§8. 積空間とその普遍性 2つの位相空間 (X, OX ), (Y, OY ) が与えられたとき、それらの直積集合にどのように位相 を導入すればよいであろうか。単純に考えると、OX × OY を X × Y の位相とすればよさそう に思われるが、これではうまくいかない。Ui ∈ OX , Vi ∈ OY (i = 1, 2) に対して、U1 × V1 と U2 ×V2 の和集合が OX ×OY に含まれることが不明なためである (これは、R2 の開集合 U (a; ε) が I1 × I2 (I1 , I2 は R の開集合) の形には書けないことからも理解することができる)。しかし ながら、OX × OY を開基とするような位相を導入することはできる。この位相を OX , OY の 積位相と呼ぶ。ここでは、積位相とその連続写像に関する普遍性を説明する。 ● 8 - 1 : 積位相 位相空間 (X, OX ), (Y, OY ) に対し、直積集合 X × Y の位相が次の補題のように定義される。 補題 8 - 1 (X, OX ), (Y, OY ) を位相空間とする。このとき、X × Y の部分集合族 O を次のように定義 する: O ∈ O ⇐⇒ ∀ (a, b) ∈ O, ∃ U ∈ OX , ∃ V ∈ OY s.t. (a, b) ∈ U × V ⊂ O このように定義される O は X × Y の位相である。この位相を OX と OY の積位相といい、 位相空間 (X × Y, O) を位相空間 (X, OX ) と (Y, OY ) の積空間という。 (証明) 定理 7 - 6 により、X × Y の部分集合族 B := OX × OY が次の2条件を満たすことを示せば よい。 (i) ∀ (x, y) ∈ X × Y, ∃ B ∈ B s.t. (x, y) ∈ B. (ii) B1 , B2 ∈ B, (x, y) ∈ B1 ∩ B2 =⇒ ∃ B ∈ B s.t. (x, y) ∈ B ⊂ B1 ∩ B2 . (i) X ∈ OX , Y ∈ OY であるから、X × Y ∈ B であるから、(i) は成立する。 (ii) B1 , B2 ∈ B とする。任意に (x, y) ∈ B1 ∩ B2 をとる。Bi ∈ B (i = 1, 2) より、Bi = Ui × Vi (Ui ∈ OX , Vi ∈ OY ) と表わされる。 (x, y) ∈ B1 ∩ B2 = (U1 × V1 ) ∩ (U2 × V2 ) = (U1 ∩ U2 ) × (V1 ∩ V2 ) であって、U1 ∩ U2 ∈ OX , V1 ∩ V2 ∈ OY である。よって、B1 ∩ B2 ∈ B である。よって、(ii) □ も成り立つ。 注意:O は次の形をした X × Y の部分集合全体からなる: ∪ Uj × Vj (J はある集合で、Uj ∈ OX , Vj ∈ OY ). j∈J n 個の位相空間 (Xi , Oi ) (i = 1, · · · , n) に対して、直積集合 X := X1 × · · · × Xn の部分集 合族 O を次のように定める: O∈O ⇐⇒ ∀ (a1 , · · · , an ) ∈ O, ∃ Ui ∈ Oi (i = 1, · · · , n) s.t. (a1 , · · · , an ) ∈ U1 × · · · × Un ⊂ O. このとき、上の補題と同様にして、O は X の位相であることがわかる。この位相を O1 , · · · , On の積位相といい、位相空間 (X, O) を n 個の位相空間 (Xi , Oi ) (i = 1, · · · , n) の積空間という。 – 29 – 今後、断らない限り、位相空間の直積集合は、積位相を備えた積空間として扱う。 n個 例 8 - 2 n 次元ユークリッド空間 Rn の位相 Od(n) は、同一視 Rn z }| { = R × · · · × R の下で、n 個の 1 次元ユークリッド空間 R の位相 Od(1) の積位相に一致する。すなわち、 n個 z }| { (R , Od(n) ) = (R, Od(1) ) × · · · × (R, Od(1) ) . n (証明) n 個の Od(1) の積位相を O で表わすことにする。O = Od(n) を示せばよい。 B = { (a1 , b1 ) × · · · × (an , bn ) | ai , bi ∈ R (i = 1, · · · , n), ai < bi } とおく。例 7 - 5 より、O ⊂ Rn に対して O ∈ Od(n) ⇐⇒ ∀ a ∈ O, ∃ I ∈ B s.t. a ∈ I ⊂ O が成り立つ。一方、積位相の定義より、O ⊂ Rn に対して O ∈ O ⇐⇒ ∀ a ∈ O, ∃ Ui ∈ Od(1) (i = 1, · · · , n) s.t. a ∈ U1 × · · · × Un ⊂ O が成り立つ。 