対イラク共和国 事業展開計画

対イラク共和国 事業展開計画
2010年8月1日現在
【外交政策上の特記事項等】
●イラク復興支援は以下の点から重要である。
①イラクが主権・領土の一体性を維持しつつ平和な民主的国家として再建されることは,中東地域及び国際社会の平和と安定に極めて重要である。これはODA大綱が重点課題に掲げる「平和の構築」の観点からも大きな意義を有する。
②イラク及び中東地域の安定化は,石油資源の9割近くを中東から輸入する我が国のエネルギー安全保障の不可欠の前提であり,その国益に直結する。
③イラクの復興は,国際社会の共通課題である。イラク復興への継続的な支援は,我が国が国際社会の一員としての責務を果たすものとなる。
④かつてイラクで活躍した邦人が現地で培った信頼から,イラク復興に我が国が積極的に貢献することへの期待は高い。復興支援への邦人の関与はこの期待に応え,かつての信頼関係を再構築・強化するものとなっている。
●2003年10月,マドリッド会議において表明した最大50億ドルのイラク復興支援のうち,「当面の支援」のための15億ドルの無償資金協力は現在までに完了し,中期的な復興ニーズに対する最大35億ドルまでの円借款による支援についても32.8億ドルが供与済み
である。
●本邦企業のイラクでのビジネス展開の本格化には,依然として直接,間接的な経済協力が必要とされており,イラクのニーズと我が国の関心が一致する案件を重点的に支援を展開していく。また,技術協力に関しては,不安定な治安情勢にかんがみ研修員受入
を中心として実施してきたが,国内治安が改善傾向にあることにより,部分的(エルビル等のクルド地域,バグダッド空港周辺,バスラ空港周辺)に渡航情報が引き下げられたこと,平成21年3月にJICAイラク事務所が設立されたこと等を踏まえ,今後は地域ごとの治
安情勢を慎重に見極めながら,専門家派遣及び技術協力プロジェクトの実施を検討する。
【援助重点分野】
【開発課題】
ガバナンス強化
【現状と課題】
イラクは,民主的国家として全国民が尊厳をもって生活できるよう様々な課題に対処している。行き過ぎた旧バース党員の
排除の見直し,地方自治法,地方選挙法等の制定,地方選挙の円滑な実施等により,国民和解には一定の進展が見られ
る。その一方で,憲法修正や係争地問題等の困難な課題では,いまだ宗派,政党間の意見の隔たりが大きく,2010年3月
の国会選挙後の政権樹立にも時間を要している。民主的な方法でこうした課題の解決が図られることが期待される。ま
た,戦後の混乱の中で相当規模の人材流出・喪失(暗殺・誘拐を含む)が見られ,中央政府と県との権限関係も整備途中
である等,行政府の機能強化は重要な課題となっており,各種制度の構築・整備や行政府の人材育成を積極的に支援し
ていく必要性は高い。
【開発課題への日本の対応方針】
●国民和解に関しては,これまでのプロジェクトが一定の成果を挙げており,イラクの政治プロセスも視野に入れつつ
案件形成を図る。
●ODA関係当局等を含む行政官の能力は依然脆弱であり,能力向上に向け引き続き積極的な支援を検討する。我
が国の制度をよく理解させることを目的としたセミナーの開催等は,我が国の円借款の実施促進の観点からも有益。
●外国投資の受入れ促進をはじめとする経済分野で,各種制度の構築・整備や人材育成が喫緊の課題になってお
り,可能な範囲でこれを支援していく。これは我が国企業のイラク進出に対する側面支援ともなる。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
プロジェクト名
スキーム
国民和解,選挙,メディア,平
日・イラク間の知見の共有セミナー
国民和解及び民主 和構築等に関する支援を行う。
化支援プログラム
平和の定着セミナー/マレーシア
行政官の能力向上プ
ログラム
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
国別研修
第三国研修
公共財政管理,外交,ODA,
行政官研修(大統領府,首相府等)
地方自治等に携わる行政官に
対する支援を行う。
ODAセミナー
国民和解及び行
