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今日の講義内容
 グルサーの公式
応用数学II
 留数定理
・留数とは?
・留数の求め方
・留数による積分
岩谷素顕
11-2
11-1
これから学ぶ周回積分の解き方
積分路内は
全て正則

C
f z 
dz
z 
コーシーの積分公式
f z 
グルサーの公式の導出
C
求める積分の形
C
極
複数個の極が
存在する
留数定理
f z 
 z    dz
D
グルサーの公式
n
11-3
D
α
 z    dz
C
C
コーシーの積分定理
n
C
C
α
D
αは積分路内に存在する
極
D
これらの公式を使って積分を解いていきます
11-4
復習:コーシーの積分公式
「グルサーの公式」はどのような場
合を解くための公式か?
f z 
 z    dz
C
n
f(z) は領域D で正則である。D 内に単一閉
曲線C がありC の内部は領域D に含まれ
ているとする。任意の点がC の内部にあ
れば次の等式が成り立つ。

C
α
D
11-5
αは積分路内に存在する
1
f z 
dz

C
2i z  
f z 
dz  2i  f ( )
z 
f ( ) 
の形の積分を解くための公式
C
α
C
D
ただし、積分はCが囲む領域に対して、正の向きに行うも
のとする。
11-6
f ( z  z )  f  z 
f  
f  
1
1
d 
d

2iz C    z  z 
2iz C   z
z
閉曲線Cに囲まれた領域Dで正則で、かつC上で
連続な関数の、D内の任意の点zにおける値f(z)は、
コーシーの積分公式から、

1
f  
f ( z) 
d
2i C   z
で与えられる。同様にして領域D内の点z+zで、f(z+z)は、
f ( z  z ) 
11-7
1
f  
d

C
2i    z  z 
となるから、

領域Dでf(z)が正則ならば、D内でf(z)は何回でも微分可能で、
そのn階導関数f(n)(z)は
n!  f   
d

2i C    z n 1 
 f   
2i n 
 
d 
f z 
n 1 
C 
n!


z



lim
z 0
演習 次の積分の値を求めよ。ただし、各積分路は正方向と
y
する。
2i
z2
dz
C
C={z|
|z|=2}
C z  3z  12
x
点z=1は円Cの内部にある。そこで、
O
2
z2
f z  
z 3
例題 次の積分の値を求めよ。ただし、各積分路はすべて
正方向とする。
y
z3  2
C z  14 dz
f (1) 
C
O
f z 
3!
dz
2i C  z  14
f z 
2i
2i
dz 
f (1) 
 6  2i
4
C 
3!
3 2
z  1

留数定理による複素関数の積分
留数とは何かを良く考えて問題を解く
1  z  3  z  2   1
5

2
z  3
z  32
1
f z 
f (1) 
dz

C
2i  z  12
f z  
5
5i
f z 
dz  2i  f (1)  2i    
2
4
2
z  1
2i
C={z| |z|=2}
点z=-1は円Cの内部にある。そこで、
f(z) = z3+2とすると、これは正則な関
数なので
f’(z) = 3z2
f’’(z) = 6z
f’’’(z) = 6
とすると、これはCの内部では正則な関数なので
C
 f   
f ( z  z )  f  z 
1
 f z  

d
z
2i C    z 2 
で与えられる。同様にf’’(z)、f’’’(z)も、C上の周回積分で表されるこ
とが示される。このことから以下のような公式が導かれる。
11-10
11-9


f  
1 

d
2i C    z  z   z  
となる。z→0の極限をとると、
で与えられる。ただし、CはD内の閉曲線で、点zを正の向きに1
周するものとする。
11-11
 f      z   f      z  z  
1

d
  z  z   z 
2iz C 

11-8
グルサーの公式
f n  z  


f  
f   
1


d
2iz C    z  z    z 
11-12
x
2
留数定理を解くためのポイント
どのような積分を解きたいか?
 どういう形の積分を解くのか?
 f z dz
 特異点(極)と位数の概念の理解
極
C
 留数の求め方
C
極
D
を理解していく必要がある。
複数個の極が
存在する
留数定理
極:複素関数で微分不可能な点
11-13
11-14
多項式と有理関数
留数定理を使うための準備
関数がz(= x+yi) のみの関数で表されれば、ほとんどが正則(微分可能) となる。ここでは2
種類の関数について正則かどうかを考えてみる。
複素関数f(z)=zn(n=1,2・・・)は、z平面のいたるところで微分可能(導関数f’(z)=nzn-1)である。
よって、znはz平面上の全領域で正則な関数である。有限個の正則関数の和からなる次の
関数
Pn(z)=0+1z+2z2+・・・+nzn
は、z平面上の全領域で正則な関数であり、その導関数は
P’n(z)=1+22z+・・・+nnzn-1
で与えられる。
11-15
11-16
多項式と有理関数
次に、2つの多項式の比で与えられる関数
Rz  
n≠0のとき、pn(z)をn次の多項式と呼ぶ。方程式Pn(z)=0はn個の解(重根を含めて)、z1,
z2,・・・zkを持つ(代数学の基本定理)から、Pn(z)は次のように書き直すことができる。
Pn(z)=n (z- 1)(z- 2)・・・・(z- n)
また、Pn(z)が多重根を持つ場合においては、
P’n(z)=n (z- 1)n1(z- 2) n2・・・・(z- k) nk
と書き直すことができる。ただし、n=n1+n2+・・・+nk、この時1, 2,・・・, kをそれぞれ、Pn(z)
のn1位、n2位、・・・・nk位の零点と呼ぶ。
11-17
P ( z )  0  1 z   2 z 2       n z n

