2016年9月5日号 (PDF/913KB)

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2016 年 9 月 5 日
豪州主要経済指標
経済指標・イベント
7 月住宅建設許可件数(前月比)
今週の注目点
直近
前回
日付
経済指標・イベント
11.3%
-4.7%
9月6日
米国 8 月 ISM 非製造業景況指
数(総合)
前回
市場予測
55.5
55
金融市場・原油・為替
指数等
2016年9月2日
2016年8月26日
前週比
2015年9月2日
前年比
S&P/ASX200 指数
5,372.80
5,515.47
-2.6%
5,101.46
+5.3%
S&P/ASX200 不動産投信
1,468.20
1,510.10
-2.8%
1,223.80
+20.0%
豪州 90 日バンクビル利回り
1.73
1.73
+0bps
2.13
-40bps
豪州債券 10 年物利回り
1.85
1.85
-0bps
2.69
-84bps
78.68
77.02
+1.65
84.70
-6.02
0.76
0.76
+0.00
0.70
+0.05
63.60
63.80
-0.2
59.80
+3.8
豪ドル円
豪ドル米ドル(セント)
豪ドル TWI
先週の主な話題
先週のグローバル株式市場は底堅く推移しました。日本株式市場は金融緩和に対する期待と円安を受けて 3.5%上昇、ユーロ圏株式市場は
1.9%の上昇、米国株式市場は雇用統計の穏やかな改善を受けて 0.5%の上昇、中国株式市場は 0.2%の上昇となりました。一方、豪州株式市
場は決算発表シーズンを終えて 2.6%下落しました。債券利回りは米国で低下し、豪州では横ばいとなったものの、欧州と日本では上昇しました。
米ドルの上昇がコモディティ市場の上値を重くしたものの、豪ドルは僅かながら上昇しました。
8 月の雇用統計は予想を下回り、9 月の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは遠退いたと見られます。米国の非農業部門雇用者数変化は
6 月と 7 月の 2 ヵ月間連続で 27 万人を上回った後、8 月は 151,000 人増となり、米国の雇用市場は堅調を維持していることが伺えます。とはい
え 8 月の結果は予想を大きく下回る結果となり、失業率が横ばいとなったことや緩慢な賃金成長率(前月比で 0.1%増、前年比でも 2.4%増)、8
月の ISM 製造業景況指数がやや軟調だったことも併せて考慮すると、FRB は 9 月の政策金利を維持すると見られます。弊社では引き続き、12
月の利上げをメインシナリオとしています。米国のフェデラルファンド(FF)金利先物市場から推測される利上げの予想確率は 9 月が 32%、12 月
が 59%となっており、妥当な水準であると考えています。
8 月のグローバル製造業購買担当者指数(PMI)は低下したものの、引き続き世界経済の穏やかな成長と一致する動きとなりました。米国と豪
州において大きく下落したものの、インドと英国は堅調で、75%近くの国の PMI がいわゆる景気拡大領域(50 以上)となりました。したがって世界
経済は、何とか成長を続けている状態であると言えます。
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出所:Bloomberg、AMP キャピタル
ブラジルのジルマ・ルセフ大統領が罷免されました。7 年前に休暇でリオに居た際に、ブラジルが 2016 年のオリンピック主催国となることが発表
され、偶然にもブラジルのテレビ局にシュガーローフ山のケーブルカー発着所でインタビューを受けました。そこで「ブラジル、おめでとう」と答え
たのを覚えています。皮肉にもそれ以降のブラジル経済は、まさに下り坂となりました。ルセフ氏の罷免は、必ずしも事態を好転させるとは思え
ません。足元のブラジルでは、一部で景気後退が収束し始めている兆候が見られており、今後もコモディティ価格の安定が景気回復の下支えと
なるでしょう。とはいえ、前副大統領で 2018 年まで新大統領の職に就くこととなったミシェル・テメル氏についても一部問題視する見方があること