政機関の能力向
上
2009
年度
以前
国別研修
国別研修
WTO
国別研修
ムサンナー県のキャパビル及び機構強化計画(UNDP)
無償
投資環境法整備
国別研修
経済政策セミナー
課題別研修他
1
4.0百万USD
備考
【開発課題】
【現状と課題】
【開発課題への日本の対応方針】
治安情勢については,改善傾向にあるものの,バグダッドやディアラ県,ニナワ県等では依然として予断を許さない状況に ●警察に関しては,地域コミュニティとの連携,内部の規律維持等のコンポーネントに力点を置いた国際機関経由の
ある。イラク18県全てにおいてイラク政府に対する治安権限委譲が完了しており,米国とイラクとの間で結ばれた米軍撤 支援を着実に実施するとともに,研修員受入を中心とした案件形成をはかる。
退協定に基づき,2010年8月にはイラク駐留米軍の戦闘部隊の撤退が完了した。現在,米軍残留部隊は5万人に縮小さ
れ,イラク治安部隊の訓練や対テロ戦支援等の任務に就いているが,これら残留部隊も2011年末までに完全撤退する予
定とされている。こうした中,警察や国境管理当局を含む治安当局の能力向上は治安改善を定着させていくことは,重要
な課題となっている。また覚醒評議会関係者に政府や民間での新たな就労機会を提供することは,治安改善の効果を確
固たるものにする上で重要である。
実施期間
協力プログラム名
治安関係機関の
能力向上
協力プログラム概要
スキーム
プロジェクト名
●警察,国境管理等に関する
警察(鑑識・柔道)
支援を行う。
●民兵の社会復帰,雇用創出
警察:鑑識/ヨルダン
等の支援を行う。
治安関係機関の能
力向上プログラム
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
国別研修
第三国研修
バスラ県法執行機関キャパビル計画(UNDP)
無償
6.0百万USD
イラク南部における統合的国境管理計画(IOM)
無償
7.0百万USD
出入国管理
国別研修
2
備考
【援助重点分野】
【開発課題】
生活基盤整備
【現状と課題】
イラク国民の医療状況及びイラクの医療制度は,ここ約20年で急速に悪化した。湾岸戦争前は,国民は広く無料で公平に
医療サービスを受けることができ,必要な場合には二次医療及び三次医療サービスを受けることができたが,戦争や経済
制裁,ガバナンス能力不足等により悪化し,医療設備の老朽化や医薬品・医療機器の調達・供給システムの非効率化等
がみられる。また治安の悪化に伴い海外に医療従事者が流出したこともあり,保健行政の効率化,基礎的医療の改善・充
実と医療関係者に対する能力開発等が喫緊の課題である。
【開発課題への日本の対応方針】
●過去に供与した資機材が適切に維持・管理されるよう,医療関係者に対する人材育成を積極的に支援する。
●我が国NGOや大学病院等の中にイラクでの医療案件に関与(またはこれを検討)している機関もあるため,可能な
範囲で連携可能性を検討しつつ,これまでの研修員受入事業と関係を有する分野等での専門家(当初は短期)派遣
を検討する。
●円借款で新規病院の建設等の支援を行う場合には,当該案件との連携効果の大きい技術協力を検討する。
実施期間
協力プログラム名
プロジェクト名
協力プログラム概要
我が国が過去に建設や整備に
係わった所謂「13病院」への緊
急支援がほぼ完了したこ とを
踏まえ,一次医療から高次医
療までを含む段階的な医療体
病院整備プログラム 制の整備を支援する。
医療の質向上
スキーム
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
無償
38.0百万USD
ファルージャ母子病院設置計画(UNDP)
無償
18.97
イラク北部地域紛争被害者支援計画(UNDP)
無償
12.1百万USD
備考
0.09
草の根無償
保健セクターローン準備調査
協準
その他の医療施設整備,医療
医療研修
技術向上等の支援を行う。
国別研修
母子保健実施管理
青年研修
医療/エジプト
第三国研修
ムサンナー県のキャパビルを通じた保健サービスアクセス向上
計画(WHO)
【開発課題】
