平成21年度 地方の元気再生事業 事業実施調書

【国土交通省】
平成21年度 地方の元気再生事業 事業実施調書
(1) 取組名
島内空き家のゲストハウス化プロジェクト -漁村滞在型観光と通じた離島振興-
(2) 実施団体名
特定非営利活動法人いえしま
(4) 代表団体名
(3) 対象地域
兵庫県姫路市家島地区
(5) 推薦団体名 姫路市
取組① 漁村滞在型観光の展開のための「地域資源調査」
実施主体 主担当:特定非営利活動法人いえしま
当初提案により予定していた計画
外国人観光客等のニーズに対応した漁村滞在型観光について
取組む上で重要となるのは、家島地区特有の様々な地域資源を
把握することである。よって今年度は家島地区における幅広い地
域資源の調査を行う。調査項目は以下のような内容が想定され
る。
◇ストック資源(ツアーに活用できる空き家の分布・貸与希望など
をアンケート調査する。)
◇環境資源(海の環境のデータ、海産物の種類、漁獲量などに
ついて、調査機関等を通じて定量的なデータを収集するととも
実施内容、 に、島民の生の声や地域の生活史などをヒアリングする。)
実施結果 ◇人的資源(観光を核とした離島振興に興味のある島内外の若
者らに対してヒアリングを行う。民宿など観光業に関わる人や漁
師、海産物の加工に関わる人、地域史に詳しい人などツアープロ
グラムに協力してくれる人の情報を収集する。)
これらの資源情報は将来的に外国人旅行者の必読ホームペー
ジサイト・書籍「Lonely Planet」(現地情報が詳しいことで有名)等
に掲載されて情報発信されることを想定している。
実際の取組内容及びその結果
・実施内容:家島地区特有の地域資源調査の実施(ストック資源、環境資源、人的資源)
・実施時期:平成21年9月~平成22年1月
・実施場所:家島地区(家島本島)
・取組の結果:家島独特の漁村滞在型観光の実施に向けて、将来的に観光プログラムに活かすことができる
可能性のある項目について、資料調査・現地踏査・ヒアリング等によりデータを収集した。
【ストック資源調査】
ツアーに活用できる空家の数や分布について、現地踏査により把握し、地図上のプロットしてデータ化を行
なった。また、各空き家の貸与希望等の情報も家主へのヒアリングにより空き家3軒を発掘、今年度中に実施
可能な空き家2軒を確保するなど、今後ゲストハウスとして展開できる場所の可能性を探った。
【環境資源調査】
・漁村滞在型観光における漁業体験プログラム等の可能性を把握するために、家島地区の海洋データや海産
物のデータを資料調査等によって把握した。また、漁業者へのヒアリング調査も実施し、漁業の近年の状況や
手すき海苔づくりや商品にならない雑魚料理教室等の体験プログラムの可能性を把握した。
【人的資源調査】
・家島観光事業者組合へのヒアリング調査を実施し、家島地区の観光の現状や、今後の展開の意向等につい
て把握した。また、家島地区内で活躍する市民活動団体の活動状況について、姫路市家島支所へのヒアリン
グや資料等から把握し、海苔生産匠組の若い漁師さんやリピーターばかりの宿のオーナーなど、観光客のお
もてなしを担う地元住民に今後の観光プログラムにおける連携の可能性を探った。
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取組② 漁村滞在型観光をマネジメントできる「人材の育成」
実施主体 主担当:特定非営利活動法人いえしま
当初提案により予定していた計画
広域的・多角的な視点で観光をマネジメントし、外国人観光客を
お世話できる人材(コンシェルジュ)をOJT研修等によって育成す
る。
人材の発掘については、観光事業組合や姫路市コンベンション
(6)実施した取組の
ビューローからの推薦や、島内外における一般公募などで若くて
内容
意欲のある人材を発掘する。その後、家島地区内の旅館での研
実施内容、 修や、姫路市内のコンベンションビューロー等との連携による観
実施結果 光プランの開発研修、外国人に人気のある宿泊施設等の研修、
外国人旅行ライターに学ぶ情報発信講座などの実施による育成
を図っていく。
実際の取組内容及びその結果
・実施内容:多角的な視点で観光をマネジメントし、外国人観光客をおもてなしできる「いえしまコンシェルジュ」
の養成講座の実施等
・実施時期:平成21年10月~平成22年1月
・実施場所:家島地区、姫路市街、京都市内、大阪市内
