程 研 究 セ ン タ ー ( 平 成 23年 11月 ) 」 を 参 考 に し な が ら , 各 観 点 に 即 し て 設 定 し ま す 。 ( 国 語科は,5観点です。) ・各観点の評価規準の数は,1,2程度に精選しましょう。文末は基本的に「~している」と なります。 4 単元(題材)と指導の構想 (1) 単 元 ( 題 材 ) と 児 童 ( 生 徒 ) ・単元(題材)に関わって,児童(生徒)がどんな実態であるのか(レディネス)を記述します。 単元(題材)に関わるこれまでの学習履歴についても記述します。 ・単元(題材)設定の意義と単元(題材)のもつ価値を明確にし,授業者がどのような教材観 をもっているのかを記述します。 ・記述に当たっては,児童(生徒)の実態と,単元(教材)観を分けて記述しても構いません。 (2) 指 導 の 構 想 ・ 左 記 「 (1)単 元 ( 題 材 ) と 児 童 ( 生 徒 ) 」 を 受 け , ど の よ う な 手 立 て を 講 じ て 学 習 を 進 め て い く のかを記述します。 ・特別支援教育の指導案の場合は,前頁3及び4に児童(生徒)一人一人についての実態・ 目標・評価規準・手立てを記述します。(=個別の支援計画) 5 単 元 (題 材 )の 指 導 計 画 ( 全 ○ 時 間 ) 時 1 2 本 時 学 習 の ね ら い( ○ )と 主 な 活 動 内 容( ・ ) <例> ○ (小 数 )÷ (整 数 )の 式 の 意 味 を 理 解 す る ・文章題を読む ・課題をつかむ ・自分なりの考えで問題を解く ・本時は太枠で囲みます。 ・単元の目標達成の ために学習活動をど のように構成していく のか,追究課題をど のように設定していく のかを検討します。 6 評 関 考 技 知 ○ 価 評価規準 ・規準を満たしてい る児童(生徒)の 様子を具体的に記 述します。 ・学習指導要領の 指導事項との対応 を記号で記述しま す。 ・単元全体を通して,各観点のバランスを考慮し,指導に当たるこ とができるようにします。 ・1時間の授業で評価する観点は1,2に絞り,指導の重点化を図 ります。 ・特別支援教育の指導案の場合は,それぞれの単元(題材)ごと に,評価の観点を工夫します。 本時の計画(○時間目/全○時間) (1) 本 時 の ね ら い < 例 > ○ ○ に つ い て ①, △ △ す る こ と を 通 し て ②, □ □ す る こ と が で き る ③。 ・単元(題材)の目標を具体化し,この授業を終えた時に児童(生徒)がどのような姿になる ことが望ましいのか,どのような力が身に付いていればいいのかを記述します。 ◇ 「 ○ ○ に つ い て ①」 は , 本 時 の 学 習 内 容 や 学 習 課 題 な ど に つ い て 記 述 し ま す 。 教 科 に よっては抽象度の設定が難しいために,記述しにくい場合もあります。 (具体例は,3ページ参照) ◇ 「 △ △ す る こ と を 通 し て ②」 は , 目 指 す 姿 に す る た め の 活 動 や 手 だ て を 記 述 し ま す 。 ◇ 「 □ □ で き る ③」 は , 本 時 で 目 指 す 児 童 ( 生 徒 ) の 姿 を 記 述 し ま す 。 (2) 本 時 の 構 想 ・前時までの既習事項や学習履歴,児童(生徒)の達成状況を記述します。 ・ねらいの達成に向けて,主に構想カード④⑤に当たる具体的な手立てや指導上の留意事 項を記述します。 ・児童(生徒)の主体的な学習活動が促されるように工夫する点を記述します。 (3) 本 時 の 展 開 学習活動 導入 1………………… …………………。 ・ 児 童 ( 生 徒 )が 主 語になります。問 題解決的な学習 過程で,どんな 活動を行うのか を,「1 …する。」 のように活動内 容に番号を付け て記述します。 ・各学習活動に掛 ける時間を記述 します。 教師の働き掛けと予想される児童生徒の反応(含む学習内容) ・一般的な発問・指示等は細枠で囲み ます。 T1… … … … … … … … … … … … … … … 。 追究に必要な働き掛け を書きます。 ・指導上留意する 点について記述し ます。 C1… … … … … … … … … … … … … … … 。 ・ 予 想 さ れ る 児 童 の 反 応 は 「 C1,C2」 な ど と , 生 徒 の 反 応 は 「 S1,S2」 な ど と 表 記して記述します。 ・児童(生徒)の反応と共に獲得する学 習内容(学習指導要領との関連)を明 確に記述します。 ・本時のねらいを達成するための学習 課題及び主な発問・指示等は太枠で 囲みます。 T2… … … … … … … … … … … … … … … 。 C2… … … … … … … … … … … … … … … 。 終末 ○…………………… …。 ・ 具 体 的 な 教 師 の 働 き 掛 け は 「 T1,T2」 などと表記して記述します。 展開 2………………… …………………。 ■評価規準(観点/方法)・○留意点 学習課題及び主な発問 や指示等は,「 導入」段 階に記述する場合もあり ます。 ○………………… …………………。 T3… … … … … … … … … … … … … … … 。 C4… … … … … … … … … … … … … … … 。 3………………… …………………。 ・学習のまとめを太枠で囲みます。 児童(生徒)が追究して いる姿や発言を記述しま T4… … … … … … … … … … … … … … … 。 す。 C5… … … … … … … … … … … … … … … 。 このときの児童(生徒)は,評価規準が具体 化された姿になります。評価規準に基づき, 「おおむね満足できる状況(B)」を,児童(生 徒)の姿で具体的に記述しましょう。 ■………………… ・評価規準を書きま す。その際,何に 基づいて評価する かも記述します。 (4) 本 時 の 評 価 … … … … … … … … ( 展 開 の ■ 評 価 規 準 ( 観 点 /方 法 )・ ○ 留 意 点 」 に 沿 っ て 記 述 )。 ・ねらいを達成した姿を,「おおむね満足できる状況(B)」について具体的な児童(生徒)の 姿として記述します。 ・何に基づいて評価するかを記述します。評価の観点は括弧内に記述します。 7 参考文献 ・指導案を作成する際に,参考にした書籍,先行研究,指導案等の出典等を記述します。 資料3 授業評価カード 授業後に,以下の観点で自己評価したり,参観者から評価してもらったりしてみよう。 (◎ 十分 〇まあまあ △不十分) 授業者 教科 単元名 評 価 の 観 点 大項目 単 元 ・ 題 材 Ⅰ 構 想 本 時 目学 的ぶ 働 き 掛 け Ⅱ 指 導 学 習 記 録 関 わ り 合 い 学 び の 自 覚 Ⅲ 評価 細目 観 点 例 1 目標と評価 ◇ 単元・題材の目標が明確であり,単元・題材の評価規準の設定が適切である。 2 単元・題材の構想 ◇ 単元・題材の目標や子どもの実態をもとに教材分析・解釈を行うとともに,必要な手立て を講じている。 3 ねらい ◇ 教材分析・解釈のもと,学習内容を明確にし,子どもの興味・関心,子どもの実態を把握 した上で,本時のねらいを設定している。 4 評価方法 ◇ 評価の判断となる授業終末の子どもの姿が具体的に想定されており,その方法が適切 である。 5 教材分析・解釈 ◇ 教材の価値や子どもが学ぶ意義を明らかにし,子どもの実態を踏まえた教材分析・解釈 を行っている。 6 手だて ◇ 子どもが課題解決に向かい,ねらいを達成するため,適切かつ明確な手立てを講じてい る。 7 整合性 ◇ 本時のねらいと子どもの実態,指導構想とが整合している。 8 学習課題 ◇ 子どもの興味関心や問題意識を基に学習課題を設定している。 9 教材・活動 ◇ 意図的な教材提示をすることにより,子どもがやってみたい,考えてみたいという興味・ 関心をもって,追究に向かっている。 10 発問 ◇ 明快で分かりやすい発問により,子どもが教材や対象と主体的に関わり,見通しをもった り活発に思考したりしている。 11 説明・指示 ◇ 適切で端的な説明・指示により,子どもが目的や方法を理解して活動に向かっている。 12 実態把握と支援 ◇ 机間指導やネームプレートの活用等により的確に実態を把握し,それに合わせて意図的 指名や補助発問,個別に配慮した支援等をしている。 13 板書 ◇ 学習内容や学びの過程が明確に分かる板書をしている。 14 ノート指導 ◇ 書き方のルールが指導され,子どもが自分の考えを整理するとともに,学習を振り返るこ とができるノートを作っている。 15 子ども同士の交流 ◇ 課題解決に向けた話合いや体験的な活動を通して,子ども同士が気付きや考えを交流 している。 16 考えの整理・価値付け ◇ 交流における子どもの多様な考えを整理し,価値付けることにより,子どもの学びを深め ている。 17 まとめ ◇ 子どもの言葉を生かしながら,学習課題に正対して本時の学習のまとめを行っている。 18 振り返り ◇ 子どもが学びを自覚するよう,学習の過程や変容を振り返らせたり,類題や発展問題を 解かせたり している。 19 ねらいの達成 ◇ 評価規準に照らして,子ども一人一人に本時のねらいが達成されている。 評価 ☆この評価カードを使った授業評価を蓄積することにより,自分の授業の成果と課題が明らかになって きます。授業力を向上させる第一歩は,自分の授業の課題を自覚することです。そして,その課題を克 服することを意識して日々の授業実践に取り組むことで,必ず授業力は向上します。
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