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§7. 開基
具体的な位相空間を扱うときには、すべての開集合を考えるのではなく、その “もと”になっ
ている開集合について考えると十分なことが多い。ここで、“もと”になっている開集合とは、
それらの和集合をとることによって任意の開集合が生成されるという意味である。このような
開集合族は位相空間の開基と呼ばれる。例えば、距離空間において ε-近傍全体は開基をなす。
ここでは、直積距離空間の開基を中心に、開基の例と性質を述べ、集合 X に部分集合族 B が
与えられたとき、それを開基とする位相が X に定義されるための、B に関する条件を求める。
● 7 - 1 : 開基
(X, O) を位相空間、B を X の部分集合族とする。(X, O) の任意の開集合が B の有限個
あるいは無限個の元の和集合で表わされるとき、すなわち、次が成り立つとき、B は位相空間
(X, O) の開基である、あるいは、X の位相 O の開基であると呼ばれる:
∪
(7 - 1 a)
∀ O ∈ O, ∃ U ⊂ B s.t. O =
U.
注意:U = ∅ のとき、
∪
U∈ U
U∈ U
U = ∅ と解釈する。
例 7 - 1 (X, d) を距離空間とする。
Bd = { U (a; ε) | a ∈ X, ε > 0 }
は距離 d から定まる位相 Od の開基である。
(証明)
任意に U ∈ Od をとる。各 a ∈ U に対して U (a; εa ) ⊂ U となる εa > 0 が存在する。この
とき、U は
U=
∪
U (a; εa )
a∈U
と表わされることがわかる。よって、Bd は位相 Od の開基である。
定理 7 - 2
(X, O) を位相空間とし、B を X の部分集合族とする。このとき、
B が (X, O) の開基である
⇐⇒ ∀ O ∈ O, ∀ a ∈ O, ∃ U ∈ B s.t. a ∈ U ⊂ O.
(証明)
=⇒ の証明:
任意に O ∈ O をとる。O =
∪
U∈ U
U となる U ⊂ B が存在する。したがって、任意に a ∈ O
をとると a ∈ U となる U ∈ U ⊂ B が存在する。このとき、a ∈ U ⊂ O が満たされる。
⇐= の証明:
任意に O ∈ O をとる。任意の a ∈ O に対して a ∈ U ⊂ O を満たす U ∈ B が存在するから、
∪
そのような U を1つとり Ua とおく。このとき、O =
Ua が成り立つ。したがって、O は
a∈O
B の有限個あるいは無限個の元の和集合として表わされる。故に、B は O の開基である。 – 25 –
(X, dX ), (Y, dY ) を距離空間とすると、次のように定義される関数 d : (X ×Y )×(X ×Y ) −→ R
は直積集合 X × Y の距離となる。
d((x, y), (x0 , y 0 )) = dX (x, x0 ) + dY (y, y 0 )
(7 - 1 b)
(x, x0 ∈ X, y, y 0 ∈ Y )
d を dX , dY の直積距離といい、距離空間 (X × Y, d) を (X, dX ), (Y, dY ) の直積距離空間と
呼ぶ。
例 7 - 3 m, n ∈ N とし、Rm+n = Rm × Rn とみなす。Rm+n , Rm , Rn の (1 - 1 b) によって定義
(m+n)
される距離 d1
(m)
(n)
, d1 , d 1
(m+n)
に対し、距離空間 (Rm+n , d1
(m)
) は距離空間 (Rm , d1 ) と距離
(n)
空間 (Rn , d1 ) との直積距離空間に一致する。
命題 7 - 4
(X, dX ), (Y, dY ) を距離空間とし、(X × Y, d) をそれらの直積距離空間とする。このとき、
X × Y の部分集合族
