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§11. ユークリッド空間におけるコンパクト集合
最大なものを取ったり、和を取るなどの操作は有限個の数に対してはいつでも可能であるが、
無限個の場合には難しい。しかし、無限個の対象を扱わなければならない状況でも、有限個に
対する議論に帰着させることができる集合に対しては、有限個の対象に対する上述のような操
作が可能になる。このような性質を持つ空間がコンパクトである。コンパクトな位相空間に関
する結果の多くは次節で述べることにし、この節では、ユークリッド空間の中の部分集合がい
つコンパクトになるか、という問題を考察する。
● 11 - 1 : 開被覆
X を位相空間とし、A をその部分集合とする。X の開集合族 {Uλ }λ∈Λ が A の X におけ
∪
る開被覆 (open covering of A in X) であるとは、A ⊂
Uλ が成り立つときをいう。この状
λ∈Λ
況を「{Uλ }λ∈Λ は A を覆う (あるいは、被覆する)」のように表現したり、「A は {Uλ }λ∈Λ に
よって覆われる (あるいは、被覆される)」のように表現する。
Λ が有限集合であるとき、A の開被覆 {Uλ }λ∈Λ を有限被覆 (finite cover) と呼ぶ。
U = {Uλ }λ∈Λ を A の X における開被覆とする。Λ0 ⊂ Λ に対して {Uλ }λ∈Λ0 が A の開被
覆になっているとき、X の開集合族 {Uλ }λ∈Λ0 を U の部分被覆と呼ぶ。
例 11 - 1 (X, d) を距離空間とし、A をその部分集合とする。Oε = {U (a; ε)}a∈A は A の X
における開被覆である。この開被覆を A の ε-網と呼ぶ。また、{X} は A の有限開被覆である。
● 11 - 2 : コンパクトの概念
コンパクトの定義はわかりにくいが、抽象的に議論を進めるときには扱いやすい。
定義 11 - 2
X を位相空間とし、A ⊂ X とする。A がコンパクトであるとは、A の任意の開被覆 {Uλ }λ∈Λ
に対し、有限な部分開被覆が存在するときをいう。すなわち、次が成り立つときをいう:
(11 - 2 a)
∀ {Uλ }λ∈Λ :open covering of A in X, ∃ λ1 , · · · , λk ∈ Λ s.t. A ⊂
k
∪
U λi .
i=1
X 自身がコンパクトであるとき、位相空間 X はコンパクトであるという。
位相空間 X 内の有限部分集合はコンパクトである。特に、空集合 ∅ はコンパクトである。
コンパクトであるという性質は、それが含まれている空間には依らない、そのもの自身が持っ
ている性質である。すなわち、次が成り立つ。
補題 11 - 3
X を位相空間とし、A をその部分空間とする。次の2つは同値である。
(i) A は X の部分集合としてコンパクトである。
(ii) A は位相空間としてコンパクトである。
(証明)
(i) =⇒ (ii):
– 41 –
{Uλ }λ∈Λ を A における A の開被覆とする。各 Uλ は A の開集合であるから、
˜λ ∩ A
Uλ = U
˜λ は X の開集合)
(U
˜λ }λ∈Λ は X における A の開被覆となる。仮定により、
と書ける。このとき、{U
∃ λ1 , · · · , λk ∈ Λ s.t. A ⊂
k
∪
˜λ
U
i
i=1
が成立する。よって、
A⊂
k
(∪
k
k
)
∪
∪
˜λ ∩ A =
˜λ ∩ A) =
U
(
U
Uλi
i
i
i=1
i=1
i=1
が成り立つ。故に、A は位相空間としてコンパクトである。
(ii) =⇒ (i):
{Uλ }λ∈Λ を X における A の開被覆とする。このとき、{Uλ ∩ A}λ∈Λ は A における A の
開被覆である。仮定により、
∃ λ1 , · · · , λk ∈ Λ s.t. A ⊂
k
∪
(Uλi ∩ A) ⊂
i=1
k
∪
U λi
i=1
□
が成立する。よって、A は X の部分集合としてコンパクトである。
ユークリッド空間内のコンパクトな部分集合の例を与えるため、区間縮小法の原理を用いる。
区間縮小法の原理
閉区間の減少列 I1 ⊃ I2 ⊃ I3 ⊃ · · · ⊃ In ⊃ In+1 ⊃ · · · · · · が任意に与えられたとき、すべて
∞
∩
の In (n = 1, 2, 3, · · · ) に共通に含まれる実数が存在する。すなわち、
In ̸= ∅ である。
n=1
例 11 - 4 閉区間 [0, 1] は 1 次元ユークリッド空間 R のコンパクトな部分集合である。
(証明)
[0, 1] の R における開被覆 U = {Uλ }λ∈Λ は、その中のどのような有限個を用いても [0, 1] を
被覆することができないという性質を持っていると仮定する。すると、[0, 12 ] か [ 21 , 1] の少なく
とも一方は U の有限部分集合で覆われない。U の有限部分集合で覆えない方の閉区間を [a1 , b1 ]
とおく。
a1 +b1
1
次に、[a1 , b1 ] を中点で2つの区間 [a1 , a1 +b
2 ], [ 2 , b1 ] に分割する。[a1 , b1 ] が U の有限
a1 +b1
1
部分集合で覆われないので、[a1 , a1 +b
2 ], [ 2 , b1 ] の少なくとも一方は U の有限部分集合で覆
われない。U の有限部分集合で覆えない方の閉区間を [a2 , b2 ] とおく。以下、この操作を続け
ていくことにより、次の条件 (i)(ii) を満たす閉区間の減少列 [0, 1] ⊃ [a1 , b1 ] ⊃ [a2 , b2 ] ⊃ · · · · · ·
が存在することがわかる。
(i) 各 [an , bn ] は U のどのような有限部分集合によっても被覆されない。
(ii) 各 n ∈ N に対して bn − an =
1
2n .
