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2016 年 9 月 26 日
髙木証券 投資情報部
今週の見通し(9 月 26 日~9 月 30 日)
○ 先週の動き(9 月 19 日~9 月 23 日) (Bloomberg が 9 月 23 日終値として提供しているデータによる)
指 標
終 値
指 標
終 値
日経平均
16754.02
+234.73 日本 10 年国債(%)
-0.045
-0.006
TOPIX
1349.56
+38.06 米国 10 年国債(%)
1.618
-0.075
東証 2 部指数
4401.63
+91.76 独 10 年国債(%)
-0.082
-0.089
ジャスダック平均
2500.92
+31.36 NY ダウ
18261.45 +137.65
円/米ドル
101.02
-1.25 ナスダック
5305.75
+61.18
円/ユーロ
113.00
-1.27 独 DAX 指数
10626.97 +350.80
○ 海外市場動向
週の半ばに FOMC を控えた先週の米国株式市場は小動きで始まったが、20 日から開かれていた
FOMC で利上げ見送りが決定され、現地時間の 21 日午後 2 時に声明文が公表されるとセンチメントは
一変した。声明文公表の直前には前日終値を 20~30 ドル程度上回る水準で推移していた NY ダウは、
声明文公表後に上げ幅を拡大した後、一旦伸び悩んだが、声明文公表の 30 分後にイエレン議長の会見
が始まると一段高となり、この日の終値は前日比 163 ドルの大幅高、さらに翌 22 日も 98 ドル高と、8
月 26 日のジャクソンホール以降、消長を繰り返しながらも米国の株式市場にとっての目の上のたんこ
ぶとなっていた 9 月利上げに対する思惑が消えたのは当然のこととして、今回の FOMC を受けて、米
国の利上げピッチが極めてゆっくりとしたものになることに対する投資家の確信が一気に高まったか
のような堅調さをみせて、週末(23 日)には 131 ドル安と反落したものの、NY ダウは週間でも 137
ドル上昇した。
先週の為替市場も、日米の金融政策を控えてポジションを一方向に傾ける動きはみられない中で、1
米ドル=102 円を中心としたもみ合いで始まった。21 日には、前日から開催されていた日銀の金融政策
会合の結果である「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(詳細は後述)の導入が午後 1 時 18 分に
発表されると、直後に瞬間的に 1 米ドル=101 円ちょうど近辺まで円が買われた後は、日銀の新しい政
策の枠組みは、為替市場に対しては後ほど述べる通り中立であるとみられるにもかかわらず円売りが優
勢となり、1 米ドル=102.78 円まで円安が進むという不可解な動きをみせる場面があった。その後は、
投資家の関心が FOMC に急速に移行する中で徐々に米ドル売り・円買いの動きが強まり、とりわけ
FOMC 声明文が発表された翌日(22 日)のアジア時間(但し、東京市場は休場)には 8 月 26 日以来の
米ドル安・円高水準となる 1 米ドル=100.09 円を付ける場面があったが、週末にかけては徐々に米ドル
が底堅さを増す展開となった。
ところで、FOMC では FF 金利の誘導目標が 0.25~0.5%で据え置かれたことは前述の通りだが、声
明文と同時に公表された「ドットチャート」では 2016 年末の FF 金利見通しの中央値が「0.625%」と
され、6 月時点の「0.875%」から下方修正された。この点については予想通りであるほか、先物が示唆
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
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する今年末の FF 金利は FOMC 前日の 20 日時点で 0.505%に過ぎず、25 ベーシス利上げを完全には織
り込んでいなかったことを考えれば、中央値「0.625%」は FRB の年内利上げ意思を示しているほか、
声明文に「FF 金利引き上げの論拠は強まったと判断している」(実際にも投票権を持つ 10 名の FOMC
メンバーのうち 3 名は、25 ベーシスの利上げを主張して金利の据え置きに反対票を投じている)と明
記されたことも、本来は為替市場における米ドルのサポート要因になるはずなのにもかかわらず、為替
市場や先に述べた株式市場の反応をみる限り、多くの投資家は今回の FOMC の結果を極めて「ハト派」
的に解釈しているように思われる。その背景について市場では、「ドットチャート」では 2016 年末だ
けではなく、それ以降の金利見通しも下方修正されたことを指摘している。例えば、2017 年末の FF 金
利見通しの中央値は 6 月時点の「1.625%」から「1.125%」に引き下げられており、これは来年末まで
に 25 ベーシスの利上げ 3 回(年内 1 回と 2017 年中に 2 回)が FOMC 参加者の中心的なシナリオであ
ることを意味しているが、先物が示唆する 2017 年末の FF 金利は 20 日時点で 0.71%、つまり市場は来
