アクセサリーデザイナー

雑誌を通じ、
一瞬で
シルバーの虜に
きっかけは 中 学 生 時 代に目にしたファッ
ション雑 誌の中のシルバーアクセサリーの特
集。〝キング・オブ・シルバー 〟の異名を持
つ有名ジュエリーブランドの重厚で鈍い光沢
を 放つシルバーアクセサリーに一瞬で心を 奪
われた。それがきっかけとなり、高校に入
ると独学で彫金技法を学び、アクセサリー
うことなくジュエリーの専門学校を志望し
づくりを始め、卒業後の進路についても迷
た。選んだのは、専門学校ヒコ・みづのジュ
エリーカレッジ。
小熊裕樹
Choice is yours
Hiroki Oguma :
Silver Accessories Designer
イナーやジュエリーデザイナーを特別講師と
さん
中学時代にシルバーアクセサリーの魅力に開眼し、
高校時代に独学で彫金技法を習得。
専門学校でジュエリービジネスを学んだ。
そして理想を追求すべく、
自分のブランドを設立。
夢の序章に立った若きデザイナーが仕事を語る。
アクセサリーデザイナー
単にデザインや製作のみならず、量産から
り、この世界の第一線で活躍している人物
して招いてのセミナーを催す機会などもあ
●レギオメイド 代表
専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ︵2008 年卒︶
販 売 までに至る一連の流れをすべて学べた
﹁この学校を選んでよかったと思えるのは、
こと。というのも、 最 初からオリジナルブ
ヒコ・みづのジュエリーカレッジを 選んで 良
に与えることになる。﹁この点に関しても、
から ものづく りに 対 する 哲 学や 技 法 な ど
と 同 時に、 何よ り もシルバーアクセサリー
ん。 学 校から 課 題をたくさん与えられる
かったと思いましたね﹂。
り、それこそ寝 食を 忘れてアクセサリーづ
間にも 手 を 動かし、 休日や 授 業がない日
くりに明け 暮れた。 授 業の狭 間の休み時
ade﹂︵レギオメイド︶ を 立ち 上げ、ハン
そして現 在、 小 熊さんは 以 前からの計
画通り、オリジナルブランド ﹁LegioM
は学校で使う彫金工具を持ち帰り、自宅
もした。
てシルバーアクセサリーづくりに没頭したり
売を行っている。
ドメイドのシルバーアクセサリーの製造・ 販
で作業を行った。放課後、製作教室にこもっ
﹁ とにかく 自 分が表 現したいものがあ り
ていました﹂。そうやって生み出した作 品
は 中 世ヨーロッパ時 代の装 飾、 動 物、そし
徹 底したリアリティの追 求 ︱それがレギ
オメイドのコンセプトだ。モチーフとなるの
人 体や動 物の解 剖 図 鑑を 使うことも 多い。
て人体など。リアリティを追求するために
込めて作ったものだけに自分自身を褒めら
れているかのような喜びを感じた。
〝表現するよろこび〟
が
苦労を愉しみに変える
なこと。そんな喜びを感じたいからこそオ
いというプレッシャーもある。
リスクや責任をすべて負わなければならな
分でこなしていることもあり、それに伴う
個 人 事 業 主で ある だけに、サラリーマ
ンのよ うに労 働をすれば 必ず 給 料が発 生
リジナルブランドの創立にこだわった。
必ずそれを身に付けてくれる人がいる。だ
〝自分〟という個性でしか表現できない形
単なる自 社 販 売のみならず、 外 部デザ
イナーとして大手アパレルブランドの商品を
からこそ一切の手抜きはできないし、長く
やデザインを創造し、それを買ってもらう
作ることもある。 企 業 間の取 引となるだ
使い続けられるよ うアフターサービスにも
量 産、 営 業・ 販 売 まですべての業 務を 自
けに、 納 期や ま と まった 数 量が設 定され、
力を入れていかなければならない。常にそ
するわけではない。さらにデザイン、 製作、