B ′ = { U1 × · · · × Un | Ui ∈ Od(1) (i = 1, · · · , n) } とおくと、B ⊂ B ′ であるから、Od(n) ⊂ O である。逆向きの包含関係の成立を示すには、任意 の U ∈ B ′ と任意の a ∈ U に対して a ∈ I ⊂ U となる I ∈ B が存在することを示せばよい。 U = U1 × · · · × Un (Ui ∈ Od(1) (i = 1, · · · , n)), a = (a1 , · · · , an ) と表わすと、各 i について ai ∈ Ui であり、Ui ∈ Od(1) であるから、 ∃ εi > 0 s.t. (ai − εi , ai + εi ) ⊂ Ui となる。このとき、I := (a1 − ε1 , a1 + ε1 ) × · · · × (an − εn , an + εn ) とおくと I ∈ B であり、 a ∈ I ⊂ U1 × · · · × Un ⊂ O が成り立つ。よって、O ⊂ Od(n) も成り立つ。 □ ● 8 - 2 : 積空間と部分空間 定理 8 - 3 X, Y を位相空間とする。A ⊂ X, B ⊂ Y に対して、A × B の積空間としての位相は、X × Y の部分空間としての位相に一致する。 (証明) X, Y の位相をそれぞれ OX , OY で表わし、それらの A, B への誘導位相をそれぞれ OA , OB で表わす。O を OX , OY の積位相とし、O′ を OA , OB の積位相とする。O′ = O|A×B を示せ ばよい。 • ⊂ の証明:W ∈ O′ とする。積位相の定義から、 ∪ W = (Uj × Vj ) (Uj ∈ OA , Vj ∈ OB ) j∈J – 30 – ˜j ∩ A, Vj = V˜j ∩ B (U ˜j ∈ OX , V˜j ∈ OY ) のよう と表わすことができる。各 Uj , Vj は、Uj = U に表わされるから、 (∪ ) ∪ ∪ ˜j ∩ A) × (V˜j ∩ B)) = ˜j × V˜j ) ∩ (A × B) = ˜j × V˜j ) ∩ (A × B) ((U (U (U W = j∈J j∈J j∈J ∪ ˜ ˜ と表わされる。 (U j × Vj ) ∈ O であるから、W ∈ O|A×B である。 j∈J • ⊃ の証明:W ∈ O|A×B とする。W = O ∩ (A × B) となる O ∈ O が存在する。積位相の 定義から、 ∪ O= ˜j × V˜j ) (U ˜j ∈ OX , V˜j ∈ OY ) (U j∈J のように表わすことができる。先の証明の逆をたどって W = ∪ ˜j ∩ A) × (V˜j ∩ B)) と表わ ((U j∈J ˜j ∩ A ∈ OA , V˜j ∩ B ∈ OB であるから、W ∈ O′ とわ されることがわかる。各 j ∈ J に対し U □ かる。 例えば、S1 × S1 は2つの円周 S1 の積空間と考えてもよいし、R4 = R2 × R2 の部分空間と 考えてもよい。 ● 8 - 3 : 積空間と連続写像 積空間への写像が連続かどうかは、各成分への写像が連続かどうかによって決まる。ここで は、この事実を示す。 補題 8 - 4 X, Y を位相空間とする。このとき、(直積に付随する) 標準射影 πX : X × Y −→ X, (x, y) 7−→ x, πY : X × Y −→ Y, (x, y) 7−→ y は連続である。 (証明) −1 −1 U を X の開集合とする。πX (U ) = U × Y であるから、πX (U ) は X × Y の開集合であ る。よって、πX は連続である。同様にして、πY も連続であることがわかる。 □ 定理 8 - 5 (積の写像普遍性) T , X, Y を位相空間とする。f : T −→ X, g : T −→ Y を写像とし、h : T −→ X × Y を h(t) = (f (t), g(t)) (t ∈ T ) により定義する。このとき、 h:連続 ⇐⇒ f, g :連続 (証明) =⇒ の証明: πX , πY をそれぞれ X, Y への標準射影とすると、f = πX ◦ h, g = πY ◦ h と書くことができ る。連続写像の合成は連続であるから、f, g は連続である。 – 31 – ⇐= の証明: U, V をそれぞれ X, Y の開集合とする。h−1 (U × V ) = f −1 (U ) ∩ g −1 (V ) と書ける。f, g は 連続であるから、f −1 (U ), g −1 (V ) はどちらも T の開集合である。したがって、h−1 (U × V ) も ∪ T の開集合である。