木造建物における動的特性に関するデータベース構築と 軸組 - HARP

広島工業大学紀要研究編
第3
7巻 (
2
0
0
3
)p
p
.
8
3
9
2
論
文
木造建物における動的特性に関するデータベース構築と
軸組架構の動的ならびに静的載荷実験
岩井
神烏和
哲* ・ 松 森 博 孝 * *
志村*・一反田康啓****
(平成 1
4年 9月 5日受理)
Databaseondynamicp
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Abstract
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KeyWords:Woodenb
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g,Dynamicp
性能が改めて検証されている O しかしながら木構造は構法
1. 研 究 目 的
が多種多様であり,材料特性のばらつき,非構造部材の存
1
9
9
5年 1月に発生した兵庫県南部地震では,約 9万棟の
在,偏心の影響,耐震性能評価法の未確立など未解決部分
0
万棟が半壊するという甚大な被害
木造建物が全壊し約1
が数多く存在する。
が発生し,阪神・淡路地区に極めて大きな被害をもたらし
本研究では,まず,在来軸組と枠組壁の構法別に,木造
4
00人を超え,負傷者は 3
7
.
0
0
0人にものぼっ
た。死者は 6,
建物のデータベース構築を行い,建物情報,固有周期,減
,
40
0人以上の死者の約 8-9割は,木造住宅の
た。この 6
衰定数について動的特性の定量的評価を行うための資料を
倒壊による圧死であった。この後,木構造の耐震性能の見
整理した。
9
9
5年 1
2月には多度津
直しが行われる動きが活発となり, 1
次いで 1層 1スパン単純骨組の在来軸組立体架構試験体
l
lなどが実施され
工学試験所で「木造住宅実大振動実験J
を用いて動的加振・静的載荷実験を実施した。動的加振実
た。これらの実験により当時の建築基準法の整合性や耐震
験では,地震波加振前後の固有振動数・応答倍率の変化を
ネ広島工業大学工学部建設工学科
日広島工業大学大学院工学研究科土木工学専攻
*口広島工業大学工学部建設工学科(現在,株式会社藤木工務庖)
****広島工業大学大学院工学研究科土木工学専攻(現在,早川ゴム株式会社)
8
3
岩井
哲・松森博孝・神烏和志・一反田康啓
調べ,加振による損傷状況を定量的に評価する手法を確立
2
)
表 2 単位床面積重量の平均値,標準偏差(単位・ kN/m
する事を目的とした。一方,静的載荷実験では,動的加振
単位面積重量
データ数
牛
5
0
f
件
3
3
件
3
3
W
a
l
l
/
Aa
l
実験で用いたものと同じ形式の各試験体の復元力特性の性
/A2
明T
2F
F
能評価,ならびに復元力モデルの構築を行うことを目的と
W1F/A1
F
Wa
/
A
l 1
F
した。また,木造軸組架構の復元力履歴モデルを Masing
標準偏差
平均値
2
.
14
1
.9
0
2
.
4
5
4
.
0
2
牛
3
5
1
'
0
.
5
3
0
.
46
0
.
5
0
0
.
8
7
型非線型モデル 3) と s
l
i
p型モデルの組み合わせで表現す
る手法を用いて,壁倍率・降伏耐力・終局耐力・剛性・履
kN/m2
)
表 3 建築基準法による各階重量(単位
歴ループ形状を試験体ごとに検討し,実験結果と比較した。
また接合部仕様の違いによる比較検証を行った。
2
. 木造建物の動的特性
木造建物の動的特性を把握するために,建物面積,建物
重量,固有周期,減衰定数のデータベース化を行い.各デ
1
0
ータの平均値,標準偏差を求めた。整理した文献として
8
1993~1999年の日本建築学会大会に発表された実大の木造
芸
ま 6
建物ならびに試験体を用いた振動台加力,仮動的加力,静
主
と 4
it--
C21HS
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。
由
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C問
足。由、
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目、{呂町
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1 延床面積
2 7 5円樋
2B
chN13N
取り上げた。
,
C閃NlHNN
2
0
CE--∞。同
加力,自由振動などの各実験,常時微動計測,応答解析を
図 1は,在来軸組・枠組壁構法別に延床面積ごとの頻度
1
0
分布を,表 1に平均値,標準偏差を示す。これよりデータ
8
phυa往
剖掛け写
ベース化した木造建物は,平均約 130~170m2 であること
カ王わカミる O
2
N
M
小
、
円 坦
H
叩同
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﹃
S522g g
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勺
句
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D品目、 J R︻司凹
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CE--
﹃
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C21CC
差
標
輪一則一
同一問一山
4
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牛
一
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一
データ数
7
6件
構法名
軸組構 i
去
枠組壁構法
ハ
υ
表 1 構法別の平均値,標準偏差(単位:m2)
E
号 F2252
マ
ヲ
マ
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l
1
"
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ぱ3
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2階重量 /2階床面積 (
k
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l
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1
0
1
5
8
誠一弘
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ま 6
:
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2
g=
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│口木造軸組構法・木造枠組壁構法│
Cつ で ? で l 1 " )
。 勺 小 勺
【
坦
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1階重量11階床面積 (kKIぱ)
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坦坦
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号 E22g
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2
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延床面積 (
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lH司刊
戸
C的NlNN
υ
n
252
g
υ
0
1
0
図 1 木造建物の構法別の延床面積
8
phU44A
緩4
5
2
.