2010
年度
ティクリート総合病院及びラマーディー総合病院整備計画
(UNDP)
キルクーク外科手術医療機器整備計画
医療関係者の能力
向上プログラム
2009
年度
以前
【現状と課題】
イラクの教育制度は,1980年代まで中東で最高レベルにあると広く認められていたが,教育制度の非効率化,人材の国
外流出による人材不足等により,イラクの教育制度は後退した。1980年代までの高い教育水準の回復は政府の重点課
題であり,民間セクターが重要な役割を果たすことが求められているため,初等及び中等教育における民間セクターの活
用や教師の能力強化に係る民間投資の促進を図る必要がある。また,文化遺産保護等については,我が国機関(大学
等)との連携による遺跡保護,博物館修復等への支援が考えられる。
2010年度は結核対策のみ。
3.9百万USD
無償
【開発課題への日本の対応方針】
●遺跡保護,博物館修復等への支援に関しては,専門家による遺跡や博物館の現状確認を行い,単なる機材供与に
留まらず,研修と相互補完的な支援となるよう留意する必要がある。
●イラク政府は自己資金による留学生派遣を検討しているところ,我が国としても受入努力を行う必要がある。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
スキーム
プロジェクト名
教育,文化等に関するインフラ
整備や留学生受入れ等の支援 教育システム改善
を行う。
イラク中部の小中学校における教育環境整備および衛生促進
事業
教育・文化面の環
境整備
教育システム改善プ
ログラム
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
長期研修
日本NGO
0.96
ニナワ県アクレ郡における小学校増築修復事業
日本NGO
0.28
イラク中部・北部の小中学校における教育環境整備および衛生
促進事業
日本NGO
0.93
イラク北部アクレ郡における小学校改築事業
日本NGO
0.64
イラク南部バスラ県におけるコミュニティ参加型学校修復・運営
改善事業
日本NGO
0.37
草の根無償
0.07
ディヤラ県カナキン地区小学校修復計画
南イラクにおける青年の生活発展
マルチ
遺跡発掘調査,保全・修復,遺跡保護・管理/ヨルダン
3
備考
第三国研修
3.00百万USD 世銀「日本社会開発基金(JSDF)」
【開発課題】
【現状と課題】
湾岸戦争前まで,安全な水供給が広く行なわれていたが,その後関連施設の適切な維持管理がなされず,新規設備投
資もなされていなかったため,特にイラク第2の都市バスラにおいて,飲料水の安定供給が困難となり,かつ塩水化も進ん
でいる。また,他の地方部においては下水システムが未整備であり,既存施設の老朽化も進んでいるため,コレラの発生
等衛生面に深刻な影響を与えている。また,衛生埋め立て施設等の適切な廃棄物処理施設が建設されていないことによ
り,未処理の浸出水が地下へ浸透する等,地下水汚染等の環境汚染が今後懸念される。
自然環境に関しては,世界最大規模の生態系を有する国内南部湿原において,フセイン政権下で環境破壊と現地住民
の離散が進んだため,国連・世銀のニーズアセスメント等によりイラクが直面している環境上,人道上の最重要問題の一
つとされている。特に南部湿地帯の保全・復興や開発を支援することは,農業や漁業の振興等による住民の生活基盤の
向上にも資するため,支援の必要性が指摘されている。また,イラクは気候変動枠組み条約を批准済であるが,温室効果
ガス削減のための政策立案や事業実施は具体化していない。砂漠気候に位置し,限られた水資源の中,降雨量減少等に
よる気候変動の影響を受けやすいイラクにおいては,温室効果ガス削減に資する政策立案,事業実施が今後の課題であ
る。
【開発課題への日本の対応方針】
●円借款事業を着実に推進しつつ,技術協力については,円借款案件との連携効果の大きい案件を中心に検討す
る。
●環境に関しては,国際機関案件(UNEPによる湿原管理事業)との連携や南部湿地帯保全に資する案件等の形成
を図る。