要求される品質やデザインもより高いもの
ことで利 益を 得、 生 活する︱︱それは 小
が求められる。そんな 期 待に応え、 満 足
をしています﹂。 決して楽しいことばかり
んな人たちのことを思い浮かべながら仕事
活 躍している人 も 少 なくない。ジュエリー
専 門 学 校で 共に 学 ん だ 学 友 た ちには、
小 熊さん同 様、ジュエリー業 界の第一線で
行うことが多い。小熊さんにとって﹃仕事﹄
感 性がもっと も 高 まる 深 夜 帯に 集 中して
では ないが、 それ 以 上に〝 表 現 する 楽し
身の内にある世界観を表現する ﹃場﹄で
は 生 活の糧を 得る手 段である以 上に、 自
も ある。 表 現する場であるがゆえ、 時 間
には 宝 飾 関 係の卸 会 社で働く友 人 もいる。
オメイドの世界観を広く発信していけるこ
ない。﹁ 気がつけば 深 夜三時 を 回っていた、
を 忘れて作 業に没 頭することも 少 なくは
なんてこともザラです﹂ と小熊さん。
ともやりがいの一つだと小熊さんは言う。
自 分 自 身にとっての刺 激でも あ り 発 奮 材
自分ならではの〝自由な感性〟を大切
にしたいからこそ就職せずに独立という道
ザイナー・ 小熊裕樹の成長に欠かせないも
のだと言える。
そんなコネクションを 通じて 異 業 種のク
リエイターとの出会いが生まれることもあ
る。以前、著名なフィギュア造形作家と会
い、作品を見せてもらった。その細部まで
作 り 込まれた精 巧さと 揺るぎない構 築 美
に圧 倒された。こうした 交 流が小 熊さん
くことになる。
の感 性や 創 造 性に新たな 刺 激を 与えてい
には確かな自信がみなぎっていた。
と 思っています﹂。 静かな 口 調だが、そこ
樹としての個性を磨いていくことが重要だ
ないよう、レギオメイドの、そして小 熊 裕
すた りに 翻 弄されるもの。 そこに 埋 もれ
﹁ あらゆるファッションアイテムは、はや り
に、将来の目標を いてみた。
表 現の場を 手に入れた。そんな 小 熊さん
を選んだ。そしてレギオメイドという自己
料にもなる﹂。彼らとの切磋琢磨もまたデ
﹁ 仲 間が同じ 業 界で 活 躍していることは、
そうした仲間とのコネクションを通じ、レギ
み〟が苦労を上回っている。作業は自身の
ブランドのデザイナーや営業、企画、さら
﹁ 自 分が作ったアクセサリーの〝 先 〟には、
という。
してもらえたときは 大きな 喜びを 感じる
熊さんにとってこの上ない贅沢であり幸せ
厚で耽美的な世界観が創られてゆく。
そんな徹底したリアリズムに自分ならで
はの感 性を 重ねることでレギオメイドの重
また、同校では著名なアクセサリーデザ
を 友 人や家 族が評 価してくれる。 丹 精を
すぎて、寝ても覚めてもシルバーと向き合っ
自分の世界観を表現し、
糧を得るよろこび
と向き合っていることが大好きな性分もあ
ランドでやっていこうと考えていたので、
ジュ
だ。④本格的な彫金工程へと入っていく。リ
アリティを徹底して追求していくがゆえ、造形
は複雑を極める。これこそが小熊作品の真骨
頂。⑤「徹底したリアリティの追求」それが
レギオメイドのコンセプト。そのために、動物
の解剖図などを参考にすることも。
ると と もに、この 上 ない刺 激 を 小 熊さん
これらの多くは、専門学校から使い続けてい
るもの。小熊さんのなくてはならない “ 相棒 ”
について話を聞けることは非常に参考にな
に、1 つの作品を仕上げるまでに 1 ヶ月以上
を要する場合も。③使い込んだ彫金工具。
エリービジネスの基 礎を 学べることは、と
に浮かんだものをラフとしてスケッチブックに
描いてゆく。②その多くはハンドクラフトだけ
ても大きな意味がありました﹂ と小熊さ
( 上段右から時計回りに)
①創造の第一歩。デザインワーク。まずは頭