2 単位面積重量
臼
つ
マポマ夕
~
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【
日l1")
円
ザ ∞ 内 申
C
"
コ
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マ
ゴ
ド
マl1")
H
申
日三
総重量1
1階床面積 (
k
K
/
r
r
l
)
(Wa
F) をそれぞれ示す。また表 2に平均値,標準偏
l
l/A1
差 を 示 す O こ れ ら よ り 単 位 面 積 重 量 は 約 2.2kN/m2
図 2 軸組構法の単位床面積重量分布図
84-
c
h甲1 3 由
C
つ
【
1zm
グ 勺
C岳山
小3
-
。 的 叩j
i 戸内申
F22s g 525222
戸
CA凶 戸 } ( ︻ 叩 干 {
ったもの (W1
F/AJF),総重量を 1階床面積で割ったもの
C円一NjNN
積で、割ったもの (W2
F), 1階重量を 1階床面積で割
F/A2
C21︻さ
延床面積で割ったもの (Wa
l
l
/Aa
l), 2階重量を 2階床面
C21()さ
n
u
図 2は,軸組構法について,平屋建と 2階建の総重量を
木造建物における動的特性に関するデータベース構築と軸組架構の動的ならびに静的載荷実験
(220kg/m2
),各階では約1.9~2.5kN/m2 (190~250kg/m2) ,
2 (410kg/m2
2階建ての 1階部分では約 4.0kN/m
) である
3
.動的ならびに静的載荷実験の試験体
ことがわかり,表 3の建築基準法より算出した重量に近い
実験で用いた試験体数は,動的加振実験用 2体,静的載
荷実験用 3体の計 5体である O いずれも 1層 1スパンで高
値となっている。
さ 1820mm の平面架構を 2面つなぐ立体架構で,柱心間
2
.
3 固有周期
隔を 910mmx910mm とし,各試験体 1対の耐力壁を有
図 3は,固有周期の頻度分布を,表 4に平均値,標準偏
0
5体の試験体における耐力壁・接合方法及
する(図 5)
x (長辺方向), y (短辺方向)が
び , 壁 倍 率 を 表 6に 示 す O 各 試 験 体 の 木 材 種 は , 柱
あるが, X,Y 両方向あるものは大きい方を採用した。こ
(
I05mmx105mm) ・間柱 (35mmx105mm) をスブルー
れより在来軸組で 0
.
3
4
秒,枠組壁で 0
.
1
2
秒であり,在来軸
ス,筋かい (45mmx90mm) ・梁(l05mmx105mm) を
組のほうがぱらつきが大きいことが確認できた。
ベイマツ,土台(l05mmx105mm) をアピトン,込栓を
差を示す。固有周期は
表 4 構法別固有周期の平均値,標準偏差(単位秒)
時一側一山
データ数
7
1件
1
8
件
鋼 板 戸2
2
標準偏差
0
.
2
0
0
.
0
5
詩
。
c
1
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8
お
け
一
弘
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‘
2
止
イ
巴
0
.
1 0
.
2 0
.
3 0
.
4 00.6 0
.
7 0
.
8
固有周期(秒)
O
.
9
i
9
.1
0
①合板付 (PWCS'PWHS)
ト一↑
1
ロ木造軸組構法・木造枠組壁構法│
2
鋼板戸
図 3 木造建物の構法別固有周期
2.
4 減衰定数
図 4は,減衰定数ごとの頻度分布を,表 5に平均値,標
準偏差を示す。なお減衰定数は
x (長辺方向), y (短辺
:
;
¥
"
5
C多[
(
:
>
;
1
0
0
方向)両方あるものは大きい方を採用した。これより在来
S
-HD15
軸組では 0
.
1
2,枠組壁構法では 0
.