●実施中の有償案件のCDM化を研修等の技術協力を通じて促進することにより,気候変動への取り組みの理解促
進及びCDM事業化への能力強化を図る。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
プロジェクト名
スキーム
上水施設,廃棄物処理等に関
上水道維持管理(システム改善)
する支援を行う。
上下水道・環境の
質向上
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
国別研修
廃棄物処理
上水・都市衛生プロ
グラム
2009
年度
以前
国別研修
上水道維持管理/ヨルダン
第三国研修
排水処理/チュニジア
第三国研修
バスラ上水道整備計画
有償
429.69
クルド地域上水道整備計画
有償
342.66
バグダッド下水施設改善計画(設計監理等)
有償
21.41
中西部上水道セクターローン
有償
412.74
湿原等の環境保全に関する支
中東地域 水資源・環境管理政策
援を行う。
国別研修
乾燥地における水資源・環境管理
国別研修
南部湿地保全
国別研修
CDM事業促進のための能力強化研修
国別研修
環境保全プログラム
4
備考
【援助重点分野】
【開発課題】
経済成長の基盤強化
【現状と課題】
イラクの石油に関しては,①豊富な埋蔵量(1,150億bbl,サウジアラビア,イランに次ぐ世界第3位,シェアは8.6%),②
未開発の大規模油田の存在,③安い開発費用(bbl当たり0.5~2米ドル程度。北海油田は10米ドル超。)から,石油開発
の潜在的可能性は高い。2010年8月現在,イラクの石油生産量は約240万bpd,輸出量は約190万bpdで,うち約80%が
バスラ・ターミナル経由,残りはトルコ・パイプライン経由である。イラク政府は,石油生産量を中期的には600万bpdに拡
大することを目標とし,石油生産量・輸出量の増大,炭化水素法の制定,石油投資法の整備,汚職追放,密輸撲滅,治安
対策の強化,計画・事業遂行に当たる人材育成,燃料不足問題の解決を優先課題として取り組んでいる。特に,国内の石
油精製能力の不足から,ガソリン等の石油製品を輸入する状況となっており,製油所の改良や新設が主要な課題となって
いる。さらに,イラクの天然ガスの確認埋蔵量は,110兆立方ftであり,その70%が石油随伴ガスであるが,これまで殆ど
活用されていない。天然ガスの主要地域は,北部のキルクーク,アインザラ,ブトマ,ベイハッサンの油田及び,南部のル
メイラ,ズベイル油田である。天然ガスに関する課題は,法的規制枠組みの改善,国内企業と外資系企業の協力強化,市
場歪曲的な燃料補助金の削減,技術及び経営訓練への投資等である。
なお,2006年から協議が続いている炭化水素法(石油法)は,2010年8月時点においても議会未承認のまま保留状態
が続いており,今後のイラクにおける外国投資の更なる促進のためにも同法の審議過程を注視する必要がある。
【開発課題への日本の対応方針】
●本邦企業が関心を強く持つ分野であり,当地ビジネス環境の整備に向けて,既往案件の効果拡充や新規円借款案
件の形成を検討する。
●技術協力においては,包括的マスタープランの作成支援や施設運営・維持管理等に係る人材育成,組織強化に資
する支援を検討する。
実施期間
協力プログラム名
石油・ガスセクター
基盤強化
【開発課題】
協力プログラム概要
スキーム
プロジェクト名
石油及びガス産出,輸出等に
関する支援を行う。なお,本件 バスラ製油所改良計画(設計監理等)
石油及びガス産出能 支援においては,発電インフラ
原油輸出施設復旧計画
力向上プログラム への円滑な燃料供給の実現も
念頭に置く。
ベイジ製油所改良計画準備調査
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
有償
20.79
有償
500.54
備考
協準
【現状と課題】
イラクの農業部門は,長年の紛争・国連制裁及びオイル・フォー・フード計画により,食糧の輸入依存が進み,穀物生産
量,食糧自給率,競争力が著しく低下している。また,灌漑施設の老朽化や圃場レベルの水利用の非効率化,生産性低
