2016 年 5 月 16 日 髙木証券 投資情報部 今週の見通し(5 月 16 日~5 月 20 日) ○ 先週の動き(5 月 9 日~5 月 13 日) (Bloomberg が 5 月 13 日終値として提供しているデータによる) 指 標 終 値 指 標 終 値 日経平均 16412.21 +305.49 日本 10 年国債(%) -0.109 +0.005 TOPIX 1320.19 +21.87 米国 10 年国債(%) 1.700 -0.079 東証 2 部指数 4322.11 +46.09 独 10 年国債(%) 0.124 -0.020 ジャスダック平均 2525.41 +56.18 NY ダウ 17535.32 -205.31 円/米ドル 108.64 +1.52 ナスダック 4717.68 -18.48 円/ユーロ 123.55 +1.32 独 DAX 指数 9952.90 +82.95 ○ 海外市場動向 先週の米国株式市場は、週初から方向感に乏しい展開に終始したが週末に下げ幅を拡大、NY ダウは 週間で 205 ドル下落して 3 月 24 日以来の安値を付けた。 米国の株式市場は、原油安と歩調を合わせて下落した後、原油の反転に伴って、NY ダウは 2 月 11 日に付けた安値である 15,660 ドルを起点に緩やかながらほぼ一本調子で上昇してきたが、先週は WTI の原油先物が、前週末の米国の原油在庫が 5 週ぶりに減少したことを好感するなどして、昨年 11 月 4 日以来となる 1 バレル=47 ドル台を回復する場面がみられるなど、原油市況が一段高となったにもか かわらず、株式市場は先に述べた通りさえない展開に終始した。このことは、エネルギー関連企業の業 績を改善させるという点で、原油市況の上昇をこれまでは専ら好材料として捉えてきた株式市場の参加 者が、この水準を超えての原油高は個人消費に悪影響を与えるというマイナスの側面にも目を向け始め たことを示していると思われる。第 1 四半期の決算発表も先週まででほぼ一巡し、業績面からの手掛か りが乏しくなる中で、米国の株式市場は現状程度の水準での値固めのステージに移行した可能性が高い と思われる。 為替市場でも先週は目立った動きはみられなかったものの、円が米ドルに対して終始弱含む展開とな り、4 月 28 日以来の安値となる 1 米ドル=109.50 円台まで売られる場面があった。 ところで、先月 26 日から 27 日にかけて開かれた FOMC で 3 会合連続での利上げ見送りが決定され て以降、地区連銀総裁からの「タカ派」発言が相次いでいるが、先週は 9 日にシカゴ連銀のエバンス総 裁が、「米国のファンダメンタルズは引き続き健全であり、今年の遅くには政策金利引き上げの緩やか な再開が許容されるだろう」と発言したほか、12 日にはボストン連銀のローゼングレン総裁が「市場は なおも米国のファンダメンタルズの強さに対して悲観的だが、金融緩和が解除される可能性は金融市場 が現在織り込んでいるよりも高いだろう」と述べている。また、同じく 12 日にはカンザスシティー連 銀のジョージ総裁が「今日の経済情勢にとって、現行の金利水準は低過ぎる」との見方を示している。 繰り返し述べている通り、 ほとんどの投資家が 6 月 14 日から 15 日にかけて開催される次回の FOMC (最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい) 1/3 での利上げ再開の可能性を無視しているだけでなく、3 月 15 日から 16 日にかけて開かれた前々回の FOMC の際に公表された「ドットチャート」は、年内 2 回の追加利上げが、その時点での FRB のメイ ンシナリオであることを示していたにもかかわらず、FF 金利の先物は一貫して年内 1 回の利上げすら 十分に織り込んでいないという状況が続いている。しかしながら、FOMC 関係者の一連の発言によって、 比較的早い時期の利上げに対する FRB の「本気度」が伝われば、金利の先高感を背景にした米国債券 利回りの上昇に伴って、為替市場における米ドルの押し上げ要因になるとともに、その場合には、日銀 が先月 27 日から 28 日にかけて開いた金融政策決定会合において現状維持を決定して以降、日銀に対す る投資家の過度の期待の剥落を背景に、円は米ドルに対して、日米の利回り差で説明が可能なレベルを 超えて買われているため、その反動で相対的に大きく売られる可能性があろう。 ○ 国内市場動向 日経平均株価は前週末(5 月 6 日)まで 6 日続落だったが、この間には休日を多く挟んでいるため、 日経平均は 4 月 22 日に上昇したのを最後に下げ続けていたことになるが、先週は反発して始まった後 は 4 日続伸となり、週末(13 日)には反落したものの、週間でも 305 円の上昇となった。 ゴールデンウィークが明けた先週の国内株式市場では、3 月期決算企業の決算が本格化、13 日の 893 社を筆頭に、全市場で実に 2,168 社が決算発表を行ったが、その中で恐らく投資家の関心度が最も高い 企業のうちの一社だったと思われるトヨタ自動車(7203)の決算は 11 日に発表され、2016 年 3 月期の 純利益については前期比 6.4%増益の 2 兆 3,127 億円となり 3 年連続で過去最高益を更新したのに対し て、2017 年 3 月期の純利益について会社側は、前期比 35.1%減の 1 兆 5,000 億円を予想、対米ドルで は前期の実績に比べて 15 円円高の 1 米ドル=105 円を前提に純利益を 6,350 億円押し下げるほか、全 通貨トータルでは為替を 9,350 億円の減益要因と見込んでいる。 