0
4であり,在来軸組のほ
うがぱらつきが大きいことが確認できた。
│295
I 455
│
表 5 構法別減衰定数の平均値,標準偏差
4
5
5
1295
1
訓
I
│
l910
I
②筋かい付 (BFHS.BFHD)
データ数
平均値
標準偏差
7
1件
0.
12
0
.
0
8
1
9
件
0
.
0
4
0
.
0
2
鋼板
t
=
2
2
1
4
1
2
1
0
録
む
8
6
:
:
¥
,
:
)0
釘G!l
凹
4
S
-HD20
0
。
。
l
減衰定数
0
2
0
.
3
凶i
2
0
.
4
1
ロ木造軸組構法園木造枠組壁構法!
ゴ
三
ミ主合板・筋かい付 (PBHD)
図 5 試験体立面図
図 4 木造建物の構法別減衰定数
85
岩井
哲・松森博孝・神烏和志・一反田康啓
ハリ
ウン金物(以下 HD 金物と記す)・長ほぞ差し込栓を用い
¥EU
壁に 15kN用,構造用合板耐力墜に 10kN用を使用した。
I
込栓を用いた木造柱
込栓の位置は,
土台接合部の引抜
JMAKobeNS
2
MAX=818cm/s
5
0
0
∞
目
たo HD 金物は壁倍率に対応させ,たすき掛け筋かい耐力
∞
ケヤキとした。柱と土台(梁)の接合方法としてホールダ
。
1
5
2
0
2
5
-500
載荷実験J
5
) による研究成果に従って,部材のほぞ長さの
1
0
0
0
約2
/
3となるほぞ端あき長さ 55mmを設定した。
Time (
s
e
c
)
試験体の載荷直交方向への振動・ねじれ・せん断変形防
図 7 振動台入力に使用した地震波
止のために, 910mmX560mm の合板パネル 2枚を高さ中
加速度を計測するために,図 8に示すように各耐力壁構
央の位置に取り付けた。さらに,積載荷重に相当するもの
に相当する鋼板 (
1
.63kN)を載せ,
面の架構土台部と梁頂部に加速度計を計 4個取り付けた。
M12 ボルトで試験体と上の梁部で 8箇所緊結し,水平構
土台部と頂部に付けた加速度計は 3方向とも 5G (G:重
面内での剛性も高めた O なおこの重量は文献1)や前項
力加速度)まで 3成分同時に計測可能のもの (NEC 三 栄
2
.
2節より平屋建相当もしくは 2階建の 2階部分に相当す
製
, 9E07-A3) である O
として
1
.96kN/m2
るものである。
表 6 試験体一覧
耐力壁仕様
試験体名
BFHS (静的)
BFHD (動的)
H
D金物 (
1
5
k
!
¥
)I
筋かい
PBHD (動的) 筋かい・合板
PWCS (静的)
合板
P
i
九
THS (静的)
験
4
.
0
込栓
H
D金物 (
2
0
k
N
)
込栓
込栓
6
.
5
(法規上 5
.
0
)
H
D金物(lOk
N
)
2
.
5
法
実
4
.
壁倍率
柱一横架材接合方法
方
動的加振実験方法を図 6に示す。この実験では,@正弦
波加振と④地震波加振の前後で損傷状況を固有振動数,応
答倍率の変化によって評価するため,①$⑤のスイープ加
振実験を行った O スイープ加振は,入力加速度 30~
図 8 加速度計設置位置
50cm/s 2 • 振動数範囲 1~30Hz. 振動数の刻みを 0. 1. 0
.
5,
1.0Hz とした。正弦波加振は,振動数を 3~9Hz および
静的載荷実験の実験装置を図 1
0に示す。試験体の土台を
10~25Hz の範囲で入力加速度を 100, 2
0
0
.3
00cm/s2 で変
固定するため,下部に H 形 鋼 ( H300x300x10x15,長
化させた。④の地震波加振で用いた地震波は ,1995年の神
さ 2.730mm) を 2本設けた。加力のための H 形鋼反力フ
戸海洋気象台の南北成分(JM AKobeNS,図7)である。
レームの柱(図中右側)に加力装置を付けた。載荷は手動
0
0,200,500,900cmfs2程度
最大入力加速度レベルは 30,1
油 圧 ジ ャ ッ キ (200kN 複 動 シ リ ン ダ ー ・ ス ト ロ ー ク
の 5種類を設定した。
500mm) を用いた。試験体への載荷は 2つの耐力壁をつ
なぐ梁に水平方向変位を正負繰り返し与えた。水平荷重を
1)スイープ実験(入力加速度 30~50cm/ぷ)
.
3む正弦波加振実験(入力加速度 100~300cm/s2)
.
