お客様用 2016 年 7 月 25 日 豪州主要経済指標 経済指標・イベント 4-6 月期 NAB 企業信頼感 今週の注目点 直近 前回 2 4 日付 経済指標・イベント 7 月 27 日 豪州 4-6 月期 CPI(前期比) 前回 市場予測 -0.2% 0.4% 金融市場・原油・為替 指数等 2016年7月22日 2016年7月15日 前週比 2015年7月22日 前年比 S&P/ASX200 指数 5,498.19 5,429.57 +1.3% 5,614.57 -2.1% S&P/ASX200 不動産投信 1,539.40 1,510.50 +1.9% 1,271.60 +21.1% 豪州 90 日バンクビル利回り 1.90 1.95 -5bps 2.14 -24bps 豪州債券 10 年物利回り 1.91 1.97 -7bps 2.89 -99bps 79.21 79.48 -0.27 91.44 -12.23 0.75 0.76 -0.01 0.74 +0.01 63.30 64.30 -1.0 62.10 +1.2 豪ドル円 豪ドル米ドル(セント) 豪ドル TWI 先週の主な話題 6 月 24 日の Brexit パニックから 4 週間経過しました。その時から主要市場は大きく上昇し、米国株(+7%)、欧州株(+6%)、英国株(+10%)、 豪州株(+7%)、日本株(+11%)となりました。Brexit を巡る世界経済への影響に対して、おそらく過度に懸念されていたように思われます。これ までのところ唯一影響が続いているのは英ポンドで、6 月 23 日に見せた 11%下落から、さらに 4%下落しており、英国経済に対する Brexit の マイナスの影響を反映していると見られます。 先週 1 週間にわたって全般的に株式市場の上昇は続き、米国株(+0.6%)欧州株および日本株(+0.8%)、豪州株(+1.3%)と上昇しましたが、 中国株は 1.6%下落しました。好調な経済指標、堅調な米国企業の決算報告、英国以外で Brexit による大きなマイナスの影響が見られなかっ たこと、また各国で更なる金融刺激策の実施が議論されたことが上昇を支えました。債券利回りは全体的に横ばいから低下傾向となり、コモディ ティ価格はまちまちでした。豪ドルは、ニュージーランドでもう一段の緩和が示唆されたことから、その動きに連動する形で下落しました。 ここ何年にもわたって規模が拡大し続けているにも関わらず、今度の日本の財政刺激策は、10 兆円規模から 20 兆円規模へ、もしくは国内総 生産(GDP)のおよそ 6%となる 30 兆円規模にのぼる対策となる可能性があるとのコメントが聞かれました。もし我々が期待するように、それが 消費者にもっと消費を促すことに焦点を合わせるなら、奏功する可能性は十分にあります。 ニュージーランドがもう一段階の金利引き下げに向かっていると見られたことは、豪州でも近々起こり得る前触れと思われます。低インフレ率、 住宅ローンの厳格化、さらに「ニュージーランドドルの下落が必要とされる」とのニュージーランド準備銀行(RBNZ)が述べたことで、RBNZ は来 月の政策理事会で金利引き下げの準備を整えていると思われます。実際、それは一段の緩和政策が必要と述べたことと等しいと思われます。 国際通貨基金(IMF)は Brexit リスクの台頭などにより世界経済見通しについて 2016 年を(3.2%から)3.1%に、そして 2017 年を(3.5%から) 3.4%に下方修正を行いましたが、意外なことではありませんでした。しばしば一般の投資家にとっては奇妙な印象を与えるのですが、IMF が格 下げするたびに大げさに報道されるものの、株式市場があまりそれに耳を傾けていないように見えます。これにはいくつかの理由があります。そ れは市場(そして大半のエコノミスト)がすでに IMF よりも先に進んでおり、もう何年もの間 IMF の世界経済成長見通しが今まであまりにも楽天 的な数値で始まっていたからです。IMF は 10 年前から、毎年、世界経済成長率を 4%前後と予想していましたが、結局 3%前後の成長率となっ ています。 1/3 世界経済指標 米国経済指標は順調でした。住宅指数は堅調となり、NAHB(全米住宅建設業者協会)住宅市場指数、住宅着工件数、中古住宅販売件数及び FHFA(米国連邦住宅金融庁)住宅価格指数の堅調さが継続しました。また失業保険申請件数は引き続き非常に低く、先行指数は市場予想を 上回り、7 月のマークイット米国製造業購買担当者指数(PMI)は堅調に上昇しました。このような指標を見る限り、米国の景気後退を論じるのは ナンセンスです。米国の住宅市場の回復はまだかかりそうです。なぜなら、住宅着工件数は 120 万件と、150 万件の潜在需要を下回っています が、過去 10 年は供給過剰が続いており、今はそれが徐々に解消されている状態です。 米国企業の業績が 1-3 月期に底打ちしたように見えます。