・取組の結果:いえしまの観光コンシェルジュとして期待される人材を募集し(応募12名)、平成21年10月23日
~11月29日まで計4回(延べ9日間)実施し、家島地区についての勉強会や先進地での研修、外国人モニター
ツアーでの実地研修、観光プラン作成研修等を実施した。また、平成21年12月~22年1月には、修了生の継
続的な勉強会を実施した。
【いえしまコンシェルジュ養成講座】
家島フィールドワーク(10/23,24)<講師:大社充氏>、京都おもてなし研修(11/6~11/7)<講師:滑田教夫
氏、ルバキュエール裕紀氏、前畑佳史氏>、外国人モニターツアー実地研修(11/13~11/15)、姫路市街地研
修・修了式(11/28,29)<講師:森下誠司氏、岡崎エミ氏>
【いえしまコンシェルジュ勉強会】
勉強会の実施(12/9,1/14)大阪市内及び姫路市街で実施
取組③ 地域のストック資源を活用した「実証実験」(モニターツアー)の実施
実施主体 主担当:特定非営利活動法人いえしま
当初提案により予定していた計画
実際の取組内容及びその結果
H21年度は家島の空き家1軒を外国人が宿泊するゲストハウスと ・実施内容:家島地区内の空家をゲストハウスとして活用し、外国人(留学生等)を対象とした漁村滞在型の
して展開し、今後の漁村滞在型のエコツアーの実施に向けた「モ 「モニターツアー」の実施
ニターツアー」を実証実験として実施する。参加対象は日本に滞 ・実施時期:平成21年11月14,15日
在する外国人(留学生等)や、日本を何度か訪れている外国人を ・実施場所:家島地区及び姫路市街(姫路城)
想定している。参加者の募集は、関西に居住する外国人が関西 ・取組の結果:漁村滞在型のモニターツアーとして、家島地区の空き家をゲストハウスとして外国人を対象に
の情報を得るために必読となっているフリーペーパー「Kansai
実施した。空き家はストック資源調査から把握できた合計11件の中から日本家屋を家主と交渉して4件の空
Scene」とそのホームページを通じて行う。また、参加者との意見 き家を借りることができた。そのうち1件でモニターツアーを実施した。また、宿泊受入れの準備には、コンシェ
実施内容、 交換や事後のアンケート調査等を通じてニーズや評価を把握し、 ルジュ講座の実地研修の一環として研修生と共に準備を行なった。モニターの募集に際しては、HP及びチラ
シでの募集を行い、100名以上からの応募があった。厳正な抽選の結果、アメリカ・ドイツ・スウェーデン・トル
実施結果 事業展開にあたっての課題点などを分析する。
コ・中国・ベトナムなど多様な国籍の10名の参加となった。集落散策や料理体験、クルージング、姫路城見学
などのプログラムを実施し、ツアー後のモニターへのアンケート調査では非常に高い評価が得られた。具体的
には10人中9人がお金を払っても参加したいと答えている。ツアーで最も魅力的だった点は、地元住民との交
流、次にクルージングと民家での宿泊が挙げられている。また魚介料理も好評であった。
事業展開にあたっての課題点としては、ツアーに対して3万円以下支払いたいと外国人たちが答えている。モ
ニターツアーは、人件費を抜いた実費のみの値段で実施しため、人件費を入れた場合の価格設定と顧客満足
度のバランスをとることが課題である。また、今回はモニターツアーであったためサービス上の不備やトラブル
などは問題にならなかった。今後は有料でツアーを実施するためには空き家の改修や食事等のサービスの向
上が必要である。
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(7)実施体制
平成21年度の取組実施における体制・役割分担
(実施主体)
◇NPO法人いえしま
本事業の実施主体として、関西のおばちゃんパワーを活かし、合理的か
つ幅広いネットワークを活用して協力団体との連携のもと取組みを主体的
に進める。
(協力団体)
◇家島漁業共同組合、家島の漁師や網元
家島の環境資源調査の際のヒアリング(魚や漁場の環境についての情報
提供)や、モニターツアーの際の食材の供給、漁船の貸与や底引き網体
験、釣堀体験、のりの養殖・加工体験などで協力してもらう。
◇家島観光事業組合、家島地区内の旅館・民宿
家島の地域資源調査の際のヒアリング(観光資源や宿泊客の声)や、モ
ニターツアーの際の空き家での宿泊サポート、ツアープログラムのサポート