区間縮小法の原理を適用すると、すべての [an , bn ] (n ∈ N) に共通に含まれる c ∈ R が存在
することがわかる。U = {Uλ }λ∈Λ は [0, 1] の開被覆であるから、c ∈ [a1 , b1 ] ⊂ [0, 1] に対し、
c ∈ Uλ0 となる λ0 ∈ Λ が存在する。Uλ0 は R の開集合であるから、(c − ε, c + ε) ⊂ Uλ0 を満
たす ε > 0 が存在する。
– 42 –
一方、an ≤ c ≤ bn (n = 1, 2, · · · ) と (ii) より、
1
→ 0 (n → ∞),
2n
1
|bn − c| = bn − c ≤ bn − an = n → 0 (n → ∞)
2
|an − c| = c − an ≤ bn − an =
である。よって、 lim an = lim bn = c が成り立つ。これより、
n→∞
n→∞
∃ N1 ∈ N s.t. n > N1 ⇒ c − an = |an − c| < ε,
∃ N2 ∈ N s.t. n > N2 ⇒ bn − c = |bn − c| < ε
となることがわかる。n = max{N1 , N2 } + 1 とおくと、an , bn ∈ (c − ε, c + ε) であるから、
[an , bn ] ⊂ (c − ε, c + ε) ⊂ Uλ0 となる。これは (i) に反する。こうして、[0, 1] の R における任
意の開被覆から適当な有限個をとると [0, 1] を被覆することができることが示された。
□
例 11 - 4 の方法を成分ごとに適用することにより、次を証明することができる (証明は演習問
題とする)。
例 11 - 5
ai < bi (i = 1, · · · , n) を満たす 2n 個の実数 ai , bi に対して、Rn の部分集合
[a1 , b1 ] × · · · × [an , bn ] はコンパクトである。
例 11 - 6 ユークリッド空間 Rn はコンパクトでない。
(証明)
U = {U (0; n)}∞
n=1 を考える。
∞
∪
U (0; n) = Rn であるから、U は Rn の開被覆である。
n=1
U から任意に有限個取り出す。例えば、n1 < · · · < nk として {U (0; ni )}ki=1 を考えると、
k
∪
U (0; ni ) = U (0; nk ) ⫋ Rn となる。よって、Rn はコンパクトでない。
□
i=1
Rn の部分集合 A が有界であるとは、A ⊂ U (0; R) を満たす R > 0 が存在するときをいう。
例 11 - 6 と同じ方法で、次を証明することができる (証明は演習問題とする)。
例 11 - 7 ユークリッド空間 Rn の部分集合が有界でなければ、コンパクトでない。
● 11 - 3 : ハイネ-ボレルの被覆定理
ユークリッド空間の中の部分集合がいつコンパクトになるか、という問いに答えるのがハイ
ネ-ボレルの被覆定理である。結論から言えば、Rn の部分集合が有界閉集合であるとき、コン
パクトとなる。ハイネ-ボレルの被覆定理の証明には次の補題が使われる。
補題 11 - 8
コンパクト空間の閉集合はコンパクトである。
– 43 –
(証明)
X をコンパクトな位相空間、K をその閉集合とする。K の X における開被覆 U = {Uλ }λ∈Λ
を任意にとる。X − K は X の開集合であるから、U ∪ {X − K} は X の X における開被覆
である。X はコンパクトなので、この中の適当な有限個は X を被覆する。したがって、