3むスイープ実験(入力加速度 30~50cm/s2)
計測するため, 50kN用ロードセルを油圧ジャッキと試験
体の聞に設けた。載荷は変位制御により,図 9に示すよう
に骨粗層間変形角を,
:
t1/480rad, :
t1
I240rad. :
t
1/120rad,
土 1/60rad,
土1
/
3
0
1
・
ad,:
t1
/15rad,1/10rad まで
.
の漸増載荷とした。変位計測には,ひずみゲージ式変位計
主地震波加振実験(最大入力加速度 100~900cm/ s
'
)
を用いた。水平変位計測には,試験体頂部の梁中央に計測
.
⑤スイープ実験(入力加速度 30~50cm/ジ)
図 6 実験フローチャート
用にアルミ板を固定し, 200mm の変位計で左右から計測
をした。試験体全体の土台下の H 形鋼からの水平方向移
動を計測するために, 100mm の変位計を設置し,土台の
86一
木造建物における動的特性に関するデータベース構築と軸組架構の動的ならびに静的載荷実験
ずれを計測した。また,柱材の横架材(土台・梁)からの
5
.実
抜け量を計測するため,全部の接合部において 100mmの
1参照)。
変位計を設置した(図 1
E
貧
会士
ロ
I
/i
果
5
.
1 静的載荷実験での載荷・破壊状況
2に試験体荷重一頂部変位関係を示す c 合板付試験体
図1
2
0
0
1
5
0
(PWCS.PWHS) では X
1と X
2の 2つの構面の変位の
層間変形角 (
r
a
d
)
差が大きくなり,加力直交方向にねじれが生じた(写真1)
0
1
0
0
筋かい付試験体
5
0
れ裂き破壊が生じた時点(写真 2)で載荷を終了した。
O
筋かい付試験体
。首申¥
5
0
(
B
F
H
S
) では載荷梁が部材繊維方向に割
(
B
F
H
S
) は,層間変形角 1/60rad付近
で HD 金物に波打つ歪み(写真 3参照)が見られた。合
1
0
0
板付試験体
1
5
0
(
P
W
H
S
) についても層間変形角 1/60rad付
近で HD 金物の波打つ歪みがみられ,構造用合板に釘頭
2
0
0 m'
m
がめり込んで、いた。層間変形角 1/30rad付近で構造用合
図 9 載荷プログラム
H
2
5
0x2
5
0x9x1
4
出向目的
H
3
9
0
x3
0
0xlOx1
6
写真 1 実験終了時
図1
0 載荷実験装置
写真 2
BFHSでの破壊状況
写真 3
HD金物の破壊状況
図1
1 変位計測方法
8
7
岩井
(
t
f
)
.
b
3
0
1
(
k
N
)
3
0
4r一
一
一
哲・松森博孝・神烏和志・一反田康啓
BFHS
3
1
/
3
0
3
0
1
/
6
0
1
/
6
0
2
0
2
1
/
1
2
0
nu--
一
四
逗
1
0
1
/
1
2
0
O
]
/
2
4
0
-10
1
1
2
4
0
2
2
0
-]
/
4
8
0
3
-4
3
0
]
/
4
8
0
(kN)
-40
-80
-40
o
8
0
4
0
変位 (mm)
4
0
2
0
-20
O
-40
層間変位
(kK)
4
0
1
・
件
十
2
6
0
1
2
0
図1
3 各試験体の耐力
-一初﹃
3
3
0
i
P
m
a
x
Pu~「一一アf ーァーア二ニニニ5
0
.
9P
m
a
xi
j
t'
l
;
;
:
;
ー
2
0
ι
AU--
州問権
1
0
V
I
←
0
.
8P
m
a
x
O
Py
1
0
-20
2
つd
0
.
