参考資料第10-1号 安全設計審査指針等検討小委員会第9回会合における意見等の整理 平成23年12月13日 原子力安全委員会事務局 Ⅰ.意見等 ⑴ 参考資料第9-1号(第8回会合における意見等の整理) 事務局から前回会合の意見等の整理を紹介された。(コメントなし) ⑵ 設計小委第9-3号(外部電源系について) 電気事業連合会から外部電源系に係る信頼性向上を目的とした送電線との接続方 式(事例)、指針改訂案への意見について説明された。 ○赤い2本のラインが送受電可能なラインで、青いラインが受電のラインと考えてよ いか。【渡邉委員】 ●赤いラインが通常の送受電ラインで、赤いラインで受電できなくなった場合に、 青いラインで受電する。【青柳・電気事業連合会】 ○修文例の「AM要求」を明示したいという趣旨か。【岡本委員】 ●その趣旨である。【青柳・電気事業連合会】 ○代替電源もAM要求であり、明示するのか。設計指針にAMが混在することを明示す るか、報告書に明示するか、考えるべきである。【岡本委員】 ●「『外部電源系』とは」の定義の文章で、外部電源系の範囲が明確になっている か。【久木田安全委員長代理】 ●従来の範囲を変えるものではない。【青柳・電気事業連合会】 ●明確に定義されているかを問うている。【久木田安全委員長代理】 ⑶ 設計小委第9-1号(報告書案) 事務局から前回会合の意見をもとに見直しを行った報告書案について説明された。 【報告書の構成】 ○多重防護の考え方が明確に示されていることが重要であり、細かい点を別として、 まとめ方は良い。【岡本委員】 【SBO対策の基本的な考え方】:安全評価の考え方 ○「バウンダリの健全性の維持」の確認方法については、DBAの安全評価とは異なり、 さらなる単一故障は仮定せず、最適条件で確認するという理解でよいか。【浦田・ 電気事業連合会】 ○保守的な評価は難しい。確率論的な考え方によりシナリオを選定し、決定論的な 評価手法を使って解析する方法をとる。【渡邉委員】 ○同意するが、これはSBOに限らず今後第4層が規制要件化する上での一般的な課題 である。【平野委員】 ●最適評価を基本とし、種々のSBOシナリオを包括的に評価すべき。ただし、代替交 流電源設計を評価するための基本シナリオを提示している。【久木田安全委員長代 理】 -1- ○報告書に記載したい。【山口主査】 【具体的な技術要件】:重要度分類の変更、第4層要求 vs. DEC要求 ○「重要度の高い安全機能に関する電気系統は、系統の重要な部分の適切な定期的 試験および検査が可能な設計であること」と福島第一原子力発電所の事故との関連 を明確にした方が良い。【浦田・電気事業連合会】 ○繋がりを補強したい。【山口主査】 ○「AM策として機能を期待される設備」は、AMとして一般的な議論されるべきで、 クラス3のうちSBO対策に係るものを追記する場合には、他のシナリオとのバランス を考慮する必要がある。【平野委員】 ○「多重防護の第4層に対応するもの」という表現に違和感がある。前回、DS414を 引用するかたちでのDEC(設計拡張状態)という用語の使用は相応しくないと意見 を述べたが、定義できるのであれば、DECに相当する表記の方が良い。【更田委 員】 ○設計拡張状態に相当する表現がよい。【山口主査】 ○「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策について」の安全委 員会決定(10月20日)の中で、「第4の防護レベルの強化」の表現が既に取入れら れており、考え方としては良い。【平野委員】 ●「DEC」という用語は用いていないが、「代替交流電源の設置に係る基本想定シナ リオ」としている。【久木田安全委員長代理】 ⑷ 設計小委第9-2-1号(安全設計審査指針の改訂案) 渡邉委員から安全設計指針改訂案について説明された。 【現行の指針27,48との関係】:第3層と第4層、性能要求と設備要求 ○現行の指針27、48を廃止し、SBO指針としてまとめるのか。【木口委員】 ○指針27の代わりが8項、9項であり、1項~7項が指針48に該当する。【渡邉委員】 ○現行の指針27は30分の電源確保に読み替えている。SBO下で電源だけでなく、原子 炉の安全確保を要求として残す方がよい。【木口委員】 ○AMと現行の指針27の要件をどのように仕分けしたか、その心を報告書に明示する こと。【岡本委員】 ○8項、9項を指針27の改訂として残す案もある。【岡本委員、阿部委員】 ○指針の章の中で関連するところは統一的に書く方がよい。【山口主査】 ○8項の「ここで、非常用所内電源設備の一部である直流電源は」は指針27の代わり の要件か、また、「ここで」以下の趣旨は。【更田委員】 ○「ここで」以下は現行の指針27の「短時間の」要件に置き換わる要件の趣旨にて 記載している。【渡邉委員】 ○指針27の代わりであれば、「非常用所内電源設備」と「代替電源設備」との関係 がわかりやすい表現がよい。