∃ λ1 , · · · , λk ∈ Λ s.t. X =
k
∪
Uλi ∪ (X − K)
i=1
となる。このとき、K ⊂
k
∪
Uλi である。故に、K はコンパクトである。
□
i=1
定理 11 - 9 (ハイネ-ボレルの被覆定理)
Rn の有界な閉集合はコンパクトである。
(証明)
K を Rn の有界閉集合とする。K は有界であるから、K ⊂ U (0; R) となる R > 0 が存在す
る。U (0; R) ⊂ [−R, R] × · · · × [−R, R] =: I であるから、K ⊂ I. よって、K = I ∩ K と表わ
すことができる。K は Rn の閉集合であるから、I ∩ K = K は I の閉集合である。例 11- 5 に
より I はコンパクトであるから、補題 11- 8 により、K はコンパクト空間 I の閉集合としてコ
□
ンパクトになる。
注意:実は、次節で示されるように、ハイネ-ボレルの被覆定理の逆も成立する。
例 11 - 10 n 次元球面 Sn はコンパクトである。
解;
• Sn が有界であること:
Sn ⊂ U (0; 2) であるから、Sn は有界である。
• Sn が Rn+1 の閉集合であること:
写像 f : Rn+1 −→ R を
f (x1 , · · · , xn , xn+1 ) = x21 + · · · + x2n + x2n+1 − 1
により定義する。f は射影が連続であること、連続関数の和積が連続であることから、連続で
ある。{0} は R の閉集合であり、連続写像による閉集合の引き戻しは閉集合であることから、
Sn = f −1 ({0}) は Rn+1 の閉集合である。
ハイネ-ボレルの被覆定理により、Sn はコンパクトである。
– 44 –
□
No.11
集合と位相 3 演習問題
ユークリッド空間におけるコンパクト集合
2014 年 12 月 8 日
開被覆、部分被覆、有限被覆、コンパクト
ハイネーボレルの被覆定理、有界
11-1. X を位相空間とし、A, B を X のコンパクトな部分集合とする。A ∪ B はコンパクト
であることを示せ。
(
)
a11 a12
と 4 次元実ベクトル (a11 , a21 , a12 , a22 ) を同一視する
a21 a22
ことにより、2 次実正方行列の全体 M2 (R) を R4 とみなす。ユークリッド空間 R4 の部分空間
11-2∗ . 2 次実正方行列 A =
として、次の各集合はコンパクトであるかどうか調べよ。
(1) SL(2, R) = {A ∈ M2 (R) | |A| = 1}
(2) O(2) = {A ∈ M2 (R) | tAA = E}
但し、A ∈ M2 (R) に対して、|A| は A の行列式を、tA は A の転置行列を表わす。また、E は
2 次単位行列を表わす。
集合と位相3 [第 11 回]・関連図作成シート
学籍番号
2014 年 12 月 8 日
氏 名
✎
☞
集合と位相3通信
✍
✌
[No.11]
2014 年 12 月 8 日発行
■ 距離空間が正規空間であることの証明の補足
前回の授業の中で、距離空間 (X, d) が T4 -空間であることを示すには、次の⃝
1, ⃝
2, ⃝
3 を示
せばよいことまで説明しました。
⃝
1 X の部分集合 A (̸= ∅) と x ∈ X について d(x, A) := inf{ d(x, a) | a ∈ A } と定めると、
d(x, A) = 0 ⇐⇒ x ∈ A.