4P
m
a
x
3
0
40
4
-80
-40
o
4
0
変位 (mm)
曲
1
2
02
4
02
4
01
2
o6
0
8
0
1
2
0
OJP
m
品
I 一却﹁
1
du
4
0
図1
4 完全弾塑性モデル
3
0
=t
H
:
2
0
は,耐力が高いものから順に筋かい付試験体 (BFHS),
1
0
合板付試験体 (PWHS),合板付試験体 (PWCS) である O
O
HD 金物接合が込栓接合より耐力が1.5倍程度上回り,剛
-20
3
3
0
-4
40
-40
接合部が異なる PWHS (H
D 金物)と PWCS (込栓)は,
1
0
-2
8
0
o
4
0
F
(
k
N
)
ll
4(d)35
「
ー
一
一
一
ー
ー
制
緩
1
/
3
0
4
0
8
0
性も1.1倍程度高いことが分かつた。
1
2
0
5.2 壁倍率算定
変位 (mm)
荷重
図1
2 各試験体の荷重一変位曲線
変位関係から包絡線を求め,水平加力時の挙動及
び耐力を評価するために文献 6)に示されている壁倍率の
板の釘が抜け,層間変形角 1/15rad 正方向載荷途中で耐
評価方法を用いた(図 14参照)。最大荷重の 10%,40%を
力 が 低 下 し た 。 合 板 付 試 験 体 (PWCS) は層間変形角
結ぶ直線 Iと
, 40%,90%を結ぶ直線 Eに平行で、包絡線と
1/60rad付近で構造用合板に釘頭がめり込み,層間変形角
の接線を直線 Eとする。直線 Iと直線 Eの交点を降伏耐力
1
I30rad 付近で構造用合板の釘が抜けた。層間変形角
Py とする(直線 N)。その時の変形を y とし原点を結ぶ
1
I15rad 正方向載荷途中で耐力が低下した 3体の試験体
直線 Vの傾きを初期剛性 K とする。最大荷重を越え耐力
表 7 復元カ特性モデル評価値
降伏耐力
│降伏変位
初期剛性
降伏点変位
終局耐力
j
l
1
2
0
r
a
d時の耐力
BFHS
X1
PWCS
1
1
.9
6
5
.
9
6
.
13
1
5.
39
dv
(
k
N
)
(mm)
1
0.
1
1
1
.4
8
8
.
9
1
1
2.
2
K
(kN/mm)
1
.
18
0
.
5
1
0
.
6
9
dv
(mm)
(
k
N
)
(
k
N
)
1
3
.
9
2
1
6
.
7
2
1
2
.
7
8
1
.26
2
0.
2
PWHS
X1
7
.
6
4
1
5
0
.
5
1
2
4
.
8
9
1
7.
35
8
.
4
3
7
.
3
5
2
5
.
4
8
1
3.
13
1
3
.
3
3
7
.
0
6
6
.
6
6
1
6
.
9
8
7
.
8
4
9
.
2
1
平均
P
y
P
u
PV1却
2
2
.
6
1
1
1
.3
X2
1
1
.0
7
88
平均
X1
X2
平均
X2
7
.
6
9
9
.
8
0
.
7
9
1
6
.
3
4
木造建物における動的特性に関するデータベース構築と軸紐架構の動的ならびに静的載荷実験
表 8 実験による壁倍率算定結果一覧
B
F
H
S
最大耐力
P
m
a
x
(kN)
終局変位
du
(
m
m
)
靭性率
μ
構造特性係数 D
,
試験体壁の長さ L
PWCS
平均
X1
X2
平均
X1
3
4
.
4
7
1
7
.
2
4
1
7
.
2
4
2
0.
3
4
平均
X1
X2
1
0.
l7
1
O
.
l7
l8
29.
1
4
.
5
9
1
4
.
5
9
9
1
.
7
9
1
0
7
.
8
7
6
.
7
9
2
.
9
1
2
1
6
4
.
8
6
.
6
6
.
4
5
目
。2
9
6
4
.
6
4
.
8
6
3
.
9
6
0
.
3
0
.
3
5
0
.
3
4
0
.
3
8
0
.
9
1
0
.
9
1
1
.82
0
.
9
1
0
.
9
1
5
.
9
6
.l
3
1
5.
39
7
.
4
6
7
.
6
9
0.
29
(
m
)
P
y
1
.82
0
.
9
1
0
.
9
1
(kN)
PWHS
X2
1
.82
11
.96
短期基準せん断耐力 O
.
2Pu/Ds(kN)
1
2.
l1
5
.
8
1
4
.
8
8
1
4
.
5
9
7
.
7
6
7
.
0
2
2
/
3P
m (kK)
1
3
.56
6
.
7
8
6
.
7
8
4
5
1
9.
9
.
7
2
9
.
7
3
P
。
",
P1120
壁倍率
(
k
N
)
2
2
.
6
1
1
1
.3
1
1
.07
1
4.
l4
7
.
0
6
6
.
6
6
1
6
.
9
8
7
.
8
4
9.
21
6
.
3
4
6
.
3
4
6
.
2
1
3
.
3
5
26
3.
2
.
7
3
4
.
0
9
4
.
2
9
3
.
