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2016 年 7 月 19 日
髙木証券 投資情報部
今週の見通し(7 月 18 日~7 月 22 日)
○ 先週の動き(7 月 11 日~7 月 15 日) (Bloomberg が 7 月 15 日終値として提供しているデータによる)
指 標
終 値
指 標
終 値
日経平均
16497.85 +1390.87 日本 10 年国債(%)
-0.225
-0.057
TOPIX
1317.10
+107.22 米国 10 年国債(%)
1.551
+0.193
東証 2 部指数
4170.69
+102.73 独 10 年国債(%)
0.006
+0.195
ジャスダック平均
2454.17
+35.74 NY ダウ
18516.55 +369.81
円/米ドル
105.78
+5.29 ナスダック
5029.59
+72.83
円/ユーロ
117.84
+6.64 独 DAX 指数
10066.90 +437.24
○ 海外市場動向
先週の米国株式市場は、雇用統計の上振れを受けて急騰した前週末の勢いを引き継ぐ形で週を通して
堅調に推移、12 日には NY ダウが昨年 5 月 19 日の過去最高値(18,312 ドル)を更新した後も勢いは衰
えず、NY ダウは週間では 369 ドルの上昇となった。こうした動きの背景としては、米国の市場関係者
が「Brexit」を、米国の経済には大きな影響を与えない一方で、FRB を利上げに対して慎重にさせる材
料として捉えている、つまり、米国では景気が堅調さを維持する中で、低金利も長期化するという、株
式市場にとって心地良い環境が続くとの見方が強気相場を支えているように思われる。
しかし、米国の利上げについては、6 月 23 日に実施された英国の国民投票直後には、7 月はもちろん
9 月の FOMC での利上げを見込む市場関係者がほぼ皆無になっただけではなく、年内は利上げなしと
の見方が支配的になったほか、一部には来年中の利上げ再開は難しいとみる向きまであらわれたが、セ
ンチメントに流されたとしか思えないこうした極端な見方は、6 月雇用統計の発表以降は徐々に後退し
つつあるようだ。一方、英国民投票以降になされた発言からは、ほとんどの FOMC 参加者が、「Brexit」
の影響を現時点で判断するのは「時期尚早」と考えていることがうかがえるほか、金融政策についても
「wait and see」のスタンスが目立つが、11 日にはカンザスシティー連銀のジョージ総裁が、「経
済は完全雇用またはそれに近い状況にあるにかかわらず、短期金利は歴史的な低水準にあり、余りに低
い金利を維持することはリスクだ」との見方を示した上で、3 月と 4 月の FOMC では、金利据え置き
という決定に対して、25 ベーシスの利上げを主張して反対票を投じた同総裁が、6 月 14~15 日に開か
れた前回の FOMC では金利の据え置きに反対しなかった理由については「5 月の雇用統計が期待はず
れだったことと、英国の国民投票を控えていたためだ」と述べて利上げに関するディベートを再開して
いる。さらに、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は 13 日に「米国の経済は英国の EU 離脱で大き
くダメージを受けず、年内に最大で二回の利上げが正当化される可能性がある」との見解を示している。
髙木証券では、多くの市場関係者が前述の通り、年内利上げ再開の可能性を否定していた英国民投票直
後の時点でも、7 月の FOMC での利上げは極めて考えにくい一方、9 月の利上げについてはメインシナ
リオではないものの可能性を排除するべきではなく、少なくとも年内には利上げ再開の公算が高いと考
えていたが(もちろん、その考えは現在も変らない)、ジョージ総裁やハーカー総裁の発言は当社の見
方を正当化するものだといえよう。英国民投票直後の 6 月 24 日以来となる 1 米ドル=106 円台まで
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
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進んだ米ドル高・円安は、こうした米国の利上げに対する思惑ではなく、後述する日本サイドの要因に
