平成26年度 2学期終業式 式辞

平成26年度 2学期終業式 式辞
平 成26年12月22日
尾道市立三 成小 学校 校長 武田 義治
今日で2学期が終わります。
9月の始 業 式で私は,「子 ども一 人につき年間 ,約 100万 円 の税金 が使 わ
れている。三 成 小 学 校 には1年 間 に,2億 円 を超 える税 金 がつぎ込 まれてい
る。だから,1 時間の授業はおよそ1000円の値打ちがある。学校で勉強でき
ることは当 たり前 ではない。毎 日 勉 強 できることに感 謝 してほしい。 1時 間 10
00円 の授 業 の値 打 ちが一 万 円 になるか,20円 ,30円 になるかはあなた次
第 である。一 日 勉強 したらへとへとになるくらい,時 には頭 から湯 気が出 るくら
い本気で勉強してください。」と話しました。
ここで2学期の自分をふり返ってみましょう。これから三つの質問をします。
よくできた人 は「ぐ―」,だいたいできた人 は「チョキ」,あまりできなかった人
は「パー」,というように,手を挙げて静かに答えて下さい。
1 友達や先生の言うことを本気で聴きましたか。
2 嫌いなことでも我慢して辛抱強く勉強しましたか。
3 1学期より本をたくさん読みましたか。
これらのことを続 けていると,諦 めずに勉 強 を続 ける力 がついてきます。難
しいことがあっても投 げ出 さないで解 決 しようとする力 がついてきます。そんな
人 は,みんなから頼 りにされます。自然 と仲 間が集 まってきます。また,本をよ
く読 むと想 像 力 がつくので,人 の気持 ちが分 かるようになるのでみんなに好 か
れます。さらに,言 葉をたくさん覚えると自分の気 持ちや考えをわかりやすく説
明できるので,周りの人と仲よくできます。
つまり,諦 めないで勉 強 を続 けることができれば,みんなと力 を合 わせて生
きていける魅 力 的 な人 になれます。そんな人 は,みんなから必 要 とされます。
みんなから愛されます。みんなから感謝されます。そうなったら幸 せですね。
実は勉強を続ける以上に幸せになるためには大切なことが三つあります。
一 つはあいさつをすること。二 つ目 は掃 除 をすること。三 つ目 は時 間 を守 る
ことです。なんだ,そんなことかと思 いませんでしたか。これは三 成 小 学 校 の
「三つの宝」ですね。
今日は,一つ目のあいさつについてお話 しします。
あいさつで一 番大 切 なことは何かわかりますか。「自分 から先に」あいさつす
ることです。「自 分 から先に」あいさつできる人は,相 手 に対して心を開くことが
できる人 だからです。相 手 からあいさつをされれば あいさつするけど,自 分 か
ら先 にあいさつしないのは相 手 を無 視 していることと同 じです。心 をしっかり開
いていません。
人は誰でも,自 分 から心を先に開いてくれる人には,仲 良くなりたい,力 にな
りたいと思います。「自 分 から先 に」あいさつをしたら,きっと自 分 を見 る周 りの
見る目が変わってきます。そうなったら幸せへの一歩を歩んでいます。
だから,あいさつされたらあいさつするようではまだレベルは低 いのです。あ
いさつされたら一 応 声 を出 すとか,うつむいて相 手 に聞 こえない声 で言 うあい
さつは本 物 ではありません。ましてや,あいさつを返 さないのは最 低 のレベル
です。
では,どんなあいさつが本 物 のあいさつと言 えるでしょうか。 どんなあいさつ
をすると幸せを引き寄せるのでしょうか。五つあります。よく聞いてください。
言うまでもなく,一つ目は,「自分から先にあいさつ」です。
本物のあいさつへの近道です。自分から心を開きましょう。
二つ目は,「笑顔でにこにこ」です。
笑顔であいさつされて,嫌な気持ちになる人はいません。
三つ目は,「明るい声ではっきり」です。