9
3
PO/1
.96L
は短期基準せん断耐力の最小値を表す。
が 80%まで低下した時までの包絡線と X 軸で囲む面積と,
(
k
N
)
一寸 30
20
直線 Vで与えられる完全弾塑性モデルの台形の面積が等し
一
団
宅
くなる高さ(直線 V
I
) を終局耐力 PU とする O モデルの評
価結果を表 7に示す。これらより壁倍率を算出すると,表
1
0
O
8となる。筋かい付試験体 (
B
F
H
S
) においては規定の1.5
倍以上, HD金物接合の合板付試験体 (
P
W
H
S
) では1.61
.7
倍,込栓接合の合板付試験体 (
P
W
C
S
) では1.1-1.3倍
-10
-20
-40
の数値を示した。
o
変位
実験により得られた復元力特性を用いて,骨格曲線を完
制定
全弾塑性モデルとして,図 15の M
asing型非線形復元力モ
l
i
p 型復元力モデルの組み合わせによる復元力履
デルと s
8
0
-30
1
2
0
(mm)
2
F
(
t
f
)
5.3 復元力モデル
4
0
'
3
0
(
k
N
)
30
20
1
0
O
-10
歴モデルを作成した(図 16)。組み合わせは全体架橋に占
-2
3
asing型の比率 αによって決定した。 Masing型の
める M
-20
-80
比率 α が大きい(スリップ型の貢献度が小さい)ほど履
4
0
8
0
-30
1
2
0
歴ループは大きくなる。
逆に比率 α が小さい(スリップ型の貢献度が大きい)
ほど履歴ループが小さくやせてくる
1 1
6o 1
2
024024012060
層間変形角
αが0.6程度が,層間変形角
1/60rad ま
制逗
/
6
0
r
a
d以降は αが 0
.
2
では αが0.4程度が,層間変形角 1
程度が復元力特性をよく表せている O
(
k
N
)
一
"
"
l 30
2
20
1
1
0
ハU t i
1/120rad までは
O
O
-10
円ノ“
-20
内
くu
8
0
-40
o
変位
4
0
8
0
-30
1
2
0
(mm)
図 16 実験結果と復元力モデルの比較
5.
4 動的加振実験での結果
(
1
)正弦波・地震波加振による応答加速度
Masing型 t
r
i
l
i
n
e
a
rモデル
表 9に正弦波加振,表 1
0,1
1に地震波加振を行った場合
S
l
i
p型モデル
での最大応答加速度を示す。正弦波加振時,
図 15 復元力モデル
BFHDでは,
2次の固有振動数であると考えられる 6Hz 入力時の応答
89
岩井哲・松森博孝・神鳥和志・一反田康啓
.4
倍率は1.7-2.2であるのに対し. 3Hz と 9Hz では1.2 -1
対し, 10Hz と 25Hzでは1.2 -1
.9と小さくなっていた。地
と小さくなっている。 PBHD では, BFHD 同様,固有振
震 波 加 振 時 , 筋 か い 付 試 験 体 (BFHD).合板・筋かい付
4-13.6であるのに
動数の 1つである 19Hz の応答倍率が 7.
試 験 体 (PBHD) 共に頂部の加速度は土台部の1.5-2.5倍
となっていた。特に PBHD では土台部が 900cm/s2程 度
表 9 正弦波加振実験による頂部応答加速度結果
であるのに対し,頂部加速度は 1500cm/s2程度生じた。
筋かい付(BFHD)
入力加速度
100cm/s2
2
0
0
c
m
/
s
'
3
0
0
c
m
/
s
'
入力加速度
(
2
)最大加振前後の固有振動数変化
入力振動数
図 17に ス イ ー プ 加 振 よ り 算 出 し た 各 試 験 体 の 共 振 曲 線
3Hz
6Hz
9Hz
134cm/s'
213cm/s2
373cm/s2
136cm/s
285cm/s2
クトル比を,表 12にスイープ加振と,試験体頂部,土台部
445cm/s2
の応答加速度のフーリエスベクトル比より求めた固有振動
2
2
7
c
m
/
s
'
336cm/s2
5
3
8
c
m
/
s
'
合板・筋かい付 (PBHD)
数 を 示 す 。 筋 か い 付 試 験 体 (BFHD),合板・筋かい付試
入力振動数
10Hz
19Hz
1
0
0
c
m
/
s
'
2
0
0
c
m
/
s
2
127cm/s
1174cm/s2
256cm/s
1308cml
ぷ
3
0
0
c
m
/
s
2