q ( z )  0  1 z   2 z 2       m z m
分数関数をzの有理関数という。R(z)は次のように書き直すことができる。
Rz  
 n z   1 n z   2 n    z   k n
 m z  1 m z  2 m    z  l m
1
1
2
2
k
(bm≠0)
l
ただし、i≠j(i=1,2,・・・k; j=1,2,・・・l)とする。この時、ziはR(z)の零点、jは特異点になる。特
に、特異点1,2,・・・ lをそれぞれR(z)のm1位、m2位・・・ml位の極という。一般にz0がf(z)の
k位の極であるならば、{(z-z0)kf(z)}はz=z0で正則となり、そこで0以外の極限値をもつ。これ
に対して、もしどんな正の整数kをとっても{(z-z0)kf(z)}がz=z0で正則にならないならば(有理
関数ではこのような事はありえないが)z0をf(z)の真性特異点とよぶ。
11-18
まとめ
例題
零点
Rz  
 n z   1  z   2     z   k 
 m z  1 m  z  2 m    z  l m
n1
n2
1
2
nk
次の関数の、全ての零点と極およびそれらの位数
を求めよ。
l
極
位数
11-20
11-19
z3  i
z 4  2z 2 1
これらの解をつかって、関数P(z)=z3-iは
P( z )  z   0 z  1  z   2 
P( z )  z  i とおくと、P(z)=0は3次方程式であるから3個の解を持つ。この式の解の値
を0、1、2とすると、
3
1
3
 1 2n 
1
  1  2 n i 
  i
i 3   e 2    e 6 3 




0
0
3 1


 
 
 0  cos  2   i sin   2   cos   i sin   
i
6

1  cos  2
6
3
3
2
6
6 2
6
1
1
3 1

 5 
 5 
i
  i sin   2   cos   i sin    
3
3
2
2
6
 6 
 6 
2
2


 3 
 3 
 2   i sin   2   cos   i sin    i
2
3
3
6
6




 
 2 
4
2
と因数分解される。一方 Q z   z  2 z  1 とおくと、


Qz   z 2  1  z  i  z  i 
2
2
2
に因数分解できる。よって与えられた関数R(z)は
Rz  
z   0 z  1 z   2   z   0 z  1 
z  i 2 z  i 2
z  i z  i 2
 2  cos
と書ける。したがって、R(z)は2個の1位の零点0、1と、1個の2位の極z=iと1個の1位の
極z=-iを持つ。
11-21
となる。
11-22
演習 次の関数の、全ての零点と極およびそれらの位数を求めよ。
1 1 z  z 1
1  2 
z z
z2
2
と変形し
1 1
1  2
z z
P( z )  z 2  z  1
留数定理・・・難しい積分を簡単に解くための手段
f(z)が閉曲線Cに囲まれた領域Dで正則でC上で連続ならば
 f z dz  0 (コーシーの積分定理)
とおくとき、P(z)=0の解は解の公式より
 1  3i
z
2
C
なので、それぞれを0、1とおけば
P( z )  z   0 z  1  となり
与えられた関数は
1 1  z   0  z  1 
1  2 
z z
z2
となる。従って与えられた関数はz= 0、1で1位の零点、z=0で2位の極を持つ。
11-23
f(z)はCに囲まれた領域でz=z0を除
いて正則で、点z=z0ではm位の極
を持つというf(z)の積分について考
える。
11-24
D
z0
C
留数定理の導出
復習-この部分分数分解はどう計算する?-
  z   1 n z   2 n     z   k n
f z   n
 m z  z0 m z  z1 m    z  z n m
1
任意の関数:
1
式変形すれば
f z  
a1 z
m 1
2
k
2
l
2s  6
s  12 s  1
は以下のようにおける
2s  6
 a2 z      am 1
 h( z )
z  z0 m
と置ける
A  s  1
2
B
f z  
 m
 z  z0 
m

  m 1
 z  z0 
m 1

B
C

s 1 s 1
4
2s  6
1
s  12 s  1 s 1

4
s  12 s  1 s  12

1
1

s 1 s 1
留数定理の導出
a1 z m 1  a2 z m  2      am 1
 h( z ) を部分分数分解すれば
z  z0 m
f z  
2s  6
s  12 s  1 s 1
2s  6
11-26
留数定理の導出
A
d
d s3
s 1 s  3
s  12 2s 2 6
2
2
 1
ds
s  12 s 1
s  1 s  1 s 1 ds s  1 s 1
C  s  1
11-25

s  12 s  1 s  12
解法
m2
  
 1
z  z0
f z  
 m
  m 1

z  z0 m z  z0 m1
  
 1
z  z0
 h( z )
ここで、 h(z)はCが囲む領域で正則な関数を表すとして、こ
のような関数の周回積分を計算してみる。
 h( z )
 f z dz
のようにf(z)を書きかえれる。
C