聞こえるはっきりとした声であいさつすると,気持ちがよく伝わります。
四つ目は,「目を見て」です。
やさしい眼差しがいいですね。目は口ほどにものを言います。
五つ目は,「いつでも誰でも」です。
自分の都合や機嫌 で,また人によって態度を変えてはいけません。
先日,朝の登校の見守りをしている保護者が書かれたお手紙を読んでいま
すと,「自 分から進んであいさつする子 が少ないように思 います」「校 長 先生 が
いる時の子ども達 のあいさつはとてもよかったです」と書 かれていました。残 念
ながらまだ本物のあいさつになっていないということです。
その一 方 で,しっかりと目 を見 て笑 顔であいさつできる人がたくさんいます。
自分から先にあいさつできる人も何人もいます。
3年 生 の男 子 の中 に一 人 ,10月 頃 までは,こちらからあいさつしても,ちゃ
んとあいさつが返 ってこない人 がいました。目 は合 いますが,笑 顔 もありませ
ん。声 もよく聞 こえません。でも,最 近 ,変 わってきました。 自 分 から大 きな声
であいさつするのです。とてもうれしくなりました。濱 本 先 生や坂 本 先 生 に聞い
てみても,あの子 は最 近 変 わってきた,勉 強 もよくがんばっていると言 われま
した。
今まで私は,何百 人という多くの子どもたちに出会ってきましたが,「自分か
ら先 に」あいさつする子 どもは,礼 儀 正 しく素 直 で,友 だちと仲 良 くやっていけ
る子どもが多いように思います。
こんなお話を聞いたこともあります。
卒 業 生 の中 に,公 務 員 を目 指 す学 生 がいました。「三 成 君 」とします。公 務
員 の試 験 は,最 初 の試 験 が普 通 のテストで,2回 目 の試 験 が面 接 です。 「三
成 君 」はとても勉 強 ができて,最 初 の試 験 は3つも4つも受 かりました。ところ
が,どういうわけか,面 接 試 験 で全 部 不 合 格 になるのです。理 由 が想 像 でき
ますか。
2年 目 ,彼 がもう一度 試 験 を受ける前に,学 校の先 生が「三 成 君」に聞きま
した。
「どうしたら今年 ,面接試験に合格できると思いますか」
「三成君」は答えました。
「自分が変わらなかったら面接試験に合格できないと思います。」
先 生 もそう思 っていたそうです。「三 成君 」は,あいさつがしっかりできませんで
した。遅刻もよくしていました。授業中も態度が悪かったそうです。
ところが2年 目 から,あいさつができるようになりました。すると, 「三 成 君 」
はこんなことを言ったそうです。
「今年は,先生達がみんな,なんだか親切なんだけど」
当たり前です。実は,職員室でも,「三成君」の話はしょっちゅう出ていました。
「今年の三成君,遅刻もしないし,授業の態度もいいですね」
「あいさつも,とても気持ちいいじゃないですか」
そんな「三 成 君 」を見 ていると,先 生 達 は忙 しくても「あいつのためになんと
かしてやろう」という気 になります。別 に先 生 達 が「三 成 君 」に優 しくしてあげま
しょう」なんて決 めているわけではありません。「三 成 君 」があいさつできるよう
になったから,周りの先生が変わってきたのです。
このように「自分から先に」あいさつをすることを続けたら,周りの人がやさし
くなります。そうなったら幸 せへの一 歩 を歩 んでいます。 今 まで「自 分 から先
に」あいさつしていなかった人が,どれだけ「自 分から先に」あいさつできるか。
これが本物のあいさつのポイントです。
今日は「幸せを引き寄せる本物のあいさつ」について話しました。
「三 成 小 学 校 の子 どもはよくあいさつができる」とあちこちで話 題 になるくら
い,「自 分 から先 に」あいさつできる人 が増 えることを期 待 して,2学 期 終 業 式
の式辞といたします。