耐震設計手法 想定する地震動は供用期間中(50年~100年)に発生する確率が高い地震 動(レベル1地震動)と確率は低いが大きな強度を持つ地震動(レベル2地 震動)がある 静的耐震計算法 地震力を静的な力に置き換えて,構造物の安定を照査する 動的耐震計算法 地震動波形もしくは応答スペクトルを入力して,構造物の応答を 求め,その結果から構造物の安定を照査する 静的耐震計算法 震度法 修正震度法 動的耐震計算法 応答スペクトル法 時刻歴応答解析法 応答変位法 地震時保有水平耐力法 周波数応答解析法 静的耐震計算法(その1) 震度法(レベル1地震動用) 地震力を(構造物の重量)×(設計震度)で表し,設計する.この思 想は,1917年(1914,1916という説も)佐野利器(さのとしかた)先 生が「家屋耐震構造論」で提案.1923年関東大震災を経験し,震度法 を導入.当時の設計震度は0.1,現在では0.2を基準とし,地域係数,地 盤補正係数,構造物補正係数(重要度)を加味して決定.なお,地域 係数は全国で3つに分けられており,北海道の北部,山口,福岡,佐賀, 長崎,鹿児島,沖縄が最も小さい設定になっている. 修正震度法(レベル1地震動用) 震度法では加味されない,構造物の特性(固有周期)による補正係数 を考慮したもの. 静的耐震計算法(その2) 応答変位法(レベル1,2地震動両方) 地中構造物(沈埋トンネル,水道管,ガス管など)の場合,地震を受け ても自分自身が振動するのではなく,地盤の変位に追随して構造物に力 が作用する.そこで,地盤の変位をあらかじめ求め,それを構造物に作 用させる方法であり,地盤の変位を求める際に,動的解析を用いること もある. 地震時保有水平耐力法(レベル2地震動用) 修正震度法で用いる設計震度に対し,さらに構造物の塑性化を考慮した 設計震度(等価設計震度)を用いて,構造物の安定照査を行う.この方 法は,1990年より取り入れられた方法であり, レベル1地震動・・修正震度法・・・構造物は弾性範囲 レベル2地震動・・地震時保有水平耐力法・・・構造物は塑性化する 動的耐震計算法(その1) 応答スペクトル法 設計地震動を決定 地震動に対する 加速度応答スペクトルを算定 構造物の固有周期を求める 構造物の固有周期と加速度応答スペクトルから最大応答を算出 構造物の固有周期をどのように決定するかが難しい 動的耐震計算法(その2) 重要な構造物(原子力発電所,公共施設(病院,避難所)など) 複雑な形状のもの(吊橋,斜張橋) 時刻歴応答解析法 運動方程式を時々刻々解いていく方法 直接積分法とも呼ばれる mu cu ku f 下式のように減衰係数(マトリックス)が質量と剛性の和で表されると きは,固有周期ごとに1自由度系の運動方程式を解き,重ね合わせで解を 求めるモード解析法という手法もある c m k 直接積分法とは mu cu ku f 時間 u v a f 0 0 既知 既知 既知 既知 1 Δt 未知 既知 未知 既知 未知 既知 既知 2 2Δt 未知 未知 未知 ・ 既知 ・ ・ ・ ・ ・ 既知 i-1 (i-1)Δt i iΔt i+1 (i+1)Δt 既知 既知 加速度応答スペクトルとは 固有周期 T1 T2 T3 最大加速度 (gal) ある地震波において,各固有周期の構造物の最大加速度応答の集まり T2 T1 固有周期 (sec) T3 最大加速度の求め方 ・地震波の選定 (Δt は地震波加速度( z)が計測された時間間隔) ・固有周期(T)を決める ・質量(m)を1kgとし,k=4π2m/T2より,剛性(k)を求める ・減衰定数(h)を決定し,c=2h*(√mk)より減衰係数を求める my cy ky mz を解くことにより,絶対加速度の最大値を求める. max abs y z 最大変位・速度は max abs y max abs y ニューマークのβ法を用いれば, 1 t t 2 2 1 yi1 m c t k mzi1 c yi yi k yi tyi t yi 2 2 2 yi1 yi t yi yi1 2 2 2 1 yi 1 yi tyi t yi t yi 1 2 初期条件 時間0で変位,速度,加速度は全てゼロ 加速度応答スペクトルの計算 ある地震波において,各固有周期の構造物の最大加速度応答の集まり T1 T2 固有周期は0.01(sec)と 0.05(sec)から2.00(sec)までは 0.05秒刻み 2秒から5秒までは0.2秒刻み 5秒から10秒までは1秒刻み T3 加速度 (gal) 固有周期 1gal = 1cm/s2 X軸,Y軸は対数目盛とする T2 T1 固有周期 (sec) T3 課題01 2008年岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日発生) ,2011年東北地方太平洋 沖地震(2011年3月11日発生),で観測された地震波をそれぞれ2地点ずつ取り 上げ,それぞれの地震波(合計4波)の加速度応答スペクトル,速度応答スペク トル,変位応答スペクトルを求めよ.なお,減衰定数hはh=0.02(2%)とする. レポートの構成(ワープロを使用すること,Sampleレポートを参照) 2つの地震についてインターネットで調べ,地震の概要を調べよ 使用した地震波について述べる.時間-加速度関係のグラフは必須 加速度・速度・変位応答スペクトルのグラフを描く 各応答スペクトルについての考察を述べる.また,地震波が違うことによ る加速度応答スペクトルの違いについて考察する 提出方法:5月30日(月)の授業の時に提出.遅刻は認めない. レポートの書くときの注意 内容について 「大辞泉」によると,考察とは,「よく調べて考えをめぐらすこと」である. レポート(論文)は作文とは違い,根拠がある内容を踏まえて,自分の意見を述べる 根拠がある内容(事実の羅列)だけではダメ 思いつき(根拠がない内容)で自分の意見を述べてもダメ 体裁について グラフのまわりの枠線は不要 (Excel で作成したグラフをそのまま貼り付けると起きる) レポートは読んでもらって初めて価値がある 文字の大きさ,グラフの見やすさ,文章の読みやすさなどなど レポート提出の際の諸注意 以下のことが守れていないレポートに関しては,再提出と同時に新た な課題を出す 口語体(話しことばの文体)で書かれたレポート 自分で提出前に誤字・脱字・表現方法などの推敲が行われていないレポート 内容が明白でないレポート(書き手の述べたいことが分からないレポート) 読み手に不親切なレポート(読み手に対して思いやりがないレポート)
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