髙木ウィークリーを見る

2016 年 9 月 20 日
髙木証券 投資情報部
今週の見通し(9 月 19 日~9 月 23 日)
○ 先週の動き(9 月 12 日~9 月 16 日) (Bloomberg が 9 月 16 日終値として提供しているデータによる)
指 標
終 値
指 標
終 値
日経平均
16519.29
-446.47 日本 10 年国債(%)
-0.039
-0.024
TOPIX
1311.50
-32.36 米国 10 年国債(%)
1.693
+0.018
東証 2 部指数
4309.87
-98.42 独 10 年国債(%)
0.007
-0.004
ジャスダック平均
2469.56
-20.54 NY ダウ
18123.80
+38.35
円/米ドル
102.27
-0.42 ナスダック
5244.57 +118.66
円/ユーロ
114.27
-1.37 独 DAX 指数
10276.16 -297.27
○ 海外市場動向
FRB のブレイナード理事は 12 日の講演で、「インフレに対する労働市場のタイト化の影響が、緩や
かかつ漸進的だとみられる中、政策を先制的に引き締める論拠は弱まっている」と発言した。この講演
は、FOMC 直前は金融政策に関する関係者のコメントが禁じられる「ブラックアウト」期間前最後の
FOMC 参加者による発言という意味で注目されていたが、前週末(9 日)の NY ダウが、その日に講演
したボストン連銀のローゼングレン総裁の「利上げを長く待ち過ぎれば米経済が過熱する恐れがある」
という発言を受けて 394 ドル下落していただけに、ブレイナード理事の「ハト派」な発言は投資家に好
感され、この日の NY ダウは 239 ドル高と急反発した。翌 13 日には 258 ドル安と前日の上昇を一旦吐
き出したが、前週末に続いて取引時間中に割り込んだ 18,000 ドルの大台を終値では維持、15 日に発表
された 8 月の小売売上高が前月比 0.3%減少し市場予想(0.1%減)以上に落ち込んだことは、今月の
FOMC での利上げの可能性を低下させる材料として好感された一方、週末(16 日)には WTI の原油先
物が 1 バレル=42 ドル台に下げたことを受けて反落したが、NY ダウは週間では 38 ドル上昇した。
為替市場では、円は 1 米ドル=101 円台では上値が重たい一方、103 円台では底堅く推移して週間で
は小幅に上昇した。一方、ユーロは、8 日開催の ECB の理事会での追加緩和見送りを受けて前の週に
は上昇していたが、
先週は 1 ユーロ=1.12 米ドル台でのもみ合いから週末の NY 市場では 1 ユーロ=1.11
米ドル台に下げたが、こうした為替市場の方向感のなさは、10 年国債利回りが 13 日に 1.75%目前まで
上昇して 6 月 3 日以来の水準を回復した後は 1.7%を挟んでもみ合い、週間での利回り上昇は 2 ベーシ
スにとどまるという、FOMC を目前に控えた米国債券市場における投資家の気迷いを反映していよう。
さて、今週はいよいよ 20 日から 21 日にかけて FOMC が開かれる。FRB のイエレン議長が 8 月 26
日にジャクソンホールで行った講演において、「利上げの論拠はこの数ヶ月で強まったと考えられる」
と述べるとともに、この発言に対して FRB のフィッシャー副議長が「9 月の利上げと年内 2 回の利上
げの可能性を残すものだ」との見解を示したことをきっかけに、年内の利上げ再開に対して一貫して否
定的だった市場関係者の見方が変化、一部では今回の FOMC での 25 ベーシス利上げの可能性が意識さ
れたものの、足下では前述したブレイナード理事の発言や弱い小売売上高を受けて利上げに対する思惑
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
1/3
が若干後退しているように見受けられるなど、市場の見方は相変わらず節操がないが、年内の利上げ再
開を見込むとともに、利上げ再開のタイミングとして最も有力なのは 12 月の FOMC であるという髙木
証券の基本的な考えは、ジャクソンホールの前も後も、そして現時点でも変らない。
従って、米国の金融政策が上述した当社の見方に沿って推移するのであれば、今回の FOMC での利
上げ見送りとともに、声明文と同時に公表される「ドットチャート」における今年末の FF 金利の見通
しの中央値が「0.625%」となり、6 月時点の「0.875%」から下方修正されようが、早期利上げに対す
る市場の思惑は以前より高まっているとはいえ、
先物が示唆する今年末の FF 金利は先週末時点で 0.5%
程度に過ぎず、25 ベーシス利上げを完全には織り込んではいないため、中央値「0.625%」は FRB の
年内利上げ意思を示す点で、為替市場における米ドルのサポート要因になろう。一方、今回の FOMC
での利上げの可能性も完全には否定出来ないが、その場合でも、中央値が「0.625%」に下方修正され、
年内追加利上げの可能性が低いことが示されれば、米国株式市場に対する利上げの悪影響も限られよう。
○ 国内市場動向
先週の国内株式市場はほぼ週を通して軟調に推移、週末(16 日)には反発したものの、日経平均は週
間で 446 円下落した。米国株と為替市場における米ドルはこのところ逆相関の傾向が強まっているが、
先週の日本の株式市場は、米ドル安・円高となって米国株が上昇する局面では円高に、米ドル高・円安
に伴って米国株が売られる場面では米国株安に引き摺られて下げるという、「悪いとこ取り」の感があ