下及び塩害化対策への取り組みも緊急に必要であるため,灌漑インフラ等の再建が優先課題となっている。また,イラク
政府が目指す食糧自給率の改善,農業生産性の向上には,関連インフラの再建に加え,農業技術普及,流通体制の改
善等に係る人材育成,組織活性化が課題となっていると共に,農業開発のポテンシャルが高い北部地域(クルディスタン)
における小麦,野菜,果樹等の生産性向上,人材育成等が重要である。
イラクの鉱工業部門の大部分は公企業下の工場が担ってきており,産業基盤となる製品や中間生産品を供給してきた
が,経済制裁等で設備の更新・修理が適切に出来ないまま約20年を経過し,電力や天然ガスといった投入要素も不足気
味となり,生産効率が落ちている。課題としては組織能力向上に加え,マーケティングや公的資金・民間資金の適切な使
い分けを踏まえた設備更新があげられる。
【開発課題への日本の対応方針】
●灌漑・農業分野及び産業分野における円借款案件を着実に推進しつつ,効果拡充のため,関連分野の技術協力
(本邦研修,第三国研修,他)を中心に,積極的に実施・検討する。
●技術協力においては,農業開発の潜在性が高く,治安情勢が安定しているクルド地域を中心に技術協力プロジェク
ト,専門家派遣等を積極的に支援する。
実施期間
協力プログラム名
農業・鉱工業基盤
強化
農業生産性向上プロ
グラム
協力プログラム概要
中南部においては,円借款案
件の実施促進と本邦研修・第
三国研修を通じた人材育成を
継続する。治安の比較的安定
し て い る ク ルド 地域 にお いて
は,食糧の安定供給と小規模
農民生計向上を目的として,具
体的な協力案件を形成し,農
業行政能力強化及び栽培・灌
漑等の技術移転を進めていく。
プロジェクト名
スキーム
農業灌漑技術
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
備考
国別研修
農業農村復興人材育成・近代的農業普及/ヨルダン
第三国研修
灌漑農地水管理プロジェクト
第三国研修
農業研究人材育成/シリア
第三国研修
灌漑のための水資源管理/エジプト
第三国研修
灌漑セクターローン
有償
南部ジャジーラ灌漑プロジェクト協力準備調査
協準
クルド地域農業分野案件形成準備調査
協準
コール・アルズベール肥料工場改修計画
有償
中西部鉱工業セクター協力準備調査(リン酸肥料,板ガラス)
協準
5
95.14
2010.6~2011.4
181.20
【援助重点分野】
【開発課題】
民間セクターの活性化
【現状と課題】
イラク電力分野は,2006年11月に発表され,その後,継続的に見直されている電力マスタープラン(MP)に基づいて発
電,送配電網の復旧,新設等事業が遂行されてきた。現行発電能力は6,000~7,000MW程度である一方で需要はピーク
時で13,000MWを越えている模様であり,依然として停電は,全国平均で12時間以上と言われており,2010年夏には電
力不足によるデモが頻発した。2009年にはGE,シーメンスから総計1万MW超ものガスタービンを購入する契約を締結し
た。国内のガス不足から,大型の汽力発電所建設も重要な課題となっている。電力セクターが直面する課題は,発電・送
配電すべての施設における経年劣化,スペアパーツの不足,燃料供給の問題,体系立った計画・事業遂行及び組織運営
効率化に資するキャパシティビルディングや関係職員の能力向上等である。
【開発課題への日本の対応方針】
●本邦企業が関心を持つ分野であり,当地ビジネス環境の整備に向けて,既往案件の効果拡充や新規円借款案件
の形成を検討する。
●技術協力においては,行政組織の運営能力向上や人材育成等を中心とする支援を検討する。基本的な電力拡充
に加え,最近出てきているニーズであるエネルギー効率化,再生エネルギー,環境対策についても検討する。
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
スキーム
プロジェクト名
発電,配電,変電等に関する支
アル・ムサイブ火力発電所復旧(UNDP)
援を行う。
