PRE-21-63 日本における,がんの作業療法のエビデンスレベルと報告内容の傾向に関する文献 検討 Levels of evidence for occupational therapy intervention for cancer patients in Japan: A literature review ○原田佳典 (OT) 1),野藤弘幸 (OT) 2),鹿田将隆 (OT) 3) 1) 滋賀医科大学附属病院リハビリテーション部, 2)常葉大学保健医療学部, 3)社会福祉法人公友会デ イサービスセンター都田 Key words: Evidence-based practice,Occupational therapy intervention,A literature review 日本では2007年4月に,がん対策基本法が施行されたが,がんの作業療法のエビデンスは調査されて いない.本研究の目的は,日本のがんの作業療法に関する文献のエビデンスレベルを調査することで ある.がんの作業療法の介入について報告された原著論文を,2013年3月28日に医学中央雑誌web ver.5で検索した.検索対象期間は,「がん対策基本法」が施行された2007年4月1日基軸として, 前後5年間とした.キーワードは「作業療法」「がん」「腫瘍」を組み合わせた.そして,アメリカ 作業療法士協会による「作業療法の効果研究に関するエビデンスレベル」を使用して分類した.ま た,作業療法の概念的実践モデルと介入場面についても調査した. 抽出された原著論文は32編であ り,がん対策基本法前が9編,がん対策基本法後が23編であった.エビデンスレベルは,II(非ラン ダム化群間比較試験)が1編,III(非ランダム化群内前後比較試験)が1編,IV(シングルシステム デザイン)が1編,そして,NA(事例報告)は29編であった.多く使用されていた概念的実践モデ ルは,生体力学モデルの19編であった.また,一般病棟,緩和ケア病棟,在宅など,多くの介入場面 で適用されていたのは,人間作業モデルであった. 研究報告数は増加しているが,十分に信頼でき るエビデンスはなかった.多くの介入場面で用いられていたことから,人間作業モデルによる,がん の作業療法の介入研究の必要性が示唆された.
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