S&P 500 種組入れ銘柄のうち、125 社の 4-6 月期の決算発表が行われ、82% が利益予想を上回り、60%が売上高予想を上回りました。市場予想では、利益は前年比 3%の下落と見ていますが、前期比では、8%の上昇と なるでしょう。 市場予想通り、欧州中央銀行(ECB)は、7 月の理事会において現状維持のスタンスを取りました。しかし、ドラギ総裁は Brexit についてのコメ ントで不確実性が高まっていると述べており、そしてもし必要なら欧州中央銀行の「準備、自発的意志と行動する能力」を強調しました。弊社では、 ECB が量的緩和計画(QE)の現行の 2017 年 3 月の期限を延長すると見ています。ユーロ圏の各種 PMI と消費者信頼感は 7 月に若干低下し ましたが、Brexit の影響をほとんど感じさせませんでした。それらは緩やかな経済成長と一致した水準となっています。興味深いことに ECB の 銀行貸出調査によれば、ローン需要の伸びや貸出基準の緩和が見られました。これは Brexit の投票日前と後で実施された結果であることから、 良い兆候であると言えます。 ただ、英国では 7 月の PMI が急落し、Brexit によって景気後退に向かっている兆候が見られることから英国にとっては良い傾向ではありません。 ただし英国 GDP は世界の GDP のわずか 2.5%であることを留意すべきです。 日本では、7 月の日経日本 PMI 製造業がまだその水準は低いものの、改善を見せたことは歓迎すべきことです。 中国の不動産市場の回復は経済成長のプラス要因となっています。6 月の住宅不動産価格は 0.8%上昇し、対前年比では 7.8%の上昇となっ ています。 豪州経済指標 豪州では、豪州準備銀行(RBA)の直近の理事会の議事録が公表され、8 月 2 日の金融政策会合でもう 1 段階の金利引き下げに大きく傾いて いることが確認されました。RBNZ ほど直接的ではないものの、RBA はインフレ、労働市場と住宅市場についての更なる情報を待っており、 RBA の経済予測を更新することを示唆しました。それは、労働市場と住宅市場について「強弱混合」とし、両市場の最近の指標は共にその評価 を変えるまでもないとしていることから、仮に、水曜日に発表される 4-6 月期の消費者物価指数(CPI)がもう 1 段階低い水準となるなら、RBA が 8 月 2 日に 1.75%から 1.5%まで政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートを切り下げる可能性は高いと見ています。消費者物価指数 は前期比 0.4%となり、コア・インフレ率はおそらく RBA が再び切り下げを行うのに十分な低さとなると弊社では予想しています。 今週の注目点 今後の焦点は金融政策に関する話題となるでしょう。豪州の 4-6 月期の物価指標によって RBA が来月再び政策金利を切り下げるかどうかが 注目されるほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の FOMC と日銀(BoJ)の政策決定会合なども来週あります。また、欧州銀行監督局による欧 州の銀行に対するストレステストの結果の発表もあります。 米国では、米国の成長が成長軌道に戻ったかどうか、また Brexit からの影響が極めて小さいとする、より確実な証拠が確認できるまでは、 FRB は金利を据え置くと見ています。しかし同時に、今後の金利引き上げについてはより慎重に緩やかに行われることが示唆されています。米 国金融市場は今週引き上げの可能性は 10%しかないと見ていますが、FRB は、9 月の引き上げについては 24%、12 月の引き上げについて は 45%となっている市場予想を何とか引き上げようとしています。米国の経済成長は平均で約 2%となっており、労働市場も賃金成長の穏かな 上昇を伴いつつ改善が継続、インフレ率についても目標に近づいていることから、弊社では FRB の 12 月の金利引き上げ確率は 65%程度と見 ています。金利引き上げにブレーキがかかるとすれば、米ドル高が進み過ぎ、それが事実上金融引締めとなってしまうケースが想定されます。 米国での今後の経済指標は、S&P/ケース・シラー米住宅価格指数、新築住宅販売件数は上昇が見込まれる一方、消費者信頼感は低下が見 込まれます。耐久財受注はまだ若干軟調が続くものの、中古住宅販売仮契約は上昇が見込まれます。4-6 月期の雇用コスト指数は僅かな上 昇が見込まれ、また、1-3 月期に僅か 1.1%となった GDP は 4-6 月期に 2.6%に反発することが見込まれます。同じく S&P 500 種組み入 れ銘柄のうち、180 社以上の 4-6 月期の決算報告も焦点となるでしょう。 欧州では、焦点は銀行が十分に資本増強されているかどうかが明らかにする直近の ECB の銀行ストレステストの結果です。