よるものと思われ、短期的には行き過ぎの感もあるが、米国が金融政策正常化のプロセス、つまり利上
げサイクルの途上にあることが改めて認識されれば、中期的な米ドルのサポート要因になると思われる。
なお、英国の中央銀行(Bank of England)は 12 日から 13 日にかけて金融政策委員会を開催し(結
果は 14 日発表)、政策金利を 0.5%で据え置いた。市場では利下げ予想が優勢だったため、会合結果発
表後の為替市場では英ポンドが買われたが、声明文には 8 月(4 日に結果発表)の金融政策委員会で何
らかの金融緩和を実施する可能性を強く示唆しているため、ポンドの上昇は一時的なものにとどまろう。
○ 国内市場動向
先週の国内株式市場は 5 営業日連続高となって、日経平均は週間で 1,390 円上昇、英国民投票を受け
て急落する前の水準(6 月 23 日終値:16,238 円)を上回って、6 月 10 日以来の水準を回復した。10
日の参議院選挙の結果が、株式市場のセンチメントを一変させたことは否定のしようがなく、今回の選
挙でも投票率は 54.7%にとどまり、つまり有権者のほぼ半数が棄権したことに象徴されるように、政治
に対する国民の関心が低い我が国とは異なって、市場を動かす材料として政治情勢を重視する傾向が強
い海外投資家にとっては、与党の大勝による政権基盤の強化は強い買い材料だったということになろう
が、与党の勝利は事前に広く予想されていたほか、選挙後に急速に高まった 10 兆円超の経済対策に対
する期待も、この程度のことは 6 月 1 日に安倍首相が消費増税の先送りを表明した時点で、市場にかな
り織り込まれていたとみられることを考えると、余りに急速な株価の上昇には違和感を禁じえない。
また、経済対策への期待とともに、株式市場にとっての追い風となった円安も日本発の色彩が強い。
「与党勝利でアベノミクス再加速だから円安」という論調が目立つが、安倍政権初期に円安が進んだの
は、日銀によるいわゆる異次元緩和が非常に新鮮だったために市場にインパクトを与えたからであって、
金融政策の限界論が囁かれる現状下での「アベノミクスだから円安」という理屈は成り立たないだろう。
このように、既存の政策に対する手詰まり感が強いがゆえに一部の市場関係者がこだわっている「ヘリ
コプターマネー」(日銀の黒田総裁は、4 月 27~28 日の金融政策決定会合後の会見で「ヘリコプター
マネーというものは、わが国の現行の法制度のもとでは実施することはできないと思っています」と述
べている)に対する思惑が、バーナンキ前 FRB 議長が 12 日に安倍首相や黒田総裁と会談したことをき
っかけにメディア主導で一段と高まる中での、前内閣参与の本田氏の「バーナンキ氏と 4 月に永久国債
について議論した」という 14 日の発言は口先介入に他ならないなど、今回の円安は質が悪いといわざ
るを得ない。但し、質が悪くとも 1 米ドル=106 円台までの円安は、間もなく始まる第 1 四半期決算発
表時における通期業績見通しの大幅下方修正懸念を和らげるという点では株式市場にとってサポーテ
ィブだが、業績見通しの前提為替の中心が 1 米ドル=110 円である以上、現状為替は依然として EPS
の押し下げ要因であることを考えると、一段の上値追いには慎重さが必要だろう。(文責:勇崎 聡)
<今週のスケジュール>
18(月)
海の日
CP
I(NZ4-6 月)
(指標の発表予定はレポート作成時点のもので、実際には変更される場合があります)
19(火)
住宅着工件数
20(水)
21(木)
22(金)
全国百貨店売上(6 月)
中古住宅販売(米 6 月)
小売売上高
経常収支(ユーロ圏 5 月)
ECB 理事会
(加 5 月)
CPI(英 6 月)
ILO 失業率(英 5 月)
小売売上高(英 6 月)
CPI(加 6 月)
ZEW 調査(独 7 月)
ブラジル金融政策会合(19 日~)
南アフリカ準銀理事会
(米 6 月)
トルコ金融政策会合 CPI(南ア 6 月)
インドネシア金融政策会合
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「ご注意頂きたいこと」
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