⃝
2 X の部分集合 A (̸= ∅) に対して、写像
fA : X −→ R,
(x ∈ X)
fA (x) = d(x, A)
は距離空間 (X, d) から1次元ユークリッド空間 R への連続写像である。
⃝
3 (X, d) の共通部分をもたない任意の閉集合 A, B は (X, d) の開集合 U = { x ∈ X | d(x, A) <
d(x, B) }, V = { x ∈ X | d(x, A) > d(x, B) } によって分離される。
⃝
1 は下限と閉包の定義から直ちにわかります。⃝
2 は不等式 |d(x, A)−d(y, A)| ≤ d(x, y) (x, y ∈
X) を用いて示すことができます。この不等式自体は d(x, A) − d(x, y) が { d(y, a) | a ∈ A }
の下界であることから導くことができます (詳細は第 10 回の pdf ファイルを参照してくださ
い)。⃝
3 は次のように示すことができます。A, B は X の閉集合なので、⃝
1 より A ⊂ U, B ⊂ V
が成り立ちます。U, V の定義より、U ∩ V = ∅ となっています。U, V が X の開集合であ
ることは、関数 f : X −→ R を f (x) = fA (x) − fB (x) (x ∈ X) によって定義すると U =
f −1 ((−∞, 0)), V = f −1 ((0, ∞)) と表わされ、f が⃝
2 より連続になることからわかります。
■ 同値関係を導入することの意味について
[第 9 回の学習内容のまとめ] には、同値関係を導入することの意味を含めて作文することに
なっていましたが、きちんと押さえて書かれたものは少なかったです。
集合 X の元たちをある視点に基づいてグループ分けしたいとき、X に同値関係を導入しま
す。同値関係で結ばれる元同士を同じグループとみなします。同値類とはそのようにして生じ
る1つ1つのグループのことです。例えば、ここに、青色で○の形、青色で△の形、青色で□の
形、黄色で○の形、黄色で△の形、赤色で○の形をしたビスケットがあったとしましょう。形
だけに着目するなら、次図のようなグループ分けが得られます。
青
赤
黄
青
黄
青
色だけに着目するなら、次図のようなグループ分けが得られます。
青
青
青
黄
黄
赤
もっと細かく、色と形の両方に着目して分けることもできます。今度は、1つ1つが独立し
たグループ分けになります。このように、集合 X 上に同値関係を与えることは、X のどんな
元同士を同じものとみなすかという、ある視点に基づいた判断条件を与えることを意味します。
集合と位相3 第 11 回・学習内容チェックシート
学籍番号
Q1.
2014 年 12 月 8 日
氏 名
個の対象を扱わなければならない状況でも、
個に対する議論に帰着させ
ることができる集合に対しては、有限個の対象に対する (最大なものを取ったり、和を取るなど
の) 操作が可能になる。この性質を持つ集合はコンパクトという概念で捉えることができる。
X を位相空間とし、A をその部分集合とする。
(1) X の開集合族 {Uλ }λ∈Λ が A の X における開被覆であるとは、A ⊂
立つときをいう。この状況を「A は
が成り
」などと表現する。Λ
が有限集合であるとき、A の開被覆 {Uλ }λ∈Λ を
と呼ぶ。
(2) A が X のコンパクトな部分集合であるとは、次が成り立つときをいう:
∀ {Uλ }λ∈Λ :
,
s.t.
これをしばしば「どのような
に対しても、その中から
個を取り出して、依然として A を
(3) A が X の
.
しているようにできる」のように読む。
としてコンパクトであることと、
としてコンパクトで
あることとは同値である。このことは、コンパクトであるという性質が、
には依らない、そのもの自身が持っている性質であることを意味している。
Q2. n 次元ユークリッド空間 Rn の部分集合 A が有界であるとはどんなときをいうか?文章で
説明せよ。
Q3. ハイネ-ボレルの被覆定理とは、
の中の
はコン
パクトである、という定理である。この定理を使うと、n 次元球面 Sn がコンパクトであるこ
とを簡単に示すことができる。実際、Sn ⊂
る。また、連続写像 f :
Rn+1
が成り立つから、Sn は
であ
−→ R を
によって定めると、R の閉集合 C =
きる。連続写像による閉集合の
であることがわかる。これで、Sn は
を用いて、Sn = f −1 (C) のように表わすことがで
は閉集合であるから、Sn は
の
の
であることが示された
から、ハイネ-ボレルの被覆定理により、コンパクトである。
Q4. 区間縮小法の原理とは何か。文章で説明せよ。
Q5. 区間縮小法の原理を用いることにより、閉区間 [0, 1] はコンパクトであることがわかる。
一般に、n 次元ユークリッド空間 Rn の部分集合
はコンパクトであることがわかる。この事実と「
という結果を用いて、ハイネ-ボレルの被覆定理は証明される。
」
集合と位相3・第 11 回の学習内容のテーマとまとめ
学籍番号
2014 年 12 月 8 日
氏 名
[テーマ]
[学習内容のまとめ] 今回の学習内容を下の破線より下に文章で書いてください。但し、∀, ∃, ⇒
などの論理記号や「(記号):(その説明)」のような略式的表現法を避けてください。さらに、次
のことに触れてください。
•
•
•
•
コンパクトという概念を導入する意義。
コンパクトの定義とそれが意味する内容。定義からすぐにわかる例。
部分集合がコンパクトであることと位相空間としてコンパクトであることの同値性とそれが意味する事柄。
ハイネ-ボレルの被覆定理とその適用例。
[感想](わかりにくかったことや考えたことなどがあれば書いてください)
集合と位相3 [第 11 回]・関連図作成シートに含めるべき項目
✓
✏
X :位相空間、A ⊂ X,
{Uλ }λ∈Λ :X の開集合族とする。
{Uλ }λ∈Λ が A の X における開被覆 (open covering of A in X)
⇐⇒ A ⊂
∪
Uλ .