年末までで漸く 1 回強の利上げしか織り込んでいなかったことを考えれば、この程度の下方修正を米ド
ルにとって過度にネガティブに捉える必要はないと思われる。いずれにせよ、FRB が緩やかな利上げプ
ロセスの途上にあるのに対して、ほぼ同じタイミングで金融政策決定会合を開催した日銀は、さらなる
量的な拡大は見込みにくいものの、今後も高水準の金融緩和が長期にわたって続くという、金融政策の
方向性の違いがやがては意識されることで、緩やかな米ドル高・円安トレンドに回帰すると考えられ、
先週の為替市場が最終的には FOMC 声明文の発表直前の水準である 1 米ドル=100.80 円近辺よりも米
ドル高・円安水準で終わっていることもこうした見方を裏付けていると思われる。
○ 国内市場動向
3 連休明けとなった先週の国内株式市場は日銀の金融政策決定会合に対する警戒感から軟調に始まっ
た。会合の結果発表を控えた 21 日午前の日経平均も前日比小幅安で終わっていたが、後場寄り直後に
前日比プラスに転じると、結果が発表された直後には再び前日比 80 円安まで下落したがすぐさま上昇
に転じた後は一貫して上げ幅を拡大、この日の日経平均は前日比 315 円の大幅高となった。秋分の日の
休日をはさんだ 23 日は、前営業日の大幅高の反動に加え、米国時間では 2 日前に発表された FOMC の
結果をどのように織り込むかが気になる中軟調に始まった後徐に引き締まって一時前日比プラスに転
じるなど、基本的には底堅い動きをみせて日経平均は週間で 234 円上昇した。
先にも触れた通り、
日銀が 20 日から 21 日にかけて開催した金融政策決定会合において導入を決めた、
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は、①長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロー
ル」と、②消費者物価の実績値が安定的に 2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベース
の拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」という二つの柱からなっている。ちなみに、
「オーバーシュート型コミットメント」では、従来の「年間約 80 兆円」というマネタリーベースの
増加額に関する具体的な数値目標を撤廃しているが、マネタリーベースの増加額と密接に関係する長期
国債の買入れについては、後述する金利操作方針に従って、その額に柔軟性を持たせているものの、概
ね現状程度(年間約 80 兆円)をめどにすると述べており、マネタリーベースの増加額も当面は大きく
変わらないとみられるため、今回の政策変更は為替市場には大きな影響を与えないと思われる。
一方、株式市場への影響という切り口では、短期金利にあたる日銀当座預金のうち政策金利残高に▲
0.1%のマイナス金利を適用、つまり、金融機関の収益を悪化させ、銀行株に主導された株式市場の下落
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
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を招くとして市場参加者が警戒していたマイナス金利の深掘りが見送られたほか、今回の決定のベース
になったとみられる「総括的な検証」においてイールドカーブの過度の低下やフラット化の悪影響に言
及した上で、「10 年物国債金利が概ね現状(0%)程度で推移するように長期国債の買入れを行う」こ
ととし、「買入れの下限金利を設けない」としていた 1 月のマイナス金利導入時点の方針が撤回された
点で、マーケットに優しい政策変更といえそうであり、先に述べた通り、会合の結果発表の当日と 1 日
の休みをはさんだ週末の株式市場が、前回までの日銀会合終了直後にはけっしてみられなかった落ち着
いた動きとなったことがこのことを裏付けているといえるだろう。
(文責:勇崎 聡)
<今週のスケジュール>
26(月)
新築住宅販売
(米 8 月)
IFO 景況感(独 9 月)
貿易収支(NZ8 月)
(指標の発表予定はレポート作成時点のもので、実際には変更される場合があります)
27(火)
ケースシラー指数(米 7 月)
消費者信頼感指数
28(水)
耐久財受注
(米 8 月)
(米 9 月)
29(木)
30(金)
小売売上高(8 月)
CPI(8 月)
GDP 確報値(米 2Q)
失業率(8 月)
メキシコ金融政策会合
鉱工業生産(8 月)
経常収支(ブラジル 8 月)
住宅着工件数(8 月)
貿易収支(メキシコ 8 月)
PCE(米 8 月)
失業率(ユーロ圏 8 月)
CPI 予想(ユーロ圏 9 月)
GDP 確報値(英 2Q)
基礎的財政収支
(ブラジル 8 月)
貿易収支(トルコ 8 月)
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
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「ご注意頂きたいこと」
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