【更田委員】 ●8項は現行の指針27に対応していると理解している。指針27はSBO時の冷却の性能 要求をしているが、実態として直流電源の容量に読み替えられているもの。改訂案 の8項には、代替電源の設置を要求しているが、冷却についての性能要求を飛ばし て良いのか。【久木田安全委員長代理】 -2- ○現行の指針27の精神である冷却の確保を要求すべきである。【木口委員】 ●発電容量が大きくない電源車を使った場合には、AMを併用することにより長時間 の冷却が達成されるのであって、代替電源のみでレベル3の中で収まるわけではな い。まず冷却の達成を求め、手段の一つとして代替電源があるという書き方が良い。 【久木田安全委員長代理】 ○指針27の要件として代替電源を設備として要求するか、冷却の目標が達成される 手段の一つとして代替電源を位置付けるか、判断が分かれるところだが、明示した 方がよい。【更田委員】 【外部電源系】:第3層 or 第4層 ○外部電源系に係る技術要件を「AM要求」として位置付ける提案をした理由は、新 たに接続可能として設備対応する回線の容量が、従来の2回線よりも小さいことに よる。【浦田・電気事業連合会】 ○AM要求か否かは、機器のメンテナンスに関係し、品質保証の要求が違う。外部電 源系の信頼性を高めてSBOの発生頻度を下げるためには、改訂案のように要求する のが良い。【平野委員】 ○独立2回線の要求は、第3層の中であり、受電が必要な設備は、原子炉と使用済燃 料プールの冷却のみならず、もう少し範囲が広がり、議論が要る。【山下委員】 【代替電源設備の設置要求】: 設置要求の明示、共用の可否 ○代替電源設備の設置を要求すべき。SBO耐性の観点から他の必要な要件が漏れない ようにすることも必要である。指針7(共用)について、同時に複数号機で事故が発 生しないことを前提として非常用ディーゼル発電機(以下、「DG」という。)等を 号機間で共用することは止めるべき。(電源だけではなく)一般論として共用を禁 止すべきということではない。案2にその趣旨が読めるならば構わない。【山下委 員】 ○案1が良い。AMとして共用を認めることは解説に書く。【木口委員】 ○指針改訂案についての意見の多くは、解釈の意味が通じるようにして欲しいとい うものである。【山口主査】 ○代替電源の設置を要求するのかどうか、改めて確認したい。【渡邉委員】 ●代替電源の設置要求自体は合意ずみである。【久木田安全委員長代理】 ○8項に代替電源の設置要求を、9項に具体的技術要件を書くのがよいが、意見を踏 まえ、渡邉委員に再検討願いたい。【山口主査】 【低温停止の維持の要求(代替電源設備の容量)】 ○代替電源に冷温停止の維持を要求するのか。【渡邉委員】 ○冷温停止の維持までは要求しないことに賛成である。【山口主査】 ○冷温停止への移行を明示的に要求して欲しい。渡邉委員の意見は、明示しないと いう趣旨であると理解。【平野委員】 ○米国は今回の指針改訂案と基本的に似ている。安全停止(Safety Shutdown Condition)の定義は高温停止までであり、冷温停止までは要求されない。 【渡邉委員】 -3- ○高温停止を安定状態として読めないか。【山口主査】 ○ベント、原子炉格納容器スプレー等による冷却の維持は不十分。RHRを復旧させて 冷温停止に移行することを要求すべきである。【平野委員】 ○BWRを例にすると、原子炉への注水と格納容器ベントの長期継続を前提とせず、限 定された期間内に冷温停止に移行可能としておくべき。外部支援によりそれが可能 であれば代替電源にそこまで要求しない選択肢もある。また、冷温停止の維持は半 永久的であるが、これには外部支援による燃料補給等を考慮してよい。【山下委 員】 ○その時間の規定化は難しい。指針24(残留熱除去)にもその要求がない。確認でき ない要求は無用である。【渡邉委員】 ○「安定した停止状態に移行し」と「冷却」で確認できるところまで確認すること かと思う。冷温停止の要求が難しいならば、改訂案でもよい。【平野委員】 ○意見を踏まえ、原案を作成された渡邉委員に見直しをお願いしたい。報告書と同 様、主査一任扱いとさせていただき、メールで意見を伺いたい。【山口主査】 【代替電源設備の共用】 ○共用(7項)は案1にするのか、案2にするのか。【渡邉委員】 ○今日の議論では案1、案2も同じ要求である。折衷案にするか、どちらかにするか は相談させて欲しい。【山口主査】 【電源車】 ○代替電源設備の要求事項に対して、電源車は満足するか。【岡本委員】 ○電源車を意識して指針改訂案を作成した。AMは8項、9項が該当する。外部電源系 についての技術要件を「AM要求」とする要望が電事連からあったが、GDCにも入っ ているので、基本的な設計要件として扱うべきである。【渡邉委員】 【「復旧」の定義、代替電源の重要度分類】 ●「外部電源や非常用ディーゼル発電機が復旧」(8項の解説)とあって、DGの復旧を メルクマールとすることはよいか。