イタリアの銀行は もちろん主な焦点となり、ストレステストによってどの銀行が資本注入が必要かが明確になるでしょう。今後の公表が予定されている経済指標は、 4-6 月期の GDP で、1.5%の緩やかな成長が見込まれており、各種信頼感指数は景況感に対する Brexit の影響を判断する材料となります。同 じく銀行貸出も公表の予定で、7 月の CPI-コアはおよそ前年比 0.8%程度となる可能性が高いと見ています。 政府が市場の耳目を集めている財政刺激対策を発表する予定となっていることとから、BoJ はもう一段の金融緩和策を発表すると見られます。 これが「ヘリコプターマネー」(すなわち財政支出を直接 BoJ がファイナンスすること)を伴うかどうかは疑わしいものの、そこに近づきつつありま す。ETF と社債購入枠を組み合わせて増額することや、もう 1 段階のマイナスの日銀当座預金金利の引き下げを通して緩和金融一段と推進さ せることが想定されます。黒田総裁が 6 月にヘリコプターマネーの構想を否定した一方、それらを発表する少し前に、彼は同じくマイナス金利を 否定しました。金曜日に予定されている指標は、引き続き労働市場が堅調さを見せ、鉱工業生産が反発すると見られる一方、全世帯家計調査 支出と全国 CPI は軟調となると見られます。 豪州では、水曜日に 4-6 月期の低いインフレ率が発表されると見られ、8 月の RBA による金利引き下げが有望となっています。CPI(前期比) はガソリン価格の上昇や季節要因によるヘルスケアコストの上昇により前期比 0.4%の上昇となると見られますが、前年比では前回より下がっ て 1.1%に低下すると見られます。そして低い賃金成長率や価格競争力の低下により、CPI トリム平均値は前期比 0.4%、前年比 1.5%となり、 1-3 月期の前年比 1.7%から低下すると見込まれます。6 月の民間部門信用は、引き続き不動産投資家に対する貸出が軟調となっていること 等から軟調になると見られます。 相場見通し Brexit の不確実性やイタリアンの銀行のリスク、米ドルの上昇に加えて、季節要因として 7-9 月期は軟調となる傾向が高いことから、短期的に は株式市場のボラティリティが一段と高まることが予想されます。とはいえ、短期的な不確実性の後には、まずまずのバリュエーション水準や世 界的に超低金利環境が継続していること、緩やかな経済成長が続いていることなどを背景に、株式市場は年末にかけて上昇トレンドになると見 ています。 2/3 (グローバルで国債利回りの 3 分の 1 がマイナス金利となっている)超低水準の債券利回りにより、中期的には債券からのリターンは軟調とな る見込みです。しかし、脆弱な世界経済成長、余剰生産能力、低インフレ及び現在進行形の様々なイベントリスクを鑑みると、過度に弱気になる ことは難しいと思われます。とはいえ、最近の債券利回りの上昇は、債券利回りが急騰するリスクをはらむほど、非常に低い水準となっています。 新たに FRB の金利引き上げ観測は原動力となるかもしれません。 商業用不動産やインフラ資産は、今後も投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。 今後 1 年間の主要都市の住宅価格の上昇率については、融資基準の厳格化と供給増加によってシドニー、メルボルンでの過熱感が沈静化に 向かうと想定されるため、3%程度に鈍化することが見込まれます。住宅価格はパースとダーウィンで低下が続くと見られます。 現金および銀行預金からのリターンは低迷するでしょう。 豪ドルはまだフェアバリュー(適正価値)よりは高いことから、長期的には下落基調となるでしょう。というのも、RBA が政策金利の引き下げを行 っている一方で、FRB はいずれ利上げを再開すると見られており、今後、金利差の縮小が見込まれることや、引き続き国債の格下げリスクが高 まっていること、コモディティ価格が依然低迷していること、豪ドルがフェアバリューを下回るのも珍しいことではないためです。豪ドルは今後 1 年 間で、1 豪ドル 0.60 米ドル近辺まで下落する可能性があると見ています。 3 当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号: AMP キャピタル・インベスターズ株式会社 ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の 登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号 有価証券への投資を勧誘する目的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等 を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。 3/3
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