に加え、、財政赤字削減に向けた財政規律の重視は反発が大きい上、ブラジル経済が再び成長軌道に戻るには、長期間にわたる抜本的な改
革が必要となるでしょう。
豪州上場企業の 1-6 月期決算発表シーズンの最終日は、特段新しいニュースはありませんでした。良好な決算を発表した企業のほとんどがシ
ーズンの早い時期に集中していたことは興味深い事実ではありますが、家電・家具販売大手のハービー・ノーマンはいつも通りシーズン最終日
に良好な決算発表を行いました。2015 年 7 月-2016 年 6 月期の豪州上場企業全体の決算は、資源関連企業の不振から 8%の減益、10%の配
当減となる厳しいものとなりました。とはいえ全体の中央値は 5%程度の増益となるなどまずまずの業績で、全体の 62%の企業が前年比で増益、
86%の企業が増配もしくは配当額を維持、54%の企業の株価が決算発表日において市場をアウトパフォームしました。全体として、過去 1 年間
の株価のリターンは利益成長とほぼ同様の水準となりました。
世界経済指標
米国経済指標は概ね良好な結果となりました。7 月の月 個人消費支出(PCE)は堅調で、8 月の消費者信頼感指数が良好であることを裏付け
る内容となりました。先週発表された雇用統計は(予想を下回ったものの)堅調に成長しており、建設支出も底堅く、貿易赤字は予想を下回り、
住宅販売保留指数は予想を上回り、住宅価格も穏やかな上昇となりました。一方で、賃金成長は引き続き緩慢で、8 月の ISM 製造業景況指数
が 49.4(前月は 52.6)に低下するなど製造業の業況は軟調な結果となりました。マークイット PMI 総合指数が 52 で持ち堪えていた一方で、8 月
の ISM 製造業景況指数が低下、8 月の雇用成長が予想を下回り、賃金成長も低い伸び率に留まっていることから、FRB は少なくとも 9 月の会
合では政策金利を維持し、12 月の会合までもう一段の利上げを先延ばしすると見られます。その一方で、FRB が選好するインフレ計測手法、
PCE コアデフレーターは前年比で 1.6%と安定しており、過去数か月間のインフレ圧力が依然として弱いことを示唆していることから、FRB が政
策金利を維持する可能性も十分に残っています。
ユーロ圏の 8 月の景況感指数は前月から若干低下しましたが、依然として穏やかな経済成長と一致する水準を維持しています。7 月の失業率
は 10.1%と前月から変わらずでしたが(少なくとも数年前の 12.1%からは低下しています)、8 月のコア CPI は前年比で 0.8%の上昇に留まり(7
月は前年比 0.9%の上昇)、欧州中央銀行(ECB)の 2%目標には程遠い状況となっています。
スペインでは、政局の不確実性が続いています。下院においてラホイ首相の信任投票が否決され、今年 12 月にまた総選挙が実施される可能
性が出てきました。しかし左派政権樹立の可能性は低いと見られます。
日本の経済データは概ね良好でした。7 月の失業率は 3%に低下し、有効求人倍率も 1990 年代前半以降で最も高い水準が続いています。
7 月の消費支出や小売業販売額も前年比でマイナスではあったものの予想を上回る結果となり、新設住宅着工戸数は前年比で 9%近くの増加
となりました。これらの好調な経済データに反して、鉱工業生産は軟調な結果となり、中小企業景況判断も低下しました。
中国では、8 月の消費者信頼感指数が低下した一方で、製造業購買担当者景気指数(PMI)は安定的な成長を示唆するものとなりました。政府
統計局が発表した 8 月の製造業 PMI は前月の 49.9 から 50.4 に上昇、一方で非製造業 PMI は前月の 53.9 から 53.5 に低下し Caixin 製造業
PMI も前月の 50.6 から 50 に低下したものの底堅い水準を維持しました。多くのノイズがあるものの、概ね 6.5%前後もしくは若干それを上回る
GDP 成長率と一致した結果となっています。
4-6 月期のインドの GDP 成長率は、投資と消費支出の不振を背景に前年比で 7.1%(1-3 月期は前年比で 7.9%成長)に鈍化しました。とは言
うものの、中国を含めた他の国々を実質的に上回る成長をしており、インドの製造業 PMI は過去 13 ヵ月間で最も高い水準にあります。少なくと
も BRICs のうちの一ヵ国は、以前よりも経済状態が改善しています。