X × Y の一般の開集合は Uj × Vj (各 j ∈ J に対し、Uj は X の開集 j∈J 合、Vj は Y の開集合) と書ける。このとき、 ) ∪ (∪ h−1 (Uj × Vj ) h−1 Uj × Vj = j∈J j∈J となって、これは T の開集合となる。よって、h は連続である。 □ 注意:上の定理と同様に次が成立する:位相空間 T, X1 , · · · , Xn に対して、 写像 f : T −→ X1 × · · · × Xn が連続 ⇐⇒ f (t) = (f1 (t), · · · , fn (t)) (t ∈ T ) によって定義される 写像 fi : T −→ Xi (i = 1, · · · , n) がすべて連続 系 8- 6 X を位相空間とする。f : X −→ Rn を写像とし、fi : X −→ R (i = 1, · · · , n) を f (x) = (f1 (x), · · · , fn (x)) (x ∈ X) により定義する。このとき、 f :連続 ⇐⇒ f1 , · · · , fn :連続 但し、Rn , R の位相はユークリッド空間としての位相であるとする。 (証明) 例 8- 2 より、n 次元ユークリッド空間 Rn は n 個の 1 次元ユークリッド空間 R の積空間と みなすことができる。積の写像普遍性 (定理 8 - 5 の証明の下の注意) により、系が従う。 □ 例 8 - 7 Rn をユークリッド空間とみる。写像 f : Rn × Rn −→ Rn , f ((x1 , · · · , xn ), (y1 , · · · , yn )) = (x1 + y1 , · · · , xn + yn ) は連続である。 (証明) 例 8- 2 から、Rn はユークリッド距離から定まる位相を持った R の n 個の直積とみなすこと ができる。すると、f が連続であることを示すには、系 8- 6 から、各成分への写像 fi : Rn × Rn −→ R, fi ((x1 , · · · , xn ), (y1 , · · · , yn )) = xi + yi が連続であることを示せばよいことになる。各 i に対して、πi : Rn −→ R を第 i 成分への射 影とし、g : R × R −→ R を g(x, y) = x + y によって定義すれば、 fi = g ◦ πi と書くことができる。πi は連続である (補題 8 - 4) ので g も連続であり、fi はそれらの合成と □ して連続である。 – 32 – No.8 集合と位相 3 演習問題 積空間とその普遍性 2014 年 11 月 17 日 積位相、積空間、積の写像普遍性、標準射影 8-1∗ . (1) 位相空間 X, Y に対して、BX , BY がそれぞれ X, Y の開基ならば、BX × BY は積 空間 X × Y の開基となることを示せ。 (2) (X, dX ), (Y, dY ) を距離空間とする。距離 dX , dY から定まる X, Y の位相 OdX , OdY の 積位相は、dX , dY の直積距離 d から定まる X × Y の位相 Od に一致することを示せ。 8-2. (1) R>0 = { x ∈ R | x > 0 } とおく。また、x = (x1 , x2 ) ∈ R2 に対し、∥x∥ = と定める。写像 f : R2 − {0} −→ R>0 × S1 を ( x ) f (x) = ∥x∥, ∥x∥ によって定義する。f は連続であることを示せ。 ∼ R × S1 であることを示せ。 (2) R2 − {0} = (x ∈ R2 − {0}) √ x21 + x22 集合と位相3 [第 8 回]・関連図作成シート 学籍番号 2014 年 11 月 17 日 氏 名 集合と位相3通信 [No.8] 2014 年 11 月 17 日発行 ■ 演習 6-2 について 写像 f : [0, 1) −→ S1 , f (t) = (cos 2πt, sin 2πt) (t ∈ [0, 1)) は連続な全単射だけれども、その 逆写像は連続でない、ということを示す問題でした。逆写像 f −1 : S1 −→ [0, 1) が連続でない のは、それが点 (1, 0) ∈ S1 において連続でないからですが、なぜそうなのか、直感的にイメー ジできているでしょうか。 写像が連続であるとは、感覚的には、定義 f 域の中の点 x をほんの少し任意の方向に動 かすと、それに応じてその像も動きますが、 それは x の像のごく近くにある、というこ とといえます。では、演習 6-2 の f の逆写 0 [0,1) x 1 f -1 像 f −1 について点 (1, 0) ∈ S1 をほんの少し S1 時計周りに動かした点 x ∈ S1 を考えてみま しょう。f −1 (1, 0) = 0 なのに、f −1 (x) は 1 に近いところに写されてしまいます。