また、「代替電源設備については重要度分類審 査指針を適用しない」の趣旨は。【久木田安全委員長代理】 ○必要な資源と態勢が外部支援等により確保されるようにして、DGの長期運転を期 待せざるを得ない。重要度分類指針を適用しない趣旨は、安全機能を有する本設と は違うことを明記しているということ。【渡邉委員】 ●長期間のDG運転の信頼性を、指針上どのように担保するか。【久木田安全委員長 代理】 ○指針の解説のところで書くか。【山口主査】 ○現行の指針では、長期間のDGの運転は要求されていないが、後段規制で対応すべ きであり、従来と変わらない。【渡邉委員】 ○報告書案においては「外部電源等の復旧」とした。外部電源の復旧を基本にすべ きである。【久木田安全委員長代理】 ○DG、外部電源の復旧、外部の支援体制等いろいろあるが、その辺は解説に書き、 必要ならば報告書に書くのがよい。【山口主査】 -4- ○「重要度分類は適用しない」については、趣旨を丁寧に記述することが必要。 【久木田安全委員長代理】 【改訂指針の表現】 ○8項、代替電源に係る技術要件としては、「~ができるように設計すること」と書 いた方がよい。「ここで」以下は、解説の方が明解であり、本文にした方がよい。 「代替電源設備には「重要度分類審査指針」を適用しない」は、今後、AMの規制要 件化を念頭に置き、全体のバランスを考慮する必要があり、書きぶりも議論が要る。 【平野委員】 ○直流電源に繋ぐところを考えて、要件の主語を「原子炉施設は」にした。「代替 電源を備えた設計」は必要な技術要件を全て包含するものとして、接続詞として 「ここで」を使用した。【渡邉委員】 ○現行の指針48にもある表現だが、「原子炉冷却材圧力バウンダリの設計条件」や 「原子炉冷却材喪失等の事故時」といった記述は相応しくないので見直してはどう か。【更田委員】 ○必要ならば文言の見直しを行う。【山口主査】 【報告書との関係】 ○AMが設計指針に多く出てくる。考え方を報告書に示すこと。【岡本委員】 ⑸ 設計小委資料第 9-2-2 号(安全機能の重要度分類の一部改訂指針案) 電気系統のうちクラス3(SBO対策に係るものに限定)を対象に、信頼性の向上(試験 検査の要求)を目的として、「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関 する審査指針」に追記することを、事務局から提案された。 ○クラス3を対象にすると、隔離弁以降の主蒸気系など常用系が入る。送電線が重要 であるが、発電、送電設備も入るのはどうか。受電系に限定する書き方はある。 【渡邉委員】 ○SBOが発生した場合に機能を期待する電気系統を対象に考えている。炉内の状態監 視に係る電源も対象になる。【事務局】 ○クラス3のうちSBO対策に係るものという提案であれば、各種の対策が読めるが、 受電系と書くと限定的で、支障はないか。【山口主査】 ●見直したい。【久木田安全委員長代理】 ⑹ 設計小委第資料 9-4-1 号、9-4-2 号(最終ヒートシンク喪失対策) 福島第一原子力発電所、第二発電所における最終ヒートシンクへの地震・津波の影 響および最終ヒートシンク喪失対策の技術的要件(たたき台)について、事務局から 説明された。 ○最終ヒートシンクの範囲は海水ポンプだけか。タンクから一定期間冷却するのも 含まれないか。議論の枠組みを整理すること。【阿部委員】 -5- ●本日の説明では、海側のポンプの他に、熱交換器など最終ヒートシンクに熱を移 送する系統のことを「最終ヒートシンク」と略して呼んだ。これには、RHRなどの 残留熱を除去する系統は含まれない。【事務局】 ○欧米の原子炉は川をヒートシンクとしている例もある。川から取水できない場合 に備え、貯水池を設け、使用している原子炉もある。欧米のような原子炉の考え方、 貯水容量は、今後の議論の参考になる。海外事例の調査が難しい場合は、国内の事 例を調べて欲しい。【渡邉委員】 ○福島第二原子力発電所1、2、4号機について、海水ポンプが復旧するまでの間、炉 心への注水で対応した期間がわかるように、日付を資料に追記すること。 【平野委員】 Ⅱ.まとめ ○報告書案、指針改訂案について検討を行った。コメントを踏まえ、指針改訂案の 見直しについては、渡邉委員に検討いただき、報告書の見直しも含め、主査一任扱 いとすることについて、了承された。 ○ヒートシンクについては、次回検討を継続する。指針27以外の課題の整理につい ては、審議未了につき、次回以降検討を行う。 (注:本資料は、安全設計審査指針等検討小委員会第7回会合の速記録の発言内容 を基に原子力安全委員会事務局において整理したもので、発言者のチェックを受 けたものではありません。) 以上 -6-
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