5 月12日(火)の講義資料 - So-net

数学基礎特論
2015年5月12日(火)
:ベクトル空間
に対して、次の4つの条件を
満足する実数
を内積という。
1.
2.
3.
4.
( は実数。)
等号成立は
の時に限る。
内積が定義されたベクトル空間を
内積空間と呼ぶ。
:ベクトル空間
が
と
を満足するとき
は互いに直交するといい
と書く。
内積空間
内積から導かれるノルム
内積から導かれるノルムについて
完備であれば、内積空間 を
ヒルベルト空間という。
内積空間
に対して
内積
内積から導かれるノルム
ノルム空間として導入されたノルムと一致する。
: 次元 の有限次元 ヒルベルト空間
の正規直交基底
互いに直交し、
このとき、任意の
は
と一通り表すことが出来る。
この表現をベクトル
の正規直交展開という。
今日の話題
: ヒルベルト空間
の正規直交基底
互いに直交し、
このとき、任意の
は
と一通り表すことが出来る。
ということが成り立つのか?
ヒルベルト空間
の要素からなるベクトル列
の要素からなるベクトル列の和(級数)の収束
(1)
(定義)
部分和
この部分和がある要素
に収束する
とき、(1)式は収束するといい、
と書く。
ヒルベルト空間
の要素からなるベクトル列
このベクトル列に対して
が成り立つとき、ベクトル列
の直交系という。さらに、
を
さらに、
を満足するとき、ベクトル列
の正規直交系という。
を
ヒルベルト空間
の直交系
直交級数の収束条件
(2)
の直交系から成る級数
が収束する必要十分条件は
(3)
が収束することである。
ヒルベルト空間
の正規直交系
実数列
正規直交系級数
(4)
直交級数の収束条件より、(4)式が収束する
必要十分条件は
が収束することである。
ヒルベルト空間
の正規直交系
が収束するとするとき
ので、
とする。
このとき、
かつ
が成り立つ。
が収束する
の正規直交系
が収束する
が収束する
とする。
かつ
の正規直交系
が与えられる。
とする。
問題1
が収束するのか?
問題2
が収束する場合、収束先が
与えられた
問題3
と一致するか。
が収束する場合、
が成り立つか?
の正規直交系
が与えられる。
問題1の答え
とする。
は収束する。
の正規直交系
が与えられる。
とする。
問題2の答え
が収束するが、収束先は
与えられた
と一般的には一致しない。
(与えられた
と一致するには
条件が必要。)
の正規直交系
が与えられる。
問題3
とする。
は成立しない。
一般には、
ベッセルの不等式
が成立する。 (等号成立には条件が必要)
の正規直交系
が与えられる。
とする。
問題1
が収束する
問題2
が収束する場合、収束先は
与えられた
問題3
と一般的には一致しない。
は成立しない。
が成立する。
の正規直交系
が与えられる。
とする。
が収束し、
が成り立つ
とき、 正規直交系
を
完全正規直交系といい、完全正規直交系を
の正規直交基底ともいう。
の完全正規直交系
完全正規直交系に対しては、
が成り立つ。(パーセバルの等式)
の正規直交系
が
完全正規直交系であるための必要十分条件
すべての
の要素は零ベクトル
に直交する
のみであること。
ヒルベルト空間
の完全正規直交系
任意の
に対して
の形に一通りに表せる。
上式をヒルベルト空間
正規直交展開という。
における
の
を展開係数という。
そもそも
ヒルベルト空間
において
の加算個の完全正規直交系
は無条件に存在するのか?
ヒルベルト空間
において
の加算個の完全正規直交系
が存在するための必要十分条件は
そのヒルベルト空間
すなわち、
が可分であることである。
が加算個の要素を持つ
稠密な部分空間を含むことである。
工学的には成立することが前提
ヒルベルト空間
(
のとき
)
区間
おいて定義された関数で
重み付き2乗可積分な関数全体からなるベクトル空間
区間
で正の値をとる関数
に対して
(5)
内積に導かれるノルム
ヒルベルト空間
の完全正規直交系
が存在し、 任意の
に対して
の形に一通りに表せる。
すなわち、正規直交展開が可能である。
ヒルベルト空間
ヒルベルト空間
は
の完全正規直交系をなす。
ヒルベルト空間
任意の
に対して
の形に一通りに表せる。
すなわち、正規直交展開が可能である。
ヒルベルト空間
とすると
ヒルベルト空間
任意の
に対して
が成り立つ。 フーリエ級数展開
フーリエ級数展開
における正規直交展開。
フーリエ級数展開の展開係数は係数をそろえて
以下のように表す方が一般的である。
任意の
に対して
が成り立つ。 フーリエ級数展開
フーリエ級数展開の展開係数は係数をそろえて
以下のように表す方が一般的である。
任意の
に対して
が成り立つ。 フーリエ級数展開