近かった 2 点が遠く離れた 2 点に写される—もっと素朴には、繋がっていた部分が引き裂かれてしまう— これが、f −1 が点 (1, 0) において連続でないことの感覚的な理由です。この感覚を数式を使っ て厳密に書き表していくと、配布された解答例のようになります。 ■ 第 7 回の小テスト [写像の定義に関する問題] について 2 割強の人が終域を { x | x ≥ 0 } にしていました。この問題では、単に「関数」を与えれば よいだけなので、制限せず、R にします。 ■ 第 7 回の小テスト [学習内容の確認問題] の最後から 4 番目の下線部分について ( ) 1−X12 −X22 2X2 1 当該の下線部分は、空欄になっているか、ψ(X1 , X2 ) = 1+X2X , , のよ 2 +X 2 1+X 2 +X 2 1+X 2 +X 2 1 2 1 2 1 2 うな式が書かれているかのどちらかになっているものが殆どでした。ここに、具体的な式を書く必 要はありません。大切なのはそのアイデアを理解することです。写像 φ : S2 − {(0, 0, 1)} −→ R2 の定義を立体射影の考え方を使って説明したように、その逆写像となるものの候補 ψ : R2 −→ S2 − {(0, 0, 1)} の作り方も同様に説明してください。 点 X = (X1 , X2 ) ∈ R2 = R2 × {0} をとると、(0, 0, 1) から X へ向かう半直線を引くこ とができ、それは S2 − {(0, 0, 1)} と 1 点で交わることがわかります。X にその交点を対応 させて写像 ψ : R2 −→ S2 − {(0, 0, 1)} を定義すると、それが φ の逆写像になっていること がわかります。もちろん、厳密に示すには φ(x1 , x2 , x3 ) と ψ(X1 , X2 ) を具体的に式で書いて ψ ◦ φ = idS2 −{(0,0,1)} と φ ◦ ψ = idR2 が成立していることを確かめなければなりませんが、 その構成の仕方を考えれば、この 2 式が成り立つことは、「殆ど自明」とも言えます。そして、 φ と ψ が連続であることは、φ(x1 , x2 , x3 ) と ψ(X1 , X2 ) を具体的に式で書いてみれば厳密に 示すことができますが、写像の作り方から、連続であることは感覚的にもわかります (例えば、 S2 − {(0, 0, 1)} の点 x をほんの少し任意の方向に動かすと、それに応じて、(0, 0, 1) から x へ 延ばした半直線と平面 R2 × {0} との交点 φ(x) もほんの少し動きますね)。 集合と位相3 第 8 回・学習内容チェックシート 学籍番号 2014 年 11 月 17 日 氏 名 Q1. (X, OX ), (Y, OY ) を位相空間とする。 (1) 一般に、OX × OY は X × Y の位相にならない。その理由を例を挙げて説明せよ。 (2) OX と OY の積位相とは何か?その定義を文章で説明せよ。 Q2. T, X, Y を位相空間とし、X × Y を X, Y の積空間とする。f : T −→ X, g : T −→ Y を 写像とし、h : T −→ X × Y を h(t) = (f (t), g(t)) (t ∈ T ) であることと f, g が共に により定義される写像とする。このとき、h が であることとは同値である。この事実は として引用され、積空間への写 像が連続か否かを調べるときに使われる。標語的に「積空間への写像が への写像が か否かは、 か否かによって決定される」と言われることが多い。 Q3. n 次元ユークリッド空間 Rn は n 個の 1 次元ユークリッド空間 R の積空間と見なされる: n個 z }| { Rn = R × · · · × R. このことと から、位相空間 X から Rn への写像 f について、次が成立することがわかる。 f : X −→ Rn は連続である ⇐⇒ f (x) = (f1 (x), · · · , fn (x)) によって定義される関数 : したがって、例えば、写像 f : R2 − {0} −→ R2 , −→ (i = 1, · · · , n) はすべて連続である ( ) x y f (x, y) = √ , √ x2 + y 2 x2 + y 2 ((x, y) ∈ R2 − {0}) が連続であることを示したい場合には、2 つの関数 が連続であることを示せばよい。 Q4. X, Y を位相空間とする。このとき、標準射影と呼ばれる写像 πX : X × Y −→ X, πY : X × Y −→ Y が定義される。これらは次のように定義される写像である。 X × Y に積位相が入っていれば、標準射影は連続である。