BdX × BdY = { UX (a; ε1 ) × UY (b; ε2 ) | a ∈ X, b ∈ Y, ε1 , ε2 > 0 }
は、距離 d から定まる X × Y の位相 Od の開基である。
(証明)
任意の開集合 O ∈ Od とその中の任意の元 (a, b) ∈ O をとる。位相 Od の定義より、
)
ε
(
が成り立つ。UX a; 2 × UY
(
ε > 0 s.t. UX×Y ((a, b); ε) ⊂ O
)
(
)
( )
b; 2ε ⊂ UX×Y ((a, b); ε) であるから、UX a; 2ε × UY b; 2ε ⊂ O を
得る。定理 7- 2 により、BdX × BdY は Od の開基である。
例 7 - 5 n 次元ユークリッド空間 Rn において、開直方体、すなわち、(a1 , b1 ) × · · · × (an , bn )
の形をした部分集合全体は開基をなす。
解;
n に関する帰納法で示す。n = 1 のときは明らかに正しい。n ≥ 2 とし、n − 1 のとき例の主
(n)
張は正しいと仮定する。例 7- 3 より、同一視 Rn = Rn−1 × R の下で、距離空間 (Rn , d1 ) は
(n−1)
距離空間 (Rn−1 , d1
(1)
) と (R, d1 ) の直積距離空間に一致する。命題 7- 4 により、
B = { U (a; ε) × (an , bn ) | a ∈ Rn−1 , ε > 0, an , bn ∈ R, an < bn }
は (Rn , Od(n) ) = (Rn , Od(n) ) の開基である。したがって、ユークリッド空間 Rn の任意の開集
1
合 O と任意の p = (p1 , · · · , pn ) ∈ O に対して、
p ∈ U (a; ε) × (an , bn ) ⊂ O
となる a ∈ Rn−1 , ε > 0 および an < bn を満たす an , bn ∈ R が存在する。帰納法の仮定より、
p0 := (p1 , · · · , pn−1 ) ∈ U (a; ε) に対して、p0 ∈ (a1 , b1 ) × · · · × (an−1 , bn−1 ) ⊂ U (a; ε) となる
ai , bi ∈ R (ai < bi , i = 1, · · · , n − 1) が存在する。このとき、
p ∈ (a1 , b1 ) × · · · × (an−1 , bn−1 ) × (an , bn ) ⊂ O
となる。よって、n 次元ユークリッド空間 Rn に対しても例の主張は正しい。
– 26 –
● 7 - 2 : 生成される位相
集合 X に部分集合族 B が与えられたとき、
∪
U∈ U
U (U ⊂ B) の形をした部分集合の全体が
X の位相を定めるとは限らない。(O2) が満たされるとは限らないからである。次の定理は上
記のようにして位相が定まるための必要十分条件を与える。
定理 7 - 6
集合 X の部分集合族 B が次の2つの条件を満たしているとする。
(i) ∀ x ∈ X, ∃ B ∈ B s.t. x ∈ B.
(ii) B1 , B2 ∈ B, x ∈ B1 ∩ B2 =⇒ ∃ B ∈ B s.t. x ∈ B ⊂ B1 ∩ B2 .
このとき、
O(B) := { U ⊂ X | ∀ a ∈ U, ∃B ∈ B s.t. a ∈ B ⊂ U }
は X の位相であり、B はその開基である。
(証明)
(O1) O(B) の定義より、∅ ∈ O(B) であり、条件 (i) により、X ∈ O(B) である。
(O2) U, V ∈ O(B) とする。任意に a ∈ U ∩ V をとると、U, V ∈ O(B) より、
∃ B1 ∈ B s.t. a ∈ B1 ⊂ U,
∃ B2 ∈ B s.t. a ∈ B2 ⊂ V
となる。a ∈ B1 ∩ B2 であるから、条件 (ii) により a ∈ B ⊂ B1 ∩ B2 となる B ∈ B が存在す