豪州経済指標
豪州の経済指標はまちまちの結果でした。7 月の小売売上高はさらに勢いが失われていることを示す結果となり(これは部分的に弱い物価上昇
率が原因となっていますが、好調な住宅完工件数を勘案すると家庭用品の売上が弱いことは奇妙ではあります)、4-6 月期 の民間設備投資 が
再びマイナスとなりました。
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しかし設備投資額の減少は建設関連投資の減少が主な要因となっており、4-6 月期の建設データで既に報告されている鉱業セクターの建設エ
ンジニアリング活動の低迷と一致するものです。これに反して、4-6 月期の機械・設備投資は実際には増加し、今年度の投資計画も予想以上に
回復しており、非鉱業セクターが安定化しつつあることを示唆しています。今年度の鉱業セクターの投資はさらに 27%程度減少する見込みです
が、現在は GDP の 3%程度を占めるだけとなっており、GDP の 7%程度を占めていた状況から大きくシェアが低下したことを考慮すると、経済成
長全般に対する影響は薄れていると見られます。次のチャートは、1 年先までの予想設備投資計画と実際の設備投資の比較ですが、設備投資
の減少に下げ止まりの兆しが見られます。
出所:ABS、AMP キャピタル
住宅関連指標では、集合住宅建設プロジェクトが急増していることを受けて 7 月の建設許可件数が急回復し過去最高水準に近づいています。
コアロジック社によると、賃料成長の鈍化や賃貸利回りが過去最低となっているにもかかわらず、シドニーとメルボルンにおいて住宅価格の上昇
が続いています。とは言うものの、豪州住宅協会(HIA)によると 7 月の新築住宅販売件数は再び減少基調に転じており、住宅ローンの伸びも引
き続き勢いを失っています。したがって、集合住宅の供給過剰と既にいくつかの都市で集合住宅市場が弱含んでいることを考えると、今後は集
合住宅の建設許可は進まないのではないかと見ています。しかしながら、シドニーとメルボルンにおける不動産市場の過熱感を踏まえると、豪
州健全性規制庁(APRA)による更なる介入が行われると見られます。
今週の注目点
中国の杭州で開催される G20 サミットは、政策協調、構造改革、“通貨切り下げ競争”の回避に向けた話し合いが持たれると見られますが、金
融市場への影響はさほど大きなものとはならないでしょう。大きな影響をもたらすような政策がサミットで議論されるのは、世界金融危機(GFC)
のような大きな危機に見舞われた時などにほぼ限定されます。為替市場の安定化に向けて、今年 2 月の G20 財務相・中央銀行総裁会議で合
意された「上海合意」のような類の合意がなされると考えている市場関係者もいますが、FRB がもう一段の利上げに向けた動きがあることから、
合意された内容はこれから数ヵ月のうちに試されることとなるでしょう。G20 がすべきことは、2014 年の G20 サミットで掲げた参加国全体の国内
総生産(GDP)を 2%引き上げるという目標(とても達成できそうにありませんが)を達成するための努力を強化することと、保護貿易主義を阻止
することです。
米国では、ISM 非製造業景況指数と求人労働異動調査(JOLT)が発表される予定で、堅調な結果が予想されています。また FRB のベージュブ
ックも公表予定です。
欧州では、ECB の金融政策決定会合が開催され、ハト派寄りのメッセージが伝えられると予想されますが、金融政策の変更はないでしょう。
ユーロ圏の経済データはそれほど悪くはなく、英国の EU 離脱(Brexit)の国民投票後においては予想を上回る状態が続いており、ECB の量的
緩和政策について 2017 年 3 月より先に延長するかどうかの判断は、12 月の会合まで先送りされる可能性があります。
中国の 8 月の貿易収支が発表され、輸出、輸入とも改善が見込まれます。
豪州では、豪州準備銀行(RBA)が政策金利を据え置くと見られます。豪ドルの水準は依然として高すぎる水準ではあるものの、経済活動データ
は 8 月の利下げ以降概ね良い状況で、インフレに関しても新しい情報はないことから、RBA はキャッシュレートを 1.5%に据え置く可能性が高い