πX が連続であることは、X の任 −1 (U ) = 意の開集合 U に対して πX となることからわかる。 集合と位相3・第 8 回の学習内容のテーマとまとめ 学籍番号 2014 年 11 月 17 日 氏 名 [テーマ] [学習内容のまとめ] 今回の学習内容を下の破線より下に文章で書いてください。但し、∀, ∃, ⇒ などの論理記号や「(記号):(その説明)」のような略式的表現法を避けてください。さらに、次 のことに触れてください。 • 積位相を導入する目的。積位相の定義と、そのように定義する理由。 • 積の写像普遍性とその意味。 • 積の写像普遍性の適用例。 [感想](わかりにくかったことや考えたことなどがあれば書いてください) 集合と位相3 [第8回]・関連図作成シートに含めるべき項目 (X, OX ), (Y, OY ) を位相空間とする。このとき、X × Y の部分集合族 O を次で定義: O ∈ O ⇐⇒ ∀ (a, b) ∈ O, ∃ U ∈ OX , ∃ V ∈ OY s.t. (a, b) ∈ U × V ⊂ O. O は X × Y の位相となる。 この位相を OX と OY の積位相といい、位相空間 (X × Y, O) を (X, OX ) と (Y, OY ) の積空間という。 n 個 z }| { (R , Od(n) ) = (R, Od(1) ) × · · · × (R, Od(1) ) . n X, Y :位相空間 A ⊂ X, B ⊂ Y =⇒ A × B の積空間としての位相は X × Y の部分空間としての位相に一致。 S × S は2つの円周 S の積空間と考えてもよいし、R = R × R の部分空間と考えてもよい。 1 1 1 4 2 X, Y を位相空間とする。 (直積に付随する) 標準射影 πX : X × Y −→ X, (x, y) 7−→ x, πY : X × Y −→ Y, (x, y) 7−→ y は連続である。 T , X, Y :位相空間 f : T −→ X, g : T −→ Y :写像とし、 h : T −→ X × Y を h(t) = (f (t), g(t)) (t ∈ T ) により定義する。このとき、 h:連続 ⇐⇒ f, g :連続 X を位相空間とする。f : X −→ Rn を写像とし、fi : X −→ R (i = 1, · · · , n) を f (x) = (f1 (x), · · · , fn (x)) (x ∈ X) により定義する。このとき、 f :連続 ⇐⇒ f1 , · · · , fn :連続 但し、R , R の位相はユークリッド空間としての位相であるとする。 n 次の写像は連続: f : Rn × Rn −→ Rn , f ((x1 , · · · , xn ), (y1 , · · · , yn )) = (x1 + y1 , · · · , xn + yn ). 2 集合と位相3・小テスト [第8回] 2014 年 11 月 17 日 学籍番号 氏 名 [文章化問題] X を集合、B をその部分集合族、U を X の部分集合とします。次の論理式 (∗) で書かれた命題を、∀, ∃, ⇒ および ∈, ⊂ を使わずに、文章で書きなさい。 (∗) ∀a ∈ U, ∃B ∈ B s.t. a ∈ B ⊂ U. [写像の定義に関する問題] {1, 2} を定義域とし、{1, 2, 3} を終域とする写像を、写像の表現形 式に倣って、すべて列挙しなさい。 [学習内容の確認問題] 以下の下線部分をうめなさい (∀, ∃, ⇒ などの論理記号や「(記号):(そ の説明)」のような略式的表現法を避けてください)。 (a ∈ X, ε > 0) とい 距離空間 (X, d) における開集合や連続写像などは、 う特別な形をした開集合を使って定義され、議論することができる。特に、ユークリッド空間 や関数空間などの具体的な位相空間を扱うときには、 はなく、上記のような とが多い。これが で について考えれば十分なこ を導く。 位相空間 X の部分集合族 B が X の開基であるとは、 ときをいう。この条件は、X の 任意の開集合 O とその中の任意の点 a に対して、 と同値 である。したがって、距離空間 (X, d) において、Bd = { } は開基をなす。一般に、2 つの距離空間 (X, dX ), (Y, dY ) に対し、直積距離空間 (X × Y, d) は BdX × BdY を開基として持つ。この事実は、 へのヒントを与える。また、n 次元ユークリッド空間 (Rn , d(n) ) は 1 次元ユークリッド空間の 直積距離空間とみなされることから、Bd(n) の他に次の部分集合族も Rn の開基である: Rn にはまた、可算個の元からなる開基 も存在する。よっ て、ユークリッド空間およびその任意の部分空間は を満たす。
© Copyright 2025 ExpyDoc