る。このとき、a ∈ B ⊂ U ∩ V となるから、U ∩ V ∈ O(B) である。
∪
(O3) Uλ ∈ O(B) (λ ∈ Λ) とし、U :=
Uλ とおく。任意に a ∈ U をとる。a ∈ Uλ とな
λ∈Λ
る λ ∈ Λ が存在する。Uλ ∈ O(B) より、a ∈ B ⊂ Uλ となる B ∈ B が存在する。このとき、
a ∈ B ⊂ U であるから、U ∈ O(B) を得る。
以上で、O(B) は X の位相であることが示された。B が O(B) の開基であることは、その定
義から明らかである。
集合 X の勝手な部分集合族 S から位相を構成することができる。そのためには、一旦、S
の有限個の元の共通集合をとり、それからそれらの任意個の和集合をとればよい。この方法は、
位相空間 X 上の関数全体のなす集合など、まだ位相が入っていない集合に「適切な」部分集合
族 S を指定することによって「適切な」位相を導入したいときに使われる。
補題 7 - 7
X を集合とし、S (6= ∅) を X の部分集合族とする。
n
{ ∩
}
B(S) :=
Si n ∈ N, Si ∈ S (i = 1, . . . , n)
i=1
とおき、
O(S) :=
}
U U ⊂ B(S) ∪ {X}
{ ∪
U∈ U
とおく。O(S) は S を含む X の最小の位相である。この位相を S によって生成される X
の位相と呼ぶ。
補題の証明は易しいので、演習問題として残す。
– 27 –
例 7 - 8 X を集合とし、A ⊂ X とする。このとき、O = {∅, A, X} は A を含む X の位相で
ある。明らかに、O は A を含む X の位相の中で最小である。よって、O は {A} によって生
成される X の位相である。
例 7 - 9 (X, d) を距離空間とする。Bd = { U (a; ε) | a ∈ X, ε > 0 } によって生成される X の
位相 O(Bd ) は、距離 d から定まる位相 Od に一致する。
● 7 - 3 : 可算公理
集合 A が可算であるとは、全単射 A −→ N が存在するときをいう。これは、1, 2, 3, · · · の
ように A の元に番号を振ることができることを意味する。N, Z, Q は可算集合である。A, B が
可算ならば、A × B も可算である。
位相空間 (X, O) が有限集合または可算集合であるような開基を持つとき、第2可算公理を
満たすと呼ばれる。
定理 7 - 10
ユークリッド空間 Rn において、
{ ( 1)
}
B = U r;
r ∈ Qn , m ∈ N
m
n
n
は R の開基である。したがって、R は第2可算公理を満たす。
(証明)
1
任意の a ∈ Rn と任意の ε > 0 に対して a ∈ U (r; m
) ⊂ U (a; ε) を満たす r ∈ Qn と m ∈ N
が存在することを示せばよい。
a = (a1 , · · · , an ) とおく。まず、m ∈ N を
1
m
< 2ε となるくらい大きくとる。R にお
いて Q は稠密であるから、各 i に対して |ai − ri | <
r = (r1 , · · · , rn ) ∈
Qn
を考える。このとき、a ∈ U (r;
d(n) (a, r) <
1
√
m n
1
m)
を満たす ri ∈ Q が存在する。
⊂ U (a; ε) が成り立つ。実際、
1
m
1
であって、任意の x ∈ U (r; m
) に対して
d(n) (x, a) ≤ d(n) (x, r) + d(n) (r, a) <
1
1
1
+
=
<ε
m m
2m
となる。
命題 7 - 11
位相空間が第2可算公理を満たすならば、その任意の部分空間も第2可算公理を満たす。
(証明)
X を位相空間、A をその部分空間とする。B が X の開基ならば B|A := { U ∩ A | U ∈ B }