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
国別研修
火力発電
国別研修
水力発電
国別研修
エネルギー政策
国別研修
火力発電・石油精製プラントの設備管理と技術基準
国別研修
備考
52.80
マルチ
送電配電技術
支援額
(億円)
電力復興
電力供給システム改
善プログラム
【開発課題】
電力分野における組織制度改善人材能力向上/ヨルダン
第三国研修
電力分野人材育成/シリア
第三国研修
発電所運営維持管理/エジプト
第三国研修
アル・ムサイブ火力発電所改修計画
有償
367.64
電力セクター復興計画
有償
325.90
クルド地域電力セクター復興計画
有償
147.47
アル・アッカーズ火力発電所建設計画
有償
295.70
デラロック水力発電所建設計画
有償
169.96
【開発課題への日本の対応方針】
【現状と課題】
イラクの運輸システムは,道路,国際空港・主要国内空港,貨物港,石油ターミナル,及び鉄道からなる。道路は,イラクの ●技術協力については,実施中円借款事業との連携効果の大きい案件を中心に検討する。
全貨物の大部分を担っている。また,特に主要港湾であるウンム・カスル港の整備は物流の改善という観点からの喫緊の ●民間セクターの活用に資する制度面・人材面での支援を検討する。
課題となっている。通信インフラ(電話,郵便局,及びインターネット)は,周辺国と比較して未発達である。イラクの通信イ
ンフラの課題として,イラクの全ての県における運輸及び通信網を拡張し,国内,地域及び国際網を強化する必要があ
る。本セクターでイラクが周辺諸国並み水準に到達するためには,官・民の資金ソースの使い分けと適切な技術の適用を
必要としている。
実施期間
協力プログラム名
運輸及び通信基
盤整備
協力プログラム概要
スキーム
プロジェクト名
●港湾,道路,橋梁等に関する
イラク港湾関係者の管理運営能力向上
支援を行う。
●電話通信等に関する支援を
港湾整備計画
運輸・通信インフラ改 行う。
善プログラム
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
国別研修
有償
サマーワ橋梁・道路整備計画
有償
主要都市通信網整備計画準備調査
協準
6
302.11
備考
【援助重点分野】
その他
【開発課題】
実施期間
協力プログラム名
協力プログラム概要
プロジェクト名
スキーム
その他
その他
UNHCR向け拠出金(通常拠出のイヤマーク)
マルチ
2009
年度
以前
2010
年度
2011
年度
2012
年度
2013
年度
2014
年度
支援額
(億円)
備考
2.00
【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査),「詳細設計」(=有償勘定技術支援による詳細設計),「技プロ」(=技術協力プロジェクト),「開発計画」(=開発計画調査型技術協力及び旧来の開発調査),「個別専門家」,「個別機材」,「国別研修」,「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研
修),「JOCV」(=青年海外協力隊),「SV」(=シニア海外ボランティア),「第三国専門家」,「第三国研修」,「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型)),「草の根技協」(=草の根技術協力),「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実施している技
術協力),「無償」(=以下に特記するサブスキームを除く全ての無償資金協力),「ノンプロ」(=ノン・プロジェクト無償),「草の根無償」(=草の根・人間の安全保障無償),「日本NGO」(=日本NGO連携無償),「一般文化」(=一般文化無償),「草の根文化」(=草の根文化無償),「有償」(=
円借款),「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム),実線「―――」(=実施期間),破線「- - - -」(=実施予定期間)
7