市場関係者からはこのところ、円高が業績に与える悪影響は織り込み済みとのコメントが目立ってい た。先のトヨタ自動車を例にとると、ブルームバーグが集計した今期純利益の市場予想の平均は 2 兆 1,900 億円となっていたことからも、アナリストの業績予想に織り込まれていたとは到底いえない一方、 今期の業績が先に述べたような極めて大幅な減益見通しとなったにもかかわらず、発表の翌日から週末 まで 2 日間での株価の下げが 3.2%にとどまったことで、為替によるネガティブインパクトは株価には 相当程度織り込まれていたといえないこともなく、このことが、数字の上では厳しい決算が目立ったに (文責:勇崎 聡) もかかわらず、株価は意外に堅調だった背景のように思われる。 <今週のスケジュール> 16(月) NY 連銀景気指数 (指標の発表予定はレポート作成時点のもので、実際には変更される場合があります) 17(火) 18(水) 19(木) 20(金) 住宅着工件数(米 4 月) GDP(1-3 月) フィラデルフィア連銀景況 全国百貨店売上(4 月) CPI(米 4 月) FOMC 議事録 (米 5 月) 中古住宅販売(米 4 月) 卸売物価(印 4 月) 鉱工業生産(米 4 月) ILO 失業率 貿易収支 CPI(英 4 月) (5 月) (インドネシア 4 月) GDP(タイ 1Q) 経常収支(ユーロ圏 3 月) 小売売上高(加 3 月) ECB 理事会議事録 CPI(加 4 月) CPI(南ア 4 月) 小売売上高(英 4 月) 純移住者数(NZ4 月) CPI 雇用統計(豪 4 月) GDP 確報値(メキシコ 1Q) (マレーシア 4 月) 南アフリカ準銀理事会 (英 3 月) インドネシア金融政策会合 マレーシア金融政策会合 GDP(フィリピン 1Q) (最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい) 2/3 「ご注意頂きたいこと」 当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさ るようお願いいたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されています が、その正確性・完全性を保証するものではありません。株式への投資は、価格の変動や発行者の 信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引 をご利用いただく場合は、所定の委託保証金または委託証拠金をいただきます。また、信用取引で はその損失額が差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。国内株式取引の委託手数料 は、約定代金に対して最大(税込)1.19664%【2,700 円に満たない場合は 2,700 円(現物取引買付 および信用取引売買)】になります。株式を募集等により取得する場合には、購入対価のみをお支 払いいただきます。外国株式を委託取引により購入する場合は、所定の委託手数料をいただきます。 外国株式の委託手数料は国や市場により異なります。外国株式を店頭取引により購入する場合は、 購入対価のみをお支払いいただきます。債券をご購入いただく場合は、購入対価のみをお支払いい ただきます。(経過利子をお支払いいただく場合があります)。債券は、市場の金利水準の変動等 により価格が変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行体の信用状況や財務状 況によっても価格が変動し、利金や償還金の支払遅延や不履行となる場合があります。また、倒産 等により元本損失が生じる場合があります。投資信託は、主に国内外の株式や債券を投資対象とし ているため、基準価額は組み入れた株式や債券の動き、為替相場の変動等の影響により上下します ので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。投資信託はファンドごとに設定された購 入時手数料をご負担いただきます。また、投資信託を保有期間中に間接的にご負担いただく費用と して、ファンドごとに設定された運用管理費等(信託報酬等)のほか、運用成績に応じて成功報酬 をご負担いただく場合があります。また、換金時に信託財産留保額等が基準価額から差引かれる場 合があります。外国株式や外国債券、外国投資信託への投資は、上記に加え為替相場の変動等によ り損失が生じる場合があります。また、通貨発行国の国情の変化により投資元本割れや途中売却が できなくなるおそれがあります。当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前 交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みください。 商号等: 髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第 20 号加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/ 3/3
© Copyright 2024 ExpyDoc