C
 m
z  z0 m
dz  
  m 1
C
z  z0 m1
dz     
C
 1
z  z0
dz   h( z )dz
C
コーシーの積分定理より 0
11-27
復習 8-25
の例題
11-28
 z  a  dz
留数定理の導出
n
C
(n:整数)を中心がa、半径rの円周Cに沿って積分せよ。
 f z dz
積分路Cが反時計回りの場合の解答は、
C
2
n
0
C z  a  dz  ir 0
n=-1の場合
1

e 0 dt  it 0  2i
2
C
2
1
11-29
C
  m 1
z  z0 m1
dz     1 
C
C
1
dz   h( z )dz
C
z  z0
=2πi
 f z dz  2i
2
 e n 1it 
e n 1it dt  ir n 1 
 0
 n  1i  0
この結果を使う
dz  
=0
n≠-1の場合
n
n 1
C z  a  dz  ir 0
 m
z  z0 m
1
=0
 2i Res f  z0 
係数-1をf(z)のz=z0における留数と定義し、Res f(z0)と呼ぶ
Resの語源: 留数を英語で residue と表記する
11-30
留数の定義
zn
f(z)が領域D内で特異点z0を持つとき、点z0を正の方向に1周
する閉曲線Cにそったf(z)の周回積分の値を2iで割ったもの
を、f(z)のz=z0における留数とよびRes f(z0)と表す。すなわち
Res f  z0  
1
f  z dz
2i C
z0
D
または

C
f  z dz  2i Res f  z0 
次にf(z)が閉曲線Cの内部にn個の
特異点を持つ場合はどうなるか?
D
z2
z1
・
・・
C2
Cn
C1
f(z)が閉曲線Cの内部に特異点z1,z2,・・・,znをもち、これら
の点を除けばCが囲む領域で正則でC上で連続であると
き、f(z)の周回積分は
n
 f z dz  2i Res f z 
C
C
で表される。
k
k 1
が成り立ち、これを留数定理と呼ぶ。
11-32
11-31
次にf(z)が閉曲線Cの内部にn個の特異点(z1,z2,・・・,zn)を持
n
つ場合
f  z dz  2i Res f  z k  の導出


C
大切なことは
k 1
特異点zi(i=1,2,・・・,n)を中心とする小円周を
Ciとし、これら
小円周の半径を十分小さくとれば、Ciは互いに交わること
なく、またCが囲む領域の外に出ることもない。
したがって、仮定よりf(z)はCとCiとで
はさまれる領域で正則だから、f(z)の
周回積分は
zn
D
z1
・
z2 ・・
C2
C1
Cn
n
 f z dz  2i Res f z 
C
この式から何が言えるか?
留数が分かれば、積分が解ける!!
 f z dz   f z dz   f z dz       f z dz
C
C1
C2
k
k 1
では、留数はどうやって求めるのか?
Cn
ただし、積分は全て正の方向(反時計回り)に行うものと
する。
11-33
11-34
lim
z  z0
留数の求め方
f(z)がz=z0でm位(mは正の整数)の極をもつとき、z=z0の近く
では下記式の両辺に(z-z0)mをかけると、
f z  
 m

  m 1
  
 1
 h( z )
z  z0
z  z0 m z  z0 m1
m
m 1
m
  z  z0  f  z     m    m 1  z  z0        1  z  z0    z  z0  h( z )
となり、
lim  z  z0  f  z     m  0 
m
z  z0
が成り立つ。次に上式の両辺を微分してz→z0とおけば、


d
z  z0 m f z    m1  0
dz
が成り立ち、同様に(m-1)回微分してz→z0とおけば、


d m 1
z  z0 m f z   m  1! 1  0
z  z 0 dz m 1
lim
となるから、f(z)の留数Res f(z0) は
 1  Res f  z0  

が与えられる。たとえば、z0がf(z)の1位の極ならば、上式で
m=1とおけば、Res f(z0)は
Res f  z0   lim  z  z0  f  z 
z  z0
11-35

1
d m 1
m
lim m 1  z  z0  f  z 
z
z

0
m  1! dz
11-36
で与えられる。
例題 下記の式の極を求めよ。
極における留数の求め方
具体例で理解しよう。
z2
2
sin z z 2  1  z  1


与えられた関数は
極;複素関数で微分不可能な点
ただし、極限値が取れる点は除く
z2
z2

2
2
sin z z 2  1  z  1
sin z  z  i  z  i  z  1


となり、
z=±iで1位の極、z=-1で2位の極をとる
問題はsin zの扱い方: sin z はz=nπで0となる。ただしz=0
は分子も0になるため、ロピタルの公式より極限値が取れ
る。したがって、z=nπ(z=0を除く)で1位の極をとる
11-37
11-38