と見られます。弊社では RBA がもう一段の利下げに踏み切るとの見方は維持していますが、7-9 月期のインフレデータと次回の経済予測の見
直しが発表された後に行われる 11 月の会合までは行われないと見ています。ただ、まずまずの経済成長見通しを考慮すると、もう一段の利下
げは僅差の判断になるでしょう。
豪州では 4-6 月期 GDP 成長率が発表される予定で、前期比で 0.4%増に鈍化することが見込まれます。1-3 月期は前期比 1.1%と GDP 成長
率は予想を大きく上回る増加となりましたが、4-6 月期については輸出量の減少と鉱業セクターにおける投資の減少が引き続き足かせとなる見
込みです。年率での GDP 成長率は前年比で 3.3%前後となるでしょう。その他、オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)求人広告件数、在庫や
企業営業利益、4-6 月期の経常収支、貿易収支、7 月の住宅ローン件数などが発表される予定です。中でも 7 月の住宅ローン件数については、
過去 2 ヵ月で見られたように住宅投資に対する融資活動が再び活発化しているかどうかを判断する上で注目材料となっています。また RBA の
フィリップ・ロウ副総裁の講演も予定されており、金融政策の先行きを占う上で注目されています。
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相場見通し
足元の株式市場は力強い上昇を演じましたが、今後数ヵ月間はその一服感と季節的な要因に加え、イタリアの銀行や、イタリアの上院改革を
めぐる憲法改正の国民投票を巡るリスクや、FRB の利上げや世界経済を取り巻く不透明感などから上値の重い展開となるでしょう。
しかしながら、1、2 ヵ月間の調整局面もしくは底値固めの時期を経た後は、株式市場は適正なバリュエーション、世界的な超金融緩和政策、そし
て穏やかな世界の経済成長を背景に、その後 1 年間にわたって上昇基調を辿ると見ています。
超低水準の債券利回りにより、中期的には債券からのリターンは軟調となる見込みです。しかし、脆弱な世界経済成長、余剰生産能力、低イン
フレ及び現在進行形の様々なイベントリスクを鑑みると、過度に弱気になることは難しいと思われます。とはいえ、最近の債券利回りの上昇は、
債券利回りが急騰するリスクをはらむほど、非常に低い水準となっています。
商業用不動産やインフラ資産は、今後も投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。
今後 1 年間の主要都市の住宅価格の上昇率については、購買能力の低下や融資基準の厳格化、供給量の増加によってシドニー、メルボルン
での過熱感が沈静化に向かうと想定されるため、3%程度に鈍化することが見込まれます。
現金および銀行預金からのリターンは低迷するでしょう。
直近の FRB によるタカ派的なコメントによって豪ドルは上値を抑制されていますが、8 月の雇用統計が予想を下回る結果となったことを受けて 9
月会合での利上げが後退したことから、豪ドルは再び 4 月の高値となる 1 豪ドル 0.78 米ドルまで上昇する可能性があり、RBA にとっては困難
な状況が続くことになるでしょう。しかし、豪ドルはまだフェアバリュー(適正価値)を上回っていることから、長期的には下落基調となることが予
想されます。というのも、RBA が政策金利の引き下げを行っている一方で、FRB はいずれ利上げを再開すると見られており、今後、金利差の縮
小が見込まれることや、引き続き豪州国債の格下げリスクが高まっていること、コモディティ価格が依然低迷していること、豪ドルがフェアバリュ
ーを下回るのも珍しいことではないためです。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
AMP キャピタル・インベスターズ株式会社
ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の
登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号
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