などで協力してもらう予定である。
◇地域づくりに関する専門家(学識者等)
調査項目の設定や結果のデータ分析について、専門家のアドバイスをいた
だく予定である。
◇民間のコンサルタント会社
調査の集計・分析、情報発信などについて、これまで家島の住民参画の
まちづくりに深く関わってきた民間のコンサルタント会社(㈱studio-L)に委
託する予定である。
◇外国人旅行ライターや外国人向け情報発信機関
関西に居住する外国人向けフリーペーパー「Kansai Scene」や外国人旅
行者の必読ホームページサイト・書籍「Lonely Planet」の編集部に協力して
もらう予定である。
当初計画からの変更点
・実施主体及び協力体制については大きな変更は無いが、コンシェルジュ研修生が積極的に事業運営にも関
わってくれたことや、姫路市コンベンションビューローの協力が想定以上に得られた。
・本取組においては、NHK及び関西テレビが密着取材を行なうことになり、テレビ放映されたことで家島の魅力
が情報発信された。
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○成果1→ 家島の漁村滞在型観光における地域資源となり得る要素(ヒト・モノ・情報)に関する様々なデータ、特に家島地区内の空き家の情報についての詳細かつ定量的な把握
H20
H21(当初予定していた目標)
家島地区独自の現在の地域資源のデータについて総合 地域資源となり得る数多くの要素(ヒト・モノ・情報など)を把握しこれらの活用方策や「情報発信」や「ネットワーク」のあり方
的、詳細、かつ定量的にまとめたデータは無い。
を検討する。特に空き家の状況を調査し、H22年度内にゲストハウスとして展開できる空き家を5ヵ所程度発掘する。
H21(実際に得られた成果)
・家島地区における資源調査(ストック・環境・人的)を実施したことで、今後の漁村滞在型観光の展開に向けて有意義なデータを得ることができた。具体的には、海苔の種にこだわっ
た手すき海苔体験、底引き網に入ってしまった食べられる雑魚教室等を体験プログラムとして提供するなどである。特に空き家調査では、家島本島内の空き家の分布状況を面的に
把握するとともに家主の貸与意向など知ることができ、今後のゲストハウスへの展開が期待される結果となった。平成22年度内にゲストハウスとして展開できそうな空き家について、
今回モニターツアーを活用したものも含めて3ヵ所ほど発掘し、年度末まで実施可能な空き家2ヵ所を確保した。また、環境資源調査によって漁業体験プログラムの展開アイデアが
見えてきたことや、人的資源調査によって、プログラム運営に協力してもらえそうな団体や個人も4箇所程度見えてきた。具体的には、大量生産しない海苔を生産している海苔生産
匠組の若い漁師さんたち、家島にこだわったリピーター率9割を誇る宿のオーナーなどである。
○成果2→ 家島の漁村滞在型観光を姫路市中心部の観光資源等と連携しながらマネジメントできる人材の発掘と育成
(8)取組により得ら
れた成果
H20
H21(当初予定していた目標)
これまで家島地区の観光事業者組合等が地域の観光振 広域的・多角的な視点で観光をマネジメントし、外国人観光客をお世話できる人材(コンシェルジュ)を発掘し、OJT研修等に
興の取組みを行ってきたが、空き家等を活用した漁村滞 よって3名程度育成する。
在型の観光について取り組むことができる人材がいな
い。
H21(実際に得られた成果)
今年度実施した「いえしまコンシェルジュ養成講座」によって、これからの観光の視点によるまちづくりに担い手を発掘することができた。多様なテーマによる研修テーマを設定し、多く
のユニークな講師陣とのネットワークができたことも大きな成果である。また、研修生については、当初は3名程度が継続して家島の取組に関わってもらえれば成功だと考えていた
が、12名のうち10名もの研修生が今後も家島で活動を行なっていきたいという意向を示してくれ、今後に向けても大きな期待が持てる展開となっている。
○成果3→ 家島地区の漁村滞在型観光に関する外国人のニーズ把握と、事業展開へあたっての課題の抽出
H20
H21(当初予定していた目標)
外国人留学生等の家島の「魅力的な風景に関するデー 日本に滞在する外国人(留学生等)や、日本を何度か訪れている外国人を対象に、空き家をゲストハウスとした漁村滞在型
