平成26年度 研究成果発表会 平成 26 年度 研究成果発表会 シリコン粒子表面に形成した鉄シリサイド半導体の 光触媒効果による水素生成 ○ 秋 山 賢 輔 *1)、 高 橋 亮 *1)、 松 本 佳 久 *1) 1. 目 的 ・ 背 景 シ リ サ イ ド 半 導 体 の 一 つ で あ る 鉄 シ リ サ イ ド ( -FeSi 2 ) は 、 熱 電 素 子 材 料 と し て 長 い 研 究 の 歴 史 が あ る 半 導 体 で あ る が 、1.55m 帯 域 で 発 光( フ ォ ト ル ミ ネ ッ セ ン ス 、エ レ ク ト ロ ル ミ ネ ッ セ ン ス )す る こ と や 光 吸 収 係 数 が 10 5 cm - 1 以 上( Eg:1.0eV に お い て )と 大 き い こ とから、光電変換材料としての応用が期待されている。このため、良質な薄膜成長技術が 飛躍的に進展した材料であり、光半導体としての基礎物性への理解と発光ダイオード ( LED) や 受 光 素 子 、 太 陽 電 池 へ の 応 用 な ど 広 範 囲 な 研 究 が 進 め ら れ て い る 。 -FeSi 2 の エ ネ ル ギ ー バ ン ド 構 造 に お け る 伝 導 帯 の 化 学 ポ テ ン シ ャ ル が 対 水 素 標 準 電 極 電 位 に お い て 、 約 - 0.7eV と 水 か ら の 水 素 発 生 電 位 よ り も 負 電 位 側 に 位 置 す る こ と に 着 目 し 、 光 触 媒 作 用 で の 水 素 発 生 の 可 能 性 を 検 討 し た 。 本 稿 で は 、 シ リ コ ン ( Si) 粉 末 表 面 へ の -FeSi 2 微 細 結 晶 粒 合 成 及 び こ の 粉 末 試 料 か ら の 光 照 射 に よ る 水 素 生 成 を 報 告 す る 。 図 1. Si 311 Si 220 30 Au 220 Au 111 -FeSi2 422 Si 111 -FeSi2 202/220 Intensity / arb. unit 20 40 50 2theta / degree 60 MOCVD 合 成 後 の Si 粉 末 の ス キ ャ ン ・ プ ロ フ ァ イ ル 〔 2〕 ( a) before Oxygen (b)after UV ir -radiation for 3h 0 2 4 6 8 Nitrogen Hydrogen (2)結果及び考察 図 1 に 作 製 試 料 の X 線 回 折 に よ る -2ス キ ャ ン ・ プ ロ フ ァ イ ル を 示 す 。Si の 回 折 ピ ー ク と と も に 、堆 積 し た Au、-FeSi 2 相 の 202/220 面 及 び 422 面 に 起 因 し た 回 折 ピ ー ク が 観 察 さ れ 、 MOCVD 法 に よ り Si 粒 子 表 面 へ の -FeSi 2 合 成 が 確 認 さ れ た 。 こ の 粉 末 試 料 60mg を 1M の ホ ル ム ア ル デ ヒ ド を 含 む 10ml の ギ 酸 水 溶 液 ( pH3) と と も に パ イ レ ッ クス・ガラスの反応セルへ封入し、室温にて撹拌 さ せ な が ら Ar ガ ス 雰 囲 気 で 20 mW/cm 2 の 紫 外 光 照 射を行った。図 2 に反応セルを内包した閉鎖循環 系より、サンプリングしたガスをガスクロマトグ ラフィー分析した結果を示す。水素に起因したピ ー ク は 、 図 2( a) に 示 す よ う に 光 照 射 前 に は 検 出 さ れ な い も の の 、3 時 間 照 射 後 に お い て は 明 瞭 に 観 察 さ れ 、UV 光 照 射 に よ る 水 素 の 生 成 が 確 認 さ れ た 。 o Tg: 750 C Intensity / arb. unit 2. 研 究 内 容 (1)実験方法 平 均 の 粒 子 径 が 45μm の Si 粉 末 に 金( Au)を 室 温 で 堆 積 さ せ た 後 、 モ ノ シ ラ ン ( SiH 4 ) 及 び 鉄 カ ル ボ ニ ル( Fe(CO) 5 )を 出 発 原 料 に 用 い た 有 機 金 属 気 層 成 長 ( MOCVD) 法 に て -FeSi 2 結 晶 の 合 成 を 行 っ た 。 MOCVD 法 で の 作 製 条 件 は 、 こ れ ま で の 報 告 〔 1〕 と ほ ぼ 同 様 で あ る が 、 基 板 温 度 及 び 堆 積 厚 さ を そ れ ぞ れ 750℃ 、 100nm で 行 っ た 。 10 Time / min (( a) 照 射 前 、( b) UV 照 射 後 ) 図 2. サンプル封入セル内のガス・ ク ロ マ ト グ ラ フ 分 析 結 果 〔 2〕 参考文献 〔 1〕 K. Akiyama, S. Ohya, H. Funakubo, Thin Solid Films, Vol.461, p.40( 2004) 〔 2〕 秋山, 高橋, 吉水, 舟窪, 入江, 松本, 第 61 回応用物理学会春季学術講演会, 19p-D3-13(2014) *1)神 奈 川 県 産 業 技 術 セ ン タ ー | 19 |
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