λ∈Λ
この状況を「{Uλ }λ∈Λ は A を覆う (あるいは、被覆する)」のように表現する。
✒
✓
✑
✏
X :位相空間、A ⊂ X,
{Uλ }λ∈Λ:A の X における開被覆とする。
{Uλ }λ∈Λ は有限被覆 ⇐⇒ Λ は有限集合。
✒
✓
✑
✏
X :位相空間、A ⊂ X,
U = {Uλ }λ∈Λ を A の X における開被覆
Λ0 ⊂ Λ とする。
{Uλ }λ∈Λ0 は U の部分被覆 ⇐⇒ {Uλ }λ∈Λ0 は A の開被覆
✒
✓
✑
X :位相空間、A ⊂ X とする。
A:(X の) コンパクト (な部分集合)
⇐⇒ ∀ {Uλ }λ∈Λ :open covering of A in X, ∃ λ1 , · · · , λk ∈ Λ s.t. A ⊂
X :コンパクト ⇐⇒ X 自身が X のコンパクトな部分集合。
✒
✓
✏
k
∪
Uλi .
i=1
✑
✏
X :位相空間、A ⊂ X とする。次の2つは同値。
(i) A は X の部分集合としてコンパクトである。
(ii) A は位相空間としてコンパクトである。
✒
✓
✑
✏
閉区間の任意の減少列 I1 ⊃ I2 ⊃ I3 ⊃ · · · ⊃ In ⊃ In+1 ⊃ · · · · · · に対して、
∞
∩
In ̸= ∅.
n=1
✒
✓
閉区間 [0, 1] はコンパクト。
✒
✓
✑
✏
✏
✓
ユークリッド空間 Rn はコンパクトでない。
✒
✑
✑
ai < bi (i = 1, · · · , n) を満たす 2n 個の実数 ai , bi に対して、Rn の部分集合
[a1 , b1 ] × · · · × [an , bn ] はコンパクトである。
✒
✓
✏
✓
X :コンパクト空間
K ⊂ X :closed in X =⇒ K :コンパクト
✒
✓
Rn の有界な閉集合はコンパクトである。
✒
✓
n 次元球面 Sn はコンパクトである。
⃝
∵
Sn は Rn+1 の有界閉集合。
✒
✏ ✑
有限集合はコンパクト。
✒
✑
✏
✑
✏
✑
✏
✑
集合と位相3・小テスト [第 11 回]
学籍番号
2014 年 12 月 8 日
氏 名
[文章化問題] (X, d) を距離空間、A を X の空でない部分集合、x ∈ X とします。次の論理式
(∗) で書かれた命題を、⇐⇒, d(x, A), A などを使わずに、文章で書きなさい。
d(x, A) = 0 ⇐⇒ x ∈ A.
(∗)
[写像の定義に関する問題] R − {0} から R2 への写像で、定値写像でないものを、写像の表現
形式に倣って、2つ挙げなさい。
[学習内容の確認問題] 以下の下線部分をうめなさい (∀, ∃, ⇒ などの論理記号や「(記号):(そ
の説明)」のような略式的表現法を避けてください)。
距離空間においては相異なる 2 点が開集合で分離される。
中の相異なる 2 点 a, b に対して、
、距離空間 (X, d) の
を満たす (X, d) の開集合 U, V
が存在する。実際、そのような U, V として
をとることが
できる。上記のように、
ような位相空間はハウスド
ルフ空間と呼ばれる。距離空間はハウスドルフ空間である。特に、
はハウスドルフ空間である。ハウスドルフ性は
および
したがって、n 次元球面 Sn は
であり、Sn × Sn は
に遺伝する。
としてハウスドルフ空間
としてハウスドルフ空間である。一
方、ハウスドルフ性は商には遺伝しないから、連続写像によって保たれない。
、
によっては保たれるから、位相的性質である。
も
距離空間においては、異なる 2 点ばかりでなく、
開集合で分離される。これと同じ性質を持つ位相空間は T4 -空間と呼ばれる。正規空間とは、
であるような位相空間のことである。
、T1 -空間と
は、ハウスドルフの分離公理よりも弱い条件「任意の相異なる 2 点に対し、一方の点を含み、
もう一方の点を含まないような開集合が存在する」を満たす位相空間のことである。距離空間
は正規空間であるが、逆に、
が知られている。
は距離空間から生じること