タ」については把握してきたが、それ以上のニーズは把 の「モニターツアー」を実施する。また、参加者との意見交換や事後のアンケート調査等を通じてニーズや評価を把握し、事
握できていない。
業展開にあたっての課題点などを分析を行う。
H21(実際に得られた成果)
今年度実施した「モニターツアー」によって、外国人のニーズを把握することができた。ツアーを通じたモニターの反応や、プログラム終了後のアンケート調査結果から、家島地区における漁
村滞在型観光のポテンシャルは非常に高いことが明らかとなった。空き家を借りるときの契約内容、お金とサービスのバランス、空き家を改修するための資金調達など改善点なども検証し
た上で、今後の事業展開へ向けて大きな契機となった。
・今年度の地域資源調査、人材発掘・育成、モニターツアーの実施については、前述しているとおり、それぞれ大きな成果を得ることができたと考えている。
(9)今年度の取組成 ・次年度からは、今年度の成果を活かしながら、より実践的な観光企画の運営を進めていくことになる。その上で課題となってくるのは、空き家のゲストハウス化における法律的な問題など
果や活動を踏まえ が考えられる。
た反省点、改善点 ・家島観光事業組合の取組との連携など、家島内部での連携体制をさらに図っていく必要がある。
・外国人コミュニティでの口コミの効果など、ツアー企画の情報発信について、新しい展開方策について取組んでいく必要がある。
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当初提案に予定していた平成22年度以降の展開
○外国人観光客をターゲットとした漁村滞在型観光の本格
的実施
実施地域:家島地区
実施期間:平成22年秋から継続的に実施
実施内容:地域資源を活かしたエコツアープログラムの
継続的な運営
今年度の取組状況を踏まえた平成22年度以降の活動の見込み
○外国人観光客をターゲットとした漁村滞在型観光の本格的実施
実施地域:家島地区
実施期間:平成22年秋から継続的に実施
実施内容:地域資源を活かしたエコツアープログラムの継続的な運営
(当初想定から変更なし)
○姫路市の都市域の観光の取組みとの連携と情報発信の
強化
実施地域:姫路市中心部、及び家島地区
実施期間:平成22年秋から検討開始
実施内容:姫路市中心部の観光の各種取り組みとの連
携
○姫路市の都市域の観光の取組みとの連携と情報発信の強化
実施地域:姫路市中心部、及び家島地区
実施期間:平成22年秋から検討開始
実施内容:姫路市中心部の観光の各種取り組みとの連携
(当初想定から変更なし)
○観光プランや環境保全活動をトータルでマネジメントする
人材育成と雇用の創出
(10)平成22年度以 実施地域:家島地区及びその他の研修場所
降の活動の見込み 実施期間:平成22年度から継続的に実施
実施内容:21年度から継続した新たな観光をマネジメン
トできる人材の育成
○観光プランや環境保全活動をトータルでマネジメントする人材育成と雇用の創出
実施地域:家島地区及びその他の研修場所
実施期間:平成22年度から継続的に実施
実施内容:21年度から継続した新たな観光をマネジメントできる人材の育成
(当初想定から変更なし)
○外国人向け漁村滞在型観光の収益事業としての展開、
雇用の拡大
実施地域:家島地区
実施期間:平成23年度初頭から常時運営
実施内容:地域資源を活かしたエコツアープログラムの
ビジネス展開
○外国人向け漁村滞在型観光の収益事業としての展開、雇用の拡大
実施地域:家島地区
実施期間:平成23年度初頭から常時運営
実施内容:地域資源を活かしたエコツアープログラムのビジネス展開
(当初想定から変更なし)
○エコツアーと連携した里海保全のあり方の検討
実施地域:家島地区
実施期間:平成23年春から検討開始
実施内容:海辺の環境保全活動の事例調査、家島で展
開する際の仕組みの検討
実施内容:家島地区の「豊かな交流が生まれる島」へ向
けた取組み
○エコツアーと連携した里海保全のあり方の検討
実施地域:家島地区
実施期間:平成23年春から検討開始
実施内容:海辺の環境保全活動の事例調査、家島で展開する際の仕組みの検討
実施内容:家島地区の「豊かな交流が生まれる島」へ向けた取組み
(当初想定から変更なし)
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