は A の開基である。B が有限または可算ならば B|A もそうである。したがって、X が第2可
算公理を満たすならば、A も第2可算公理を満たす。
系 7 - 12
ユークリッド空間 Rn の任意の部分空間は第2可算公理を満たす。
(証明)
定理 7 - 10 と命題 7- 11 から従う。
– 28 –
No.7
集合と位相 3 演習問題
開基
2014 年 11 月 10 日
開基、生成される位相、第2可算公理
直積距離空間
7-1∗ . 集合 X = {1, 2, 3, 4, 5} に対して、その部分集合族 S = {{1, 2, 3}, {1, 3, 4}, {2, 3, 4}} を
考える。S によって生成される X の位相を O(S) とおくとき、以下の問いに答えよ。
(1) O(S) の元をすべて書き下せ。
(2) O を X の位相とするとき、
S ⊂ O =⇒ O(S) ⊂ O
が成り立つことを示せ。
7-2. (X, dX ), (Y, dY ) を距離空間とし、(X × Y, d) をそれらの直積距離空間とする。BX , BY を
それぞれ位相空間 (X, OdX ), (Y, OdY ) の開基とする。このとき、X × Y の部分集合族
BX × BY = { U × V | U ∈ BX , V ∈ BY }
は、距離 d から定まる X × Y の位相 Od の開基であることを示せ。
集合と位相3 [第 7 回]・関連図作成シート
学籍番号
2014 年 11 月 10 日
氏 名
集合と位相3通信
[No.7]
2014 年 11 月 10 日発行
第 6 回の小テスト [学習内容の確認問題] の最後から 2 番目の下線部分について
当該部分には、D2 への制限 (写像) が、写像 f : D2 −→ R − {0}, f (x, y) = 2x2 + 3y 2 +
1 ((x, y) ∈ D2 ) に一致するような連続写像 f˜ を 1 つ書き入れます。定義域と終域の問題を除け
ば全員できていましたが、完全に解答できた人は 1 人だけでした。
与えられている写像 f の定義域は D2 ですが、その定義式を見ればわかる通り、R2 全体に
拡張することができます。そこで、f˜(x, y) = 2x2 + 3y 2 + 1 ((x, y) ∈ R2 ) によって定義される
写像 f˜ : R2 −→ R を考えます。f˜ の終域は R − {0} でもよさそうに思うかもしれませんが、こ
こは R にします。というのは、f˜ が連続であることを示すとき、それを第 i 成分への標準射影
πi (i = 1, 2) や定数関数の積、スカラー倍、和で表わすことになりますが、これらの演算を行う
際に終域を R − {0} に制限するのは無意味だからです。終域を R − {0} に制限する意味が出て
くるのは、f˜ を第 i 成分への標準射影 πi : R2 −→ R (i = 1, 2) と 1 への定値写像 1 : R2 −→ R
を使って f˜ = 2π12 + 3π22 + 1 のように表わした後です。(計算した) 結果として、f˜(R2 ) ⊂ R − {0}
になっているので、定義域を D2 に制限すると同時に終域を R − {0} に制限することができ、
f = f˜|D2 : D2 −→ R − {0} が成り立ちます。
演習 5-1(2) について
f=
1
g
であり、g は連続であるから、連続関数の商として f は連続である、という解答が多
かったです。大雑把な理由としてはこれでよいのですが、演習問題に対する解答としては不十
分です。授業の中でも説明しましたが、写像は、
1 定義域 2 終域 3 元の対応規則 (定義域内の
各元を終域内のある元に対応させる規則) の3要素からなります。この3つすべてが同じである
とき、そのときに限り、それらを等号 = で結ぶことができます。さて、f =
いてですが、本当に、f は
1
g
1
g
という等式につ
と等しいのでしょうか?