392cm/s'
1
7
3
0
c
m
/
s
'
2
2
を,図 18に各試験体の土台部に対する頂部のフーリエスベ
25Hz
195cm/S2
ノ
験 体 (PBHD) とも固有振動数は 17-19Hz 付近であり,
かなり剛な架構となっている。
313cml
ジ
705cm/s2
最 大 900cml
ぷの地震波加振前後での固有振動数の変化
に
ヮ“
υ
]つ μ 1 ょ
FHD)
表 10 地震波加振実験による最大応答加速度(B
1i
﹃=﹄回占
UFDnuzunU
円
-半
同
'J、
J14
司
一
以
上F
BFHD
初期状態
I
一一正弦波加振後
地震波加振後
句、也ー
ハU
5
一
1
0
1
5
20
振動数 (
H
z
)
25
30
PBHD
悌 20 一一正弦i
皮加振後
1
5
地震波加振後
。
'
[
;
1
0
支
。
O
---/-ー」、
D
1
0
1
5
2
0
振動数 (
H
z
)
25
3
0
1
5
2
0
振動数 (
H
z
)
2
5
3
0
1
5
2
0
振動数 (
H
z
)
2
5
3
0
図17 各試験体の共振曲線
表1
1 地震波加振実験による最大応答加速度 (BFHD)
2
5
地震波加振時
2
0
'
-1
5
ま
ム
:
:
/
そ¥
て1
0
K
5ι
O
O
5
1
0
2
5
ま
会
:
:
/
ム
地震波加振時
2
0
1
5
ぞ¥
て1
0
K 5
ト
"'L
O
3
1
0
図18 各試験体のフーリエスペクトル比
- 90一
木造建物における動的特性に関するデータベース構築と軸組架構の動的ならびに静的載荷実験
は,筋かい付試験体 (BFHD) では O
.
4Hz減,合板・筋か
6
.結
.
2
H
z減と若干の減少が見られ,
い付試験体 (PBHD)では 0
三•.
6
-
日間
木造建物の在来軸組と枠組壁の構法別に,データベース
ているのを確認することができた O また合板・筋かい付
構築を行い,動的特性の定量的評価を行うための資料を整
D
H
B
P
筋かい付試験体 (BFHD) では,筋かい端部に亀裂が生じ
理した。また 1層 1スパンの在来軸組構法立体架橋試験体
0
では,頂部応答の土台部に対する応答倍率が2
から 1
3へと減少し,塑性化したものと考えられる O
として動的加振用に 2体,静的載荷用に 3体,計 5体を用
いて実験を実施した c 結果は以下の通りとなった。
大きく損傷しなかった原因として積載重量が平屋建若し
くは 2階建の 2階部分に相当する 2.0kN/m2 (200kg/m2)
1件,枠組壁構法 1
8件
1)データベースから在来軸組構法 7
でやや軽いことと, HD 金物による架構剛性が高いことが
.
3
4
を調べた結果,固有周期の平均値は,在来軸組構法で 0
一因であると考えらる O
秒,枠組壁構法で0
.
12
秒であり,在来軸組構法が枠組壁構
法よりやや長周期側にあることが確認できた。その標準偏
表1
2 固有振動数の変化
筋かい付 (BFHD)
フーリエ
スイープ
3
1
8.
6
.
0
6
.
0
1
7
.
9
1
9
.
0
¥ ¥
加振実験則
正弦波加振後
地震波加振後
.
2
0
秒,枠組壁構法が0
.
0
5
秒であり,
差は,在来軸組構法が0
合板・筋かい付 (
P
B
H
D
)
I
スイープ
フーリエ│
1
9
.
0
1
9
.
0
1
9
.
0
1
8
.
8
1
8
.
0
後者のばらつきはかなり小さい。一方,減衰定数の平均値
.
1
2,枠組壁構法では 0
.
0
4であり,
は,在来軸組構法では 0
在来軸組構法は枠組壁構法に比べるとかなり大きな減衰を
示すことがわかった。その標準偏差は,在来軸組構法で
0
.
0
8,枠組壁構法で 0
.
0
2であり,減衰定数も後者のばらつ
(
3
)静的加力実験からの算出剛性による車越振動数
きは小さい。
静的載荷実験から算出した剛性 K より固有振動数の算
出を行った。剛性は,復元力特性の原点と層間変形角
2)振動台加振実験に用いた試験体の固有振動数は,筋か
1
/
4
8
0r
a
d,1
/
1
2
0rad時の耐力点を結んだ割線剛性の傾き
8
.
3
H
z(
0
.
0
5
5
秒),合板・筋かい
い付試験体 (BFHD) で 1
9参照)0 表 1
3に各試験体の剛性と卓越振動
をとった(図 1
9
.
0
H
z(
0
.
