ウィークリーレポート 2017/2/13-2017/2/17 日米首脳会談を経てドル高回帰なるか?イエレン議長の証言に注目 ・日米首脳会談後、リスク選好地合いの持続性、イエレン FRB 議長の上院・下院議会証言内容に注目。フランス大統領選 の動向、ギリシャ債務不履行問題、欧州発のリスクには警戒しておきたい (先週の振り返り) 先週の外国為替市場のドル円は、1 月の米国雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことや、トランプ政権が貿易不均衡解消 のためにドル高抑制を強めるとの見方などがドルの上値を抑え 112 円台前半までギャップダウンして始まりました。週末に 控えた日米首脳会談を控え、株価・金利動向も伺いながら 112 円~113 円をコアレンジに推移しました。 その中で市場を大きく動かしたのは欧州発の政治リスクでした。フランス大統領選挙に出馬しているフィヨン氏を巡るスキャ ンダルに極右政党のルペン氏優勢との世論調査報道、加えてギリシャの債務不履行問題が再燃すると一段と市場ではリス ク回避の動きが加速しドル円は 111.59 円の安値までドル安・円高が進み、ユーロ円では昨年 12 月 5 日以来の安値となる 1 ユーロ=119.33 円まで下落する場面が見られました。米国でも入国制限に関する大統領令を巡る司法判断に対し、トランプ 大統領が批判トーンを強めるとドルの上値は重い状況が続きました。 しかし総じて底堅く推移する株式市場を背景にドル円は 111 円台半ばでは底堅く推移。週後半に入りトランプ大統領の「2-3 週間以内に驚異的な税制改革について発表する」との発言を契機に大型減税策への期待が進み、株高・米金利上昇の流 れが強まると、全面的なドルの買戻しが進行しました。ドル円は 113.85 銭の高値まで買い戻される場面もありましたが、週 末の日米首脳会談においてトランプ大統領が為替相場に絡んで「公正な競争ができる土俵をつくれる」と発言したことが一 部でドル高けん制と受け止められ上値は抑えられ 113 円台前半で週を終えました。 (今週の見通し) 今週は先週末の日米首脳会談においてトランプ大統領から露骨な円安や日銀による大規模金融緩和に関する批判が出 なかったことで、ひとまず市場には安堵感が広がり、リスク選好の地合いとなるでしょう。また、インフラ投資や貿易・経済政 策について麻生副総理とペンス副大統領による対話の枠組みを新設するなど、トランプ氏を介さない仕組みづくりが進んだ ことも市場には安心材料となり、ドル円は堅調に推移することが期待されます。 週内にはイエレン FRB 議長の上院・下院議会証言を控えており、年 3 回を想定する利上げシナリオを維持するかが焦点 となるでしょう。1 月中旬の講演では「年数回の利上げ」を見込んでいるとも言及しており、今回も同表現を踏襲し雇用情勢と トランプ大統領の政策動向を睨みながら利上げ時期を探る表現に留まると想定されます。具体的に 3 月利上げの見送りに 言及することとなればドル円相場への影響も避けられず、早期利上げ期待の剥落から一時的にドル売りとなると思われる ため議会証言内容を注視したいところです。 また、金融規制担当のタルーロ FRB 理事が来る 4 月 5 日を以て退任することが決まったことからも後任人事の選任が進 むでしょう。金融規制の緩和派候補が挙がっており、ドット・フランク法の見直しを掲げるトランプ政権の人事次第では今後 の利上げにも大きく影響が出てくる可能性があり注目が集まります。 日曜日には北朝鮮からミサイルが発射されたことや欧州発の政治リスク・ギリシャ債務不履行問題、トランプ大統領が今 週発表予定の入国制限令に関する新たなる策には警戒感が残りますが、週を通じてはトランプ大統領による大型税制改革 への期待が膨らむ中、株式市場・金利市場の動向を睨みながらドル円は 112 円台で底値を固めながら 115 円台へドル高基 調となることを期待する向きもあるようです。
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