1 と
3 については問題なさそうです。
2
についてはどうでしょうか?f の終域は R ですが、g の終域は R − {0} ですね。 g1 の終域は R
なのでしょうか、R − {0} なのでしょうか。この部分をもっと慎重に考察する必要があります。
部分空間における閉集合について
第 5 回の [学習内容のまとめ] において多くの人が部分空間における閉集合について誤った記
述をしていたので、ここで再説明します。
位相空間は (定義された初期段階では) 位相、すなわち、開集合族だけが指定された集合です
が、補集合が開集合となる部分集合を閉集合と呼ぶ約束なので、位相空間においては閉集合も
指定されていることになります。今、位相空間 X に部分集合 A が与えられたとしましょう。
このとき、X における開集合 U を用いて U ∩ A の形をしたもの全体は A の 1 つの位相をな
します。この位相が指定されている A を位相空間 X の部分空間と呼びます。部分空間 A は 1
つの位相空間なのですから、A における閉集合は、先ほど述べたように、(A における) 補集合
が (A における) 開集合になっているものとして定まります。その A の閉集合については便利
な言い換えがあり、それは、A の部分集合 F が A の閉集合であることは、F が X における
ある閉集合 C を用いて C ∩ A の形に表わされることが必要十分である、ということです。
集合と位相3 第 7 回・学習内容チェックシート
2014 年 11 月 10 日
学籍番号
氏 名
Q1. 具体的な位相空間を扱うときには、すべての開集合を考えるのではなく、その “もと”に
なっている開集合について考えれば十分なことが多い。これが開基の概念を導く。
位相空間 X の部分集合族 B が X の開基であるとは、X の任意の開集合が
の元の有
として表わされるときをいう。B が X の開基であるか否か
限個あるいは無限個の
を調べたいときには、X から任意に開集合 O をとり、任意の a ∈ O に対して
を満たす
が存在するか否かを調べればよい。例えば、距離空間 (X, d) において
Bd =
は、距離 d から定まる X の位相 Od の開基をなす。
Q2. 2 つの距離空間 (X, dX ) と (Y, dY ) に対し、それらの直積距離空間 (X × Y, d) が定義され
る。ここで、d は次の式で定義される X × Y 上の距離である。
距離 d から定まる X × Y の位相 Od の開基として、Q1 のように定義される Bd があるが、
B dX × B dY =
もまた距離 d から定まる X × Y の位相の開基である。
Q3. Q2 の結果を使って、n 次元ユークリッド空間 Rn は開直方体の全体を開基として持つこと
がわかる。ここで、開直方体とは次の形をした Rn の部分集合のことをいう。
例えば、Rn における開球体 U (0; 1) は (無限個の) 開直方体で埋め尽くされる。
Q4. 集合 X の部分集合族 B がある 2 条件を満たしていると、
O(B) := { U ⊂ X | ∀ a ∈ U, ∃B ∈ B s.t. a ∈ B ⊂ U }
は X の位相であり、B はその開基となる。その条件を ∀, ∃, ⇒ などを使わずに、文章で書け。
(i)
(ii)
これと Q2 の結果は、位相空間の直積集合への位相の定義の仕方のヒントを与える。
Q5. 集合 A が
であるとは、全単射 A −→ N が存在するときをいう。これは、1, 2, 3, · · ·
のように、A の元に
の典型例として、
を振っていくことができることを意味している。このような集合
,
がある。
,
n 次元ユークリッド空間 Rn には
がそのような開基の例である。一般に、
な集合の有限個の直積は
である。
個の元からなる開基が存在する。実際、
個の元からなる開基が存在す
る位相空間は
を満たすと呼ばれる。n 次元ユークリッド空間 Rn およびそ
の部分空間は
を満たす。
集合と位相3・第 7 回の学習内容のテーマとまとめ
学籍番号
2014 年 11 月 10 日
氏 名
[テーマ]
[学習内容のまとめ] 今回の学習内容を下の破線より下に文章で書いてください。但し、∀, ∃, ⇒
などの論理記号や「(記号):(その説明)」のような略式的表現法を避けてください。さらに、次
のことに触れてください。
• 位相空間において開基を導入する意義、背景。
• 開基の定義と例。特に、ユークリッド空間の場合に複数例 (可算のものも含めて)。
• 直積距離空間の開基の例とその例から示唆されること。
[感想](わかりにくかったことや考えたことなどがあれば書いてください)
集合と位相3 [第7回]・関連図作成シートに含めるべき項目
(X, O) を位相空間、B を X の部分集合族とする。
B が (X, O) の開基 (または O の開基)
∪
⇐⇒ ∀ O ∈ O, ∃ U ⊂ B s.t. O =
U.
(X, d) を距離空間とする。
Bd = { U (a; ε) | a ∈ X, ε > 0 }
は距離 d から定まる位相 Od の開基。
U∈ U
(X, O) を位相空間とし、B を X の部分集合族とする。
B が (X, O) の開基
⇐⇒ ∀ O ∈ O, ∀ a ∈ O, ∃ U ∈ B s.t. a ∈ U ⊂ O.
(X, dX ), (Y, dY ):距離空間 =⇒ (X × Y, d):距離空間.