0
5
3
秒)であった。これ
付試験体 (PBHD) で 1
数を示す。なお合板・筋かい付 (PBHD) の剛性は,合板
はデータベースにおける木造建物の振動特性に比べると,
付 (PWHS) と筋かい付 (BFHS) の足し合わせによって
かなり剛な架構となっている O この原因として考えられる
算出している。
のは,積載荷重を平屋建,もしくは 2階建の 2階部分に相
当する 2.0kN/m2 (200kg/m2) と設定したこと,ホールダ
結果として,加振時では弾性範囲内で応答しているため,
1/480rad で求めたほうがスイープ加振で求めた固有振動
ウン金物接合であるため架構剛性が高いことなどである。
数に近い結果となった。
3)振動台上に筋かい付試験体 (BFHD),合板・筋かい
付試験体 (PBHD) を設置し,最大加速度 900cm/s2 の地
表1
3 試験体の剛性に基づく固有振動数
16
00cm/s2 の加
震波で加振した場合,試験体頂部で最大 ,
速度応答が生じたが,筋かい付試験体 (BFHD) において
は,筋かい端部に繊維方向に数本の亀裂が生じただけであ
り損傷は極めて軽微で、あった。加振前と後の固有振動数は,
1
8.
3Hz (
0
.
0
5
5
秒)から 1
7
.
9
H
z(
0
.
0
5
6
秒)へと若干の減少
傾向が見られた。一方,合板・筋かい付試験体 (PBHD)
でも同様に 1
9
.
0
H
z(
0
.
0
5
3
秒)から 1
8
.
8
H
z(
0
.
0
5
3
秒)へと
0から 1
3へと減少が見られ,軽
減少し,加速度応答倍率が2
(当)悩 fF
微ながら損傷を評価できることが分かつた c
4) 復元力特性のモテゃル構築を行った結果,筋かい付試験
2
0
体 (BFHS) だけでなくホールダウン金物接合の合板付試
験 体 (PWHS),込栓接合の合板付試験体 (PWCS) にお
/60rad を超えるとスリップ型の
いても,層間変形角が 1
変位
復元力特性が顕著になることが認められた。復元力特性は,
(mm)
t
r
i
l
i
n
e
a
r 型復元力モデルと s
l
i
p 型復元力モデルの組み合
図1
9 剛性算出方法
わせ比率 α を変えることによって表現することができる O
5)静的載荷実験の結果より得られた壁倍率は,筋かい付
.
3
4で,建築基準法で
試験体 (BFHS) においては壁倍率 6
9
1
岩井哲・松森博孝・神鳥和志・一反日康啓
版会, 1
9
9
4年 5月.
規定されている値のl.5倍以上,ホールダウン金物接合の
合板付試験体 (PWHS) では壁倍率4
.
0
9で,規定値のl.6-
5)岩井哲:込栓を用いた木造柱横架材接合部の引抜
l
.7
倍,込栓接合の合板付試験体 (PWCS) では壁倍率3
.
3
5
載荷実験,日本建築学会大会学術講演梗概集,構造
で,規定値の1.1-l.3倍となった。また合板耐力壁(壁倍
2
0
0
1年 9月
, p
p
.1
0
9-1
1
0
.
率2
.
5
) 用としては,接合部耐力が低く建築基準法上使用
6)大橋好光:木造住宅の構造設計[改正基準法と品確
法],建築技術, 2
0
0
1年 3月.
できない込栓を用いた場合でも,規定の壁倍率をさらに
倍上回ったが,込栓の破壊を生じなかった。
1
.
1
l
.3
7)岩井
哲,松森博孝,神烏和志:振動台を用いた木造
軸組架構の動的加振実験,日本建築学会中国支部研究
参考文献
1)坂本功,宮津健二,大橋好光,牧
m,
報告集,第2
5巻
, 2
0
0
2年 3月
, p
p
.8
9-92.
勉,林晃正,
8)岩井
哲,神烏和志,松森博孝:静的水平力載荷実験
難波蓮太郎:木造住宅実大振動実験中間報告書,日本
による木造軸組架構の耐震性能評価,日本建築学会中
住宅・木材技術センター, 1
9
9
6年 6月.
国支部研究報告集,第25巻
, 2002年 3月
, p
p
. 105-
2)一反田康啓:木造建物の耐震性能評価のための動的解
1
0
8
.
析モデルの構築,広島工業大学工学修士学位論文,
9)岩井
哲,松森博孝:込栓接合を有する木造在来軸組
架橋の動的加振・静的載荷実験,日本建築学会大会学
2
0
0
1年 2月.
術講演梗概集,構造 m
,2
0
0
2年 8月
, p
p
.2
8
9-2
9
0
.
3)大崎順彦:建築振動理論,彰国社, 1
9
9
6年1
1月.
4)大崎順彦:新・地震動のスベクトル解析入門,鹿島出
- 92-