ウィークリーレポート 2017/2/27

ウィークリーレポート 2017/2/27-2017/3/3
米国の 3 月早期利上げへの期待が剥落
28 日のトランプ大統領「施政方針演説」への期待と不安。仏大統領選への懸念も続く見込み
(先週の振り返り)
前週は材料難の中で小動きに終始する展開が続きましたが、米国の早期利上げ期待剥落やフランス大統領選のリスク懸
念から、株式が買われ、為替市場ではドル買い傾向となりました。
週初 112 円台後半から始まったドル円は、アジア時間には株高を背景に 113 円台に回復しましたが、米国市場がプレジデ
ントデーで休場のため動意薄の展開となりました。21 日アジア時間にハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の「3 月の利上げ
を排除せず」と言及したことや FRB 高官の相次ぐタカ派発言から米長期金利が上昇。3 月利上げ期待が再燃し、ドル買いに
傾斜。しかし 113 円 78 銭まで上伸したものの、欧州時間には仏大統領選の不透明感からユーロ売りが再燃。ユーロ円では
120 円を再び割り込み、ドル円も頭を抑えられ上値が重く 113 円台半ばを軸としたレンジ相場となりました。
また週央の FOMC 議事録では市場は全体的にハト派的な内容と受け止められ、ドル売りとなり一時 113 円割れまで下落し
ました。23 日東京時間早朝にムニューチン米財務長官がドル高に関してポジティブな発言をしたことから、アジア時間は一
時ドルが買い戻される展開となりましたが、海外市場に入り米長期金利低下が顕著となり、ドル円は 112 円 60 銭割れまで
下落しました。さらに 24 日は週末リスク及び、市場の米 3 月利上げ期待が後退したことを受け、米金利は 12 月来の 2.32%
を下回りドル円も 111 円 93 銭まで下落しました。一方で米株はトランプ大統領の減税案の期待から連日市場最高値を更新
しました。他リスク回避姿勢から金が選好され、昨年 11 月来となる 1 トロイオンス=1,260 ドルまで上伸しました。
(今週の見通し)
今週は 28 日にトランプ大統領が上下両院合同会議で行う「施政方針演説」に注目です。特に 9 日に言及した「驚くべき税制
の提案」の具体案が出るか否か?またその内容に注目が集まります。詳細な具体案が発表された場合、市場が受け入れ
られる内容かどうかによってドルを中心に大きく動く可能性があります。市場が容認出来ない内容、更に周辺国を巻き込ん
だ案が発表された場合、リスクオフとなりドル円も大きく下落するとの見方が多いようです。一方で市場が絶賛する内容であ
った場合は、リスクオンとなりドル円も直近のレンジを上抜け上伸する可能性があります。一方で具体案のないまま現状の
主張を繰り返すのみならば、ドル相場の膠着状態が継続しつつも、最高値を更新している米国株の調整が入り緩い局面に
あるため、株式市場主導でリスクオフとなりドル円にはネガティブに反応する展開も想定されます。
今週発表予定の米国指標は、2 月 ISM 製造業景気指数、消費者信頼感などがあります。来週火曜日からブラックアウト期
間に入る前のイエレン FRB 議長とフィッシャーFRB 副議長の発言に注目です。
またユーロ円のボラティリティ市場では 2 月からボラティリティ上昇が顕著となっており、3 か月 ATM(アット・ザ・マネー)が一
時 15%近辺まで上昇しています。15%という数値は昨年 5-7 月にかけての BREXIT(英国の EU 離脱)時期の英ポンド(対ドル)
のボラティリティの平均値(最高値 21%)と同数値となりますので、通貨オプション市場では 5 月の仏大統領選挙に対するリス
ク見合いを昨年の BREXIT 並みと算出していることになり、仏大統領選までは金融市場を揺るがす要因となる可能性が高
く、注意が必要です。