るが、その背景としては、今週 20~21 日に開かれる日銀の金融政策決定会合を目前に控え、投資家の
買い意欲が極端に減退していることが挙げられよう。また、ここにきてとりわけ投資家心理を悪化させ
ているのが今回の会合での「マイナス金利」の深掘り観測であり、そのきっかけは黒田総裁が 8 月 27
日にジャクソンホールで行った講演において、「現在の日本のマイナス金利水準である 0.1%と下限制
約の間には、まだかなりの距離があると考えている」と述べたことだが、総裁はジャクソンホールより
も後の 9 月 5 日の講演でマイナス金利が金融機関の収益に与える悪影響に言及していることを考えれば、
マイナス金利の深掘りが恰も既定路線のように報じられていることに対しては違和感を禁じえない。
また、例年であれば注目される東京ゲームショー(15 日から開催、一般公開は 17~18 日)もほとん
ど話題にならないなど、日銀会合の直前には、それ以外の材料には市場の目が全く向かなくなるのも相
変わらずだが、これまでは、日銀に対する過度の「期待」を背景に、会合前の株式市場が上昇していた
がゆえに、その結果如何にかかわらず、会合終了後の株式市場は「失望」から下落することがほとんど
だったのに対して、足下の株式市場は従来とは逆に、日銀に対する「懸念」を背景に下落しているのだ
から、会合終了後は上昇してもおかしくないと考えるのは楽観に過ぎるだろうか?(文責:勇崎 聡)
<今週のスケジュール>
19(月)
敬老の日
経常収支
(ユーロ圏 7 月)
失業率(露 8 月)
(指標の発表予定はレポート作成時点のもので、実際には変更される場合があります)
20(火)
住宅着工件数
21(水)
日銀金融政策決定会合
(米 8 月)
豪準銀理事会議事録
(20 日~)
22(木)
秋分の日
中古住宅販売(米 8 月)
23(金)
小売売上高
(加 7 月)
貿易収支(8 月)
NZ 準銀理事会
CPI(加 8 月)
全国百貨店売上(8 月)
南アフリカ準銀理事会
小売売上高
FOMC(20 日~)
トルコ金融政策会合
(メキシコ 7 月)
CPI(南ア 8 月)
インドネシア金融政策会合
CPI(マレーシア 8 月)
フィリピン金融政策会合
(最終ページの「ご注意頂きたいこと」をお読み下さい)
2/3
「ご注意頂きたいこと」
当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさ
るようお願いいたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されています
が、その正確性・完全性を保証するものではありません。株式への投資は、価格の変動や発行者の
信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引
をご利用いただく場合は、所定の委託保証金または委託証拠金をいただきます。また、信用取引で
はその損失額が差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。国内株式取引の委託手数料
は、約定代金に対して最大(税込)1.19664%【2,700 円に満たない場合は 2,700 円(現物取引買付
および信用取引売買)】になります。株式を募集等により取得する場合には、購入対価のみをお支
払いいただきます。外国株式を委託取引により購入する場合は、所定の委託手数料をいただきます。
外国株式の委託手数料は国や市場により異なります。外国株式を店頭取引により購入する場合は、
購入対価のみをお支払いいただきます。債券をご購入いただく場合は、購入対価のみをお支払いい
ただきます。(経過利子をお支払いいただく場合があります)。債券は、市場の金利水準の変動等
により価格が変動しますので、損失が生じるおそれがあります。また、発行体の信用状況や財務状
況によっても価格が変動し、利金や償還金の支払遅延や不履行となる場合があります。また、倒産
等により元本損失が生じる場合があります。投資信託は、主に国内外の株式や債券を投資対象とし
ているため、基準価額は組み入れた株式や債券の動き、為替相場の変動等の影響により上下します
ので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。投資信託はファンドごとに設定された購
入時手数料をご負担いただきます。また、投資信託を保有期間中に間接的にご負担いただく費用と
して、ファンドごとに設定された運用管理費等(信託報酬等)のほか、運用成績に応じて成功報酬
をご負担いただく場合があります。また、換金時に信託財産留保額等が基準価額から差引かれる場
合があります。外国株式や外国債券、外国投資信託への投資は、上記に加え為替相場の変動等によ
り損失が生じる場合があります。また、通貨発行国の国情の変化により投資元本割れや途中売却が
できなくなるおそれがあります。当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前
交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みください。 商号等:
髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第 20 号加入協会:日本証券業協会
髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
3/3