但し、d((x, y), (x0 , y 0 )) = dX (x, x0 ) + dY (y, y 0 ) (x, x0 ∈ X, y, y 0 ∈ Y ).
d を dX , dY の直積距離、(X × Y, d) を (X, dX ), (Y, dY ) の直積距離空間と呼ぶ。
(X, dX ), (Y, dY ):距離空間
=⇒ BdX × BdY は直積距離 d から定まる X × Y の位相 Od の開基
開直方体 (a1 , b1 ) × · · · × (an , bn ) の全体は Rn の開基をなす。
集合 X の部分集合族 B が次の条件を満たすとする:
(i) ∀ x ∈ X, ∃ B ∈ B s.t. x ∈ B.
(ii) B1 , B2 ∈ B, x ∈ B1 ∩ B2 =⇒ ∃ B ∈ B s.t. x ∈ B ⊂ B1 ∩ B2 .
=⇒ O(B) := { U ⊂ X | ∀ a ∈ U, ∃ B ∈ B s.t. a ∈ B ⊂ U } は X の位相で、B はその開基。
X を集合とし、S (6= ∅) を X の部分集合族とする。
{ ∩
}
n
B(S) :=
Si n ∈ N, Si ∈ S (i = 1, . . . , n)
i=1
{ ∪
}
=⇒ O(S) :=
U U ⊂ B(S) ∪ {X} は S を含む X の最小の位相。
U∈ U
この位相を S によって生成される X の位相と呼ぶ。
X :集合、A ⊂ X
=⇒ O = {∅, A, X}:{A} によって生成される X の位相
集合 A が可算 ⇐⇒
∃ f : A −→ N:全単射
(X, d):距離空間
=⇒ Od = O(Bd ).
X :位相空間、A:X の部分空間とする。
X が第2可算公理を満たす
=⇒ A も第2可算公理を満たす。
• N, Z, Q は可算集合。
• A, B が可算 =⇒ A × B も可算。
位相空間 X が第2可算公理を満たす
⇐⇒ X は有限または可算集合であるような開基を持つ
ユークリッド空間 Rn において、
{ ( 1)
}
n
B = U r;
r∈Q , m∈N
m
は Rn の開基である。したがって、Rn は第2可算公理を満たす。
ユークリッド空間の任意の部分空間
は第2可算公理を満たす。
集合と位相3・小テスト [第7回]
2014 年 11 月 10 日
学籍番号
氏 名
[文章化問題] f : A −→ B を写像とします。次の論理式 (∗) で書かれた命題を、∀, ∃, ⇒ など
を使わずに、文章で書きなさい。
∀ b ∈ B, ∃ a ∈ A s.t. f (a) = b.
(∗)
[写像の定義に関する問題] 0 以上の各実数 x に対して、平方根
√
x を対応させる関数を、写像
の表現形式に倣って書きなさい。
[学習内容の確認問題] 以下の下線部分をうめなさい (∀, ∃, ⇒ などの論理記号や「(記号):(そ
の説明)」のような略式的表現法を避けてください)。
2 つの位相空間 X と Y が同相であるとは、
ときをいう。このことを記号で
のように表わす。位相空間 X と Y が同相ならば、位相空間 X において生じる
様々な位相的事象は
ため、抽象論を扱う上で両者を
区別する意味はない。そのため、同相な位相空間同士は、しばしば
される。
2 次元球面 S2 から北極点 (0, 0, 1) を除いて得られる部分空間 S2 − {(0, 0, 1)} と
R2 と は
と 呼 ば れ る 方 法 に よ り 同 相 で あ る 。そ の 同 相 写 像 ϕ
:
S2 −
{(0, 0, 1)} −→ R2 は次のように作られる。まず、任意に点 p ∈ S2 − {(0, 0, 1)} をとり、
を引く。すると、その半直線 ` は
で交わる。そこで、
に対して
と
を対応させることによ
り、写像 ϕ : S2 − {(0, 0, 1)} −→ R2 × {0} = R2 を定義する。このように定義される
写像 ϕ は全単射である。
、写像 ψ :
を今度
は
うに定義すれば、
は、ϕ は全単射で、ψ はその
のよ
と
が成り立つことがわかる。このこと
であることを意味している。